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【2023年12月版】世界史関連の新刊50冊

2023年度最後の新刊紹介

四半期恒例の世界史関連新刊の紹介です。

今回は2023年10月~12月の世界史関連新刊紹介です。

新書・文庫・選書・学術書

全15冊あります。個人的な注目は

バロック美術 西洋文化の爛熟 (中公新書)

自動車の世界史 T型フォードからEV、自動運転まで (中公新書)

仏教の歴史 いかにして世界宗教となったか (講談社選書メチエ)

です。

ケマル・アタテュルク オスマン帝国の英雄、トルコ建国の父 (中公新書)

は購入して既読です。

 

1.『キリストと性』

岡田温司著/岩波新書/10月20日発売/定価1122円

今日、キリスト教は性に対して厳格、保守的であるといわれる。しかしキリスト教の長い歴史にあって、キリストは性をめぐって、じつにさまざまな姿で語られ、描かれてきた。ときに「クィア」と形容される性的嗜好を先取りし、ときにジェンダーをめぐっても攪乱されていく。人々の豊かな想像力が育んだ西洋美術の実相に迫る。

 

2.『ケインズ 危機の時代の実践家』

伊藤宣広著/岩波新書/10月20日発売/定価1034円

第一次大戦の戦後処理、金本位制復帰問題、大恐慌――。「パンフレットを風に吹きとばし」時論を展開する必要に迫られた危機の時代の実践家ケインズを描く意欲作。ミクロ的に合理的でもマクロ的に正しいとは限らない「合成の誤謬」となる政治的決断に抗い続け、マクロ経済学の誕生を告げる『一般理論』に至った苦闘を追う。

 

3.『バロック美術』

宮下規久朗著/中公新書/10月23日発売/税込1375円

西洋文化の頂点、バロック様式。17世紀を中心に花開いたバロックの建築・彫刻・絵画は、ルネサンス期の端正で調和のとれた古典主義に対し、豪華絢爛で躍動感あふれる表現を特徴とする。本書は、カラヴァッジョ、ルーベンス、ベルニーニ、ベラスケス、レンブラント、フェルメールらの代表的名作を網羅。美術史上の位置づけ、聖俗の権力がせめぎ合う時代背景など、バロック美術の本質を読み解く。カラー写真200点以上。

 

4.『ケマル・アタテュルク』

小笠原弘幸著/中公新書/10月23日発売/税込1375円

トルコ建国の父、ムスタファ・ケマル(1881~1938)。オスマン帝国が西欧列強からの脅威にさらされるなか救国の英雄として活躍し、帝国崩壊後はトルコ共和国を建国し大統領に就任する。民族主義と世俗主義を掲げて新国家の建設を進めたケマルは、議会からアタテュルク(父なるトルコ人)という姓を与えられた。今なお国民から敬愛される彼の実像を、愛する家族や、戦いを共にした同志との人間模様を交えて活写する。


5.『物語 江南の歴史』

岡本隆司著/中公新書/11月30日発売/税込1100円

「中国」は古来、大陸に君臨した北方「中原」と経済文化を担った南方「江南」が分立、対峙してきた。湿潤温暖な長江流域で稲作が広がり、楚・呉・越の争覇から、蜀の開発、六朝の繁華、唐・宋の発展、明の興亡、革命の有為転変へと、江南は多彩な中国史を形成する。北から蔑まれた辺境は、いかにして東ユーラシア全域に冠絶した経済文化圏を築いたのか。中国五千年の歴史を江南の視座から描きなおす。


6.『自動車の世界史』

鈴木均著/中公新書/11月20日発売/税込1056円

19世紀末、欧州で誕生した自動車。1908年にT型フォードがアメリカで爆発的に普及したのを機に、各国による開発競争が激化する。フォルクスワーゲン、トヨタ、日産、ルノー、GM、現代、テスラ、上海汽車――トップメーカーの栄枯盛衰には、国際政治の動向が色濃く反映している。本書は、自動車産業の黎明期から、日本車の躍進、低燃費・EV・自動運転の時代における中国の台頭まで、100年の激闘を活写する。

 

7.『ホモ・サピエンスの宗教史』

竹沢尚一郎著/中公選書/10月10日発売/税込2860円

人間にとって宗教とはなにか。宗教はどのように生まれ、人間とその社会にどのような影響を与えてきたのか。宗教は人間がつくった営みだという観点に立って、人類史と宗教史を一体把握する試み。


8.『ケネディという名の神話』

松岡完著/中公選書/10月10日発売/税込2090円

ケネディ個人やケネディ家ばかりでなく、アメリカの政治や社会、世界の動きにも目を配りつつ、現代史を彩る大きな神話の創成―維持―拡大の道筋を明らかにする。

 

9.『世界史の中の戦国大名』

鹿毛敏夫著/講談社現代新書/10月19日発売/税込1210円

ポルトガルインド総督に使節を派遣した大友氏。アユタヤ国王との接触を図る松浦氏。カンボジアとの「国交」樹立を目論む島津氏。さらには天正遣欧使節や伊達政宗による慶長遣欧使節。あるいは、その本拠地で花開いた国際色豊かな「コスモポリタンシティー」──国の「王」として、狭い冊封体制の枠組みを越え、東南アジアから南アジアへ、そしてヨーロッパへと、対外活動を地球を俯瞰する広範囲へと拡大してゆく戦国大名たち。日本史の文脈を越え、世界史のコンテクストの中から見えてくる、戦国大名のこれまでとはまったく異なった新たな姿を提示する。


10.『仏教の歴史 いかにして世界宗教となったか』

ジャン=ノエル・ロベール著/講談社選書メチエ/11月09日発売/税込1650円

インドで誕生した仏教は、いかにして世界に広まったか。その鍵は、ユダヤ教やキリスト教、イスラム教など他の一神教とは異なり、仏教は現地の言語に翻訳されることを積極的に認めたことにある。本書の著者、ジャン・ノエル・ロベール氏によれば、仏教が中国に伝播するのは、同じインド・ヨーロッパ語族のユーラシア西部に伝わるよりもずっと困難だったはずだという。
チベット、モンゴルから中国、朝鮮、さらに日本へ、また、東南アジアやヨーロッパでは全く別の姿を見せながらも「仏教」としてひとつのまとまりを見せる「世界宗教」の変遷と広がりを、フランス屈指の東洋学者が平易に解説する。
なお著者は、日本語、中国語はもちろん、チベット語、サンスクリット語、ラテン語、ギリシャ語など多くの言語に通じ、日本仏教の研究などにより、2021年、第3回日本研究国際賞を受賞している。
チベット文献学の第一人者で、著者と旧知の今枝由郎氏が翻訳し、充実した訳注と解説を付した。巻末には関連年表、索引も完備。著者による「日本語版のための序文」も掲載。


11.『レオナルド・ダ・ヴィンチ 伝説と実像と』

片桐頼継著/講談社学術文庫/10月12日発売/税込1518円


「天才」と呼んだ瞬間に見えなくなる、本当のすごさがわかる!
絵画・彫刻・建築・土木・軍事……多岐にわたるその仕事は、しかしほとんどが未完に終わった。
彼が生きた同時代において、その名声はかならずしも高いものではなかった。
後世にも驚異をもたらすその着想は、実は彼一人の独創ではなく、先達の知見を踏まえてのものだった。
では「天才」というのはまったくの虚像だったのか?
いや、そうではない。
現代の美術史研究による精緻な分析によって、まったくあらたな、一人の類い希なる表現者の姿が立ち上がる!
「フレスコ画を描かない画家」だったということにはじまり、ルネサンス期のイタリア各地を転々とする、苦闘と挫折に満ちた創作の人生を追いながら、神格化されたレオナルド像の向こうにある、真価を見いだそうとする試み。
夢想家〈ファンタジスタ〉レオナルド・ダ・ヴィンチの実像をたずねる、スリリングで発見に満ちた探究の美術史!


12.『ドラキュラ・シンドローム 外国を恐怖する英国ヴィクトリア朝』

丹治愛著/講談社学術文庫/11月09日発売/税込1441円


急成長を遂げた周辺国からの侵略恐怖、増加する貧窮移民の不安、友好国へのぬぐいがたい不信、新たな感染症の脅威……「ドラキュラ」の恐怖と魅力の源泉には、黄昏を迎えた大英帝国の外国恐怖症があった。ゴシック・ホラーの金字塔に織り込まれた、ヴィクトリア朝イギリス社会の闇を描き出す!
世界でもっとも有名な吸血鬼「ドラキュラ」。
数ある吸血鬼作品のなかでも特権的な地位を得て、現代に至るまで映像化が繰り返され、日本では吸血鬼の代名詞にもなっています。
そのドラキュラの恐怖と魅力の源泉には、19世紀末イギリス社会に蔓延する深刻な外国恐怖症がありました。
「太陽の沈まぬ帝国」、「世界の工場」と謳われた栄光は過ぎ去り、軍事・経済ともに急成長を遂げつつある周辺国からの侵略恐怖、増え続けるユダヤ人など貧窮移民への不安、搾取してきたアジアの植民地から入ってくる新たな感染症の脅威……。
落日の大英帝国に生きる人々は心の奥底で何を恐れ、そしてドラキュラは生みだされたのか。
『パンチ』などに掲載された風刺画をふんだんに使いながら、ゴシック・ホラーの金字塔から読み解く世紀末ヴィクトリア朝の社会!

 

13.『食卓の世界史』

遠藤 雅司(音食紀行)著/ちくまプリマー新書/11月7日発売/1012円

地理的条件、調理技術、伝統、交易の盛衰、権力の在り方――。「料理」を通してみると、歴史はますます鮮やかに。興味深いエピソードと当時のレシピで案内する。


14.『ローマ人の世界 ─社会と生活』

長谷川博隆著/ちくま学芸文庫/10月5日発売/1540円

古代ローマに暮らしたひとびとは、どのような一日を過ごしていたのか? カルタゴなどの故地も巡りつつ西洋古代史の泰斗が軽妙に綴る。解説 田中創

 

15.『Q1061 ウクライナの地政学』

エマニュエル・アルマンドン著/白水社/10月24日/税込1540円

1991年の独立以降、ウクライナが直面した重要な段階を描き、ロシア、EU、NATOとの関係がどう変化したかを明らかにする。

 

企画本

特定のテーマにトピックを当てた企画本・選書です。リーズナブルな価格で専門的でおもしろい切り口の内容の書籍が読めます。

 

16.『ラダックを知るための60章』

煎本孝,山田孝子著/明石書店/9月30日発売/税込2200円

かつてインド領チベット、あるいは西チベットとも呼ばれたラダックは、ヒマラヤ山脈中のラダック王国として成立、千年後の現在もインド連邦直轄領としてその独自性を誇っている。本書は厳しい自然に対峙しているラダックとそこにいきる人びとの営みを紹介する。

 

17.『増補改訂版 図説 オーストリアの歴史』

増谷英樹,古田善文著/ふくろうの本/11月27日発売/税込2420円

ウィーンやハプスブルク家だけでは語り尽くせない、多層的で光と影が混じり合うその歴史を、多数図版とともに解説。ウクライナ問題を含む、この10年の動きを追加した増補改訂版。

 

18.『地図で読む戦争の時代[増補新版]』

今尾恵介著/白水社/11月14日/税込2310円

蛇行を繰り返す線路、不自然な円形の区画、広大な空き地。当時の地図から戦争の痕跡を探る。朝鮮、満洲、台湾、サハリンの地図も掲載

 

19.『ヴィクトリア朝ロンドンの日常生活』

マイケル・アルパート著/原書房/11月27日発売/税込2640円

発展と荒廃を飲み込んだ世界都市ロンドンで、今日からあなたが生きていくためのノウハウを専門家が案内。何を食べてどう稼いでいたのか、どんな事件があったのか、一般市民の目線でたどったユニークな一冊。


20.『シリアルの歴史』

キャスリン・コーネル・ドラン著/原書房/11月21日発売/税込2530円

コーンフレーク、グラノーラ、ポリッジ......朝食のシリアルは、どのようにして誕生し、普及したのか。1万年前の中東で小⻨が食べられはじめた時代から、19世紀の朝食シリアル推進運動を経て、シリアルが築いた健康と文化。


21.『古代ギリシアの日常生活』

ロバート・ガーランド著/原書房/11月17日発売/税込2640円

今日から古代ギリシアで生きていくためのあらゆるノウハウをこの一冊に。日々の生活作法はもちろん、当時ならではの身分や教養、そして緊急事態の対応まで幅広くわかりやすくユーモアを交えて「歩き方」を案内。

 

22.『沈没船からみる世界の歴史』

アラン・G・ジェイミソン著/原書房/11月20日発売/税込4180円

深海に眠る大きなタイムカプセル、沈没船。近年、技術の進化に支えられた発見が相次ぎ、歴史に新たな光を当てている。交易船、豪華客船、軍艦、巨大タンカーなど、なにもかもを飲み込む広大な海から、人類の歴史の一滴を探る。

 

23.『アーサー王最後の戦い 普及版 (普及版)』

ローズマリ・サトクリフ著/原書房/11月14日発売/税込1650円

サトクリフ版〈アーサー王物語〉三部作完結編! アーサー王、王妃グウィネヴィアとランスロットの愛と葛藤。そして、アーサーの不義の息子モルドレッドの憎しみ。栄華をきわめたログレスの国に、いま、壮絶な最後の戦いがはじまる…  2001年4月刊の普及版。

 

24.『一冊でわかるエジプト史』

山崎世理愛,五十嵐大介著/河出書房新社/11月28日発売/税込1870円

エジプトとはどういう国か。その歴史を図やイラストを使いながらわかりやすく、ていねいに描く。コラム「そのころ、日本では?」「知れば知るほどおもしろいエジプトの偉人」も役に立つ。

 

25.『世界史のリテラシー ユダヤ人は、いつユダヤ人になったのか - バビロニア捕囚』

長谷川修一著/NHK出版/11月10日発売/税込1100円


あなたは今のイスラエル問題の起源を知っていますか? 世界の今を解くカギは、すべて歴史の中にある――。誰もが一度は耳にしたことがある「歴史的事件」と、誰もが疑問を抱く一つの「問い」を軸に、各国史の第一人者が過去と現在をつないで未来を見通す新シリーズの第4弾! 世界中で長い期間にわたって迫害されたユダヤ人。なぜ彼らは迫害されたのか? そして彼らはいつから存在し、なぜ世界の各地に散らばっていたのか? さらには迫害のなかで、いかにして自分たちのアイデンティティを保つことができたのか? 紀元前の中東で半世紀以上にわたって拘束された「バビロニア捕囚」をキーワードに、神と聖書とユダヤ人、その関係の謎に迫る。

 

お手頃の専門書

4,000円以内で買える専門書をこのカテゴリに入れています。

 

26.『新版 貧困とはなにか』

ルース・リスター著,松本伊智朗監訳/明石書店/10月31日発売/税込3300円

近年、貧困の概念は重要度を増している。その理解のためには不安定な状況・関係性にある人々を、他者化により人間性を奪われた存在として認識することが不可欠だ。最新の研究成果に基づき再分配、承認と尊重・敬意の統合されたポリティクスを説く名著改訂版。

 

27.『日本軍の治安戦』

笠原十九司著/岩波書店/12月15日発売/定価1760円

治安戦とは、占領地、植民地の統治の安定を確保するための戦略、作戦、戦闘、施策の総称である。日本軍が行った治安戦(三光作戦)の過程を丹念に辿り、加害の論理と被害の記憶から実相を浮彫にする。解説=齋藤一晴。


28.『パリの「敵性」日本人たち』

藤森晶子著/岩波書店/12月13日発売/定価2420円

1944年8月パリ。ナチから解放されると一転、「敵性」外国人となった日本人たちがいた。逃げ延びた人もいれば、収容所送りになった人もいた。愛するフランスに行き場をなくした彼らは何を想い、どう生きたのか。連行される初老男性の写真をきっかけに、公文書を手掛かりとして記された稀有な歴史ドキュメンタリー。


29.『岩波講座 世界歴史 第2巻 古代西アジアとギリシア ~前1世紀』

荒川正晴 ほか編集委員10名/岩波書店/11月29日発売/定価3520円

人間の社会や経済、都市や国家はいかに形成されたのか。考古学の最新知見に基づき、西アジア・エジプト・ギリシアの諸地域を相互の影響関係に着目しながら論じることにより、地中海から中近東にいたる古代世界の新たな像を提供する。


30.『岩波講座 世界歴史 第24巻 二一世紀の国際秩序』

荒川正晴 ほか編集委員10名/岩波書店/10月27日発売/定価3520円

1990年代以降現在に至る世界の変容を描く、本講座の最終巻。新自由主義と密接に結びついたグローバリゼーションが進むなか深刻化する地球環境問題、国内的・国際的な格差、さまざまな紛争や内戦と大量の難民、排外主義、そして民主主義をめぐる角逐など、地球社会が直面する多面的な危機を、歴史的な視点から検討する。

 

31.『アジア人物史〈第7巻〉近世の帝国の繁栄とヨーロッパ』

姜尚中総監修/集英社/11月27日発売/税込3960円

イスマーイール1世、スレイマン1世、エヴリヤー・チェレビー、アクバル、ザビエル、豊臣秀吉、光海君、李舜臣、李滉、李珥、鄭成功、康熙帝、黄宗羲、ダライラマ6世、ニャウンヤン王、他。

 

32.『情報・通信・メディアの歴史を考える』

貴志俊彦,石橋悠人,石井香江編/山川出版社/11月25日/税込1980円

情報・通信・メディアの歴史を考えることは、産業や技術の発展だけでなく、情報の役割や影響を歴史的な出来事に結びつけて解析することができる点で重要です。情報や通信技術は、社会や文化の変化を促し、歴史の転換点を生み出す要因となることがあります。たとえば、戦争や政治の決定、文化の変容、経済の発展などは、情報や通信の発展と密接に関連しています。
また、最後の座談会でも話し合われていますが、情報通信の歴史を学ぶことで、現代社会や未来の社会における情報通信の役割や可能性についても考えることができます。人工知能の発展など、情報技術の進化は急速に進んでおり、これによって今後も人間の役割や社会の変化がもたらされるでしょう。歴史的な事例をもとにして、情報技術が人間社会に与える影響を予想し、それに対する対応策を考えることができるかもしれません。ただ、今後の情報技術の発展によって、コンピュータそのものが形骸化し、時代遅れになる可能性も考えられます。
情報・通信・メディアの歴史を考えることは、歴史学の視点から現代社会や未来社会を見つめ直し、人間の役割や社会の進化を考えるうえで重要な学習の一部であるといえるのです。

 

33.『失われた〈重商主義〉の探求』

塩見由梨著/白水社/10月27日/税込3740円

マルクスによって発見され、ケインズに見出された重商主義者ステュアート。スミス以降かき消された商業・利潤・貨幣の根源的世界へ。
 

34. 『デリダのハイデガー講義を読む』

亀井大輔,長坂真澄編著/白水社/10月27日/税込4400円

『存在と時間』などハイデガーの哲学から、「脱構築」はどのように生まれたか? デリダによる読解の革新性を解明するガイドブック。


35.『ビザンツ帝国 生存戦略の一千年[新装版]』

ジョナサン・ハリス著/白水社/10月17日/税込4730円

不利な条件下にありながら、なぜ長きにわたり存続できたのか。おもな皇帝と印象的なエピソードを軸に、対外関係からビザンツ史を語る 

 

36.『変容するインドネシア』

小川忠著/めこん/12月10日発売/税抜3200円

日本は、政治、安全保障、テロ対策、投資・貿易、インフラ整備、環境、防災、高齢化への対応、文化創造等、様々な分野で、インドネシアとパートナーシップを磨いてゆくことで、未来を切り拓いてゆける。そのためには、パートナーについてもっと知り、理解することが求められているのだ。ところが「台頭するインドネシア」「身近になるインドネシア」の現実に、日本社会の一般的なインドネシア認識はついて行けていない。
 少なからぬ経済専門家が、30年先インドネシア経済は世界トップ10に仲間入りしていると予測している。国際コンサルティングのPwCは、2050年インドネシアのGDPは、10.5兆米ドルで中国、インド、米国に次いで世界4位に躍進すると予測する。世界第4位の2億7223万人の人口を擁し(2020年国勢調査)、国民の平均年齢は29歳と若く、消費意欲も旺盛で国内市場は拡大し、経済成長に有利な勤労世代の人口増が続く「人口ボーナス」のある国として、インドネシア経済の実力を評価する。他方、2050年日本のGDPは6.77兆米ドルで、世界ランキングを現在の3位から8位にまで落としている。前述の4ヵ国に加えて新興国ブラジル、ロシア、メキシコにも抜かれるという見立てだ。30年前の絵空事は、30年後には現実のものとなるかも知れない。

 

37.『東大塾 現代イスラーム講義』

沢井実著/東京大学出版会/9月27日発売/4400円

イスラームとはなにか? 世界で約20億人いるといわれているムスリム。アフリカ大陸から中東、中央アジア、そして東南アジアなど、世界の成長センターとなりつつある地域に広く影響力のあるイスラーム。その本質を思想・歴史・宗教・文化など第一線の研究者がやさしく解説する。最新のイスラーム入門。

 

 

38.『農の世界史 』

マーク・B・タウガー著/ミネルヴァ書房/12月8日発売/税込3520円

農業は、世界史上の文明に先行し、その前提となるものであった。農民たちは文明に、そして自然環境に対して、「二重の従属」を強いられつつも両者の接点として奉仕してきた。本書は、古代から二一世紀にいたるまでの間、農民と都市文明、農民と環境の関係がいかなる変化をたどったかを概観する。さらに、現代における地球温暖化や環境汚染、農民の減少等のあらたな問題群にも歴史的展望を与えることで、直面する危機の克服を目指す。

 

39.『家族の世界史』

メアリー・ジョー・メインズ,アン・ウォルトナー著/ミネルヴァ書房/12月8日発売/税込3080円

本書は、紀元前一万年以降の、文化を超えて長期にわたり展開してきた家族史を読み解く書。家族を物語の中心に据えたときに、世界史はどのように見えるのか。時代的・空間的な多様性に焦点を当て、出産・性別役割分業・配偶者の選択など、時代や地域ごとの家族生活を描き出すとともに、それぞれの文化が家族生活を営むために独自の方法をいかにして見出してきたかを探求する。

 

40.『マゼラン船団世界一周500年目の真実―大航海時代とアジア』

大野拓司著/作品社/11月2日発売/税抜2970円

日本も巻き込まれた西欧の大航海時代について、著者はアジアの視点から新事実を掘り出している。大航海時代と日本についての洞察も、じつに興味深い。――保阪正康氏推薦!(ノンフィクション作家)

いまから500年前、グローバリゼーションの嚆矢となった、マゼランたち。
なぜ彼らは、東アジアにむかったのか、そして、遭遇してしまったフィリピンの人々は、どう彼らを迎えたのか。
膨大な記録・資料の調査、現地取材をもとに、丁寧に解きほぐされる“真実”。

 

41.『韓国建国に隠された左右対立悲史-1945年、26日間の独立』

吉倫亨/吉永憲史著/    ハガツサブックス/11月4日発売/税抜2500円

韓国人新聞記者が迫った、南北の分断と対立の起源。
これが韓国現代史に横たわった悲劇の源泉だ――!

1945年8月15日。戦争が終結し、半島に脅威を与えていた国々がその手を離した瞬間があった。
独立国家の建国に向けて動き出した朝鮮半島は、なぜ南北の分断と対立を引き起こしたのか。
朝鮮半島が「悲劇の結末」を迎えるまでの26日間を、韓国人新聞記者が迫った。

――1945年8月15日、日本降伏の知らせを聞いた朝鮮人は、この地に統一された独立国家を作るための建国プロジェクトを始めた。建国準備委員会が結成される解放当日から米軍が京城(現在のソウル特別市)に進駐する9月9日まで、朝鮮民族は外国の「直接介入」なしに自ら運命を決定することができる貴重な機会を得た。本書はこの26日間の話と、そこ潜む韓国現代史の起源を探るドキュメンタリーだ。――(第1章「はじめに」より)

 

42.『穀物の世界史―小麦をめぐる大国の興亡』

ネルソン,スコット・レイノルズ著/日本経済新聞出版/10月14日発売/税込3630円

歴史に登場した数々の帝国の興亡を理解するためには、穀物が通った道を、川沿い、港と港のあいだ、そして海を越えてたどる必要がある。歴史家のスコット・レイノルズ・ネルソンは本書において、こうした穀物の道を支配するための争いが、世界のパワーバランスにどのような変化をもたらしたかを明らかにしている。19世紀初頭より帝政ロシアは、ウクライナの黒海に面したオデーサの活況を呈する港を通じて、ヨーロッパの大部分に食糧を供給していた。しかし、アメリカ南北戦争の後、大量のアメリカ産小麦が大西洋を渡ってヨーロッパに押し寄せるようになり、食糧価格は急落した。安価な外国産穀物は、ドイツとイタリアの台頭、ハプスブルク家とオスマン帝国の衰退、そしてヨーロッパ各国による勢力圏の争奪戦に拍車をかけ、第1次世界大戦とロシア革命が勃発する決定的な要因となった。国家の盛衰に説得力ある新たな解釈を加えた本書は、大国同士が鎬を削るなかにあって、穀物の支配が比類のない力を示してきたことを物語っている。

 

高額専門書

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43.『清末中国の法制近代化と日本人顧問』

熊達雲著/明石書店/11月09日発売/税込5940円

法制近代化が急務であった清末中国は、人材育成と法案起草のため日本人顧問を招聘した。これまで注目度が低かった松岡義正に焦点を当て、彼が中国初の民事訴訟法の起草に果たした役割とその後の中国の法学教育に与えた影響を膨大な史料を照合し明らかにした労作。

 

44.『第三帝国全史 上 ヒトラー 1933ー1939』

フランク・マクドノー著/河出書房新社/11月28日発売/税込7920円

ヒトラー政権の始まりから、ベルリン陥落までの13年間を、残されたあらゆる情報源から事実を積み上げ圧倒的スケールで描き出す!上巻はポーランド侵攻まで。貴重図版112点掲載。

 

45.『ドイツ国民の境界 近現代史の時空から』

水野博子,川喜田敦子編/山川出版社/11月27日発売/税込6050円

本書の目的は、ドイツ語圏における「境界」の生成と作用について具体的な事例をもとに検討し、「多層性」や「曖昧性」、「排他性」と「包摂性」 という境界のさまざまな特性が表出する場面とその背後にある論理をそれぞれの歴史的文脈に沿って抽出することにある。それにより、「境界」を生きた人々 の歴史に接近しつつ、伸縮自在で可変的なドイツ語圏の歴史の一端を描き出すことができるであろう。これは、「国民国家」を思考の前提とするのではなく、 むしろ国家の存在を所与のものとしない、それ自体複数のドイツ人、ドイツ国民の社会や思想の歴史を追う試みであるといえる。

 

46.『ヴェトナム(上)』

マックス・ヘイスティングス著/白水社/10月31日/税込5940円

戦場で何があったのか、戦闘に至る歴史的背景と政治的思惑、その結果もたらされたものを冷徹な筆致で描いたノンフィクションの白眉。

 

47.『民主主義の人類史 何が独裁と民主を分けるのか?』

デイヴィッド・スタサヴェージ著/みすず書房/11月16日発売/税込5500円

「わたしたちが今どこにいて、これからどこへ向かうのかを理解するためには、視界を広げてデモクラシーのディープ・ヒストリー deep history に目を向ける必要がある……わたしが疑問に思ったのは、なぜヨーロッパは中国や中東と比べて根本的に異なる政治軌道をたどってきたのか、ということだった……皮肉なことだが、ヨーロッパの後進性こそが、近代デモクラシーの起こる基盤となったのである……」(本文より)
ニューロン族や中央アフリカなどの初期デモクラシー(民主)を、古代中国、メソポタミア、アステカのオートクラシー(専制)と比較することで、民主主義が生き残る条件を探求。さらには、なぜ初期デモクラシーがアングロ-アメリカにおいて近代デモクラシーに変質したのかを明らかにする。
壮大な人類学的スケールで民主主義の変貌を定量的に分析し、デモクラシーの未来をも描き出す。


48.『統一国家なき国民 もう一つのドイツ史』

ディーター・ランゲヴィーシェ著/みすず書房/11月16日発売/税込3960円

ドイツは統一国家の建設が遅れたため国民意識の醸成も遅れ、ゆえにドイツ人は「遅れてきた国民」と呼ばれてきた。それは、ヨーロッパ諸国の歴史は国民国家の建設に向かって進んでいたという長らく主流の座にある歴史理解に基づいている。しかし、それは本当に適切なのだろうか?
本書はニッパーダイ(「初めにナポレオンがいた」)、ヴェーラー(「初めには何の革命もなかった」)、ヴィンクラー(「初めにあったのは帝国であった」)による三大通史への対抗構想。統一国家なき国民の一体感こそがドイツ史の伝統であり、それは神聖ローマ帝国の連邦主義に発する――ドイツ史研究の最前線を凝縮した小著に、現代ヨーロッパ史に比較政治学の視座から取り組んできた研究者による詳細な訳注と解説を付す。


49.『歴史をどう書くか カルロ・ギンズブルグの実験』

上村忠男著/みすず書房/11月10日発売/税込5500円

わたしたちが生きているのは「歴史なき時代」である。資本主義社会が自動制御装置を備えたハイパーリアルなシステムへと変貌するなかで、「歴史感覚」や「歴史意識」はノスタルジーとされる。歴史学はいかにして現実に接近できるのか。そもそも歴史はどのようにすれば書かれうるのだろうか。
答えを求めて、著者は現代イタリアを代表する歴史家のカルロ・ギンズブルグが試みてきたさまざまな「実験」に着目する。ギンズブルグはみずからの探求と推理の過程を隠さずに語りつつテクストを織りあげてきた、歴史の実務家にして理論家なのだ。
フィクションの語りと歴史の語りは区別できないとする《表象の歴史学》への批判。出発点でなく到達点から光を受け取って真実をめざし進んでいくエッセイという方法。証拠は現実への「開かれた窓」なのか、接近を閉ざす「壁」なのか。《徴候解読》《美術鑑定と歴史学》《イーミックとエティック》《IT時代の文献学》などの鍵概念が深みと広がりとともに読み解かれる。
歴史からは限界の意味を学ぶことができるとギンズブルグは言う。だれもが盲点を内包した地平の中で動いているが、「実験」は、さまざまな問いの光に照らしだされ、つねに再開されうる、と。
第三章付録に新訳の「わたしはアルナルド・モミリアーノから何を学んできたか」(ギンズブルグ)を付す。40年以上にわたり読者・訳者・解説者として併走してきた著者の二冊目のギンズブルグ論。


50.『フォルモサ・イデオロギー 台湾ナショナリズムの勃興 1895-1945』

呉叡人著/みすず書房/11月1日発売/税込6050円

17世紀以来の漢族系移民の入植地であり、清帝国の省であった台湾は、日清戦争後に日本へ割譲され、51年にわたりその植民地支配下に置かれた。本書は、植民地台湾において、ナショナリストたちがいかにしてその空間を自らのネーションとして想像するにいたったのか、それがなぜ祖国復帰を目指す中国ナショナリズムではなく「台湾ナショナリズム」として発展したのかを、その領域的基盤の形成とイデオロギー形成の両面から論じるものである。
日本の植民地主義は、地理的、人種的、文化的に近接する人々を支配し、国民的共同体に従属的に包摂することを目指すものであった。西洋への反動として生じた明治以来の日本の国民国家形成の延長であったそれは、西洋によって再び植民地化されることへの恐怖に囚われていたがために、植民地臣民に同化を迫りつつも、差異を保ち、自らの優越性を維持する必要があった。それは、類似性と差異性を恣意的に操作し、周縁の人々を東洋化することで自らの東洋化に抗う〈東洋的植民地主義オリエンタル・コロニアリズム〉であった。
しかし台湾人をして「弱小民族」としての共通の運命を自覚せしめ、台湾を一個のネーションとして想像させたのは、日本の両義的で差別的な包摂にほかならなかった。1920年代に生じた自決的民族の想像は、その後の反植民地闘争や台湾人内部での論争を通じて、洗練された〈フォルモサ・イデオロギー〉として分節化されていった。
台湾ナショナリズムの原点を探る、著者の里程標的論考。

 

まとめ

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