歴ログ -世界史専門ブログ-

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【予測】2050年 日本は再び侵略戦争を起こす(?)

The Next 100 Years: A Forecast for the 21st Century

 "THE NEXT 100 YEARS"の衝撃的な予測

「THE NEXT 100 YEAR」はジョージ・フリードマンという人によって著された本で、2009年初版。

これには21世紀以降、世界の国々がどのような進路を歩むかを、

これまでの歴史や経済、国内・国際状況を踏まえた上で予測しています。表紙には、

2050年、トルコ・ポーランド・日本が、アメリカと国際戦争を起こす。

と記されています。

おいおい、ちょっと待て。穏やかじゃないな。ゆっくり中身を見てみようじゃないか。

 

"The Next 100 Years"について 

本編に入る前に、この本"The Next 100 Years"について、簡単に説明しておきます。

作者ジョージ・フリードマンは、ストラトフォー(STRATFOR)という、アメリカのシンクタンクのCEO。ストラトフォーは、「影のCIA」と言われることもあるらしく、少なからずアメリカの国防・外交政策にも影響があるようです。

イントロダクションでフリードマンは「この本は予言書ではない」と断り書きを入れています。「地政学、科学技術、人口統計、文化、軍事、それらを元に起こりそうな未来を予測した」のがこの本だ、とのこと。

ニューヨークポストやブルームバーグ、サンアントニオ・エクスプレスなど、メディアからも賞賛されている本です。

それでは、本の内容をざっとサマってみましょう!

2010年 テロとの戦いが終わり、米露の第二次冷戦が勃発

アメリカのイスラム原理主義組織との戦いは、2010年を区切りに収束に向かう。

代わりに、台頭してきたロシアと第二次冷戦が勃発するであろう。

ロシアは東ヨーロッパに対して影響力を行使しようとし、アメリカと衝突する。

2015年 ポーランドが地域覇権国家に

アメリカは東ヨーロッパと同盟を強化する。

その中で、ポーランドが近隣のチェコ、スロバキア、ハンガリー、ルーマニアを率い、地域覇権国家として成長する。

2020年 ロシア連邦と中国が崩壊・分裂 

ロシアは、急速な人口減とインフラの不備が原因で、かつてソ連が歩んだように、いくつかの国に分裂して急速に弱体化する。

同じ頃、中国は急速な経済発展に伴って地域主義が台頭し、中央政府の力が弱まって、崩壊はしなくとも、連邦制国家のような形になる。

そのことにより、チェチェンやチベット、台湾が独立。

また、日本が大陸に影響力を行使し始める。

 2030年 トルコ、ポーランド、日本が台頭

アメリカの支援の元で、トルコ、ポーランド、日本が地域覇権国家として台頭する。

トルコはイスラムの盟主として中東地域のリーダーになる。ロシアの弱体化にともなって、東にも影響力を広げる。

ポーランドは引き続き、東ヨーロッパのリーダーとなる。ヴォルガ川流域の覇権を巡って、トルコと衝突するかもしれない。

日本はこれまでの内向きの外交政策を一新し、拡張政策をとるであろう。中国沿岸部、ロシア極東、太平洋の島々に影響力を行使し始める。

2040年 親米同盟 VS 反米同盟の緊張

力を付けたトルコと日本は、次第にアメリカに歯向かうようになる。

新興2国は、ドイツ・メキシコとともに反米同盟を結成する。

アメリカは、ポーランド、再建中の中国、インド、イギリス、統一朝鮮と同盟を結ぶ。

2050年 第3次世界大戦勃発

2050年11月24日午後5時、トルコ・日本同盟はアメリカに宣戦布告。第3次世界大戦が始まる。ドイツ・フランスは、トルコ・日本同盟に参加。

アメリカは、ポーランド、イギリス、インドと連合して戦う。

戦争の初期は、トルコ・日本同盟が優勢となるが、次第に連合国が巻き返し始め、連合国の勝利に終わる。

その後、トルコと日本は国際的な枠組みのもと、軍備が厳しく制限され、地域に持っていた覇権を全て奪われる。

そんな中、ポーランドが著しく成長。東ヨーロッパの枠を超えた活動が目立つようになるため、アメリカは仇敵トルコと同盟し、ポーランドの押さえ込みにかかる。

2070年 メキシコがアメリカに宣戦布告

連合国の勝利によって、再びアメリカは繁栄を取り戻す。

が、一方でメキシコも有数の経済大国となっている。アメリカ南部に住むメキシコ系アメリカ人は、アメリカ南部のメキシコによる統治を望むため、メキシコはアメリカに宣戦布告をする。

ポーランド、ブラジルは積極的にメキシコを応援する。戦局は泥沼化し、22世紀まで戦いは続く。

 

まとめ

うーん・・どう思いますかこれ?

中国とロシアが弱体化し、その力を埋めようと周辺の国が台頭してくる、という理屈は分かるのですが。

個人的には、そもそもそんなに簡単に中国とロシアが崩壊するようには思えません。逆にこの2国が覇権を拡大していく流れに進んでいます。

あと、日本の噛ませ犬っぷりも酷すぎる。

 

読んでてとてもワクワクする本ではあるのですが、やっぱりアメリカ人らしく、

「U・S・A!U・S・A!」なんですよね(笑)

アメリカを善として悪の国々が戦いを挑んでくる、みたいなキリスト教的発想でアメリカの政策が決まっているとしたら、恐ろしい話です。

 

興味ある方はぜひ、原本を読んでみてください。高校生程度の英語力であればきっと読めます。