歴ログ -世界史専門ブログ-

おもしろい世界史のネタをまとめています。

なぜイランではイスラム宗教学者が権力を持っているのか

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宗教学者が政治に介入するようになった経緯

ご存知の通り、シーア派の大国イランではウラマー(イスラム宗教学者)の権威が非常に高く、世俗の長である大統領の他に「最高指導者」という職があり高位のウラマーが就くことになっています。

ただし、本当であればウラマーではなく、イマーム(信者共同体の最高指導者)が国を治めるべきとされています。しかし最後のイマームであるムハンマド・ムンタザル(マフディー)が9世紀にどこかに「お隠れ」になっている現在、ウラマーが国を代理で治めるという発想です。

しかしどこまでウラマーが法制定や世俗の統治に関与すべきか、宗教学者同士の長い議論があり、現在の政体が生まれたのです。

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米ソが計画した「月面基地建設計画」

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Photo from "Cold War Secret: “Project Horizon” Neatram

 大国の安全保障と意地を賭けた勝者なき戦い

東西冷戦のピークの1960年〜1970年代、アメリカとソ連はそれぞれ月面に軍事基地を建設する計画をぶち上げていました。

 互いに「敵国に月面に基地を作られ、頭上から核で狙われたら大変だ」という恐れと、あとは我が国の宇宙科学技術のほうが敵より優れているという大国の意地の張り合いから出された計画でした。

特にアメリカは本気で月面軍事基地を計画し、そのための予算も計上しますが、結局天文学的な予算と非現実的な技術により計画は頓挫しました。

 今の科学技術ですら相当難しいと思われるのですが、当時はどのような計画が立案されたのでしょうか?

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通勤中に読んで気合いが入る歴史関連本20冊

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本を読んで戦場(会社)に向かう気合いを高めよう

皆さんは通勤電車の中で何をしてますか?

ずっとスマホをいじってゲームをしてる人が最近は多いですね。

通勤って、オフとオンのちょうど中間段階にあるので、徐々にオンモードに切り替えていくためのいい時間です。音楽を聞いて気分を上げるのもひとつありますが、気合いを高めるのに良いのが歴史関連書だと個人的に思います。 

もうすぐ4月ですし、今回は朝からやる気が満ちてくる歴史関連書をピックアップします。

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ローマ帝国に抵抗したケルト族の指導者たち

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 ローマによる侵略からケルトを守るための戦い

現在の「ヨーロッパ」という地域概念の母体は、ご存知の通りローマ帝国にあります。

共和制ローマそして帝政ローマは、ケルト人が住む地域を制圧し、そこに文化的・経済的・社会的な統合をもたらしました。

後に様々に解体され国境は書き換えられ独自の文化が構築されていくものの、かつて統合された過去があるために、ヨーロッパという曖昧だけど何となく輪郭が見える地域として認識されるに至っているのですが、征服される側の先住民ケルト人の抵抗は凄まじいものがありました。

 自分たちの社会が他国に制圧され、システムの一部に組み込まれ、文化や宗教のみならず、連綿と受け継がれた血統が絶やされていくのは我慢がならなかったでしょう。

今回はそんなローマの侵略に抵抗した伝説的なケルトの族長たちをピックアップします。

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売国奴と呼ばれる人たち:ジョン・アメリー

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親ナチスのイギリス人部隊を創設した男

ジョン・アメリー(1912-1945)はイギリス・ロンドン出身。

エリートの家に育つも若くしてファシズム体制に心酔し、イギリスを出国して各地を放浪。反共イギリス人を組織してイギリス人による部隊を創設するという彼の構想に感銘を受けたヒトラーに受け入れられてドイツに移住。ナチスのプロパガンダに協力します。そしてイギリス人による反共軍団「セント・ジョージ・イギリス軍団」を創設し東部戦線で戦おうとしますが、人が全然集まらずに失敗。

 その後北イタリアでムッソリーニのサロ共和国(イタリア社会共和国)にてプロパガンダ活動に当たるも、捕まって死刑となりました。

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