どんなキャリア出身でも成功は可能、例え犯罪者であっても
以前、「刑務所にいながら世界を変えてしまった5人の男」という記事を書きました。
どっちかというと「世界奇人伝」のような感じで、天才がたまたま刑務所に入ってとてつもない偉業を成し遂げたお話でした。
才能ももちろんですが、熱意と継続する力は、普通の人を大成功に導く原動力になります。
例えそれが、元極悪犯罪者でムショに閉じ込められていた人間だとしても。
1. ダニエル・マンビル(アメリカ)
殺人犯 → 法律家
ダニエル・マンビルはミシガン州立大学で法律を教える大学教授ですが、彼は故意の殺人容疑で刑務所にブチ込まれていた元囚人でした。
彼は3年と4ヶ月の間刑務所にいましたが、その間に勉強をし2つのカレッジの単位を取得し、仮釈放後はロー・スクールにも進学しました。
猛勉強の末、ミシガン州とワシントンDCで司法試験に合格。念願の法律家になり、受刑者と看守の代弁者として、刑務所制度の改善に尽力しました。
大学でも引き続き、刑務所制度改善について学生らと共に提言を行っています。
2. ジェフ・ヘンダーソン(アメリカ)
Photo from Alchestron
ドラッグの密売人 → カリスマ・シェフ
ジェフ・ヘンダーソンはラスベガスでセレブが通い詰めるラグジュアリなレストランを管理するカリスマシェフ。
実は彼は若いころ、ロサンゼルスでドラッグを密売する売人で、19歳の頃には既に週に35,000ドルを稼ぐほど商売を手広く行っていました。
ところが逮捕され裁判の結果、言い渡されたのは禁錮刑十数年。反吐がでるような刑務所暮らしの中で、彼自身思ってなかった意外な才能が開花しました。
囚人の交替の当直の中で交替のメシ作りがあったのですが、ヘンダーソンは人一倍上手く、彼自身も料理の楽しさに目覚めてメキメキと腕を上げていった。
料理に目覚めてからは模範囚であったため、少し早い10年で釈放されました。
その後、ロサンゼルスの一流レストランの門を叩き、元ヤクの売人という履歴に苦労しながらも、ラスベガスにある一流レストラン「シーザーズ・パレス」の料理長にまで上り詰めました。
2001年にはラスベガスの「ベスト・シェフ」にも選ばれ、大成功を成し遂げたのでした。
彼は料理はもちろん、自分の生涯を語り若者たちの更生活動にも積極的に取り組んでいます。
以下の動画で、本人自身が生い立ちとシェフになった逸話などを語っています。
3. ラリー・ロートン(アメリカ)
Photo from "Ex-jewel robber seeks redemption through mentoring" Sun Sentinel
宝石泥棒 → 名誉警察官
この悪役プロレスラーみたいな面構えをした男が前から歩いてきたら、なるべく目を合わさないようにしたいものです。何の因縁を付けられてひどい目に合わされるか分かったもんじゃない。
ですがご安心を。このラリー・ロートンはれっきとした「名誉警察官」です。(本当の警察官ではない)
ただし彼は元々、全米に名を知られた悪名高き宝石窃盗犯でした。
一時はロートンはFBIの「No.1」の御用リストに入っていたほどの男ですが、逮捕されて禁錮刑12年を言い渡された。
刑務所勤めのある日、ロートンのムショ友達が監獄の中で自殺してしまう事件が起きた。ロートンは大変なショックを受け、彼を救うことができなかった無力感に苛まれた。
出所した後、ロートンは「ロートン911」という名のプログラムを立ち上げ、彼自身がかつて犯した過ちを犯さないように、若者たちの相談役に自ら成ったのです。
その活動が評価され、ロートは地元警察に「名誉警察官」として認定されたそうです。
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4. フランソワ・ヴィドック(フランス)
犯罪者 → パリ犯罪捜査局初代局長
フランソワ・ヴィドックは16歳の時にフランス軍歩兵連隊に入隊しますが、5年後に軍隊生活に飽きて除隊。その際に除隊証明を受けなかったため脱走兵となって、ムショにブチ込まれてしまいます。
その後10年の間、ムショとシャバを行ったり来たりし、あらゆる犯罪の手口やルートをつぶさに知り、パリの暗黒街の重役とも顔見知りになりました。
ヴィドックはその特異な経歴をパリ警察に買われ、裏社会の情報を警察に売る密偵となります。ここで彼が犯罪者時代に培った知識や人脈がフルに生き、大手柄を連発。
その功績が認められ、ヴィドックは国家警察パリ地区犯罪捜査局の初代局長に就任してしまいました。(この組織は後のパリ警視庁)。
彼の数奇な人生をモデルにして、2001年に「ヴィドック」というタイトルの魔法サスペンス映画が公開されています。
5. チョッパー・リード(オーストラリア)
Photo from Mark Chopper in My Space
メルボルンのゴロツキ → ベストセラー作家
また出てきました強面のオジサンです。全身タトゥーが入ってるし、よく見たら耳が無い。
チョッパー・リードはオーストラリア・メルボルン生まれで、若い頃からツッパっており、それが行き過ぎてドラッグの密売人となってしまいました。
武装強盗や裁判官の誘拐などで悪名を轟かせ、ムショとシャバを行ったり来たりしていました。
ムショにいる時、リードは試みに自分の犯罪の経験を元にして小説を書いてみました。
元々文才があったんでしょう、小説は大当たりしベストセラーとなりました。
ムショから出ると彼は一躍ベストセラー作家としてセレブリティの仲間入りを果たしており、2000年にはチョッパーの人生をモデルにした映画まで制作されました。
チョッパーは2013年に肝臓がんで死亡しましたが、出所してからはかつてのような狂犬っぷりは出さずに穏やかな生涯を過ごしたようです。
6. ポール・フォーテック(アメリカ)
カンザスのゴロツキ → 犯罪心理学者
犯罪心理学者ポール・フォーテックは、少年の頃に友人の財布を盗んだことがきっかけで盗難がクセになり、その後武器の密売などに手を染めていきました。地元のワルが行き着くトコまで行ったって感じです。
ところが、偽造小切手を作るグループに参加したことがきっかけで足がつき、逮捕されて連邦刑務所に送られてしまいました。
長いムショ生活のある時、父の死を知った。
フォーテックは嘆き悲しみ、それまでの自分の人生を大いに悔み、今後は真っ当に生きることを決意。
出所した後にシカゴで広告代理店を経営する傍ら、心理学の学位を取得。
友人らと市民を対象に心理カウンセラーを始めると、自分の経験と心理学の観点から述べられたアドバイスはすぐに評判になり、シカゴでもっとも著名な心理学者になりました。
その後、犯罪心理学の分野でも積極的に活躍し、地元の裁判制度の改善にも貢献する他、元犯罪者のセカンドキャリアの創成活動にも力を入れているそうです。
まとめ
もしかしたら大した才能はない人たちなのかもしれませんが、
「意志を継続することの大切さ」というのを教えてくれるような気がします。
個人的にあんまり根性論は好きじゃないのですが、信念を持って一つのことを継続してやっていくことは、その時間に比例して意義と価値を増していくものだと思います。
参考サイト
"10 Exemplary Tales Of Ex-Convicts Who Turned Their Lives Around" LISTVERSE
"Ex-jewel robber seeks redemption through mentoring" Sun Sentinel