歴ログ -世界史専門ブログ-

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ナセル - エジプトの真の独立を目指した独裁者(後編)

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アラブのカリスマの死、アラブ民族主義の黄昏 

前編では自由将校団のクーデターから、スエズ戦争までをまとめました。

自由将校団の一員だったナセルは、クーデターにより王政を廃し革命政権を樹立させた後、自発的に動かない国民に絶望し、自ら強権の大なたを振るってエジプトを真の独立国に導こうと決意します。

 その過程でイギリス軍のエジプト完全撤退を成し遂げ、またスエズ戦争に政治的勝利を収める過程で、アラブを中心に熱烈な人気を得、アラブ民族主義のリーダーとして担ぎだされるようになっていきます。

さて後編では、アラブ世界のリーダーとして頂点を極めますが、その後の挫折によって次第に勢いに陰りが出始めていきます。

エジプトが生んだアラブのカリスマ・ナセルの後半期です。

 

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ナセル - エジプトの真の独立を目指した独裁者(前編)

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アラブ民族主義の英雄、革命家にして独裁者

 ガマール・アブドゥル=ナセル(1918-1970)はエジプトの軍人、エジプト共和国第2代大統領。

自由将校団の一員としてエジプト革命を起こし王政を廃し、共和制に意向させました。

第2代大統領に就任してからは、イギリスに経済的にも政治的にも依存するエジプトを脱し、真に独立したエジプトの建設を目指し社会改革を進めていくことになります。

その後のスエズ運河国有化宣言とスエズ戦争により、エジプトのみならずアラブを中心に世界的なカリスマ指導者として名を馳せます。

隆盛を見せるアラブ民族主義の中心人物として、アラブ人の連帯を図りますが挫折。また第3次中東戦争の大敗により虎の子の軍を壊滅させてしまう。

失意の中で軍の立て直しとアラブ連合の再結成を目指す中で、52歳という若さで心臓発作で死亡しました。

 

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歴史上実在した「野生児」とその逸話

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人間社会から捨て置かれ野で成長した子どもたち

伝説によると、ローマ帝国の祖ロムルスは弟レムスと共に雌狼の母乳で育ったとされています。

兄弟は自分たちが捨てられた丘に街を建設しようとしたが、兄弟同士でいさかいが生じロムルスがレムスを殺害。弟を排除したロムルスは自分の名を冠する街「ローマ」を建設したのでした。

これは伝説ですが、歴史上に数多く「野生児」は存在していたし、実際にロムルスとレムスのように動物に育てられるケースも見られたようです。

もっとも有名なのは1920年代にインドで見つかった狼少女「アマラとカマラ」ですが、あれは作り話だったことが後に分かっています。

今回はその他の有名な野生児の事例と逸話を紹介します。

 

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白人傭兵に乗っ取られた!インド洋の小国・コモロの近代史

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小さな島の混沌とした歴史

この南国らしいカラフルな国旗は、コモロ連合(通称コモロ)の国旗。

インド洋に浮かぶわずか2236平方キロメートル、大小多数の島からなる島国です。タンザニアとモザンビークの沖合約300キロに浮かび、気候は熱帯性。1月から4月が雨季で雨がよく降る。

人口は67万人ほどで人口密度は結構高いほう。人種は複雑でマレー人、インド人、アラブ人、アフリカ人が混在しています。 

 宗教はイスラム教徒とキリスト教徒がいますが、国の多数をイスラム教徒が占めるため国旗にも三日月と星が描かれています。ちなみに星が4つ書かれていますが、それは主にコモロを構成する4つの島、グランド・コモロ島、モヘリ島、アンジュアン島、マヨット島を表しています。

…ここまで書いて既にもう、揉める要素がいくつかありますよね。

フランスから独立した後のコモロはなかなか政治的に安定せず、取った取られの混沌とした歩みを見せました。

 

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多分あなたも知らない?ギリシア神話の怪物たち

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あまり聞き馴染みがないギリシア神話の怪物を学ぼう

実はギリシア神話は我々の生活のごく身近なところに息づいています。

前記事「実はふさわしくない?神話をモチーフにした企業名・ロゴ」の記事でも紹介したように企業のロゴや名称になっているケースも多いですし、ゲーム、漫画、小説にもたくさんギリシア神話がモチーフの物語やキャラクターが登場します。

若い人だったらソーシャルゲームのキャラクターでお馴染みかもしれませんね。

ミノタウロス、ペガサス、ケンタウロス、サイクロプス、ケルベロスなどはお馴染みの顔ぶれでしょう。

今回はあえて皆が知っている有名な怪物は外し、たぶんあまり知られていない怪物たちをピックアップしてみます。

 

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誰もが予想しなかった奇妙な製品リコール事件

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「まさかそんなところから問題になるとは」と企業が驚くリコール事件

メーカーは製品を製造してお金を頂戴する以上、リコールとは無縁でいられません。

製品自体の不備もありますが、想定されない使われ方に対する対策もちゃんとせなばならず、どうしてもカバーしきれない部分は取り扱い説明書でカバーします。

有名な「猫オーブン」の話は都市伝説のようですが、でもまあ、ああいうことです。

 海外サイトで紹介されていた、過去のリコールの中のちょっと信じられないようなケースを翻訳してまとめました。

※大人として恥ずかしい誤字がいっぱいあったので修正しました。ご指摘多謝です…。

 

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【WW2】ハンガリーが枢軸国側で参戦した経緯

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大ハンガリーの領土回復への夢と絶望

第二次世界大戦の枢軸国の主要参戦国は、日本、ドイツ、イタリアばかりがクローズアップされますが、ルーマニア、ブルガリア、フィンランド、クロアチア、タイなども枢軸国側に立って参戦しています。 

ハンガリーも枢軸国の一員になった国で、ソ連とアメリカに宣戦布告し主に東部戦線でドイツ軍と共に戦いました。

ハンガリーも他の枢軸国側と同じく親独・親伊一辺倒だったわけではなく、ハト派や保守派が何とか国を中立に維持させようと努力しますが、結局強力なドイツの外圧と国内急進派によって国を牛耳られていきました。

今回はハンガリーが枢軸国の一員になって破滅的な戦争に向かっていった経緯をまとめていきます。

話はオーストリア=ハンガリー帝国時代に遡ります。

 

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13日の金曜日はなぜ不吉なのか

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"何か悪いことが起こる"13日の金曜日

映画「13日の金曜日」は、奇怪な仮面を被った殺人鬼ジェイソンがキャンプ場に来た男女を次々と殺害していく、血ブシャーなスプラッター映画です。

この映画の影響力は強烈で、このせいで「13日の金曜日は恐怖の日」だと多くの日本人は理解したし、

夜になるとジェイソンが襲ってくると恐怖に怯えた子供たちも多かったことでしょう。

我々労働者にとっては仕事が襲ってくる週明け月曜日のほうがよっぽど恐怖なんですが、なんで13日の金曜日が恐怖の日になったのでしょうか。

 

 

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