歴ログ -世界史専門ブログ-

おもしろい世界史のネタをまとめています。

1942年ナチスがカナダを占領した「もしもの日」

もしもナチス・ドイツがカナダの町を占領したら 新型コロナウイルスの世界的流行は、各地で悲劇や混乱を引き起こしていますが、一方で平時はとてもできない社会実験が行えているという側面もあります。 同じように、平時にはとてもできない実験が第二次世界…

イギリス式朝食の歴史

Photo by Joadl サマセット・モーム「英国で良いものを食うなら朝食を3回とるべき」 塩気たっぷりのベーコンにソーセージ、ベイクドビーンズ、目玉焼き、焼いたマッシュルームにトマト、そしてトースト。 この組み合わせは「フル・ブレックファスト」または…

「敵前逃亡」の罪で処刑された兵たち

軍紀違反で死刑になった20世紀の人物 昔から敵前逃亡は軍事の世界では重い罪でした。 最前線で戦う兵士の後方には抜刀した指揮官が控えていて、前線から逃げてきた兵士を「逃げるな!腰抜け!」と罵りぶった切った、などという話は枚挙に暇がありません。 逃…

名前は知られていないが大きな戦果をあげたヴァイキング

ヴァイキング時代に各地を荒らし回った戦士たち 9〜11世紀のバイキング時代には、ヨーロッパだけでなくロシア、カフカス、中東、北アフリカ、果てはアメリカ大陸にまでバイキングが進出し、盛んに交易・略奪・移住を試みました。 有名な人物だと、ノルマンデ…

トルコ軍事史の英雄十人

トルコ共和国の強烈な愛国者たち 一般的なトルコ人は非常に愛国心が強いです。 共和国の独立記念日には独立の父アタチュルクの肖像をSNSにアップしたり、国旗を車や家に飾ったりします。強い愛国心を持つのは普通のことで、日本だと右派的に感じられる言説を…

日本海だけじゃない世界の「地名呼称問題」

国際標準地名をめぐるナショナリズムの戦い 日本海という呼称をめぐる問題は、日本というよりは韓国・北朝鮮において盛んです。 韓国・北朝鮮は、日本海という呼称は日帝強占期に定着した名であるとして、「東海」または「朝鮮海」の併記または単独表記を求…

中国ワインの歴史

中華皇帝も愛したワインのお味 あまり一般には知られていませんが、中国は世界でもトップレベルのワイン生産国であります。 数字を見ると、2017年のワイン生産量は1.8億リットルで世界7位。上位はイタリア、フランス、スペイン、アメリカ、オーストラリア、…

インド軍事史の英雄十人

華々しく派手な活躍をしたインド軍のレジェンド 「お国柄」を知る方法は様々ですが、「英雄」と言われている人を調べてみることは一つ面白い手段だと思っています。 例えば戦争の英雄を調べると、集団としての民族の感情や、歴史的な課題、コンプレックスが…

ルクセンブルクの歴史ー翻弄される小国から国際協調の大国へ

西ヨーロッパの小国の激動の歴史 ルクセンブルクはドイツ、ベルギー、フランスと国境を接する内陸国で、面積は2,586平方キロメートルと神奈川県よりやや大きい程度。 政体としては立憲君主制に基づく議会制民主主義で、大公により統治される世界で唯一の「大…

パッタイの歴史 - 人工的に作られたタイの国民料理

Photo by Terence Ong 「タイの国民料理」という使命を持った人工的国民食 タイ料理の定番であるパッタイ。 歴史は古くなく、誕生したのは1940年ごろのことです。パッタイは時の権力者により、明確な政治的意図をもって作られ広められた料理です。パッタイ(…

【2021年3月版】世界史関連の新刊50冊

2020年12月〜2021年3月の世界史関連の新刊の紹介 恒例の世界史関連の新刊紹介です。 今回は安価な新書と高額な専門書が多めになっています。 こちらの記事ですが、特に全部読む必要はなく、ザッと中身を見たりブックマークしたりして、気になる本をメモする…

カナダ軍事史の英雄十人

あまり知られていないカナダの英雄兵 国にはそれぞれ独自の歴史があり、独自の文脈があります。 その中で、その国では高く評価されてるけど他国にはあまり知られていない英雄という人物が必ずいます。 ローカルな英雄兵をピックアップするシリーズを書いてい…

「反捕鯨」の国際世論はどのように形成されたか

「可哀想」「環境破壊」だけではない、反捕鯨世論構成の歴史 捕鯨問題は日本が欧米諸国と感情的に対立するテーマの一つです。 欧米側は、鯨は絶滅寸前であり捕獲は自然破壊であるし、そもそも鯨は知性のある生き物であるため捕獲するのは非人道的であると主…

マヨネーズの歴史

Photo by jules フランスの伝統的なソースから世界中で愛される調味料へ 料理をしなくて冷蔵庫が空っぽでも、マヨネーズは常備しているという人は多いのではないでしょうか。 肉・魚・野菜・炭水化物、何にでも合う基本の調味料の一つですが、もともとはフラ…

「黒い聖母」と中南米の民衆カトリシズム

土着の宗教とカトリックが混ざった独自の信仰が生まれた中南米 「民衆宗教」とは、一般の人々に広まって信じられている宗教で、社会の支配層が定めた教義や儀礼ではなく、なんとなく広まっている、組織化されていない教義や儀礼を信仰する宗教のことを言いま…

テディベアの歴史

畏敬の対象から愛玩動物へ 熊は古代ヨーロッパでは畏敬の対象でした。戦士は熊の皮を被って戦いにいきパワーを得ようとしたし、家には骨や首などを飾って魔除けとしました。 中世以降は熊は庶民ではサーカスの動物として人気者になり、王侯貴族の間では狩猟…

感染症の薬を開発し多くの命を救った医学者列伝

人類の脅威に立ち向かってきた偉大な医学者たち 2021年現在も新型コロナウイルスは全人類の脅威であり、世界中の医療従事者がこの強力なウイルスと日夜を問わず戦っています。心から感謝申し上げなくてはなりません。 また、世界中の製薬会社や医学者たちが…

レソト王国の歴史-レソト建国から英領バストランドの成立-

アフリカ南部の小山岳国家の歴史 レソト王国という国をご存じでしょうか。 世界地図が好きな人はたぶん知っていると思います。南アフリカの中に埋没するようにある内陸国です。 なぜこのような小国が存在できているのか、その歴史を追っていきたいと思います…

電子レンジの歴史 ‐軍事用レーダーからキッチン家電へ-

「20世紀のキッチン革命」電子レンジの歴史 電子レンジが家にない人はそういないと思います。 料理はしない人も買ってきたお惣菜やお弁当を温めることはあるはずで、シンクやコンロよりも電子レンジを使う機会のほうが多い、という人もいるのではないかと思…

2020年に読んでおもしろかった本10冊

「歴史に残る2020年」に読んだものたち 2020年もそろそろお終いです。 今年は新型コロナの影響で 在宅時間が増えて、読書時間が増えた人も多かったのではないでしょうか。そんな私は図書館にしばらく行けなくて、ネット書店でのお取り寄せ頻度が去年比で2倍…

中世ポルトガルの歴史 -ヨーロッパの辺境から海洋帝国へ-

Photo by Abelson どうやって辺境国ポルトガルは海洋帝国になったのか ポルトガルは1143年に、カスティーリャ=レオン王国から独立してできた国です。 もともとはレオン王国の前身であるアストゥリアス王国のアルフォンソ3世が9世紀半ごろからアル・アンダル…

【2020年12月版】世界史関連の新刊45冊

2020年9月〜2020年12月の世界史関連の新刊の紹介 いろんなことがありすぎた2020年も終わりに近づいています。 新型コロナはさまざまな影響を社会にもたらしましたが、人々がステイホームした影響で書籍の売り上げが好調らしいです。怪我の功名というか、せっ…

「幸せの国」ブータン王国の歴史

ヒマラヤの山岳小国の歴史 ブータンという国名の由来は二つあります。 一つ目はサンスクリット語の「ボータンガ(チベットの手足)」から来ているという説。もう一つが同じくサンスクリット語で「ボーターンタ(チベットの辺境)」から来ているというもの。…

中東の伝統料理「フムス」をめぐる歴史と戦争

Photo by Paul Goyette 愛ゆえに人は苦しまねばならぬ、愛ゆえに人は悲しまねばならぬ フムスという料理をご存じでしょうか。 トルコ料理やシリア料理などでメゼ(前菜)として出される料理の一種で、ひよこ豆のペーストにタヒニ(ごまペースト)、にんにく…

強制収容所・人種差別と闘った日系アメリカ人

様々な形で「収容所」を克服しようとした日系アメリカ人たち 第二次世界大戦中、日系アメリカ人がアメリカ政府の政策により強制収容所に収容されたことは非常によく知られています。 日系人に対する不当な扱いは後に問題視され、1989年に大統領ジョージ・H・…

ノルマン人の南イタリア征服 -ノルマン朝シチリア王国の成立-

南イタリアの支配者となったヴァイキングの末裔たち 西ローマ帝国崩壊後、現在の西ヨーロッパと北アフリカはゲルマン系民族によって大部分が占領されました。 イタリア半島ではオドアケルの王国を廃した東ゴート王国が建国されましたが、東ローマ帝国によっ…

キーボードの歴史 - なぜQWERTY配列が定着したのか

なぜキーボードはQWERTY配列が一般的になったのか 我々が使うパソコンのキーボードの配列は、よほどこだわってない限りQWERTY(クワーティ)配列になっていると思います。 別に何かルールで決まっているわけではなく、単に世界中に広く普及しているだけで、…

フランコ独裁体制下のスペインの歴史

硬直したカトリック保守体制の正体 スペインは1975年まで軍人フランシス・フランコの長期独裁体制下にありました。 当時のスペインはカトリック信仰に基づいた保守的・家父長的な規範が推奨され、国が隅々まで国民を監視し行動や発言、表現に介入してくる極…

西洋絵画に見るギリシア神話『トロイア戦争』の物語

知ってるようで知らないトロイア戦争の物語 「トロイアの木馬」は歴史に詳しくない人でも知っているくらい非常に有名なお話です。コンピューターウイルスの名前になっているくらいなので、一般的にもなじみ深いです。 しかしその他のエピソードはあまり馴染…

アメリカ風中華料理「チャプスイ」の歴史

Photo by Eli Hodapp アメリカ人が考える「中華」を代表する料理 「チャプスイ」を食べたことはあるでしょうか。 チャプスイは主にアメリカで食べられる中華料理で、青菜や根菜、肉を炒めた後に醤油ベースのスープを入れてとろみをつけ、ご飯や麺にかけたり…