歴ログ -世界史専門ブログ-

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チェコ最強の武将ヤン・ジシュカとフス戦争

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農民軍を率いて十字軍を何度も撃破した伝説的なチェコの武将

「世界史で最強と思う将軍は?」 

 という質問を歴史ファンにした時に、もしかしたらヤン・ジシュカの名前を挙げる人もいるかもしれません。

 1419年から15年間続いたフス戦争において、初期のフス派を率いて十字軍の攻撃を何度もはねのけたのがヤン・ジシュカです。彼の活躍によってフス派はチェコ独自の教義としてチェコ人のアイデンティティとなっていくため、この人がいなければもしかしたら、現在チェコという国が成立しなかったかもしれないほどの重要人物でもあります。

 話はヤン・フスが異端審問の末に殺害された1415年7月以前に遡ります。

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西ゴート王国の歴史

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名前は知ってるけど比較的マイナーな西ゴート王国の歴史

世界史の序盤で必ず学ぶ、ゲルマン民族大移動。

アングロ族、サクソン族、ロンゴバルド族、ヴァンダル族、フランク族、西ゴート族、東ゴート族あたりは、その名前とどこに移動したかくらいは覚えると思います。

けどその先どうなったかまで学ぶことは少なく、特に今回の西ゴート王国のようにどういう歴史を経たかはマイナー分野になってしまうでしょう。

415年の西ゴート族のイベリア半島到来から、711年のアラブ帝国侵入と崩壊までをまとめます。

 
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中世イングランドの有名な騎士たちのエピソード

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 騎士道が息づいていた時代の古き良きイングランド

 百年戦争時代のイングランドは、騎士道精神が息づいていた時代で「古き良きイングランド」で人気がある時代です。

 騎士道精神と一口で言っても、サムライのように主君に忠誠を誓うような人ばかりではなく、信念に従ってイギリス国王に死ぬまで抵抗する「騎士道」の形もあったわけです。

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16世紀ラテンアメリカの反乱と武装蜂起

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Photo by Adamt

 新たな秩序を求めて抗争が続いた16世紀のラテンアメリカ

16世紀前半にラテンアメリカに侵入したスペイン人征服者(コンキスタドール)は、火砲や馬といった優勢な武器、原住民同士の反目を利用して征服を実行し、1522年にはコルテスがアステカ帝国を、1533年にはピサロがインカ帝国を滅ぼしました。またスペイン人が持ち込んだ病原菌は免疫のない原住民の命を容易に奪い、原住民人口の大幅な減少をもたらしました。

ただし、原住民もただスペイン人にやられっぱなしだったわけではなく、帝国の王族の末裔を担いだり、宗教指導者の下に集まったりしてスペイン人支配に抵抗しました。

また征服した側のスペイン人も、スペイン本国に富を収奪されることを嫌い、独自の支配を求めてたびたび本国に歯向かっています。

16世紀のラテンアメリカは、スペインの植民地としての体制がまだ整わず半ば混乱状態にあり、その中で様々なグループが新たな秩序の構築を目指してうごめいていた時代でした。

今回はそんな中で起こった暴動・反乱事件をピックアップしていきます。

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古代チェコ神話 - チェコ人の成立、プラハの建設、乙女戦争

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チェコ統一を精神的に支えた民族の年代記

ボヘミアのチェコ人は9世紀ごろに独自のプシェミスル朝を開き14世紀まで続きますが、王権は弱く神聖ローマの影響下に組み込まれ、またチュートン騎士団を始めドイツ人の東方植民の流れもあり「ドイツ化」の危険を常にはらんでいました。

プシェミスル朝の正当性主張とチェコ人の統一を図るために重要だったのが、「チェコ民族はどこからやってきて、どのように国が作られたか」という民族の年代記でした。

 11世紀にはコスマス年代記、14世紀にはダリミル年代記、16世紀にはハーイェク年代記などが書かれ、キリスト教到達以前の民族神話に加えボヘミア王の物語やヤン・フスの宗教戦争の物語などチェコ民族の栄光を讃える内容が盛り込まれました。

 19世紀の民族復興期以降に盛んに読まれ、現在のチェコ共和国まで受け継がれています。今回はキリスト教到達以前の移住伝説からチェコ人形成の逸話をピックアップします。

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ケチャップの歴史 - 英国流オリエンタルソースからアメリカの味へ

Heinz ハインツ ケチャップ 1.25kg 3本セット

洋食にはかかせないテーブルの必需品ケチャップ

皆さまのお宅では、ケチャップとマヨネーズはペアになって冷蔵庫に入っていないでしょうか。もしかしたら、お好み焼きソースやウスターソースもセットになっているかもしれません。

料理はしなくて冷蔵庫がほぼ空っぽな人でも、 ケチャップはあるという人も多いのではないでしょうか。

日本人は世界的に見てもかなりのケチャップ好きと言えると思うのですが、今回はそんな日本人の食生活に欠かせないケチャップの歴史を見ていきたいと思います。 

 
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チェコスロバキア軍団 - 祖国へ帰るための孤独で長い戦い

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 祖国への帰還を目指してロシアで戦い続けた国なき軍団

チェコスロバキア軍団は第一次世界大戦中の1914年から1917年にかけて、連合軍の一翼として戦ったチェコスロバキア人の軍団です。

オーストリア=ハンガリー帝国軍の兵として参加したものの捕虜になりチェコスロバキア軍団に所属になった者、志願して参加した者などきっかけは様々でしたが、皆祖国の独立を願い結束力と士気が非常に高い部隊でした。

しかし1917年にロシア革命が勃発してロシア・ロマノフ王朝が崩壊。ロシアは赤化しチェコスロバキア軍団はロシア内に取り残されてしまいます。一刻も早いロシア脱出を望む兵たちでしたが、そこから長い赤軍との戦いが始まることになるのです。

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この世のどこかにあると考えられたユートピア伝説

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冒険者たちが夢見たどこかにある理想郷

かつて、この世のどこかには「金銀宝石がザクザクあるお宝の町」や「辺境にあるキリスト者や仏教徒の理想郷」があると信じられていました。

冒険野郎たちはそのような夢のようなお話を信じて船に乗って世界中に繰り出し、大航海時代へ繋がっていきました。

こういった冒険野郎たちのおかげで世界は繋がって今や意志さえあればどこでも行けるようになったのですが、こういう夢のような土地がないことを彼ら自身が証明してしまったのは皮肉なことです。 今回はかつて存在が信じられていた伝説の都市をピックアップします。

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