歴ログ -世界史専門ブログ-

おもしろい世界史のネタをまとめています。

歴ログ-世界史専門ブログ-は「はてなブログ」での更新を停止しました。
引き続きnoteのほうで活動を続けて参ります。引き続きよろしくお願いします。
noteはこちら

秘密のメッセージがあると噂される有名な絵画

f:id:titioya:20150620211352j:plain

画家が作品に残した秘密のメッセージとは

大ヒットした小説・映画「ダ・ヴィンチ・コード」 は、ルーブル美術館で起こった殺人事件をきっかけにレオナルド・ダ・ヴィンチが作品に残した秘密のメッセージを解き明かしていく、というテーマの作品で、関連書籍を含めて社会現象にまでなりました。

ダ・ヴィンチ・コードの内容が真実かどうかは知りませんが、確かに昔の絵というのは謎めいていて、実はこれには秘密のメッセージが込められているのではないか?と勘ぐりたくなる気持ちは非常によく分かります。ロマンがありますからね。

 世をひっくり返すほどのメッセージかどうかは置いといて、実際に画家が絵にパッと見ただけでは分からない意味を残すことはありました。

今回はそんな「秘密のメッセージ」が込められた絵画を集めました。

 

1. ボッティチェリ「プリマヴェーラ」

f:id:titioya:20150523161539j:plain

ボッティチェリの名作「プリマヴェーラ(春)」を知らない人はいないでしょう。男女が春の野で踊り喜ぶ様子を描いた絵ですが、この絵も色々な寓意的な意味があるとされています。

色んな説がある中で確実なことは、この絵の中にはメチャクチャ大量の植物が描かれている、ということです。

公式によると約200、数えようによっては約500もの異なる植物が描かれており、大部分はフィレンツェで3月から5月にかけて開花する植物。まるで植物図鑑のようです。この絵を見る時人は人物の描写と喜びに目が行きがちですが、周辺の小さな植物の多様さのほうが実は心を砕いて描かれているのです。

 

 

2. レオナルド・ダ・ヴィンチ「モナリザ」

f:id:titioya:20161217192219j:plain

未だに謎が多いレオナルド・ダ・ヴィンチの「モナリザ」。

この絵にまつわる様々な噂は耐えませんが、確実に言えることとしては、この絵にはいくつかの「アルファベット」と「数字」が描かれているということです。 

まずモナリザの右目には「LV」が描かれており、これはLeonardo Da Vinciの頭文字を取ったもの。左目にはCEかBが描かれており、はっきりとは分かっていません。

背景の橋には番号「72」か「L2」が描かれています。これは何を意味するかよく分かっていません。加えて149の文字も描かれ、これは1490年にダ・ヴィンチがミラノにいたときに描いたことを示しています。

いずれにしても何らかのメッセージがあるのですが、いかんせん500年前の絵画で損傷があり、鮮明に読み取ることができていません。

 

 

3. レオナルド・ダ・ヴィンチ「最後の晩餐」

f:id:titioya:20150620211352j:plain

冒頭のダ・ヴィンチ・コードの例にも漏れず、「最後の晩餐」は美術史上最大の謎を秘めた作品です。 

未だにこの絵の中に秘められた謎を解き明かそうと研究者たちは努力をしているのですが、その中でいくつか面白い結果が出ています。

例えば、情報技術者のSlavisa Pesci氏はオリジナルの絵の上に半透明の鏡を重ねてみました。

すると、テーブルの両端にはテンプル騎士団の騎士のように見える人物が出現し、キリストの左には赤子を抱いたような人物が浮かび上がってきます。

f:id:titioya:20161219002927p:plain

イタリアの音楽家ジョヴァンニ・マリア・パラ氏は、手とパンの位置が楽譜として解釈でき、右から左に読むと音楽を奏でることを発見しました。

今後も、色々な人がこの不思議な絵の解釈を進めていきそうです。

 

 

4. ゴッホ「夜のカフェテラス」

f:id:titioya:20161217183408j:plain

1888年に描かれた「夜のカフェテラス」は、ゴッホの代表作の一つ。

夜も人で賑わう南フランスのカフェを描いた作品で、町の活気と賑やかさに心が明るくなる作品なのですが、実はこの絵は「最後の晩餐」のオマージュであると言われています。

中央にいる長い髪のウェイター(?)を中心に、座った人物は12人。さらに中央の人物の上には十字架が描かれています。

実際の所ゴッホは大変信心深い男で、彼の父は牧師だったし、「宗教は世界に大いに必要なものである」と主張もしています。

 

5. ピエロ・ディ・コジモ「プロクリスの死」

f:id:titioya:20101129072136j:plain

アテナイ王エレクテウスの娘プロクリスは、夫ケパロスに浮気の疑いを持たれてケンカしてしまい、最終的には二人は和解するのですが、狩りの最中にケパロスは茂みの揺れを獣と勘違いして槍を投げ込んで妻プロクリスを殺害してしまう。妻を誤って殺害してしまうケパロスは己の運命を呪い嘆き悲しむのでした。

ピエロ・ディ・コジモの描いた「プロクリスの死」はこの時の様子を描いたものですが、左腕には槍ではなくナイフのような刃物で切った跡があるし、その左手は後方に曲がっています。解剖学的な見地では、これは頸部が切断された遺体によく見られるものらしく、実際プロクリスの首には傷があります。

そういった観点から言うと、ケパロスは偶然ではなく意図的にプロクリスを殺害したことにになります。

なぜピエロ・ディ・コジモがこのような描写をしたのか、詳しいことは分かっていません。

 

 

6. ディエゴ・リベラ「十字路の人物」

f:id:titioya:20161217184128j:plain

ディエゴ・リベラはメキシコが誇る偉大なる画家ですが、強烈な偏屈者で周囲とたびたび衝突しては問題を起こすのが常のような男でした。思想的には社会主義者で、一時はメキシコ共産党に入党しますが、ここでも周囲を衝突して離党してしまう。

 そんな彼がロックフェラー財閥の親玉ネルソン・ロックフェラーから仕事の依頼を受けた時に描いた問題作が「十字路の人物」。

十字路には「銀河と爆発する太陽」「細菌のクローズアップ」が描かれています。実はネルソン・ロックフェラーの父J.D.ロックフェラーは梅毒にかかっており、ここで描かれた細菌は「梅毒菌」なのです。

右側にはレーニンや、見切れていますが、マルクスなどの「正義の共産主義」が描かれ、左側は売春婦や侵略軍といった「悪の帝国主義」が描かれています。発注者がアメリカを代表する財閥であることを考えると、露骨にアメリカを侮辱した信じがたい「暴挙」です。

 

 

7.アーニョロ・ブロンズィーノ「愛の勝利の寓意」

f:id:titioya:20161217184353j:plain

アーニョロ・ブロンズィーノが描いた「愛の勝利の寓意」は、パッと見るだけだとヴィーナスとキューピッドが口づけするエロティックな絵なのですが、注目すべきは左で叫んでいる男。腕が膨らみ、爪が欠け、髪が抜けかけ、梅毒の症状が出現しています。

右で花を持つ子どもは、気付かずにバラの実に足を突き刺したようだが、気付かずにニコニコ笑っており、これも梅毒性脊髄症の症状を表しています。

愛と病気の熱狂を描いたのでしょうか。いずれにしても、狂った絵です。

 

 

8. フリーダ・カーロ「エル・オートバス」

f:id:titioya:20161217184817j:plain

 20世紀のメキシコの女性画家フリーダ・カーロが描いた「エル・オートバス」は、主婦、労働者、先住民の女性と子ども、ビジネスマン、そして少女であったカーロ自身がバスを待つ様子を描いています。

一行はこの後バスに乗り込み、しばらく走った後にトローリー車に突っ込むことになります。これはおぞましい事件起きる直前を描いた絵です。

カーロはこの事故から奇跡的に生還しますが、金属の手すりにぶつかりその後遺症に苦しみ、後の作品に頻繁に事故を匂わせるモチーフを描いています。

ブルーのシャツの労働者は、事故の後カーロの体に突き刺さった手すりを取り除いて助けてくれた男で、ハンマー(?)が手に握られています。

一方ビジネスマンの手に握られた袋の中に入っていたのは砂金で、この男は即死しましたが砂金が血まみれのカーロの体にこぼれ落ち光り輝いてたそうです。

 

 

9. ハンス・ホルバイン「大使たち」

f:id:titioya:20161217185557j:plain

 この絵は二人の大富豪のポートレイトですが、注目すべきは足元。

白い何かが左下から右上に伸びてますが、これは縦に引き伸ばした骸骨が描かれています。

f:id:titioya:20161220014158j:plain

大富豪は立派な身なりをし、富や地位の象徴である地球儀や外国製の品物を持っていますが、このように富を手に入れたとしてもいずれは死が訪れるのだ、とでも言いたかったのでしょうか。

 

  

10.ミケランジェロ「アダムの創造」

f:id:titioya:20141025205843j:plain

システィーナ礼拝堂に飾られているミケランジェロの「アダムの創造」は、この世で最も有名な絵の一つと言っていいと思います。人類の起源を象徴する非常に印象深い絵です。

この絵にも隠されたメッセージがあると言われ、アメリカの神経解剖学の専門家によると、この絵は脳の解剖学的イラストをモチーフにしていると言うのです。

f:id:titioya:20161219005507j:plain

Photo from Sabrology

脳の形がぴったり一致しますし、細かい脳のパーツも画像内に見出すことができます。

単なる偶然の可能性もありますが、ミケランジェロは17歳の時に教会墓地から死体を解剖する熱心な学生であったそうで、その時にスケッチした脳の解剖図を元に全知全能の神を描く下敷きにしたとしても不思議はなさそうです。

 

 

11. ミケランジェロ「預言者ゼカリヤ」

f:id:titioya:20161217192845j:plain

ミケランジェロは時の教皇ユリウス2世を蛇蝎のごとく嫌っていたそうです。

ユリウス2世は芸術の愛好者で、数多くの芸術家のパトロンになって絵を描かせてイタリア・ルネサンスを支えた人物で、ミケランジェロも彼の後押しを受けて様々な作品を残したのですが、芸術のことを何もわかっちゃいねえ糞ジジイくらいに思っていたのかもしれません。

ミケランジェロは預言者ゼカリヤの肖像をユリウス2世に似せて描き、またその後ろに2人の少年を描きました。

問題は後ろの少年のジェスチャー。中指と人差し指の間に親指を挟むのは、当時の「F*CK YOU」を意味しました。

ミケランジェロも陰湿ですね…。

 

 

12. ドメニコ・ギルランダイオ「サン・ジョバンニ・バッティスティの生涯」

f:id:titioya:20161219010833p:plain

 この絵には空中に浮かぶ謎の物体が映っています。

マリア様の左肩の上空に浮かぶ小さな塊。拡大したのがコレ。

f:id:titioya:20161219010950p:plain

太陽とも星とも違うけど、光を発しています。鈍い色をして金属で出来ているように見え、底が茶色いので多面的な構造をしているように見えます。

物体の下には、手のひらを目の上に掲げて物体を凝視している男の姿もあります。

これが何なのかまったくもって不明で、UFOだと信じる者もいるそうです。

UFOにしちゃデカすぎな気もしますけどね。

 

 

まとめ

韓非子に「郢書燕説(えいしょえんせつ)」という話があります。

郢の人が燕の宰相に送る手紙を書記に書かせていた時、暗かったので「燭(しょく)を挙げよ」と言った。書記は間違って「挙燭」と手紙に書いてしまった。手紙を受け取った燕の宰相は、この誤植の意味を解釈し「燭は明かりであるから、明(めい)をあげよという意味で、真意は賢明な人を登用せよということである」と燕王に説明した。燕王は納得し、人材登用に努めたので国が安定した、という故事です。

それを書いた当の本人は何ともなく書いたのに、受け取った人が意味を拡大解釈してしまうということです。こういうことって普通の生活の中でも往々にしてあるような気がします。

今回紹介した絵画の中には、確かに意図的に意味が含まれているものもありますが、中には「作者が想像もしていなかった」解釈が後世にされているものもあるような気がします。

 

 

 

  

名画の謎 旧約・新約聖書篇 (文春文庫)

名画の謎 旧約・新約聖書篇 (文春文庫)

 

  

参考サイト

"10 paintings with hidden meanings" the telegraph

"10 Famous Paintings with Hidden Codes" oddee

"10 Great Works Of Art With Incredible Secret Meanings" LISTVERSE

 

PR