歴ログ -世界史専門ブログ-

おもしろい世界史のネタをまとめています。

歴ログ-世界史専門ブログ-は「はてなブログ」での更新を停止しました。
引き続きnoteのほうで活動を続けて参ります。引き続きよろしくお願いします。
noteはこちら

第二次世界大戦時の「敵性民間人」強制収容

f:id:titioya:20200729235513j:plain

 Photo credit: Central Archive of the Republic of Karelia

 世界中にあった民間人強制収容

第二次世界大戦中の強制収容所と言えば、ナチス・ドイツによるユダヤ人強制収容所がよく知られています。

ナチス・ドイツはユダヤ系住民を国内から追放しマダガスカルに移住させようと試みますが失敗に終わったため、強制収容所に送り込んだ上で根絶させる政策を実行しました。 このような特定の人種集団の絶滅を図るのは悪辣極まりなく、いくら糾弾してもし足りないほどです。

一方で、枢軸国のみならず連合側の国にも強制収容所はあり、自国内の「敵性国民」が敵国と通じて攪乱や暴動、スパイ活動を行うことを防ぐため、有無を言わさず強制的に送り込まれるケースが多くありました。

続きを読む

イラン・イラク戦争-中東二大国の運命を変えた戦争

f:id:titioya:20200426230443j:plain

Discription:firing 130 mm M-59 belong to Artillery of military of Iran during Iran-Iraq war.

湾岸戦争に繋がる中東のパワーバランスを作った泥沼の戦争

イラン・イラク戦争は1980年9月から1988年8月まで、イランとイラクとの間で起こった戦争。

膠着状態が続き決着がつかないまま被害だけが増えていき、日本では「イライラ戦争」などと揶揄されました。

この戦争は、イラン・イスラム革命後の権力闘争でホメイニ派を勝利に導き、神権国家イランが成立するきっかけを作ったと同時に、サダム・フセイン率いる軍事大国イラクの出現をもたらし、中東のパワーバランスを決定的に変えた戦争となりました。 

続きを読む

エアコンの歴史

f:id:titioya:20200617230641j:plain

空間の快適さを求めるエアコンの技術開発史

現在一般に言われるエアー・コンディショナー(エアコン)は、以下の機能を持つ機械のこと言います。

  • 温度管理
  • 湿度管理
  • 空気循環と換気の管理
  • 空気の浄化

 古代から空気を冷やすための仕組みは様々にありましたが、1902年にエアコンが発明されて以来、空間を快適にする空調技術は100年余りで急速に発展を遂げました。

 現在は深刻化する温暖化問題と、快適さを両立すべく技術の開発が進められています。

今回はエアコンの技術開発史をまとめていきます。

続きを読む

ヨーロッパの「民族統一主義」運動(後編)

f:id:titioya:20200512222638p:plain

ヨーロッパの辺境の民族統一主義

 前編では、ドイツ、ハンガリー、クロアチア、セルビア、ルーマニアの民族統一主義を見ていきました。前編はこちらをどうぞ。

今回は同じヨーロッパで、ブルガリア、アルバニア、フィンランド、オランダ、ポルトガルです。領土拡張主義にどのような民族的文脈があるかという観点でご覧になっていただければ幸いです。

続きを読む

ヨーロッパの「民族統一主義」運動(前編)

f:id:titioya:20200512220703p:plain

大きいことは、いいことだ。我らが祖国のあるべき領土

国境線は民族移動・宗教文化の伝播・経済的要因など様々な要因を背景にして、大きな政治力や軍事力を持った権力が現れることで様々に書き換わってきました。

今は別の権力が支配しているものの、自分たちの言語を話す人々が住む土地、祖先がかつて辺境に植民に行った先、かつて祖先が住んだ土地、偉大な王がかつて征服した土地、これらは本来は自分たちが支配しなくてはいけない土地である、という言説はかなり広く存在します。そういう言説が影響力を持つことで悲劇的な戦争が起きたことも多々ありました。

そのような「民族統一主義」の言説をまとめてみます。今回はヨーロッパ編です。 

続きを読む

世界史の驚くべき奇襲戦術(後編)

f:id:titioya:20200213002806j:plain

 近現代の戦争の奇襲戦

近現代の奇襲戦と言えば、真珠湾攻撃が思い浮かびます。

あれが「だまし討ち」だったというイメージがあり、アメリカも日本が開戦準備してるの知らねえはずなかっただろ、とも思いますが、宣戦布告が遅れてしまいただでさえ悪い日本の国際的なイメージを決定的に悪化させてしまいました。

とはいえ、近代戦でも奇襲は非常に有効な手段であり、いかに初動で重要な拠点を潰すかが勝敗のカギを握りました。それは現代でも同じです。

歴史的な奇襲攻撃の後編は近現代編です。前編はこちらからどうぞ。

続きを読む

世界史の驚くべき奇襲戦術(前編)

f:id:titioya:20200213000659j:plain

芸術的なほど見事に奇襲攻撃がハマった事例

日本史で奇襲攻撃が成功した戦いは、パッと思いつくだけでも結構あります。

一の谷の戦い、屋島の戦い、厳島の戦い、桶狭間の戦い、真珠湾攻撃。

日本人はなぜか奇襲が成功した戦いは凄く好きですよね。

では世界史ではどうなのか。有名な世界史での奇襲攻撃が成功した事例をまとめていきます。

続きを読む

冷戦期ラテンアメリカの政治とポピュリズムの台頭

f:id:titioya:20200423232813j:plain

中南米諸国が経験したポピュリズムという政治

ラテンアメリカは十九世紀末から二十世紀初頭にかけて、繁栄を謳歌していました。

欧米向けの資源輸出が好調で、特にアルゼンチンは当時の十大国に数えられるほど経済力が高い国でした。しかし、世界恐慌の到来で資源輸出が不調になり、産業構造の変化が求められると、南米諸国は経済的な危機や都市部でのマルクス主義・労働運動の拡がりに対応するために、ポピュリズム体制が採られるようになります。

続きを読む