歴ログ -世界史専門ブログ-

おもしろい世界史のネタをまとめています。

立身出世をめぐる人間ドラマが面白い中国古典小説「儒林外史」

中国古典文学大系 (43) 儒林外史

科挙試験をめぐる男たちのヒューマンドラマ

中国の清朝中期を代表する文学作品と言えば、「紅楼夢」と「儒林外史」です。

高校の世界史の授業で習ったかと思います。

 今回取り上げたいのは呉敬梓(ごけいし)作の「儒林外史」。

紅楼夢が美少年・美少女が登場する華やかで甘美な世界であるのに対し、儒林外史に登場するのは「普通の人々」。人々が「科挙試験」をパスして立身出世を目指そうと動き回り、その悪戦苦闘の中で起こる悲喜劇を描いたヒューマンドラマです。 

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中世セルビア王国の勃興と野望

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東方キリスト教世界の王を目指したバルカンの大国セルビア

旧ユーゴスラヴィア連邦は南スラブ系民族を中心とした連邦国家でしたが、その中心にあったのはベオグラードを都に構えるセルビア人でした。

セルビアは現在でも様々な民族・宗教・言語が入り混じるバルカン半島内において、経済力・政治力・文化力で頭一つ抜け出した存在ですが、故に周辺国との摩擦が絶えません。セルビア王国は中世でもバルカンの有力な国家で、一時はバルカンの半分を占領しビザンツ帝国の首都コンスタンティノープルを脅かすほどでした。しかしオスマン帝国に敗れ、併合されてしまいます。

歴史はセルビア人がバルカン半島にやってきた7世紀ごろから始まります。

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【2019年7月版】世界史関連の面白そうな新刊35冊

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2019年前半に発売された面白そうな世界史関連の本

半年ぶりの新刊紹介です。

半年もたつと山のように世界史関連の新刊が発売されるんですが、全部紹介すると大変なので、ぼくが「あ、これは面白そう」「これは読みたい」と思ったもののみ紹介します。それでも35冊ありますが、どうぞお付き合いください。

紹介順はおすすめ順とかではなく「正統派→マニアック→変わり種」という順です。 

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99%死ぬ状況から生き残った奇跡のサバイバーたち

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映画のような奇跡の生還ストーリー

テレビ番組やネットのニュースでよく見る「奇跡の生還ストーリー」。

昔からこの手の「奇跡の生還」の話は人気ですが、実はこういう話はかなり昔からあって人々の感心や興味をかきたててきました。

 現代でも奇跡を生き残った人は尊敬されますが一過性のニュースで終わることがほとんど。昔はそれが長い間語り継がれて伝説のように語り継がれることがありました。

 かつて市井を賑わせた「奇跡の生還」の話を紹介します。

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コシャリの歴史 - エジプト発のジャンクフードは日本で流行るか?

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Photo from "Koshari, Egyptian dish" Tucan Travel Blog - The Chasqui

エジプトからきた「炭水化物のオバケ」を喰らえ

「コシャリ」はご存知ですか?食べたことはありますか?

コシャリとは、コメ、パスタ、豆を混ぜたものの上にトマトソースとフライドオニオンをかけ、お好みで唐辛子ソースや酢を混ぜて食べるエジプトのB級グルメ。

炭水化物の塊なので、食欲に任せてガツガツ貪ると後で猛烈な満腹感と胃もたれに襲われる恐ろしい料理でもあります。1杯だけでもカロリーは相当なもの。 まさに「炭水化物のオバケ」といったところです。

まだまだ日本ではマイナーですが、今後流行する可能性があるコシャリに今回は注目してみたいと思います。

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日の丸に似てる国旗 - 日の丸が世界の国旗に影響を与えたというのは本当か?

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 日の丸のデザインが他の国のデザインに影響を与えたというのは本当か

とある言説によると、アジアを中心に欧米の植民地になっていた国々が独立をする際に、日露戦争や太平洋戦争で欧米相手に戦った有色人種の日本の国旗である日の丸のデザインはリスペクトされ、いくつかの国の国旗のモデルになったのだそうです。

耳触りがいいこの言説は広く語れる傾向にあるので、果たしてこれは事実であるのか検証いたしたく、今回は日の丸にデザインが似ている旗の起源を見ていきたいと思います。

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チェコ最強の武将ヤン・ジシュカとフス戦争

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農民軍を率いて十字軍を何度も撃破した伝説的なチェコの武将

「世界史で最強と思う将軍は?」 

 という質問を歴史ファンにした時に、もしかしたらヤン・ジシュカの名前を挙げる人もいるかもしれません。

 1419年から15年間続いたフス戦争において、初期のフス派を率いて十字軍の攻撃を何度もはねのけたのがヤン・ジシュカです。彼の活躍によってフス派はチェコ独自の教義としてチェコ人のアイデンティティとなっていくため、この人がいなければもしかしたら、現在チェコという国が成立しなかったかもしれないほどの重要人物でもあります。

 話はヤン・フスが異端審問の末に殺害された1415年7月以前に遡ります。

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あまり知られていない、世界を変えた科学者列伝

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現代社会を作り上げた偉大な科学者たちの功績を知ろう

電話を発明したグラハム・ベルや、白熱電球を発明したトーマス・エジソン、ラジウムを発見したキュリー夫人の功績は小学生でも知っています。科学者の伝記は人気があるジャンルなので、子ども向けの本がたくさんありますよね。

ですがまだまだ世に知られていない、多大な功績を残した科学者はたくさんいるので、そのような人たちを折に触れてピックアップしていきたいと思います。今回はその初回です。

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