歴ログ -世界史専門ブログ-

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ローマ帝国に抵抗したケルト族の指導者たち

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 ローマによる侵略からケルトを守るための戦い

現在の「ヨーロッパ」という地域概念の母体は、ご存知の通りローマ帝国にあります。

共和制ローマそして帝政ローマは、ケルト人が住む地域を制圧し、そこに文化的・経済的・社会的な統合をもたらしました。

後に様々に解体され国境は書き換えられ独自の文化が構築されていくものの、かつて統合された過去があるために、ヨーロッパという曖昧だけど何となく輪郭が見える地域として認識されるに至っているのですが、征服される側の先住民ケルト人の抵抗は凄まじいものがありました。

 自分たちの社会が他国に制圧され、システムの一部に組み込まれ、文化や宗教のみならず、連綿と受け継がれた血統が絶やされていくのは我慢がならなかったでしょう。

今回はそんなローマの侵略に抵抗した伝説的なケルトの族長たちをピックアップします。

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魔女裁判で裁かれた男たちの末路

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男もまた魔女の疑いで裁かれることもあった

史上悪名高い魔女裁判では、密告などで数万人の女性が裁かれた挙句殺害されたと考えられています。

「魔女」と言う通り、悪魔に通じる者は女性が多いと考えられていましたが、男性でも逮捕され殺害されることがありました。 

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日本軍による占領がフィリピン社会に与えた根深い問題

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悪い意味で何も変えなかった日本軍のフィリピン占領

太平洋戦争とその影響が語られる時、日本の社会や政治体制、人々の心の面がどう変わったか、あるいは変わっていないか、という面にフォーカスが当たる傾向が多いように思います。

それはそれで大事なのですが、日本がおっぱじめた戦争が、他の国々にどれくらい大きな影響を与えたかという視点で語られることはあまり無いように思います。

 あっても、「アジア解放に多大な貢献した」とか「住民を殺したり強姦しまくった」みたいな物事を単純化した見方ばかりです。

さて、日本軍のフィリピン占領は、実際のところフィリピン社会の土台を揺るがすような変化を何も起こすことはありませんでした。一方で戦後フィリピンの国の選択肢を狭め、国の有り様を決定づける結果になりました。

 

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老いてなお戦場に立った伝説の老将軍(後編)

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老いるまで戦場に生きた生粋の軍人たち

歴史にその名を刻んだ老将軍をまとめています。

前回は古代中国を中心に、以下の人物をピックアップしました。

  • 廉頗(戦国・趙国)
  • 王翦(戦国・秦国)
  • 蒙恬(戦国・秦国)
  • クィントゥス・ファビウス・マクシムス(共和制ローマ)
  • 黄忠(三国・蜀国)
  • アンドレア・ドーリア(ジェノヴァ共和国)
  • クロード・ルイ・エクトル・ド・ヴィラール(フランス)

ご覧になってない方はこちらよりどうぞ。

今回はヨーロッパ史を中心にまとめます。それではどうぞ。 

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老いてなお戦場に立った伝説の老将軍(前編)

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老兵は死なず只消え去るのみ

若き頃から戦場に生き、戦場をまるで我が家のごとく過ごし、老いてもなお第一線に立つ。「老兵」ってすごくカッコよく感じませんか? 

どっしりと腰を構えて軍議を聞く老将軍の姿もカッコイイし、馬に跨がって敵に立ち向かっていく老兵士もカッコイイ。

「老兵は死なず只消え去るのみ」と言ったのはマッカーサーですが、仲間の死を犠牲にして生き残り、戦場ではなく「引退」という形で消えていくという、戦いに生きた無骨な人間の生き様に胸が熱くなります。

今回は前後編で、超有名な世界史の「老将軍」をピックアップしてみたいと思います。 

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ベトナムの名将ヴォー・グエン・ザップの軍事戦略論

人民の戦争・人民の軍隊―ヴェトナム人民軍の戦略・戦術 (中公文庫BIBLIO S)

米仏を打ち破った伝説的な戦略・戦術家

ベトナムは現在は新興国の一翼として経済発展が著しい国ですが、かつては信じがたいほどの長い間の戦争を経験しました。

フランスへの抵抗運動、抗日闘争、インドシナ戦争、そしてベトナム戦争。

長く続く戦乱の中で、人々の安定と平和を望む強い意志がベトナム共産党という組織を媒介にして結集し、愛国の名の下に多くの犠牲を払ってとうとう大国アメリカとフランスを追い出してしまいました。

数多くの英雄の中でも際立つ存在が、ヴォー・グエン・ザップ将軍です。

将軍は史上名高いディエンビエンフーの戦いでベトナム軍を大勝利に導き、インドシナ半島からのフランスへの全面撤退を達成させました。

先日、将軍がいかにしてベトナム軍をゼロから成長させフランスを打ち破るまでの精強な軍に育て上げたかを記した「人民の戦争・人民の軍隊―ヴェトナム人民軍の戦略・戦術 (中公文庫BIBLIO S)」を読みまして、これが非常に面白かったの今回内容を紹介させていただきたく思います。

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1920年・アントワープオリンピック五輪旗紛失事件

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迷宮入りだった事件は、後年以外な展開へ…

オリンピックで使われる聖火は、歴代のオリンピックイベントで代々受け継がれていますが、オリンピックの旗も同じように代々受け継がれています。

現在は夏用と冬用のそれぞれ2つオリジナルの旗があり、冬用は1952年オスロ市寄贈のものが現在も使われており、夏用は1988年ソウル特別市寄贈のものが使われています。

実は夏用の初代旗はすぐに紛失しており、すぐに2代目の旗が作られたのが、後にとある老選手の告白により初代が発見されたのでした。

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中世東南アジアの大国・マジャパヒト王国の歴史

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Work by Gunawan Kartapranata

東南アジア島嶼部分の多くを支配した大帝国

現在のインドネシアは様々な民族や宗教が混在する多民族国家で、ジャワ人・ムスリムが主導する政府に対する反発や独立運動も少なからず存在します。

インドネシアの国土はオランダが支配した「蘭領東インド」が母体になっており、そのオランダを追い出した反帝国主義イデオロギーがになっているのですが、古代には現在のインドネシア国家に匹敵するほどの影響力を持った王国がありました。それがマジャパヒト王国です。

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