歴ログ -世界史専門ブログ-

おもしろい世界史のネタをまとめています。

冷戦期ラテンアメリカの政治とポピュリズムの台頭

中南米諸国が経験したポピュリズムという政治 ラテンアメリカは十九世紀末から二十世紀初頭にかけて、繁栄を謳歌していました。 欧米向けの資源輸出が好調で、特にアルゼンチンは当時の十大国に数えられるほど経済力が高い国でした。しかし、世界恐慌の到来…

白旗の歴史

戦場で掲げられる「白旗」の意味とは 戦場で「白旗」を掲げた歴史は、古くは古代ローマ時代の書物に記述があります。また、漢の時代の中国でも白旗が使われたという記述もあります。 近代からは国際ルールとして「白旗」の使用が定められました。 今回はもっ…

ハイダラバード藩王国のインド統合の過程

デカン高原の大国・ハイダラバード藩王国の帰属問題 イギリス統治時代のインド亜大陸には、数多くの藩王国が存在しました。イギリス時代には藩王国は550~600程度存在したと言われます。 これらの藩王国はイギリス進出以前からあった独立王国で、イギリスの…

「反穀物の人類史」書評 - やっぱ国家ってロクなもんじゃねえな

世界史を見る視点が大きく変わる壮大な文明論 「反穀物の人類史――国家誕生のディープヒストリー」ジェームズ・C・スコット著(みすず書房)を読みました。 紀元前4000年から紀元前2000年の時期に、我々の祖先が作り上げた「国家」という仕組みがどのように成…

古代の人々が夢中になった7つのボードゲーム

古代から人々の暇を潰してきたボードゲーム ボードゲームの人気がずっと続いてますね。 ちょっと前までは、ボードゲームといえば、伝統的な将棋や碁、麻雀、チェス以外には、オセロ、ドンジャラ、人生ゲーム、モノポリーくらしかありませんでした。 今や、海…

19世紀イギリスの観光公害「ビデンデンの復活祭」

「ビデンデンのおとめ」伝説にまつわる復活祭 「ビデンデンの復活祭」は、ヨーク州のビデンデンという小さな町に中世から伝わるお祭り。 この町には「ビデンデンのおとめ」という、一説によると記録上最も古いと言われる、十一世紀のイングランドの結合双生…

ドッグフードの歴史

進化著しいドッグフードの歴史 犬を飼っていない人は気にしたことすらないかもしれませんが、ドッグフードのバリエーションは凄いものがあります。 子犬用や老犬用などの年齢別、柴犬用やチワワ用など犬種別、肌のケア用や関節ケア用など機能別。味の種類も…

1840年フォルツァスのいたずら事件

「この世に二冊とないレア本」をめぐる事件の顛末 「フォルツァスのいたずら(The Fortsas Hoax)」は、1840年にベルギーで起こったいたずら事件。 亡くなったフォルツァス伯爵が残したという超レア本がオークションにかけられることになり、鼻息の荒い収集…

チェコスロバキアの国民形成と体操集団ソコル

Credit: Sokol excercises in Tábor, 1924 Author: Šechtl and Voseček 民族の発揚を促す、集団体操という「自由」 長年日本の教育現場では、男子の団結心や克己心を育むとして組体操が尊ばれてきました。最近では危険性が問題視され始めており、原則禁止さ…

バーチャルツアーが楽しめる世界の美術館・博物館

海外旅行できないのでバーチャル美術館・博物館巡りをしよう 新型コロナのせいで、4月に予定していたタイ行きが中止になりました。GWにはロシア行きを予定してるんですが、この調子だとたぶん無理でしょう。 世の中には海外旅行依存症のような人がいて、定期…

生前は評価されず死後に評価された人物

何がきっかけで死後に評価されるに至ったか 芸術家や学者の中には、大きな仕事を成し遂げるも生前はまったく評価をされず、当人が死亡した後にその業績の大きさが評価される場合があります。 特に画家など芸術家は、二束三文で売られた当時の作品が今は何億…

アメリカ国防省にいたキューバのスパイ、アナ・モンテス

ペンタゴンが誇る才女はキューバのスパイだった 2001年9月21日、911テロの十日後。 FBIはアメリカ国防省の傘下にあるアメリカ国防情報局のシニアアナリストであるアナ・モンテス(当時44歳)をスパイ容疑で逮捕しました。 彼女はアメリカの国防の情報を担う…

マーガリンの歴史

驚くべき進化を遂げた「バターの代替品」の歩み マーガリンが植物性だということはご存じだと思います。 安いし植物性だからという理由でマーガリンを買う方もいるでしょうし、トランス脂肪酸が体に悪いと考えて意図的に避けている方もいると思います。 マー…

【2020年3月版】世界史関連の新刊30冊

2019年12月〜2020年3月の世界史関連の新刊の紹介 新型コロナの影響で外出を控え自宅にいがちな方も多いのではないでしょうか。 本屋に行くのもためらわれるという方もいるかもしれません。 世界史関連の新刊の最新の情報をまとめましたのでぜひご参考にして…

「反お笑い」の哲学史(後編)

近代哲学の中の「反お笑い」 古代から近代までの哲学の中における「反お笑い論」をまとめています。 前編では古代の反お笑いの創始者プラトンからプロテスタントの反お笑い論までまとめています。まだご覧になっていない方はこちらをどうぞ。 後編は近代哲学…

「反お笑い」の哲学史(前編)

笑いを否定する哲学論の歴史 「笑う」ことは心身のリラックスやストレスに効果があることが科学的に証明されており、健康的にも笑うことが推奨されています。 一方で「どんな理由で笑うか」は結構センシティブな話題で、人種やジェンダー、宗教、特殊な身体…

決闘(デュエル)で死んだ政治家たち

政府高官も活動家も皆決闘(デュエル)が好きだった ヨーロッパでは19世紀まで自らの名誉を守るための決闘(デュエル)はわりとポピュラーでした。 国王や政府や私闘を禁じてはいたものの、その国王や政府を支える貴族や政治家たちが頻繁にやっていたのだか…

中世・北東アジアの歴史 -モンゴルの樺太侵攻-

国境を超えて様々な民族が交錯したきた北東アジア 現在のロシア極東、中国東北部、サハリン、北日本は、オホーツク海を挟んでいますが歴史的に民族的・文化的・経済的に極めて緊密な関係にありました。 日本民族が進出するまでは北海道はアイヌ人が広く住ん…

ブーゲンビルの歴史 -ブーゲンビルは独立できるのか-

Photo: New Zealand Government/Alex Smailes パプアニューギニアからの独立を求めるブーゲンビル 2019年12月11日、パプアニューギニア・ブーゲンビル自治州で、独立か自治拡大かを問う住民投票が行われ、98.31%が独立に賛成しました。国際的にも「新たな国…

『タイのかたち』書評 タイという正体不明の国を解剖する

タイという国の謎が解ける本 ぼくは世界中の国の歴史や文化に興味があるのですが、配偶者がタイ人ということもあり、タイは他人事じゃないというか、放っておけないところがあります。 ですが、いくら学んでもタイは掴みどころがない。歴史的にも文化的にも…

1809年ロンドン旧価格暴動

劇場チケットの価格値上げで起こった市民暴動 旧価格暴動(Old Price Riots)は、リニューアルされたロンドンのコヴェント・ガーデン劇場の価格値上げに抗議する市民が劇場内につめかけて大騒ぎを演じた事件。 1809年9月18日から約三ヶ月間続いた抗議の結果…

政権に就いたことのある世界の少数民族政党

少数民族政党ながら政権与党になったことのある世界の政党 日本では外国人の選挙権・被選挙権が認められていないため、国や自治体の政治において国内の少数民族の利益を代表する政治団体というものが存在しません。 一方で、様々な事情で国内に多くの少数民…

ハワイの歴史 - ハワイ統一からアメリカ併合まで

Photo by Lux Tonnerre 独立ハワイ王国はどのようにしてアメリカに併合されていったか 観光でハワイのオアフ島を訪れた方は、 ホノルル中心部にあるカメハメハ大王像を訪れたことがあると思います。 皆なんとなく、カメハメハ大王という偉大な王が出てハワイ…

世界史のパンデミック死者数TOP10

Photo by Cybercobra 世界史の引き金となってきたパンデミック(世界流行) 歴史上、何か大きな内乱や対外戦争、王朝の交代が起きたその背景には、世界規模の気候変動やパンデミック、大恐慌などがありました。 政治機構による安定した統治が実現していても…

インドネシア映画産業の歴史

成長著しいインドネシア映画産業のこれまでの歩み 今や韓国映画は普通だし、インド映画もすっかりメジャーになりました。インドと一口に言っても地域によっていろいろありますが。 他にもトルコやナイジェリアなど日本人があまり知らない映画大国はたくさん…

【2019年12月版】世界史関連の新刊30冊+α

2019年8月〜12月の世界史関連の新刊の紹介 前回が8月だったので約半年間、間が空いてしまいました。 半年分の世界史関連の新刊をガッツリ紹介いたします。年度末ですし、年末年始に読む面白そうな本をどうぞ見つけてください。

下層民が救済を求める「千年王国運動」の事例

ヨーロッパ、南米、南アジアの千年王国運動 前回の記事では、千年王国運動の起源と世界中への伝播について説明しました。 まだご覧になっていない方はこちらからどうぞ。 今回はいつどのような背景で、どんな運動が起こったかを具体的に説明していきます。 …

「千年王国思想」の始まりと世界への伝播

正義の世の実現を期待する宗教的世直し運動 千年王国運動とは、主に大衆を中心に、神や天が奇跡を起こし、この世に正義を実現することを求める宗教的世直し運動です。洋の東西、古代から現代まで問わず、世界各地で見られます。 今回は前編後編で、その起源…

大量の死者を出した世界史の爆発事件TOP10

千人万人単位の死者を出した記録的な爆発事件・事故 工場や船舶・航空機が大爆発を起こして炎上、犠牲者十数名といったニュースは、国内・海外問わず目にするニュースです。 火薬を入手して以降の人類の歴史は爆発事故の歴史でもあります。当然、戦争中の大…

【西洋史】籠城戦で敵を苦しめた「素人女性」列伝

男以上の勇敢さと苛烈さで祖国を守った素人女性たち 世界史では、戦場で活躍した男勝りの女性エピソードには事欠きません。 歴ログでも何回かそのような女性の軍事指導者のエピソードは紹介しているのですが、今回は「籠城戦で活躍した女性」というのを紹介…