歴ログ -世界史専門ブログ-

おもしろい世界史のネタをまとめています。

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1809年ロンドン旧価格暴動

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劇場チケットの価格値上げで起こった市民暴動

旧価格暴動(Old Price Riots)は、リニューアルされたロンドンのコヴェント・ガーデン劇場の価格値上げに抗議する市民が劇場内につめかけて大騒ぎを演じた事件。

1809年9月18日から約三ヶ月間続いた抗議の結果、劇場のオーナーは妥協し価格据え置きを認めざるを得なくなりました。

パンやガソリン価格の値上げといった生活に密着した価格の値上げではないので、半ばお祭り感覚の暴動ではあったのですが、当時のロンドンの一般市民の感覚が分かる興味深い事件となっています。

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政権に就いたことのある世界の少数民族政党

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少数民族政党ながら政権与党になったことのある世界の政党

日本では外国人の選挙権・被選挙権が認められていないため、国や自治体の政治において国内の少数民族の利益を代表する政治団体というものが存在しません。

一方で、様々な事情で国内に多くの少数民族を抱える国々では、政治的な権謀術数のたまものか、少数民族政党が与党に加わり政権を担うことも少なくありません。各国の事例を調べてみたいと思います。

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ハワイの歴史 - ハワイ統一からアメリカ併合まで

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Photo by Lux Tonnerre

独立ハワイ王国はどのようにしてアメリカに併合されていったか

観光でハワイのオアフ島を訪れた方は、 ホノルル中心部にあるカメハメハ大王像を訪れたことがあると思います。

皆なんとなく、カメハメハ大王という偉大な王が出てハワイを統一したけど、なんだかんだ色々あってアメリカに統合された、くらいのざっくりした歴史しか知らないと思います。

今回はハワイがアメリカに併合されて一州になっていく過程をまとめていきます。ハワイ旅行に行くときの予習にどうぞご覧ください。

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世界史のパンデミック死者数TOP10

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Photo by Cybercobra

世界史の引き金となってきたパンデミック(世界流行) 

 歴史上、何か大きな内乱や対外戦争、王朝の交代が起きたその背景には、世界規模の気候変動やパンデミック、大恐慌などがありました。

政治機構による安定した統治が実現していても、多くの人が否応無く巻き込まれ、食えなくなったり没落したりする人が続出すると、統治能力の限界に陥り、人々の不満の高まりから内乱や対外戦争が勃発する場合がありました。

今回は歴史上、もっとも多くの死者を出したパンデミックをまとめていきます。

資料によりかなりばらつきがあって、この順位が確実というわけではありませんので、ご承知おきください。

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大量の死者を出した世界史の爆発事件TOP10

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千人万人単位の死者を出した記録的な爆発事件・事故

工場や船舶・航空機が大爆発を起こして炎上、犠牲者十数名といったニュースは、国内・海外問わず目にするニュースです。

火薬を入手して以降の人類の歴史は爆発事故の歴史でもあります。当然、戦争中の大爆発が多いのですが、火薬を保管する倉庫や、薬品を取り扱う工場、輸送中の列車が爆発するといった事件・事故も数多く起こりました。

今回は千人・万人単位の死者を出した世界史の爆発事件・事故をまとめていきます。

なお、広島・長崎の原爆については、カウント外としました。

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ロシアのシベリア征服の歴史

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ウラル山脈を越えてわずか60年でオホーツク海に達したロシア

ロシアは御存知の通り世界最大の領土をを持つ国ですが、その大半は広大なシベリアの大地です。シベリアとは具体的には、ウラル山脈以東のことを言います。

こんなところ本当に人が住んでるのかと思うような、森林や荒野、永久凍土。人間が住むには厳しい土地が続きます。しかしこんな大地をロシア人は先住民を征服しながら、わずか60年という短い期間で征服してしまいました。

 派手ではありませんし、その過程は現代の価値観からすると褒められたもんじゃありませんが、この広大な土地をわずかな期間で征服したのは、歴史上の「偉業」と言えなくはないでしょうか。今回はロシアのシベリア征服の歴史です。

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韓国政府が強力なトップダウン型の産業育成を図った理由

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Image by Lakshmix

「漢江の奇跡」を支えた韓国政府の産業育成政策

ここ10年あまりの韓国の社会と国民意識の変化には激しいものがあります。

息詰まる社会と経済の打破のために、朴槿恵政権時代から「大陸側」へ接近し南北統一を目指す文脈が醸成されていましたが、現在の文在寅政権はさらに急進的にそれを推し進め、南北統一によって「民族による自存自衛」を掲げ、広い支持を集めています。

もとより韓国では反米感情は根強くあったのですが、それよりも反北朝鮮感情のほうが強かったので西側諸国に留まっていましたが、北との和解ムードの高まりの中で「自立強国」「東アジアのバランサー」国家を目指すようになっています。

その背景には、韓国が急速な経済発展を果たし国際的なプレゼンスが高まり、アメリカや中国、日本といった周辺の大国と台頭な関係になった、という自負があるからなのですが、一方でこれまで世襲政治家や資本家が牛耳ってきた富や権力を民衆に奪い返そうという「民主化運動」があります。

現在の韓国社会で「敵対視」されがちな、かつての韓国政府の経済政策の方針について、梁義模氏の論文を元にして紹介します。

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伝説的インド人クリケット選手と「英国スゴイ神話」

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イギリス人に愛されたインド人選手、クマール・シュリ・ランジットシン

インドはクリケットの強豪国で、2019年現在、イングランドに次いで世界ランキング2位です。

インドではクリケット・ワールドカップは大変な盛り上がりで、みんなテレビにかじりつき、インド代表の試合中はあらゆる街の機能がストップするそうです。インド代表がライバルのパキスタン代表に敗れると、怒りのあまりテレビをぶっ壊す奴が全土で続出するため、試合後はテレビ需要が高まるという嘘みたいな話もあります。

さて、そんなクリケット狂インド人のクリケットの先駆者的な存在が、20世紀初頭にイングランドで活躍したクマール・シュリ・ランジットシンです。彼は初めてイングランドの代表になり、イギリス人のチームメイトのみならず、ファンからも大変愛された男です。

ランジットシンの生涯からは、当時のイギリス人のインド人観、そしてエリートインド人にとって大英帝国とはどんな存在だったかが見えてきます。

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