歴ログ -世界史専門ブログ-

おもしろい世界史のネタをまとめています。

朝鮮半島

「良妻賢母」とされる皇族・王族の女性たち

夫や子を陰から支えた「徳のある」妻たち かつては女性のあるべき姿として「良妻賢母」が理想とされました。 夫の出世や大成のため、息子の健全な成長のため。自らを律し、贅沢は慎み、家の発展のために献身的に働くことが女性として最も理想的な生き方であ…

他国の領土にある「民族の精神的故郷」

外国にある「我々の土地」 特にユーラシア大陸の、時期によって主要民族が大きく移り変わった場所では、過去の主要居住地と現在の主要居住地が大きく異なっていることは珍しくありません。 日本だと、例えば天孫降臨神話がある高天原、古都の奈良や京都とい…

食あたりで死んだとされる世界史の人物10人

国のトップの人たちも食あたりで死んでいた? 徳川家康の死因が「鯛の天ぷら」であるという逸話は有名です。 実際に死の直前に揚げた鯛を食べたのは事実ですが、鯛にあたって死んだということではなく、もともと胃がんを患っていたと考えられています。 今回…

「修道院領」を現在でも有する修道院

Photo by Livioandronico2013 かつては大勢力を誇った修道院領の残骸 修道院はかつてヨーロッパの各地に教会を中心に畑や醸造所などを含んだ広大な土地を所有していました。 建前上は教皇により支配されているため国王の統治は及ばず、修道院長を筆頭とした…

サウナの文化史

人類と蒸し風呂の長い歴史 現代はサウナが大ブームとなっています。 各地にサウナをメインとした温泉施設が作られ人気になっている他、野外サウナやサウナイベントが催されるなど、「かっこいい」文化として認識されているようです。 サウナー(サウナ愛好家…

朝鮮王朝を揺るがした大論争「四端七情論」とは

李氏朝鮮でもっとも議論となった朱子学論争の一連の流れ 四端七情論とは、朝鮮朱子学を大成させた李滉(イ・ファン)と奇大升(キ・デスン)との間で行われた論争。 この論争は1559年から8年にもわたり繰り広げられ、当時の朝鮮士族たちの話題の中心となりま…

韓国式中華料理の歴史

Photo by stu_spivack 韓国風にローカライズされた中華料理 焼き餃子に中華丼。冷やし中華に天津飯。 日本には日本独自の中華料理があるように、世界中で独自にローカライズされた中華料理があります。今回取り上げたいのは、韓国の中華料理です。韓国の中華…

韓国政府が強力なトップダウン型の産業育成を図った理由

Image by Lakshmix 「漢江の奇跡」を支えた韓国政府の産業育成政策 ここ10年あまりの韓国の社会と国民意識の変化には激しいものがあります。 息詰まる社会と経済の打破のために、朴槿恵政権時代から「大陸側」へ接近し南北統一を目指す文脈が醸成されていま…

世界史の「僧侶戦士」7名

「信仰のために敵を倒す」僧侶兵士 中世日本には僧兵という集団がありました。 延暦寺や根来寺などが有名ですが、広大な荘園領を持つ寺院の警備や、他の勢力との武力紛争に対応し、彼らの存在によって寺院は守護大名に匹敵する強大な力を持ちました。 似てい…

世界の「言語純化運動」の5つの事例

「我が国固有の言語」に戻すための取り組み 確か「はだしのゲン」だったと思うのですが、戦争中は「敵性語」は禁止されていたため、ストライクは「いい球ひとつ」、ボールは「悪い球ひとつ」と審判が言って、主人公が「何でわざわざ言い換えるのか」とポカー…

韓国のフライドチキンの歴史

한국어: 맥주를 곁들인 한국식 치킨 (간장, 후라이드, 양념) 甘辛タレがビールに合う!韓国のフライドチキン いまや、韓国B級グルメはブームを経て日本に定着した感があります。 サムギョプサル(豚バラ焼肉)、トッポッキ、キムパプ(海苔巻き)、ハットグ…

史上最も多くの人が犠牲になった建物崩壊事故TOP10

Photo by 최광모 人工構造物の崩壊に伴う大惨事のランキング 毎年どこかの国で、大規模な建物崩壊事故が発生しています。 老朽化やメンテナンス不足、設計の問題、耐久容量を超えたなど、崩壊理由は様々ですが、数十人の犠牲者が出れば大惨事と言っていいと…

世界の民族の「創世神話」(アジア・太平洋・アメリカ篇)

はじめ世界は混沌のみがあった… 日本の「国生み」の神話は古事記に記述があります。 高天原(たかまのはら)に住む神々は下界に国を作ることにして、イザナギノミコトとイザナミノミコトを派遣した。当時は大地はまだ水に浮いた油のように海水に漂っていた。…

大日本帝国の朝鮮人移民と移民政策

100年前に既に起きていた日本の移民問題 日本では移民問題はかなりセンシティブな話題です。特定のイデオロギーとつながりやすく、冷静で建設的な議論にならず、皆意図的にこの話題を避けている節もあります。 今後仮に日本が移民を受け入れるにしても、 「…

実現する?夢の国際海底トンネル

電車に乗ってロンドン、ニューヨークへ! LCCの登場で、海外移動が随分と安価で気軽になりました。昔だと10万円近くかかった路線も、2~3万で行けたりします。 そんな航空機黄金時代の現在ですが、いまだに「国際鉄道」への期待と憧れは大きいものです。 中…

人類の歴史を変えた火山大噴火

人類に破壊的な惨事をもたらした自然の禍 人類は常に自然の気まぐれに振り回されてきました。 農業や漁業はモロに気候や天気に左右されるため、異常気候や天災があった場合直ちに凶作となり、食えなくなる者が続出し、治安が不安定になり、内乱や戦争が起こ…

独裁国家の「超リベラル政策」

北欧か?と思うほどリベラルな独裁国家の政策 人ってのはワガママなもので、あまりに自由すぎると規律を求めるくせに、規律が過ぎると自由を求めるものです。 世界にいくつもある独裁国家は、例外もありますが、多くは分裂を防ぎ国家を統合するために独裁体…

現代の国家の始祖と見なされる古代王朝

現代の国家の始祖と位置づけられる古代国家 現代の日本国の始祖がどういう体制だったかはやかましい議論がありますが、一般的には大和国のヤマト王権を中心に各地の政治勢力が糾合して出来たとされています。 騎馬民族征服王朝説とかワクワクする説は色々あ…

【論争】渤海国は中国・朝鮮どちらに帰属するか

Work by Gzhao 「海東の盛国」と讃えられた中世・北東アジアの国 7〜10世紀、現在のロシア極東・中国東北部・北朝鮮には渤海国が大いに栄えていました。 渤海国はその歴史的位置づけを巡って議論があります。 中国では「中国の地方史」という位置づけで語ら…

【後編】イザベラ・バード「朝鮮紀行」まとめ

激動の時代に入る「隠者の国」の模様 前編に引き続き、イザベラ・バード著「朝鮮紀行」より、興味深い李氏朝鮮末期の社会や人々の様子を引用いたします。 前編では、町の様子や農村の人の様子、王族たちの様子などを中心にまとめました。優柔不断な国王、両…

【前編】イザベラ・バード「朝鮮紀行」まとめ

李氏朝鮮末期を旅したイギリス人女性の素直な叙述 「日本奥地紀行」で有名なイギリスの女性旅行家イザベラ・バードは、日本以外にもアメリカ西部、マレー半島、チベット、オーストラリア、ペルシアなど様々な地を旅しては旅行記を残しています。 バードは極…

朝鮮の抗日運動の展開

後の抗日闘争の母体となる初期抗日運動の展開 1910年の韓国併合で大韓帝国は日本に併合され、以降35年間続く「日帝強占期」が始まるわけですが、その間程度の差はあれ朝鮮人の日本への抵抗運動は続いていました。 その抵抗の物語が現在の韓国と北朝鮮の建国…

朝鮮の飲酒文化の歴史

Photo by OpenCage マッコリだけじゃない、多様な朝鮮の酒 一般的に朝鮮の酒というと、焼肉屋で飲むマッコリか、あるいは夜のお店で出てくる眞露とか鏡月みたいな安い甲類焼酎をイメージします。韓国旅行や出張で飲んだ(飲まされた)アルコール度が高い焼酎…

続・世界のバカバカしい法律15選

こんなものどうやって守れというのか 前記事「世界のバカバカしい法律7選+α」では、イギリスを中心に本当にあったとんでもない法律を紹介しました。 今回さらにグレードアップして、どうやって守ったらいいのか分からないくらいバカバカしい法律をご紹介し…

【論争】その呼び方は差別だ!と言われかねない呼称

気にしないといけない?センシティブな呼称 「人に言われたくないことを自分も言わないようにしましょう。インディアンは使ってはいけません。ネイティブ・アメリカンと言いましょう」 と小学校の担任だった江藤先生が言っていました。 じゃあインディオはい…

【教育】李氏朝鮮の女子教育とは?

良妻賢母を育成するための「女子大学」 このブログでは、李氏朝鮮王朝について何回か単独で取り上げています。 歴史の概要、地方対立、税制改革の取り組みと続き第4弾という位置づけになるでしょうか。今回は「教育」についてです。 ご存じのとおり、李氏朝…

異文化社会にすっかり馴染んでしまった異邦人の物語

スカッとする異邦人のサクセスストーリー 異邦人やマイノリティが異文化社会で活躍する話って何かいいですよね。スカッとしますよね。 今年の夏の甲子園で活躍した、関東一高のオコエ君なんてまさにそれ。 超高校級の実力の持ち主ってのもありますけど、ナイ…

失敗し続けている世界の連邦構想

かつて検討された壮大な国家統合計画 国家連合とか連邦国家とか聞くと、ちょっとワクワクしませんか? 大物感というか、壮大な取組みをやってる感というか、 地図に小さな国がバラバラとあるよりは、ダーーーンとデカい国家が1つあるほうが、何かよく分かん…

李氏朝鮮の税制改革100年の歩み

「改革の抵抗勢力」とどう戦ったか 以前、「なぜ李氏朝鮮は社会発展が停滞したか」 という記事を書きました。 これは李氏朝鮮の政策の概要を連ね、それがどのような結果になったかを書いた記事です。 この記事の最後のほうに「大同法」について言及しました…

よく分かる北朝鮮の歴史(後編)

Photo by yeowatzup 独自路線を突き進む北朝鮮の歩み ニュース見ていると 「孤立を深める北朝鮮」 などアナウンサーがよく言いますが、何も今に始まったことではありません。 金日成が党内からソ連派と延安派(中国派)を粛清し、主体(チェチュ)思想を発表…