歴ログ -世界史専門ブログ-

おもしろい世界史のネタをまとめています。

中東アラブ圏

オマーン帝国の歴史

インド洋交易を支配した帝国オマーン 帝国といえば、英仏独といったヨーロッパの国や、オスマン帝国、清帝国、ムガル帝国、ロシア帝国といった近代ユーラシアの大国、あるいはもっと時間がくだって、アッシリア帝国とかローマ帝国、ペルシア帝国を想像する方…

弱小国を大国に育てた「中興の祖」

危機にあった国を建て直した国王 偉大なる創業者が立ち上げた国家や組織は、創業時の熱狂が醒めてしばらくすると、内部にはらむ矛盾やシステム的な欠陥が表面化し、集団としての力が弱まっていきます。 そのまま統率が取れずに内部対立が深まって空中分解し…

レバノン移民の歴史

多くの人材を輩出したレバノン系移民の光と影 ヨーロッパ系の人はレバノンと聞くと以下のようなイメージを思い浮かべると言います。 地中海リゾート、移民、美女、豪華で瀟洒な建物。 日本人に同じ質問をしたらこのような答えが返ってくるかもしれません。 …

中東の伝統料理「フムス」をめぐる歴史と戦争

Photo by Paul Goyette 愛ゆえに人は苦しまねばならぬ、愛ゆえに人は悲しまねばならぬ フムスという料理をご存じでしょうか。 トルコ料理やシリア料理などでメゼ(前菜)として出される料理の一種で、ひよこ豆のペーストにタヒニ(ごまペースト)、にんにく…

アジア・アフリカの10の「民族統一主義運動」

欧州の考えを輸入したアジア・アフリカ的民族統一主義の形 以前、ヨーロッパの民族統一主義運動についてまとめました。 過去に自民族が保有していた・または勝ち取っていた領土の回復、自民族のルーツであるが今は他国にある土地の回復、他国に住む自民族の…

イラン・イラク戦争-中東二大国の運命を変えた戦争

Discription:firing 130 mm M-59 belong to Artillery of military of Iran during Iran-Iraq war. 湾岸戦争に繋がる中東のパワーバランスを作った泥沼の戦争 イラン・イラク戦争は1980年9月から1988年8月まで、イランとイラクとの間で起こった戦争。 膠着状…

古代の人々が夢中になった7つのボードゲーム

古代から人々の暇を潰してきたボードゲーム ボードゲームの人気がずっと続いてますね。 ちょっと前までは、ボードゲームといえば、伝統的な将棋や碁、麻雀、チェス以外には、オセロ、ドンジャラ、人生ゲーム、モノポリーくらしかありませんでした。 今や、海…

ペルシャ湾岸諸国の領土問題

意外と根深くややこしい湾岸諸国の領土問題 北方領土や竹島、尖閣諸島の問題はいつでもホットイシューであります。これまで多くの努力がなされるも未だに解決の見通しは全く見えていません。領土問題があったほうが両国の為政者にとっていろいろ都合がいいの…

【WW2】枢軸国に入る可能性のあった中立国・準枢軸国

もしかしたら枢軸国の一翼になっていたかもしれない国 第二次世界大戦における枢軸国の主要参加国は、ドイツ、イタリア、日本の三国です。 この他に枢軸国側で参戦した国は、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリア、スロバキア、クロアチア、フィンランド、タ…

【世界史】古代の有名な女性戦士とその逸話

古代世界で活躍した女傑たち 古代社会では、地域によって女性の社会的な役割が大きい地域が結構多くありました。 王などの国家の要職を務める場合もあれば、今回ご紹介するように将軍や現場の戦士として活躍するケースもありました。 女性戦士という名前だけ…

【イスラム教】多数派から非正統と見なされるイスラム教少数派

正統イスラムからは外れているとみなされる一派 キリスト教ではかつて「公会議」や「異端審問」など、正式な教え以外の教えを「異端」であると公式に裁定し布告する仕組みがありました。 一方でイスラム教では、ある一派や学派が異端であるかを「しかるべき…

【世界史】史上最もたくさんの子どもを作った王様トップ10

とんでもない数のタネを残した偉大な絶倫王たち もし王様として生まれたら、毎晩女をとっかえひっかえできるのになあ、と考えたことのある男子は多いと思います。 全ての王様がそのようなことができるとは限りませんが、今日の記事はそんな野郎どもがときめ…

世界の民族の「創世神話」(欧州・中東・アフリカ篇)

クリエイティビティ溢れる創世神話の世界 前編に引き続き、世界の民族の創世神話の概要をまとめていきます。 前編では、 アイヌ「天地開闢」 中国「天地開闢」 済州島「天地王ボンプリ」 モンゴル「ラマ僧ウダン」伝説 ハワイ「クリムポ」 アボリジニ「太陽…

中東初のロケット開発「レバノン・ロケット協会」の青春物語

宇宙に挑んだレバノンの大学教授と学生の青春物語 冷戦時代、宇宙開発と言えばアメリカとソ連の2大国が推進したものというイメージが強くありますが、中東の小国レバノンは、1960年代に独自に宇宙技術の開発に着手。 予算も経験もない中で試行錯誤を続け、…

初期イスラム帝国の有能な武将たち(後編)

ヨーロッパ・中央アジア・インドにまで拡大したイスラム帝国 前編に引き続き、イスラム帝国の躍進を支えた武将をピックアップします。 前編は、預言者ムハンマドの時代の初期イスラム教団を支えた武将から、シリア・エジプト・北アフリカまでの帝国の急拡大…

初期イスラム帝国の有能な武将たち(前編)

強大な軍事力を誇った初期イスラム帝国の名だたる武将たち イスラム帝国は630年にメッカを征服。預言者ムハンマドが亡くなって以降も軍事力で拡大を続け、70〜80年たらずで西はイベリア半島、東はインダス川まで手中にしました。 その爆発的な拡大を担ったの…

世界の「短命国家」の国歌かっこいいランキングTOP10

カッコイイ短命国歌の国歌を聞いてみよう 国歌が好きです。 「国の歌」ですから、その国の国民がおおよそ納得できるものに仕上がっているはずで、(基本的には)その国の歴史や文化が集約されているものであるからです。 そして、歴史も何も、成立してすぐに…

独裁者を父に持った子どもたちの生涯

多くの人から好かれ・憎まれた父を持った子どもたち 独裁者は、常に多くの人の注目を浴びる存在です。 自分が中心にいることが好きな人だからこそできるんでしょうが、賛辞・称賛だけでなく、憎悪・呪詛・怨恨など負のエネルギーも大量に浴びることになりま…

【古代文明】未だに謎が多い世界の巨石遺跡

世界にたくさんある謎の巨石遺跡 巨石遺跡と言えば、イギリスのストーンヘンジやイースター島のモアイを思い出しますが、世界中に同じような巨石遺跡があります。 記録があまり残っておらず、よく分かってない謎だらけの遺跡も多く、その分からなさから多く…

独裁者に「毅然とした態度」をとって有名になった人

「毅然とした態度」とはなんだろう ニュースとか見てると「毅然とした態度が求められる」とかって言いますけど、実際どんな態度が毅然とした態度ってみんな思ってんでしょうか。 確かに「強気な態度」はカッコいいし、見ていて気持ちがスッキリするものです…

YouTubeで聞く世界の古代音楽

現代によみがえる古代の音楽 たしか論語だったと思うのですが、漢文の授業でこんな話があったのを覚えています。 孔子が斉の国に滞在していた時、韶の音楽の演奏を聞く機会があった。孔子は「音楽が人の心をここまで揺さぶるとは」と大変感動した。あまりに…

独裁国家の「超リベラル政策」

北欧か?と思うほどリベラルな独裁国家の政策 人ってのはワガママなもので、あまりに自由すぎると規律を求めるくせに、規律が過ぎると自由を求めるものです。 世界にいくつもある独裁国家は、例外もありますが、多くは分裂を防ぎ国家を統合するために独裁体…

史上最も短命な国家ベスト10(前編)

ちょっと目を離したらもう無くなっていた国 日本という国は有史以来、国体の継続性を保っているということに一応なっていますが、現在の日本国政府の発足は1952年のサンフランシスコ平和条約からなので、日本国は65年間続いていることになります(2017年現在…

【ミステリー】世界に散在する謎だらけの古代文明

教科書に最初に登場する文明以前にあった文明 世界史の教科書の一番初めは、アウストラロピテクスとかクロマニヨン人とかですが、その次は黄河文明、メソポタミア文明、エジプト文明、インダス文明、クレタ文明、アッシリア、ヒッタイト等々、古代世界のメジ…

【心霊】世界の10の「呪われた町」

怖さも桁外れ?海の向こうの心霊スポットへようこそ このブログは基本的には世界史とその周辺のテーマを取り扱っていますが、たまーにオカルトめいたことも書いています。 何でかっていうと、個人的に好きだからです。 ぼくの実家の近くの山は県内有数の心霊…

敵兵から恐れられた「伝説のスナイパー」

敵兵を恐怖のどん底に叩き落したエリートスナイパーたち 戦争に行ったことはないので詳しくはわかりませんが、 「いつ撃たれるか分からない」という緊張状態に常に置かれるのは、想像を絶するものに違いない。 もしかしたら今この瞬間、狙撃兵に狙われていて…

世界史上重要なイスラムの女8人

イスラムの歴史で重要な役割を果たした女性たち イスラムの歴史の中では正直なところあまり女性は登場してきません。 イスラムの社会秩序の中では女性は男性に守られるべき存在であり、公的なポジションに女性が就くことはまれであったからです。 その代わり…

知るときっと興奮する世界史の10の争乱期

熱く血がたぎり新たな世が生まれる、それが争乱の時代 世界史が好きなんです、と言えば へー、じゃあどの時代が好きなの? って絶対聞かれます。 なんとイケてない質問か、と思いつつ一応答えるのですが、そんなのたくさんあるに決まってるじゃないですか!…

初期イスラム教団の拡大理由=「圧倒的武力」説について

なぜイスラム教団は短期間で領土を拡大できたのか? 預言者ムハンマドから正統カリフ時代を経てウマイヤ朝が成立する過程で、 イスラム帝国は爆発的に拡大し、西はリビア砂漠から東はペルシア高原まで征服してしまった。その後ウマイヤ朝の元でさらに拡大し…

歴ログのシリア旅行記

10年前は平和で活気があったシリアの街並み 約10年前の2006年9月上旬、当時大学生だったぼくはシリアを旅行しました。 現在は様々な政治勢力により国土を分断され、祖国を捨てる人が相次ぎ、悲劇と憎悪の連鎖が続く呪われた地になってしまいましたが、 10年…