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【インドカレー屋のBGM】インドの生ける伝説ラタ・マンゲシュカルの歌

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多大なる影響を与えたインドの「美空ひばり」

 インドカレー屋にメシを食いにいくと、よく独特のBGMが流れてますよね。

どんな曲だったかいちいち覚えている人は少ないと思いますが、甲高くて抑揚のある女性の歌だったような印象はありませんか?

たぶん、それを歌っている人物こそ今回取り上げるラタ・マンゲシュカルです。

ラタ・マンゲシュカルは1942年から歌手のキャリアをスタートし、2017年現在未だに現役。1000以上の歌を歌い、インドで最も尊敬される歌手です。

今回はラタ・マンゲシュカルの半生と彼女の代表作をピックアップします。

インド音楽の入門編にもちょうどよいですよ。

 

 

 ラタ・マンゲシュカルの代表曲

御託を並べるより、まずは聞いていただいたほうがいいでしょう。

ここではラタ・マンゲシュカルのヒット作をピックアップします。

 

1. チュネ・オ・ランギレ・カイセ・ジャドゥ・キア(Tune O Rangile Kaise Jadu Kia)

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これはメチャクチャ有名な曲なので知ってる人多いかもしれません。

1981年のドラマ「Kudrat」に使われた曲で、このドラマはインド中で大ヒットを記録したこともあり、有名になりました。

ドラマの舞台でもある避暑地シムラを背景にした映像も、カラフルでよい感じです。

 

2. ラグ・ジャア・ガレ(Lag Jaa Gale)

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ラタ・マンゲシュカルの代表作のひとつ。

インドで大ヒットしたミステリー映画「Woh Kaun Thi?(Who she is?)」で使われた曲で、この曲ではラタ・マンゲシュカルの曲がメインで多く使われ、これにより彼女は「ポップスの女王」の名を不動のものにしました。

 

3. トゥジ・サング・プリート・ラガイ・サジナ(Tujh Sang Preet Lagai Sajna)

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いかにも「インドカレー屋のBGM」って感じで、個人的に一番好き。

1982年にヒットした恋愛映画「Kaamchor」の一曲で、ラタ・マンゲシュカルと男性歌手のキシュア・クマールとのデュエットで歌い、映画のヒットに併せてこの曲も大流行しました。

 

4. イェー・サマ, サマ・ハイ・イェ・ピャー・カ(Yeh Sama, Sama Hai Ye Pyar Ka)

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これもすごく有名なので聞いたことあるかもしれません。

1965年の映画「Jab Jab Phool Khile(Whenever the flowers bloomed)」の中の一曲で、シャンソン風の異国情緒溢れる曲ですが、我々の耳にはどう聞いてもインド・ポップスです。

 

5. イェッ・ディル・トゥン・ビン・カヒン・ラッタ・ナヒン(Yeh Dil Tum Bin Kahin Lagta Nahin)

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タイトルは「あなたなしでは、この心は他にはいられない」みたいな意味です。

1968年の映画「IZZAT(Respect)」のBGMとして、ラタ・マンゲシュカルとモハメッド・ラフィが歌った曲で、この映画自体は興行自体は失敗ですが、曲は賞賛されました。インドの曲でよくある、男女のデュエット曲で互いの愛の呼びかけで構成されています。

  

6. トタ・トタ(Tota Tota)

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1991年の映画「First Love Letter」の一曲。

曲は一様でなく展開があって良いのですが、PVがよく分かんない。曲が最初に出来てその後に曲に合うように映像を重ねた感じがします。

 

7. チュプ・ガヤ・サラ・ナザレ(Chup Gaye Sare Nazare)

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1969年の映画「Do Raaste(Two road)」に使われた曲。

初期のボリウッド映画ですが、現在のように派手なセットと大集団での踊りになる前の素朴で初々しい感じで、主演のバラジ・サヒーニとカミニ・カウシャルの踊りが素敵です。どうぞ映像をご覧ください。

 

8. メレ・ピャール・キ・ウマル・ホ・イティニイ・サナム(Mere Pyaar Ki Umar Ho Itni Sanam)

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ソハン・シンの小説「Kaara — Hatthi」を実写化した1988年の映画「Waaris」の一曲。

個人的な意見ですが、男優も女優もPVもあんまイケてないです。曲は愛くるしい感じで好きですけど。

 

9. ホッ・ペ・バス・テラ・ナアム・ハイ(Hoto Pe Bas Tera Naam Hai)

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1994年の映画「Yeh Dillagi(The Romance)」で使われた歌で、非常に妖艶で情熱的な歌です。PVを見ていただいたらわかりますがめっちゃエロいです。

ちなみにラタ・マンゲシュカル、62歳のときの曲です。

 

10. オ・パアランハアレ(O Paalanhaare)

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2001年に公開された映画「Lagaan」で使われた曲です。

この映画は植民地時代のインドで、高慢な役人の支配の下で無気力に過ごす住民が、クリケットを通じて自信を回復するという、インド人がめっちゃ好きそうなプロットで、アカデミー賞外国語映画賞にもノミネートされています。

 

11. ムジェ・テリ・モハバット・カ・サハラ(Mujhe Teri Mohabbat Ka Sahara)

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1971年のボリウッド映画「Aap Aye Bahaar Ayee」の中の一曲です。

幼馴染のラヒート、クマール、ニーナの3人の物語で、ニーナを巡った三角関係の物語です。この曲はラヒートとニーナが休暇を楽しむシーンで流れる曲で、Mujhe Teri Mohabbat Ka Saharaは「あなたとのリゾートの旅を私は愛する」みたいな意味です。

背景のシーンと、ど直球に感情や情景説明を表した分かりやすさがまた良いですね。

 

12. チャンダ・ハイ・トゥ(Chanda Hai Tu)

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1969年の恋愛ドラマ「Aradhana」の一曲。

未婚の母バンダナとその息子スラジュの物語です。妻として母としての愛情を歌った歌で、ポップで現代的・都会的な曲です。

 

13. チャルテ・チャルテ・ユニイ・コイ・ミイ・ガヤ・タア(Chalte Chalte Yunhi Koi Mil Gaya Tha)

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最後に、この曲はぜひ聞いてください。これもすごく有名な曲です。

1972年の映画「Pakeezah(純粋)」の中の一曲。美しく歌と踊りに秀で、純粋な心を持った踊り子シャイブジャアン(Sahibjaan)の悲劇の生涯を描いたロマンス映画です。

シャイブジャアンを演じる主演女優ミーナ・クマリの美しさと魅力をとにかく際立たせようとしてる演出。曲のリズムはシンプルで分かりやすく、耳に残ります。

 

 

1. 映画音楽歌手として有名に

ラタ・マンゲシュカルは1929年、イギリス植民地時代のゴマンタク・マラータ(現マディヤ・プラデーシュ州)の生まれ。父は伝統音楽の歌手で、彼女は5歳の頃から音楽教育を施されます。

 

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 13歳で父が亡くなり、一家はマンゲシュカル家は映画会社のオーナー、ナヴユグ・チトラパットの支援で生計をたてていました。ラタは彼の支援で13歳で歌手デビュー。

最初はチョイ役しか与えられませんでしたが、本格的にプロのトレーニングを受けながらいくつかの映画で歌を歌い、1948年の映画「Majiboor」でグラム・ハイダー監督に見出され才能が開花。

1949年の映画「マハル」の一曲「アアイェガ・アアネワアラ(Aayega Aanewala)」で一躍メジャーヒットを果たしました。この時には既にラタは独自の歌唱スタイルを確立しており、確かに声の迫力は薄いですが、「ラタ・マンゲシュカルの歌」というのが出来ているのが分かります。

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2. 国民的歌手への道

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 1950年代からは売れっ子の歌手として著名な映画の曲を担当するようになり、1958年には映画「Madumati」の中の一曲「アアジャ・レ・パラデシ(Aaja Re Pardesi)」で「ベスト・プレイバック・シンガー」の賞を受賞しました。

この歌は声のボリュームと抑揚の迫力がすごく、20代の若さによる勢いと、早熟な技術の高さが結実したような作品です。

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1960年の映画「Mughal-e-Azam」の一曲「ピャル・キヤ・ト・ダルナ・キャ(Pyar kiya To Darna Kya)」は、その映像の美しさとダンスの凄さ、圧倒的なラタの歌唱力が伴い、未だにインド映画史の伝説的なシーンとなっています。

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この頃には既に国民的歌手となっていたラタは、1963年に起こった中印国境紛争に際し、インド国民を鼓舞する愛国歌「メイ・メア・ワタン・キー・ロゴ(ああ、私の祖国の人々よ)」を歌い、これを聞いた時の首相ネルーは涙したと言われています。

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1970年代も精力的に歌を歌い、1975年の映画「Kora Kagaz」の曲「ルーテエ・ルーテエ・ピヤ(Roothe Roothe Piya)」で国家賞を受賞しました。

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1974年には、ラタは「インドの20の言語でソロ、デュエット、コーラスの曲を25,000曲以上収録した」という記録でもって、ギネスブックの「Most Recording」の章で掲載されました。

 

1980年以降はシヴ・ハリやラム・ラクスマンといった音楽プロデューサーと仕事をし、「ズ_ズ・ズ(Zu Zu Zu)」や「フメイン・アウル・ジンネ・キ(Humein Aur Jeene Ki)」、「ワダ・ナ・トッド(Wada Na Tod)」といったヒット曲を輩出しました。

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3. 生ける伝説へ

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Author: www.bollywoodhungama.com

2001年、ラタはインドの民間人が授かることができる最大の栄誉賞「バラット・ラトナ」を受賞しました。これは歌手としては史上2人目の栄誉です。

彼女はその生涯で3つの国家賞と8つの映画賞を受賞しましたが、「若い歌手の育成のため」以降の受賞をしないことを宣言しました。

Wikipediaには「ラタ・マンゲシュカルが受賞した賞の一覧」というページすら存在します。

List of awards received by Lata Mangeshkar - Wikipedia

 

彼女は2017年現在も現役の歌手であり、精力的にライブを続けています。

 まさに不死鳥、生ける伝説なのです。

 

 

 

まとめ

ラタ・マンゲシュカルが歌った曲はあまりにも膨大すぎて、

他にも色々あるのですがあまりにもキリがないのでここでとどめておきます。

それにしても、1942年にデビューし、その7年後には人気になり、半生以上経った現在でも未だに現役の歌手とか、凄すぎませんか?

 しかも、彼女の名前を聞いたことがない人でも、一度は絶対あの独特の歌声を耳にしたことはあるという。インドどころか、人類の宝と言っても差し支えないのではないかと思います。

 ラタ・マンゲシュカルの歌はYouTubeにもごまんとありますし、CDでも聞けますので興味がある方はぜひどうぞ!

 

・ラタ・マンゲシュカルのCDはこちらから 

Bhajan Uphar-Jai Jai Naraya-Lata Mangesh

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Rough Guide to Bollywood Legend: Lata Mangeshkar

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 参考サイト

"Lata Mangeshkar Biography" THE FAMOUS PEOPLE 

"Lata Mangeshkar" Cultural India

Lata Mangeshkar - Wikipedia

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