アジアで最初に作られたアニメは中国製
日本はアニメ大国として世界に名を馳せていますが、実はアジアで最初に長編アニメを作った国は中国(正確には中華民国)です。
タイトルは「铁扇公主」、日本だと「西遊記 鉄扇公主の巻」として知られています。
制作年は1941年。作ったのは、ウォン兄弟(ウォン・ライミン、ウォン・グチャン)です。
中国の国威発揚が目的
ストーリーは西遊記の中の燃えつづける山「火焔山」の一幕ですが、
要所要所で、三蔵法師は「耐えて打ち勝つこと」や「仲間との団結」を訴えています。
当時は日中戦争まっただ中。
ウォン兄弟はこの映画を通じて中国国民を鼓舞し、中国人全員で団結して日本に打ち勝とう、と訴えたのです。
日本もそのフィルムを入手し、1943年に一般公開されました。
当時の海軍はこれに対抗し、『桃太郎 海の神兵』という国威発揚のための長編アニメーションを制作しています。
日本漫画・アニメに与えた影響
日本漫画界の父と言われる手塚治虫が、幼い頃に鉄扇公主を見ていたと言います。
直接手塚治虫が鉄扇公主から影響を受けたかどうかは不明ですが、鉄扇公主があったために日本の漫画・アニメ業界が活気づいたことは否定できません。
鉄扇公主フルバージョン
YouTubeに鉄扇公主のフルバージョンが上がっていたので、貼付けておきます。
結構ぬるぬるとキャラクターが動いて、見ていて気持ちいいです。
子ども向けのアニメなので、中国語や英語が分からなくても内容が理解できます。
Princess Iron Fan 鐵扇公主 (1941) Cartoon / Anime subs English sub - YouTube
火焔山のふもとにやってきた三蔵法師一行。
火焔山の火はとても激しく、とうてい消せそうにない。
羅刹女のもとに、炎を消せる芭蕉扇を借りにいくことに。
ところが羅刹女は孫悟空を見て、敵だと言って激怒。
芭蕉扇を仰ぐと大風がふいて孫悟空は吹き飛ばされてしまう。
風で飛ばされた先にいた霊吉菩薩からもらった秘薬を飲んだ孫悟空は、いくら仰がれても飛ばされない。
気味悪がった羅刹女は家に閉じこもってしまう。ふとお茶を飲んだら、その中には虫に化けた孫悟空が。
お腹の中であばれる孫悟空。
苦しむ羅刹女。
降参した羅刹女は、孫悟空に芭蕉扇を渡す。
しかしそれは偽物だった。仰ぐと、消えるどころかさらに火が燃え上がってしまう。
猪八戒は、羅刹女の夫・牛魔王に化けて屋敷に侵入。
羅刹女をだまくらかして芭蕉扇を手に入れる。
意気揚々と引き返した猪八戒は孫悟空と再開。
しかし実はそれは孫悟空に化けた牛魔王だった!
三蔵法師のもとに泣き帰った猪八戒は、引き返そうと言うが、三蔵法師は団結することと、困難に打ち勝つことの大切さを訴えます。
それに心を打たれた農民たちが孫悟空たちに参加。牛魔王の家を打ち壊します。
ついに牛魔王との戦いに。
孫悟空たちは牛魔王を、農民たちの仕掛けた罠に追い込む。
怒った牛魔王は巨大化。
孫悟空は牛魔王の脳天を如意棒で小突く。
そうすると牛魔王は、巨大な牛に。
突進してくる牛魔王を農民の仕掛けた罠に追い込む。
大木の間に挟みこむことに成功!
降参した牛魔王は妻の羅刹女に、孫悟空に芭蕉扇を渡すように言う。
とうとうホンモノの芭蕉扇を手に入れた。
扇を仰ぐと、雨が降ってきて火焔山の火は消えた。
そして無事、旅を続ける三蔵法師一行であった。