歴ログは「はてなブログ」での活動を停止します 「はてなブログ」にある「歴ログ-世界史専門ブログ」は2024年3月をもって完全に活動を停止し、noteにコンテンツを移行していきます。 また、noteでは新たな領域のコンテンツ発信を行なっていくつもりです。
世界中の人を虜にする甘いドーナツの誘惑 ドーナツの消費量は世界で増加傾向にあります。 世界のドーナツ市場は2021年で157億8000万ドル(2兆3354億円)に達し、2028年にかけて年間3.4%で成長すると見込まれています。 日本では、かつてはミスタードーナツが…
「文化」を軸に"WEIRD"社会の発展を描くビッグ・ヒストリー 『WEIRD「現代人」の奇妙な心理』ジョセフ・ヘンリック著(白揚社)を読みました。 ご恵投いただいてから読了するのに1ヶ月以上かかってしまったのですが、かなり面白かったです。 上下巻あり、そ…
インドシナ山岳国家の現代史 ラオスの歴史の後編です。 前半では、ラーンサーン王国の成立から分裂、後継国家のビエンチャン王国がシャム王国との戦争の末に破壊される経緯をまとめました。 前編はこちらからご覧ください。 後編はシャム王国の支配下からフ…
東南アジア山岳国家の戦乱の歴史 ラオスは東南アジア、タイ、ベトナム、カンボジア、中国、ミャンマーに国境を接した内陸国で、国土の約70%が山岳地帯です。 面積は23万6800平方キロメートル。人口は2021年時点で約733.8万人。本州よりやや小さい面積に、埼…
今年読んだ本のトップ10を選びます 2023年度ももうすぐ終わりですということで、毎年やっていますが、今年度に私が読んだ本の中で面白かった10冊というのを選んでみます。 今年読んだ本なので、2023年以前に発売された本も含まれています。あらかじめご了承…
アメリカ兵とオーストラリア人が一触即発状態になった事件 ブリスベンの戦い(1942年11月26日~27日)は、第二次世界大戦中にオーストラリア・クイーンズランド州ブリスベンで、オーストラリア人と駐留アメリカ軍との間で起きた騒乱です。 騒乱は2日続き、幸…
なぜ宗教ははじまり、なぜ人間に必要とされたのか 『宗教の起源――私たちにはなぜ〈神〉が必要だったのか』ロビン・ダンバー著(白揚社)を読みました。 タイトル通り、なぜ宗教は発生し、なぜ人間は宗教を必要とし、宗教の本質とは何なのかを明らかにしてい…
死者がでない戦争とは、理性と、話し合いと、あと何か 2020年以降にまた世界各地で凄惨な国家間戦争が増加しています。毎日ニュースを見るたびに、21世紀にこんな先祖帰りを起こすとは想像していなかったです。 戦争を起こさない知恵が一番必要なわけですが…
「世界史の中での北海道」という視点 北海道はご存知の通り、アイヌ民族の居住地でありましたが、近代以降幕府や政府が経済開発を進める中でアイヌ民族は日本人の支配下に組み込まれ政治的にも経済的にも抑圧されてきた歴史があります。 そのアイヌ民族はア…
本当の意味での反知性主義とは何なのか 『反知性主義―アメリカが生んだ「熱病」の正体―(新潮選書)』森本あんり著(新潮選書)を読みました。 2015年初版の本なので少し古いのですが、かーなり面白かったです。反知性主義って日本では非常にネガティブな意…
時には歴史を動かしてきた「雇われ指揮官」 昔も現代でも、戦争は正規軍のみが行うものではなく、国王や領主に雇われた傭兵が戦争で重要な役割を果たすケースが多くありました。 三十年戦争で傭兵団はピークを迎えて、その後は国民国家の正規軍が主力になっ…
琉球王国形成の典型イメージを変える一冊 『琉球王国は誰がつくったのか 倭寇と交易の時代』(七月社 吉成直樹 著)を読みました。 文字通り沖縄の琉球王国の成立に関する著作です。 従来は、琉球王国は沖縄本土の農業社会の発展によって力をつけた支配者が…
ゴッホの耳を展示したとされる謎のいたずら事件 「ひまわり」「星月夜」「タンギー爺さん」などの絵画で知られるフィンセント・ファン・ゴッホは生前はあまり評価されませんでした。 画家として売れる見込みがたたずに次第に精神をやんでいき、とうとう自分…
戦争が比較的シンプルなものだった時代の感覚 戦争が今のように政治や経済、イデオロギーや宗教、少数民族問題や資源問題など複雑な問題を含むものになる前、18世紀の戦争はもっと戦争はシンプルなものでした。 ヨーロッパで行われる国家間戦争は、簡単に言…
意外と揉めてる中南米の国境線 国境線をめぐる争いは、カシミール(インドとパキスタン)や九段線(中国、台湾、ベトナム、フィリピン、マレーシア、ブルネイ、インドネシア)など、我々の身近なアジアに非常に多いです。 そのため見過ごされがちですが、中…
殺し方として非常に一般的な「毒殺」 食べ物や飲み物に毒を混ぜて人を殺害する方法は、刃物で切ったり首を絞めたりする方法に比べて力もいらず、比較的容易と考えられます。ただし毒殺といっても単にメシに毒を混ぜるだけではないようです。 歴史上、毒殺さ…
200カイリ排他的経済水域策定のきっかけとなった紛争 タラ戦争(The Cod War)は、主にイギリスとアイスランドとの間で戦われた、タラなどの水産資源をめぐった紛争です。 第一次から第三次まで断続的に争われたこの紛争で死者は出ませんでしたが、この紛争…
政権末期や政変時に担ぎ出される幼児王・少年王 世界史ではよく幼児や子どもで王に担ぎ出されるケースがあります。 政治対立が起こり一触即発の場合に、幼い王を擁立させて角が立たないようにするという場合があり、これはこれで衝突を避ける政治的なテクニ…
垂直移動に革命をもたらしたエスカレーター エスカレーターはエレベーターと並んで、都市の人々の「垂直移動」に革命をもたらした製品です。 エスカレーターの登場によってより短時間に大人数の人々を建物の上・下の階層に移動させることができるようになり…
夫や子を陰から支えた「徳のある」妻たち かつては女性のあるべき姿として「良妻賢母」が理想とされました。 夫の出世や大成のため、息子の健全な成長のため。自らを律し、贅沢は慎み、家の発展のために献身的に働くことが女性として最も理想的な生き方であ…
ヒ素の入ったお菓子が売られ21人が死亡 1858年の「ブラッドフォードお菓子中毒事件」は、イギリスのブラッドフォードでヒ素が使われたお菓子が屋台で売られ、それを食べた20人以上が死亡、200人以上がヒ素中毒になったという、身も毛もよだつような事件です。…
自らホロコーストの生き残りと称して売り込みをした人々 第二次世界大戦の重大な戦争犯罪としてホロコーストが挙げられます。 対象となったユダヤ人が非常に身近にいるためか、欧米では現代でも非常に関心が高いテーマであり、書籍、小説、映画などになって…
権力の渦中で死んだ独裁者の女たち 権力に憧れるのは男だけではありません。 豪華な宮殿や調度品に囲まれ、最高級の料理や衣服を楽しむ生活。下々の者をコマのように使える快感。常に讃えられ崇められる自己肯定感。独裁者のファーストレディであることは、…
中立国から西側、環境・人権先進国へ ノルウェーの歴史の後半です。 前半では豪族が割拠する地域がキリスト教をコアにして中央集権化した後に、デンマークやスウェーデンとの協調の後に統合されていく様子をまとめました。 まだご覧になっていない方はこちら…
近隣諸国と複雑な合従連衡をした「北欧の田舎国」の歴史 2021年のノルウェーの国民一人当たりのGDPは世界第4位。福祉国家や環境先進国、人権国としても知られ、日本人が羨む「北欧先進国」です。 しかし長らくノルウェーは近隣のデンマークやスウェーデン、…
とても低い確率の事故で死んだ有名な人もいる 落雷に当たる確率は100万分の1だそうです。 普通に生きている分には「まずない」事象であると言えます。ただ可能性はゼロではなく、日本では年間約10名ほどが落雷で死亡しているそうです。宝くじに当たるくらい…
Photo by PeteHarlow イングランドの地上絵は古代遺跡か17世紀に作られたものか サーン・アバスの巨人(Cerne Abbas Giant)は、イングランド・ドーセットのサーン・アバス村の丘にある地上絵。あまり観光資源のないドーセット地方の中で有名な観光スポット…
2022年度に読んで面白かった個人的ベストを発表します 早いものでもう年末です。今年度は「働き方改革」の人類史という本を執筆&出版したのですが、そのために読書の種類がやや偏ってる感が否めません。とはいえ、「これはすごい」という本はいくつもありま…
2022年11月14日に新刊が出ます 2冊目の本が出ます。 書名は『「働き方改革」の人類史』(イースト・プレス)です。 前作はブログで展開しているような、ややマニアックのテーマを通史で集めて、時代と国を跨いだストーリーを組み上げる構造にしたものでした…