歴ログ -世界史専門ブログ-

おもしろい世界史のネタをまとめています。

立身出世をめぐる人間ドラマが面白い中国古典小説「儒林外史」

科挙試験をめぐる男たちのヒューマンドラマ 中国の清朝中期を代表する文学作品と言えば、「紅楼夢」と「儒林外史」です。 高校の世界史の授業で習ったかと思います。 今回取り上げたいのは呉敬梓(ごけいし)作の「儒林外史」。 紅楼夢が美少年・美少女が登…

中世セルビア王国の勃興と野望

東方キリスト教世界の王を目指したバルカンの大国セルビア 旧ユーゴスラヴィア連邦は南スラブ系民族を中心とした連邦国家でしたが、その中心にあったのはベオグラードを都に構えるセルビア人でした。 セルビアは現在でも様々な民族・宗教・言語が入り混じる…

【2019年7月版】世界史関連の面白そうな新刊35冊

2019年前半に発売された面白そうな世界史関連の本 半年ぶりの新刊紹介です。 半年もたつと山のように世界史関連の新刊が発売されるんですが、全部紹介すると大変なので、ぼくが「あ、これは面白そう」「これは読みたい」と思ったもののみ紹介します。それで…

99%死ぬ状況から生き残った奇跡のサバイバーたち

映画のような奇跡の生還ストーリー テレビ番組やネットのニュースでよく見る「奇跡の生還ストーリー」。 昔からこの手の「奇跡の生還」の話は人気ですが、実はこういう話はかなり昔からあって人々の感心や興味をかきたててきました。 現代でも奇跡を生き残っ…

コシャリの歴史 - エジプト発のジャンクフードは日本で流行るか?

Photo from "Koshari, Egyptian dish" Tucan Travel Blog - The Chasqui エジプトからきた「炭水化物のオバケ」を喰らえ 「コシャリ」はご存知ですか?食べたことはありますか? コシャリとは、コメ、パスタ、豆を混ぜたものの上にトマトソースとフライドオ…

日の丸に似てる国旗 - 日の丸が世界の国旗に影響を与えたというのは本当か?

日の丸のデザインが他の国のデザインに影響を与えたというのは本当か とある言説によると、アジアを中心に欧米の植民地になっていた国々が独立をする際に、日露戦争や太平洋戦争で欧米相手に戦った有色人種の日本の国旗である日の丸のデザインはリスペクトさ…

チェコ最強の武将ヤン・ジシュカとフス戦争

農民軍を率いて十字軍を何度も撃破した伝説的なチェコの武将 「世界史で最強と思う将軍は?」 という質問を歴史ファンにした時に、もしかしたらヤン・ジシュカの名前を挙げる人もいるかもしれません。 1419年から15年間続いたフス戦争において、初期のフス派…

あまり知られていない、世界を変えた科学者列伝

現代社会を作り上げた偉大な科学者たちの功績を知ろう 電話を発明したグラハム・ベルや、白熱電球を発明したトーマス・エジソン、ラジウムを発見したキュリー夫人の功績は小学生でも知っています。科学者の伝記は人気があるジャンルなので、子ども向けの本が…

クスクスの歴史 - 謎が多い極小パスタの起源とは

Photo by Khonsali まるで炊き込みご飯みたいな出汁の効いた極小パスタ クスクスとは、北アフリカで生まれた極小パスタ、またはそれを使った料理を指して言います。 写真の見た目はご飯に見えますが、ご飯粒よりもっと小さいパスタ。しかし食べた感覚はご飯…

西ゴート王国の歴史

名前は知ってるけど比較的マイナーな西ゴート王国の歴史 世界史の序盤で必ず学ぶ、ゲルマン民族大移動。 アングロ族、サクソン族、ロンゴバルド族、ヴァンダル族、フランク族、西ゴート族、東ゴート族あたりは、その名前とどこに移動したかくらいは覚えると…

中世イングランドの有名な騎士たちのエピソード

騎士道が息づいていた時代の古き良きイングランド 百年戦争時代のイングランドは、騎士道精神が息づいていた時代で「古き良きイングランド」で人気がある時代です。 騎士道精神と一口で言っても、サムライのように主君に忠誠を誓うような人ばかりではなく、…

16世紀ラテンアメリカの反乱と武装蜂起

Photo by Adamt 新たな秩序を求めて抗争が続いた16世紀のラテンアメリカ 16世紀前半にラテンアメリカに侵入したスペイン人征服者(コンキスタドール)は、火砲や馬といった優勢な武器、原住民同士の反目を利用して征服を実行し、1522年にはコルテスがアステ…

古代チェコ神話 - チェコ人の成立、プラハの建設、乙女戦争

チェコ統一を精神的に支えた民族の年代記 ボヘミアのチェコ人は9世紀ごろに独自のプシェミスル朝を開き14世紀まで続きますが、王権は弱く神聖ローマの影響下に組み込まれ、またチュートン騎士団を始めドイツ人の東方植民の流れもあり「ドイツ化」の危険を常…

18〜19世紀のヨーロッパ高級娼婦のゴシップ伝説(後編)

19世紀に入って変わるクルチザンの形 ヨーロッパの高級娼婦の後編です。 前半ではルイ15世の愛妾を中心に、フランス革命前の「古き良き」宮廷に侍ったクルチザン(高級娼婦)たちをリストアップしました。前編はこちらよりどうぞ。 フランス革命が勃発後、急…

18〜19世紀のヨーロッパ高級娼婦のゴシップ伝説(前編)

贅沢な暮らしと絶対的な権力を得た女たち フランス語では「クルチザン(Courtesan)」と言うのですが、昔の宮廷や貴族の社会には上流階級の男性の「お遊び」の相手をする女性がいました。お酒や食事の相手をしたり、会話やデートをしたり、夜の相手をしたり…

ケチャップの歴史 - 英国流オリエンタルソースからアメリカの味へ

洋食にはかかせないテーブルの必需品ケチャップ 皆さまのお宅では、ケチャップとマヨネーズはペアになって冷蔵庫に入っていないでしょうか。もしかしたら、お好み焼きソースやウスターソースもセットになっているかもしれません。 料理はしなくて冷蔵庫がほ…

「金髪女はバカ」という偏見はなぜ生まれたか

金髪女はIQが低く、ルックスしか興味がないという偏見 欧米では「Dumb Blonde Jokes」というのがあります。 直訳すれば「バカな金髪ジョーク」というものです。例えばこんなものです。 赤毛女が金髪女に言った 「この間ブラジル人と寝ちゃってさ」 「まあ、…

チェコスロバキア軍団 - 祖国へ帰るための孤独で長い戦い

祖国への帰還を目指してロシアで戦い続けた国なき軍団 チェコスロバキア軍団は第一次世界大戦中の1914年から1917年にかけて、連合軍の一翼として戦ったチェコスロバキア人の軍団です。 オーストリア=ハンガリー帝国軍の兵として参加したものの捕虜になりチ…

この世のどこかにあると考えられたユートピア伝説

冒険者たちが夢見たどこかにある理想郷 かつて、この世のどこかには「金銀宝石がザクザクあるお宝の町」や「辺境にあるキリスト者や仏教徒の理想郷」があると信じられていました。 冒険野郎たちはそのような夢のようなお話を信じて船に乗って世界中に繰り出…

ビアフラ戦争史(後編)- 国際社会の介入と内戦の泥沼化

ナイジェリア軍 vs ビアフラ軍の一進一退の攻防 前編では、北部ハウサ・フラニ人と東部イボ人の民族的対立やナイジェリア軍人たちの対立が加速した結果、とうとう東部州が1967年5月にビアフラ共和国として独立するまでをまとめました。 前編をご覧になりたい…

ビアフラ戦争史(前編)- 戦争前夜、ナイジェリア民族対立の激化

200万人の犠牲者を出した「兄弟たちの戦争」 ビアフラ戦争は1967年7月〜1971年1月にナイジェリア共和国で起こった戦争です。 イボ人が主体の東部州が中央政府からの独立とビアフラ共和国の独立を宣言し、それを阻止しようとするナイジェリア政府軍との間でと…

タコスの歴史 - なぜタコスは日本で流行らないのか?

メキシコの民族食から世界のファストフードへ タコス食べたことありますか? 「はい!」とまっすぐ手を挙げられる人ってそんなにいないんじゃないかと思います。ナチョスとか、トルティーヤとか、ブリトーとか、それっぽいものは食べたことあるけど何を食べ…

なぜチェコとスロバキアは分離したのか

同じ西スラブ族の「兄弟」はなぜ決別したのか かつて中欧には「チェコスロバキア」という国がありました。 1990年以前に教育を受けた30代後半以上の人には馴染みがあると思います。 ところがこの国は1993年1月に分離をして、チェコ共和国とスロバキア共和国…

聖母マリアはイエスの死後どこで何をしていたのか

聖母マリアの「老後の人生」とは 聖母マリアはキリスト教の宗教絵画に頻繁に描かれます。 天使から神の子を授かったとお告げを受ける「受胎告知」、イエスが馬小屋で生まれた「キリストの降誕」、幼いイエスを抱いた「聖母子像」、磔刑で死んだイエスを抱い…

第二次世界大戦中のリトアニア史 - ソ連とナチスの占領と抵抗

ソ連とナチス・ドイツに翻弄された小国の悲劇 リトアニアはかつてポーランドとの連合国家ポーランド・リトアニア共和国として東欧の大国に君臨した栄光ある国です。 しかし史上名高い「ポーランド分割」で、1795年にロシア帝国に併合され、再度独立したのは…

嘘で戦争に勝利にした嘘みたいな話

戦いに勝つためにはたまには方便も必要 狼少年の話を待つまでなく、嘘はいつもついていたら全く効果がありませんが、たまにつくことで有効な場合があります。 つかないに越したことはありませんが、仕事でも私生活でも、たまには嘘を使ったほうが色々なこと…

売国奴と呼ばれる人たち:ロレンソ・デ・サバラ

テキサスの独立を手助けしたメキシコの「売国奴」 ロレンソ・デ・サバラ(1788-1836)はメキシコ・ユカタン出身の政治家・ジャーナリスト・医師。 熱烈な共和主義者であったサバラは、連邦国家メキシコの憲法草案の執筆にも携わるほどのインテリで、当時のメ…

マフディーの反乱 - 英国を動揺させたスーダンの大反乱

現在のスーダン国家の礎となった一大蜂起事件 マフディーの反乱は現在のスーダンで1881年から1889年の間にかけて起こった反乱。 マフディー(救世主)が指導する農民主体の反乱軍は何度もイギリス・エジプト軍を退け、約18年間の間独自の統治を行いました。 …

ネクタイの歴史

なぜここまでネクタイは広がったのか クールビズが結構浸透してきて、特にかしこまった場ではない普通のビジネスの場ではノーネクタイでもあまり失礼でないという風潮になってきました。やっぱ皆あまりネクタイが好きじゃなかったんだなあと思います。 息苦…

無能な指揮官列伝 - 無能さが起こした悲劇的な戦い(後編)

後の歴史に後遺症をもたらした「無能」とは 前編に引き続き、「無能な指揮官列伝」の後編です。前編では以下を紹介しました。1. 大カエピオ(共和制ローマ)2. ヨーク公フレデリック(イングランド)3. ピエール・ヴィルヌーヴ (フランス) 4. ウィリア…