歴ログ -世界史専門ブログ-

おもしろい世界史のネタをまとめています。

キリスト教

「十字軍」で活躍した10の修道騎士団

異教徒との闘いで神に奉仕した騎士団 「騎士団」は現在にも存在する組織です。 しかし実際に戦闘をするわけではありません。 例えばマルタ騎士団は世界各国で医療活動を行う「国土なき主権体」であるし、金羊毛騎士団は世界の王族に授けられる栄誉勲章となっ…

「修道院領」を現在でも有する修道院

Photo by Livioandronico2013 かつては大勢力を誇った修道院領の残骸 修道院はかつてヨーロッパの各地に教会を中心に畑や醸造所などを含んだ広大な土地を所有していました。 建前上は教皇により支配されているため国王の統治は及ばず、修道院長を筆頭とした…

現存する世界の「聖剣伝説」

さまざまな伝承・伝説が語り継がれる剣 日本神話に登場する「草薙剣」は、三種の神器の一つに数えられ、王権の正当性を示すアイテムと見なされました。現在でも愛知県の熱田神宮に保管されているとされます。 剣は世界中の国・地域で王権の支配や神からの信…

悪魔の造形の歴史 - 悪魔はどんな形で描かれてきたのか?

さまざまな姿で描写されてきた悪魔 悪魔とはキリスト教では、人間をたぶらかし、善の道に背かせ、神を裏切るように仕向ける存在であるとされます。悪魔自体もサタン、ルシファー、アゼザル、ベゼルブブ、アスモデウスなどなど、数えきれないほどたくさんの数…

未だに捜索が続く聖書の伝説的な遺物

人々が未だに血眼になって探し求める遺物 キリスト教には聖遺物というものがあり、イエス・キリストや聖人など、奇跡を起こした人々の体の一部や、使った物が大変珍重されます。聖遺物はそれを保有する町を厄災から守り、繁栄をもたらすと信じられてきました…

「反お笑い」の哲学史(前編)

笑いを否定する哲学論の歴史 「笑う」ことは心身のリラックスやストレスに効果があることが科学的に証明されており、健康的にも笑うことが推奨されています。 一方で「どんな理由で笑うか」は結構センシティブな話題で、人種やジェンダー、宗教、特殊な身体…

「千年王国思想」の始まりと世界への伝播

正義の世の実現を期待する宗教的世直し運動 千年王国運動とは、主に大衆を中心に、神や天が奇跡を起こし、この世に正義を実現することを求める宗教的世直し運動です。洋の東西、古代から現代まで問わず、世界各地で見られます。 今回は前編後編で、その起源…

聖母マリアはイエスの死後どこで何をしていたのか

聖母マリアの「老後の人生」とは 聖母マリアはキリスト教の宗教絵画に頻繁に描かれます。 天使から神の子を授かったとお告げを受ける「受胎告知」、イエスが馬小屋で生まれた「キリストの降誕」、幼いイエスを抱いた「聖母子像」、磔刑で死んだイエスを抱い…

アッシジのフランチェスコの生涯とその教え

自然や人に対する愛、平和と清貧を求めた偉大な聖人 アッシジのフランチェスコという人はあまり馴染みがないかもしれませんが、ヨーロッパ史とキリスト教史を学ぶ上で絶対に外すことができない人です。 フランチェスコはイタリアの町アッシジに住んだ司祭で…

イエス・キリストは菜食主義者だったのか?

イエスが口にしていたものは何か 昔イチローが朝にカレー食ってるのがニュースになって、真似する人が続出しました。体が資本のスポーツ選手が普段何を食べてるか、確かに知りたくなります。 一方でキリスト教圏では、イエス・キリストが何を食べていたかが…

イエス・キリストの「空白の18年間」の謎

イエスは若い頃世界各地を放浪していた? 「ルカによる福音書」によると、イエスは12歳の時に両親に連れられてエルサレムの神殿に赴いて教師たちの教えを乞うた出来事の後、賢くたくましく成長し、洗礼者ヨハネによる洗礼を受け30歳の時から宣教を始めたそう…

中国のキリスト教の歴史

人口世界最大の国における、人口世界最大の宗教の歴史 現代の中国のキリスト教徒の人口がどれくらいいるかは、調査によって様々な説があります。 Katharina Wenzel-Teuber氏の調査によると3%にも満たないそうです。と言っても13億の人口の3%なので、4千万人…

菜食主義の宗教史

様々な文脈で語られるベジタリアンという生き方 ここ数年で、ベジタリアンがかなり一般的になってきたように思います。 昔の日本では菜食主義と言えばお坊さんがするものと決まっていましたが、最近では女性を中心にベジタリアンを実践する人がかなり増えて…

実は存在しなかったと考えられる世界史の人物(後編)

存在しなかった可能性が高い有名人 前編に引き続き、「実は存在しなかったと考えられる世界史の人物」をピックアップします。 前編は以下の人たちをピックアップしました。 李巌(りがん) ヨハネス20世 アルビダ アルベルト・ダ・ジュッサーノ メネリク1世 …

アメリカの実験的な「ユートピア建設計画」

理想主義者が作った「素晴らしき共同体」とは 一般的にはコミューンと言われますが、何か先鋭的な社会の仕組みが発明された時、それが実際に人々が生活を営む社会でどうワークするかを実験する小さな共同体が作られる場合があります。 大抵、現在の社会と離…

なぜロシア人はキリスト教を受け入れたのか

Work by Moataz1997 ロシアがイスラム教を受け入れなかったのは酒が原因…? キエフ公国のウラジミール大公がルーシにイスラム教を取り入れることを良しとせず、キリスト教(正教)を受け入れたきっかけとなる有名なお話があります。 ウラジミール大公の元に…

黒猫はなぜ不吉とされるのか

黒猫は悪魔の化身?幸運のシンボル? 「黒猫が目の前を横切ると不吉」という迷信は一度は聞いたことがあると思います。 キリスト教圏の国々では、黒猫は長い間魔女伝説の迷信とセットになって考えられたため、不幸と厄災をもたらすとされました。 一方で、イ…

中世・キリスト教の聖人たちの凄いエピソード

マンガのような中世の聖人たちの活躍物語 皆様ご存知の通り、聖書はモーセやイエス・キリストなどのミラクル・エピソードが目白押しですが、中世ヨーロッパにも負けず劣らず凄い聖人たちの話があります。 それをそのまま歴史として見ることは難しいですが、…

ノストラダム以外にもたくさんあった「世界の終わりの予言」

昔の人が考えた「世界の終わり」 ぼくは子どもの頃、本気で1999年に世界が終わって自分も死ぬと思っていました。 当時よくテレビでノストラダムスの特集をやってたからかもしれませんが、漠然とした恐怖感があったのを覚えています。 最近だとマヤ暦が2012年…

よく読むと衝撃的な聖書のストーリー

よく読むとビックリする聖書の物語 聖書はそれ自体が聖典なので、疑問を挟む余地がない存在です。 5つのパンと2匹の魚で5000人を腹一杯にさせたとか、腐りかけた死体を復活させたとか、自身も死んで3日後に生き返ったとか、色々ミラクルはありますが、これは…

「平和のシンボル」の歴史

ハト、オリーブ、Vサイン… 「平和の象徴」と言われているものって以外と多くあります。 ぱっと思いつくとこだと「ハト」がありますね。平和式典でハトが飛ばされることがありますし。でも何でハトなんでしょう。 あとは反戦デモとか反原発デモとかではピース…

消失した古代ギリシア・ローマの重要書物

発見されたら歴史を変えるかもしれない、昔に消失した重要書物 今でこそコピペで大量に文書が複製されネット上にバラまかれて問題になる時代ですが、昔は書物自体が高価で所有できるのは一部の金持ちのみだったし、書いても複製されて多くの人に読まれること…

話を盛りすぎて削除された聖書のエピソード

これはいくらなんでも盛りすぎだろ、的な聖書エピソード 聖書はイエスや使徒たちのミラクル・エピソードが目白押しです。 死んだ人間を生き返らせたり、たった2匹の魚で大勢の人間の腹を満たしたり、十字架の上で死んだのに3日後に生き返ったり。 我々から…

13日の金曜日はなぜ不吉なのか

"何か悪いことが起こる"13日の金曜日 映画「13日の金曜日」は、奇怪な仮面を被った殺人鬼ジェイソンがキャンプ場に来た男女を次々と殺害していく、血ブシャーなスプラッター映画です。 この映画の影響力は強烈で、このせいで「13日の金曜日は恐怖の日」だと…

奇妙で怪しげなキリスト教聖人の「聖遺物」

血、腕、生首そしてアソコ 偉大な宗教家で人々から尊敬された人が亡くなった時、その亡骸や愛用品を人々はこぞって求めました。聖遺物というやつです。 その人の功績や徳を忘れまいとする愛情表現や敬愛・尊敬の気持ちもあったでしょうが、人々が求めたのは…

【ファッション】なぜ囚人の服は縞模様なのか

Photo by Patrick Denker 忌み嫌われた「縞模様」の歴史 囚人といえば、なぜか上下縞模様の服を思い浮かべます。 最近だと、漫画「プリズンスクール」の男子生徒たちもそうだし、アニメ「ウサビッチ」のキャラもそうだし、ゲーム「ストリートファイター」シ…

西洋美術で学ぶ聖書の物語(後編)

聖書物語のクライマックス、磔刑・復活 全3回でお送りします「西洋美術で学ぶ聖書」シリーズ今回が最終回です。 ユダの裏切りでイエスは捕らえられ、十字架で磔刑にされる。聖書物語のクライマックスシーンなだけに、描写はかなり細かく、また描き手によって…

西洋美術で学ぶ聖書の物語(中編)

絵画で見るキリストの受難の物語 「聖書の物語を知ると絵画はもっと楽しい」 をモットーに、西洋絵画の題材によく取り上げられる聖書のエピソードをまとめていきます。前回は旧約聖書の物語を紹介しましたが、今回から新約聖書、 イエス・キリストの受難の物…

西洋美術で学ぶ聖書の物語(前編)

この絵って何のモチーフなんだ? ヨーロッパに旅行に行くと、絶対に美術館に行く機会がありますよね。 ルーブルとか、バチカンとか、ロンドン・ナショナル・ギャラリーとか。 その時にたくさん見るに違いないのが「聖書を題材にした絵画」。 聖書に幼い頃か…

なぜ「モンゴル帝国=キリスト教国説」が流布したか

西欧人が信じた「イスラムを憎む東方のキリスト教大国」伝説 極東の島国に住む我々の感覚的にはあまりピンときませんが、 モンゴル帝国が台頭し周辺各国を怒涛のように飲み込んでいく様を間接的に聞き、 西欧人の多くは「異教徒からエルサレルムを解放しに東…