歴ログ -世界史専門ブログ-

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正義のために悪を討つ!18世紀の「義賊」5選

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20世紀から時代をさかのぼってきました、義賊シリーズ。

カッコいい!20世紀の「義賊」5選

男の中の男! 19世紀の「義賊」5選

18世紀ともなると正確な記録がなかなか残っておらず、伝承や戯曲で語られた内容しか活躍を伝えるものがありません。

おそらく、かなり誇張されたり、正確に事実を伝えていないことも多いはずです。

ただ、当時の民衆の貧しさと支配階級に対する憎悪感、そして義賊に対する期待と賞賛を、ここから読み取ることができます。

 

 

 1. ユライ・ヤーノシーク(スロバキア)1683-1713

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スロバキアの民族的英雄

ユライ・ヤーノシークは、ハンガリー北部(現スロバキア領)出身の盗賊の首領。当時ハンガリーに吹き荒れていた反ハプスブルグ帝国の反乱に呼応して、盗賊団を率いて金持ちや貴族を襲い、金品を奪っては貧しい者に分け与えていました

スロバキアでは民族的英雄として、映画や小説の題材になっています。

治安部隊から盗賊稼業へ

1688年、現スロバキアのテルホヴァー村の生まれ。

ハンガリー王国内で、反ハプスブルグ帝国のラーコツィの独立戦争が勃発すると、ユーノシークは反乱軍に参加。

しかし反乱軍は破れたため、いったん故郷に帰って農民になりその後、ポヴァジエ地方のビトチャ城の治安部隊に従軍します。

ユーノシークはその城に収監されていた、盗賊のウチルホークと意気投合。

もともと堅気の仕事に向いてない人だったのでしょう。

ウチルホークの脱走を手引きし、自分も出奔して盗賊になってしまいます。

金持ちから奪い、貧乏人に分け与える

盗賊になったヤーノシークは山に入り、近辺を通りがかる金持ちを襲っては金品を奪い取ります。

奪った金品は、もちろん自分でも溜め込みますが、貧乏人に分け与えたり、若い女性に与えたりしたため、義賊として民衆から慕われるように。治安部隊の盗賊狩りが何度もやってきますが、その度に民衆によって助けれてピンチを脱します。

しかし、最終的に司祭殺害事件の濡れ衣を着せられ、死刑になってしまいます。

 

2. シンダーハンネス(ドイツ)1777 - 1803

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家畜泥棒をやって逮捕、すぐに脱走

シンダーハンネスは、ドイツ・ミエーレン生まれ。本名はジョン・バックラー。

もともと皮なめし職人の子弟でしたが、夜にこっそりと馬や羊などの家畜を盗んでは肉屋に密売して小遣いを稼いでいました。ある日とうとう見つかり、警察に逮捕されてしまいます。

1年ほど刑務所に収監されてしましたが脱走。当時フランスとドイツの国境地帯で治安部隊の手が届かない、ライン川両岸地帯に逃げ込みます。

当時、ライン川両岸地帯は無法者の巣窟のような状態になっており、シンダーハンネスも仲間とともに本格的に盗賊稼業を始めるようになります。

家畜泥棒から発展、押し入り強盗に

最初はかつてやっていたように、馬や羊を盗んで肉屋に密売していましたが、これでは実入りが少ないし部下も食わせれない、ということで事業拡大。

一度の犯行でごっそりと収穫がある、銀行家・大商人・実業家を狙い始めます。

当時の資産家の多くはユダヤ人でした。そのため必然的にユダヤ人が多く狙われました。

シンダーハンネスが人気があるのは、ドイツの民衆の中に根強くある、反ユダヤ感情と無関係でないのかもしれません。

脱獄してから約2年間暴れまくってしましたが、南ドイツのマイン=タウヌスで逮捕されます。2年間の拘留と尋問の末、ギロチンにかけられて殺されます。

 

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3. アレクセイ・ドゥブシュ(ウクライナ)1700 - 1745

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ウクライナの“ロビン・フッド”

ウクライナのロビン・フッドの異名を持つアレクセイ・ドゥブシュは、

当時支配者だったポーランド人に抵抗し、貧しい農民を助けた無法者として、ウクライナ人に人気がある人物で、戯曲や詩にその活躍が歌われている人物です。

ただ、彼の活躍が記録に残っているわけではなく、口頭の言い伝えや詩に伝承が残っている程度です。

  • ウクライナ・ボレキフ近郊の村の極貧農家の生まれ 
  • 兵士によって弟のイワンが殺害され、支配階級に対する抵抗運動を開始 
  • 50人の貧しい農民と共に山に籠もり、支配階級のモノを奪って貧乏人に分け与える
  • ポーランド軍が鎮圧軍を派遣。抵抗をする
  • しかし最終的に、圧倒的な力の前に屈し、殺されてしまう

YouTubeにウクライナのアレクセイ・ドゥブシュの映画のサマリがあったので貼付けておきます。


Oleksa Dovbush - Олекса Довбуш - YouTube

 

4. ルイ・マンドラン(フランス)1725 - 1755

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 悪徳徴税官と戦ったフランスの義賊

ルイ・マンドランは権力を背景に私腹を肥やす悪徳徴税官と戦ったことで、フランスの庶民に愛された男です。

当時、フランスでは塩、タバコ、農作物に対し課税がなされており、徴税官は政府の下請けとして王と合意しただけの税金を接収する役目でしたが、

王の権威を笠に、決められた以上の税金を奪い取って、余計に取った分はポケットに入れる悪徳徴税官が横行。庶民には蛇蝎のごとく嫌われていました

徴税官への復讐

マンドランはフランス・ボルドーの没落貴族の生まれ。 

徴税官とのもめ事で、兄弟が自殺に追い込まれたり、親友が船に乗せられたりする中で、マンドランは復讐を決意。

山賊を率いて徴税官の屋敷を次々と襲いモノを奪っては、タダ同然の値段で民衆に売りさばきます。

民衆は喜びますが、フランス政府はすぐにこのバーゲンを禁止。

徴税官たちはマンドランを捕まえるべく、彼の部下をカネで買収し、裏切らせた上で捕えることに成功。

マンドランは処刑され、遺骸はバラバラにされて曝されてしまいます。

 

5. アンジョリリョ(イタリア)1734 - 1784

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 貧しい農民に尽くした山賊

アンジョリリョは、本名をアンジェロ・ドゥッカと言い、イタリア南部のバジリカータ州の生まれ。 

バジリカータ州は栄養分の乏しい山岳地帯で、農民は概して貧しく、昔から食い詰め者やゴロツキが山賊になって、貧しい農民を襲う極貧の土地でした。

そんな中、アンジョリリョは封建領主への強盗を繰り返し、奪ったカネや羊を貧しい農民に分けて回ります

アンジョリリョの「人道的」な行為はヨーロッパで共感を呼び、「三銃士」の著者でもあるアレクサンドル・デュマにも賞賛されます。

英国の歴史学者ホブボズームはアンジョリリョをこう評しました。

おそらく、もっとも純粋な社会的動機に基づく強盗である。

しかし、バジリカータ州を抱える両シチリア王国のブルボン王朝は、被害にあう封建領主の意見を聞き入れ、アンジョリリョを捕えるべく策を練ります。

軍隊を派遣して待ち伏せしますが、その度にうまく逃げられてしまいます。

何度かの失敗の後、修道院に隠れている、というリークを元についに捕えることに成功

アンジョリリョは形式的な裁判にかけられただけで、すぐに絞首刑にされてしまいました。