歴ログ -世界史専門ブログ-

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「イスラエルの失われた十支族」の移住伝説

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Image from "Are the British Descended from the Ten Lost Tribes?" the Libraians

世界中に様々なディアスポラ伝説がある「十支族」

「イスラエルの失われた十支族のうちのひとつが日本にやってきて支配層となった」というお話は耳にしたことがあるかもしれません。

その根拠は、儀礼や祭祀、言語、習慣などに日本とイスラエルと間で似ている事柄があまりにも多くあるというものです。

なかなか面白い話でロマン溢るるのですが、同じように世界各国の国や民族が「イスラエルの失われた十支族がうちにやってきていた」と主張しています。今回は「日本以外」の十支族の移住伝説をピックアップしてみます。

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歴史的な価格下落をした6の通貨 - ハイパーインフレはなぜ起こったのか

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お金とは何なのか、を考えざるを得ないハイパーインフレの世界 

2007年から2009年にかけてジンバブエ・ドルが狂ったようなインフレを起こし、最後は100兆ジンバブエ・ドルまで発行されたのは記憶に新しいと思います。

この件は結構ネタ的に語られることが多かったですが、実際銀行に預金をしていたであろう庶民はたまったもんじゃありません。預金にあった1000万円が、ある日1円まで値下がりしてたみたいな話ですからね。庶民もバカじゃないので、金やドルに変えて持っておくとかそれなりの自衛策はやるんでしょうが、経済や市場は大ダメージを受け庶民生活にも影響があるのは必然でしょう。

今回はかつてハイパーインフレを起こした6の通貨から、どのようなタイミングで起こるものかを学んでいきたいと思います。

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世界の「言語純化運動」の5つの事例

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「我が国固有の言語」に戻すための取り組み

確か「はだしのゲン」だったと思うのですが、戦争中は「敵性語」は禁止されていたため、ストライクは「いい球ひとつ」、ボールは「悪い球ひとつ」と審判が言って、主人公が「何でわざわざ言い換えるのか」とポカーンとするいう描写があったのを覚えています。実際当時どれだけの人が守ったか定かじゃありません。

これら戦前戦中の「日本語の純化」が無意味なものだと皆わかったので、現在はこういう「伝統的日本語への回帰」というものの社会的な関心度は高くありません。

ただし一概に「言語純化は無意味」は言い切れない側面もあり、たしかにナショナリズム的な側面も強い一方で、文化や言語の保護・育成といった側面もあります。

言語純化の取り組みは世界中にあり、いくつかの国では現在でも進行中のものもあったりします。

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めちゃくちゃ小さいのに領土争いがある地区・島

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 Photo by Toubletap

なんでこんな小さな土地を巡って争うのか?

韓国が実効支配し、日本が領有を主張している竹島(韓国名:独島 トクト)は、総面積約0.2平方キロメートルのめちゃくちゃ小さい島です。

第三者からすると、なぜ韓国がこんなちっぽけな島に愛国心をたぎらせ、警備兵を常駐させ、何もないのに観光客が押し寄せているのか全く理解できないんじゃないんでしょうか。

同じように、我々から見ると争うのが馬鹿馬鹿しいほど小さいのに、国家間で領有権争いが続く地域は数多くあります。

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無法者より恐ろしいウエスタンの「悪徳保安官」

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無法者より無法者らしい荒くれ保安官

昔のB級ウエスタン映画は、北斗の拳みたいなヒャッハーな無法者が娘をさらったり農民をドヤしつけたりして暴れまわっているところを、正義の保安官が駆けつけて無法者を一掃!

どうもありがとうございます、あの、お礼を…

いや当然のことをしたまで。では私はこれにて。

みたいなコテコテの描写が多い気がします。

そういう正義の保安官もいたにはいたでしょうが、実際のところ保安官も無法者も素材は同じく乱暴者のゴロツキ。今回は名の知れた「悪徳保安官」を紹介します。

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アッシジのフランチェスコの生涯とその教え

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自然や人に対する愛、平和と清貧を求めた偉大な聖人

アッシジのフランチェスコという人はあまり馴染みがないかもしれませんが、ヨーロッパ史とキリスト教史を学ぶ上で絶対に外すことができない人です。

フランチェスコはイタリアの町アッシジに住んだ司祭で托鉢修道院を開いた人物。彼が実践したのは徹底的な無所有と清貧、さらに自然保護や異教徒との対話を唱え実践した人物でもあり、そんな概念が希薄だった中世のヨーロッパにおいては突然変異種と言ってもよい人です。

フランチェスコ自身はただ無心に神の道を実践した男でしたが、その轍から次のヨーロッパ社会とキリスト教会のあり方も変える原動力が生まれていくことになります。

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イエス・キリストは菜食主義者だったのか?

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イエスが口にしていたものは何か

昔イチローが朝にカレー食ってるのがニュースになって、真似する人が続出しました。体が資本のスポーツ選手が普段何を食べてるか、確かに知りたくなります。

一方でキリスト教圏では、イエス・キリストが何を食べていたかが議論や考察の対象になることがあります。「世界を変えた大偉人は何を食べていたのか」という知的好奇心もありますが、「人類が食べることを許さる食事は何か」というややこしい宗教的議論に繋がり、目下菜食主義やヴィーガン主義が拡大する中で、「イエス・キリストは菜食主義者であった」と主張されることがあります。これって本当なのでしょうか?

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アメリカに移住した「元ナチス・ドイツの科学者」たち

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 大量のドイツ人科学者を移住させたアメリカ

第二次世界大戦後、ナチス・ドイツの優秀な科学者たちをアメリカに移住させ、軍の研究所や関連施設で研究に当たらるアメリカ政府の極秘プロジェクトが実行されました。

通称「ペーパークリップ作戦」と呼ばれ、JIOA(Joint Intelligence Objectives Agency)という軍の機関がリクルート活動にあたり、1945年から1959年の間にロケット技術者、電子工学者、物理学者など合計1,600人がアメリカに渡ったと言われています。

 優秀な頭脳をアメリカが入手するという目的もありましたが、敵国ソ連に流出させないという目的も一方でありました。

今回はアメリカに移住した人物の中でも特に著名な科学者たちをピックアップします。

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