歴ログ -世界史専門ブログ-

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ベトナムの名将ヴォー・グエン・ザップの軍事戦略論

人民の戦争・人民の軍隊―ヴェトナム人民軍の戦略・戦術 (中公文庫BIBLIO S)

米仏を打ち破った伝説的な戦略・戦術家

ベトナムは現在は新興国の一翼として経済発展が著しい国ですが、かつては信じがたいほどの長い間の戦争を経験しました。

フランスへの抵抗運動、抗日闘争、インドシナ戦争、そしてベトナム戦争。

長く続く戦乱の中で、人々の安定と平和を望む強い意志がベトナム共産党という組織を媒介にして結集し、愛国の名の下に多くの犠牲を払ってとうとう大国アメリカとフランスを追い出してしまいました。

数多くの英雄の中でも際立つ存在が、ヴォー・グエン・ザップ将軍です。

将軍は史上名高いディエンビエンフーの戦いでベトナム軍を大勝利に導き、インドシナ半島からのフランスへの全面撤退を達成させました。

先日、将軍がいかにしてベトナム軍をゼロから成長させフランスを打ち破るまでの精強な軍に育て上げたかを記した「人民の戦争・人民の軍隊―ヴェトナム人民軍の戦略・戦術 (中公文庫BIBLIO S)」を読みまして、これが非常に面白かったの今回内容を紹介させていただきたく思います。

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1920年・アントワープオリンピック五輪旗紛失事件

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迷宮入りだった事件は、後年以外な展開へ…

オリンピックで使われる聖火は、歴代のオリンピックイベントで代々受け継がれていますが、オリンピックの旗も同じように代々受け継がれています。

現在は夏用と冬用のそれぞれ2つオリジナルの旗があり、冬用は1952年オスロ市寄贈のものが現在も使われており、夏用は1988年ソウル特別市寄贈のものが使われています。

実は夏用の初代旗はすぐに紛失しており、すぐに2代目の旗が作られたのが、後にとある老選手の告白により初代が発見されたのでした。

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中世東南アジアの大国・マジャパヒト王国の歴史

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Work by Gunawan Kartapranata

東南アジア島嶼部分の多くを支配した大帝国

現在のインドネシアは様々な民族や宗教が混在する多民族国家で、ジャワ人・ムスリムが主導する政府に対する反発や独立運動も少なからず存在します。

インドネシアの国土はオランダが支配した「蘭領東インド」が母体になっており、そのオランダを追い出した反帝国主義イデオロギーがになっているのですが、古代には現在のインドネシア国家に匹敵するほどの影響力を持った王国がありました。それがマジャパヒト王国です。

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有名な10枚の「未完の絵」とエピソード

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 完成した作品よりも心惹かれる未完の絵の数々

 当たり前の話ですが、絵は完成して初めて世に出て、売られて、飾られるものです。

ですがどういうわけか、未完の絵にも関わらず、世に出て評価され、高値で売られているものもあります。

 今回はなぜこれらの絵は未完で終わったのかとそのエピソードを見ていきたいと思います。

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歴史に名が残る超有名シェフ(後編)

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「世界を変えた」料理人たち 

歴史に名が残るほどの偉業を成し遂げた有名シェフをピックアップしています。

今回は後編。前編では

  1. アントナン・カレーム(フランス)
  2. オーギュスト・エスコフィエ(フランス)
  3. 忽思慧(元朝)
  4. 刘娘子(南宋)
  5. ジュリア・チャイルド(アメリカ)
  6. ジョセフ・ファヴレ(スイス)
  7. チャールズ・ランフォーファー(フランス)

を紹介しました。ご覧になりたい方はこちらよりどうぞ。

 それでは後編参ります。

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歴史に名が残る超有名シェフ(前編)

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Photo by Lynn Gilbert

料理の歴史にその名を刻んだ有名な料理人たち 

料理の歴史というのは体系化するのが本当に難しいと思います。

常に進化し続けているので、いつ・どこで・誰が・何をして・どうなったかの記録などほとんど残っちゃいない。 そこいらのおばさんやおっちゃんが考えたレシピが普及することなどザラなので、誰が発案者かといった問いは意味をなさないことが多いです。

そもそもカリスマ・シェフという存在自体が現代に生まれたものなので、料理人の名前を後世に残すということ自体ほとんどなされていないのですが、それでも歴史に名前が残っているシェフが存在します。

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インドネシア共和国からの独立を図った国々(後編)

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複雑にからむ民族と宗教、大国の利害…

インドネシアから独立しようとした国々の後編です。

前編では、主にインドネシア独立戦争の時に、オランダが共和国を封じ込めるべくジャワ島やその周辺に作った傀儡国家群を紹介しました。

  • 西スマトラ国
  • 南スマトラ国
  • 大東国→東インドネシア国
  • 東ジャワ国
  • パスンダン国

まだお読みでない方はこちらをご覧ください。

では後編に参ります。 

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北元の歴史 - 元王朝がモンゴル高原に撤退して以降

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 Photo by Al Jazeera English

明朝成立後も約280年モンゴルで続いた元朝

 1368年、元朝の順帝(トゴン・テムル)は明軍に追われて都の大都(北京)を脱出し、北方に逃れました。

これをもって華北は再び華人の天下となったのですが、北に逃れた元朝はその後も健在で、しばしば華北に攻め入り、明皇帝・正統帝を捕虜にする(土木の変)など、北方から明を脅かし続けました。

 1636年、後金国のホンタイジが諸部族から「モンゴリアの支配者」の称号を推挙され、後金が清朝に変更したことで元朝は正式に消滅しました。

そのあいだの280年間の元朝の歴史を見ていきたいと思います。

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