歴ログ -世界史専門ブログ-

おもしろい世界史のネタをまとめています。

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アッシジのフランチェスコの生涯とその教え

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自然や人に対する愛、平和と清貧を求めた偉大な聖人

アッシジのフランチェスコという人はあまり馴染みがないかもしれませんが、ヨーロッパ史とキリスト教史を学ぶ上で絶対に外すことができない人です。

フランチェスコはイタリアの町アッシジに住んだ司祭で托鉢修道院を開いた人物。彼が実践したのは徹底的な無所有と清貧、さらに自然保護や異教徒との対話を唱え実践した人物でもあり、そんな概念が希薄だった中世のヨーロッパにおいては突然変異種と言ってもよい人です。

フランチェスコ自身はただ無心に神の道を実践した男でしたが、その轍から次のヨーロッパ社会とキリスト教会のあり方も変える原動力が生まれていくことになります。

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イエス・キリストは菜食主義者だったのか?

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イエスが口にしていたものは何か

昔イチローが朝にカレー食ってるのがニュースになって、真似する人が続出しました。体が資本のスポーツ選手が普段何を食べてるか、確かに知りたくなります。

一方でキリスト教圏では、イエス・キリストが何を食べていたかが議論や考察の対象になることがあります。「世界を変えた大偉人は何を食べていたのか」という知的好奇心もありますが、「人類が食べることを許さる食事は何か」というややこしい宗教的議論に繋がり、目下菜食主義やヴィーガン主義が拡大する中で、「イエス・キリストは菜食主義者であった」と主張されることがあります。これって本当なのでしょうか?

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アメリカに移住した「元ナチス・ドイツの科学者」たち

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 大量のドイツ人科学者を移住させたアメリカ

第二次世界大戦後、ナチス・ドイツの優秀な科学者たちをアメリカに移住させ、軍の研究所や関連施設で研究に当たらるアメリカ政府の極秘プロジェクトが実行されました。

通称「ペーパークリップ作戦」と呼ばれ、JIOA(Joint Intelligence Objectives Agency)という軍の機関がリクルート活動にあたり、1945年から1959年の間にロケット技術者、電子工学者、物理学者など合計1,600人がアメリカに渡ったと言われています。

 優秀な頭脳をアメリカが入手するという目的もありましたが、敵国ソ連に流出させないという目的も一方でありました。

今回はアメリカに移住した人物の中でも特に著名な科学者たちをピックアップします。

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2018年に読んで面白かった歴史関連本

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今年読んで良かった本10冊

早いもので2018年も終わろうとしています。 

ぼくは年間で何冊の本を読んだのかいちいち数えてないのですが、100〜150くらいは読んだんじゃないかと思います。正確にはよく分かりません。ただし9割は歴史関連の本です。

年末ですし、今年1年間で面白かった歴史関連本をまとめてみます。

 年末年始にぜひどうぞ。

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トレビゾンド帝国の歴史 - 黒海にあったビザンツの亡命帝国

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本家崩壊後も生き延びたビザンツ帝国の亡命政権

トレビゾンド帝国は現在のトルコ共和国の一都市トラブゾンに13世紀から15世紀にあった国。 

ビザンツ帝国を追われたコムノネス王家が流れ着き、同じキリスト教国のジョージア(グルジア)の支援を受けて成立し、イスラム教国を含む周辺国と協調しながら約250年間も生きながらえました。本家ビザンツ帝国はオスマントルコに1453年に滅ぼされますが、トレビゾンド帝国はその後も数年生きながらえました。

今回はかなりマイナーなビザンツ帝国の亡命政権トレビゾンド帝国の歴史のまとめです。

お話は同じキリスト教徒がビザンツ帝国を攻めた第4回十字軍から始まります。

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かつて存在したバチカン並みに小さかったミニ国家

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史上星の数ほどある消滅したミニ国家たち 

ミニ国家は歴史上星の数ほど存在し、またそのだいたいが消滅しました。

現在残っているミニ国家は、バチカン、リヒテンシュタイン、サンマリノ、アンドラ、マルタ、モナコ、シンガポール、バーレーンなどごくわずかです。

 今回はあまり知られていない、成り立ちと歴史が面白いミニ国家を集めました。

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【中国史】なぜ明朝は「海禁政策」を始めたのか

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明朝によるグローバルシステム構築の試み

経済発展と科学技術の発展が著しい中国。

中国の政治・経済・科学についてのニュースを聞かない日はないくらい、国際舞台での中国の存在感は増しています。以前は国際秩序の構築には関心を示さなかった中国も、AIIBの創立などで中国発の政治経済交易圏を作ろうとしています。

 これは歴史的に見ると目新しいことではなく、自国と体制の安全保障を確立しながらも、あふれんばかりの旺盛な人々の欲を御しながら、国家の元で適切に対外交易と経済発展を成し遂げようとする試みは、歴代の中国の王朝が常に頭を悩ませていた問題でした。

 その一つの大きな試みが、明朝時代の「海禁政策」でありました。

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エレベーターの歴史

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都市の景観を一変させたエレベーター

エレベーターという装置の歴史は実は古く、古代ローマの時代に遡ります。

しかし、エレベーターが人類の歴史に大きく貢献し始めるのは20世紀に入ってから。

安全で安定したエレベーター技術の確立は、超高層ビルの建設を可能にし、ニューヨークの摩天楼の風景を作り上げました。

ただし「安全で安定した」エレベーター技術は、技術者の長年の試行錯誤によって発展してきました。

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