チェコ統一を精神的に支えた民族の年代記
ボヘミアのチェコ人は9世紀ごろに独自のプシェミスル朝を開き14世紀まで続きますが、王権は弱く神聖ローマの影響下に組み込まれ、またチュートン騎士団を始めドイツ人の東方植民の流れもあり「ドイツ化」の危険を常にはらんでいました。
プシェミスル朝の正当性主張とチェコ人の統一を図るために重要だったのが、「チェコ民族はどこからやってきて、どのように国が作られたか」という民族の年代記でした。
11世紀にはコスマス年代記、14世紀にはダリミル年代記、16世紀にはハーイェク年代記などが書かれ、キリスト教到達以前の民族神話に加えボヘミア王の物語やヤン・フスの宗教戦争の物語などチェコ民族の栄光を讃える内容が盛り込まれました。
19世紀の民族復興期以降に盛んに読まれ、現在のチェコ共和国まで受け継がれています。今回はキリスト教到達以前の移住伝説からチェコ人形成の逸話をピックアップします。
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