歴ログ -世界史専門ブログ-

おもしろい世界史のネタをまとめています。

【2023年6月版】世界史関連の新刊50冊

今期は企画本が多いです

2023年4月~6月の世界史関連新刊紹介です。

本記事はざっと流し読みをして気になる本をメモしていただくか、ブックマークして書店を訪れた際に見返すかして使っていただけるといいかと思います。今回も50冊あります。

新書・文庫・選書

安価に楽しめる新書、文庫、選書。今期はかなりバリエーション豊かなです。

これは私買いました。

唐―東ユーラシアの大帝国 (中公新書)

物語 チベットの歴史-天空の仏教国の1400年 (中公新書 2748)

 

これらは買う予定です。

中華を生んだ遊牧民 鮮卑拓跋の歴史 (講談社選書メチエ)

ブルゴーニュ公国の大公たち (ちくま学芸文庫 カ-56-1)

階級とは何か (ちくま学芸文庫 エ-20-1)

 

1. 『中華を生んだ遊牧民 鮮卑拓跋の歴史』

松下 憲一著 講談社選書メチエ 2023/5/15 税込1,870円

中国の歴史は、統一王朝時代と分裂時代の繰り返しである。そして、漢族と北方遊牧民との対立と融合の歴史でもある。なかでも、秦漢帝国が滅亡した後の「魏晋南北朝時代」は、それまでの「中華」が崩壊し、「新たな中華」へと拡大・再編された大分裂時代だった。この「中国史の分水嶺」で主役を演じたのが、本書の主人公、拓跋部である。
拓跋部は、モンゴル高原の騎馬遊牧集団・鮮卑に属する一部族だった。3世紀、部族国家を築いて歴史に登場し、386年には拓跋珪が北魏王朝を開いて、五胡十六国の混乱を治めた。
北魏では、皇太子の母が死を賜る「子貴母死」や、亡き父の妃を息子が娶るレビレート婚など、遊牧社会の伝統を残しつつ、雲崗・龍門の石窟寺院で知られる仏教文化や、名君・孝文帝の漢化政策により文化の融合が進み、「新たな中華」が形成された。北魏の首都・洛陽の平面プランは、唐の都・長安に受け継がれ、さらに奈良・平城京へともたらされるのである。
北魏は6世紀に東西に分裂するが、その後、中国を統一した隋王朝、さらに大唐帝国の支配層でも拓跋部の人々は活躍し、「誇るべき家柄」となっていた。「夷狄」「胡族」と呼ばれた北方遊牧民の子孫たちは中国社会に溶け込みつつも彼らの伝統を持ち込み、「中華文明」を担っていったのである。

 

2. 『軍と兵士のローマ帝国』

井上 文則 著 岩波書店  2023/03/17 税込1,056円

古代世界において繁栄を極めたローマは、一方では、対外戦争や内乱を繰り返す戦闘姿勢の国家であり、兵士が皇帝位をも左右する軍事体制の国家であった。建国から西ローマ帝国滅亡まで、軍隊と政治・社会との関わりを多角的に追跡、兵士たちの生涯にも光をあてて新たなローマ史を描き、その盛衰をユーラシア史のなかに位置づける

 

3.『唐―東ユーラシアの大帝国』

森部豊 著 中公新書 2023/3/22 税込1,210円

六一八年、李淵(高祖)が隋末の争乱の中から、唐を建国。太宗、高宗の時代に突厥・高句麗を破り、最盛期を築く。武則天、玄宗の治世は国際色豊かな文化を生み、大帝国の偉容をほこった。安史の乱以降は宦官支配や政争により混乱し、遊牧勢力と流賊の反乱に圧され、九〇七年に滅亡した。本書では、歴代皇帝の事績を軸に、対外戦争、経済、社会制度、宮廷内の権謀術数を活写。東ユーラシア帝国二九〇年の興亡を巨細に描く。

 

4.『物語 チベットの歴史 天空の仏教国の1400年』

石濱裕美子 著 中公新書 2023/4/20 税込990円

古代に軍事国家だったチベットはインド仏教を受容、12世紀には仏教界が世俗に君臨する社会となった。17世紀に成立したダライ・ラマ政権はモンゴル人や満洲人の帰依を受け、チベットは聖地として繁栄する。だが1950年、人民解放軍のラサ侵攻により独立を失い、ダライ・ラマ14世はインドに亡命した。チベットはこれからどうなるのか? 1400年の歴史を辿り、世界で尊敬の念を集めるチベット仏教と文化の未来を考える。

 

5.『エルサレムの歴史と文化 3つの宗教の聖地をめぐる』

浅野和生 著 中公新書 2023/5/24 税込1,100円

ユダヤ教やキリスト教、イスラム教の聖典に描かれ、史跡が数多く残る古都エルサレム。今も世界中から巡礼が訪れる。その文化は、古代イスラエル王国が興った紀元前一〇〇〇年ごろから現在まで、諸民族の激しい攻防をくぐり抜け、受け継がれてきた。本書は、貴重な現地写真など一五〇点以上の図版と共に、「聖なる都市」の唯一無二の魅力を紹介。聖地の起源を物語るエピソードを随所に交え、美術館を巡るように街を探訪する。

 

6.『海のアルメニア商人』

重松 伸司 著 集英社新書 2023/4/17 税抜1,050円

有史以来、アルメニアは次々と勃興する帝国のはざまで侵略を受け、「ディアスポラ(離散)」という運命に晒されてきた。
離散したアルメニア人たちは、近世のユーラシア大陸では「陸の巡回商人」として活躍していたが、近代になると「海の商人」に変貌し、インド・東南アジアを経て、香港や上海、日本にまで到来していたことが調査により明らかになった。
彼らは各地でどのようにコミュニティを築き、いかに生き抜いてきたのか――。
インド、マレーシアなどでの資料収集、墓碑調査、インタヴューをもとに、アルメニア商人たちの姿をアジア交易の視点から鮮やかに描き出す。

 

7.『シリーズ歴史総合を学ぶ 3 世界史とは何か 「歴史実践」のために』

小川 幸司 著 岩波新書  2023/06/20 税込1,100円

教員七年目、松本サリン事件の現場から近い高校に転勤した著者が生徒たちと模索した教育実践、歴史総合の授業を充実させるための作戦(方法)を経て、学習指導要領の内容とはかなり異なる授業プラン、「世界史の学び方一〇のテーゼ」まで。国民国家とは何かを掘り下げ、世界史とは何かを探究し、自分を磨く特別授業。

 

8.『一神教全史 上 ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の起源と興亡』

河出書房新社 大田 俊寛 著 2023/05/29 税込1,342円

そもそも宗教とは何かと問いつつ、一神教の歩みを辿る宗教思想史講義。古代ユダヤ社会における一神教発生から、キリスト教の展開、ローマ帝国の興亡、イスラム教の形成、十字軍までを描く上巻。

 

9.『一神教全史 下 中世社会の終焉と近代国家の誕生』

河出書房新社 大田 俊寛 著 2023/05/29 税込1,342円

そもそも宗教とは何かと問いつつ、一神教の歩みを辿る宗教思想史講義。スコラ学から、宗教改革、近代国家の形成、アメリカ合衆国成立、ナチズムの世界観、イスラム主義の興隆までを描く下巻。

 

10.『沈黙の勇者たち―ユダヤ人を救ったドイツ市民の戦い―』

岡典子 著 新潮選書 2023/5/25 税抜1,925円

ナチスが1943年6月に「ユダヤ人一掃」を宣言した時点で、ドイツ国内に取り残されたユダヤ人はおよそ1万人。収容所送りを逃れて潜伏した彼らのうち、約半数の5000人が生きて終戦を迎えられたのはなぜか。反ナチ抵抗組織だけでなく、娼婦や農場主といった無名のドイツ市民による救援活動の驚くべき実態を描き出す。

 

11.『K−POP現代史 ─韓国大衆音楽の誕生からBTSまで』

山本 浄邦 著 ちくま新書 2023/04/05 税込946円

いま世界を席巻するK‐POPは、いかにして生まれたのか?植民地支配下における韓国大衆音楽の誕生から、隣国日本との歴史的葛藤、「韓国といえば演歌」の時代、社会に議論を巻き起こしたヒップホップ、民主化、経済危機、IT化、「戦後最悪の日韓関係」の中で花開いたK‐POPブーム、そして力強いメッセージ性とアイドル性を兼ね備えたBTSの世界的成功まで、激動の一〇〇年の情勢を押さえつつ、今日に至るジャンルと国境を越えたダイナミックな発展を通史的に論じる。

 

12.『隣国の発見 ─日韓併合期に日本人は何を見たか』

鄭 大均 著 筑摩新書 2023/5/16 税込1,870円

日韓併合期に朝鮮に暮らした日本人は、その自然や文化に何を見たのか。安倍能成、浅川巧ら優れた観察者のエッセイを通じて、朝鮮統治期に新たな光を当てる。

 

13.『ブルゴーニュ公国の大公たち』

ジョゼフ・カルメット 著 田辺 保 翻訳 ちくま学芸文庫 2023/5/10 税込1,980円

フィリップ・ル・アルディ(豪胆公)、ジャン・サン・プール(無怖公)、フィリップ・ル・ボン(善良公)、シャルル・ル・テメレール(突進公)。これら四人のヴァロワ朝ブルゴーニュ公こそ、中世末期、ヨーロッパ世界において広大な領土の獲得と燦然と輝く文化的達成を現出させた人々にほかならない。彼らの営為によってあらわれる公国の個性とは何か。ホイジンガの『中世の秋』に比肩すると言われる本書は、博捜と実証をもとに、大公たちの生涯と事績、そしてついに成し遂げられなかった夢を光彩陸離たる筆致で叙述する。ブルゴーニュ公国の歴史を包括的にまとめた書として今も揺るぎない地位を占める名著。

 

14.『階級とは何か』

スティーヴン・エジェル 著 , 橋本 健二 翻訳 ちくま学芸文庫 2023/04/10 税込1,320円

マルクスとウェーバーから、現代における展開まで。階級理論の基礎を、社会移動・経済的不平等・政治にも目配りしつつ、総覧する類書のない入門書。

 

 

企画本

特定のテーマにトピックを当てた企画本・選書です。リーズナブルな価格で専門的でおもしろい切り口の内容の書籍が読めます。

 

15.『躍動するゲイ・ムーブメント』

石田 仁 編著 明石書店 2023/04/10 税抜2,500円

雑誌、パレード、クラブカルチャー…今につながるシーンを創った人びとの半生とは。「口述」「解説」の2本柱で日本におけるゲイの運動・経済・文化の来歴を明らかにし、貴重な記憶も書き留めた。語り手=南定四郎、マーガレット(小倉東)、ケンタ

 

16.『カンボジアを知るための60章【第3版】』

上田 広美,岡田 知子, 福富 友子 編著 明石書店 2023/04/05 税抜2,000円

「アンコール遺跡」「貧困」「戦争」といった、固定したイメージで語られることの多かったカンボジアはいまグローバルな国に変貌した。新進気鋭な研究者を新たに執筆陣に迎え、豊富な資料とともに、経済・文化・社会に関する最新の情報を盛り込む、最新のカンボジア入門書。

 

17.『人類三千年の幸福論』

ヤマザキ マリ 著 集英社 2023/5/10 税込1,760円

繰り返されるパンデミック、戦争、格差社会……。
ホモ・サピエンスは三千年間、まったく変わっていない!?

漫画家・文筆家・画家のヤマザキマリが、大英博物館の「マンガ展」担当キュレーターで美術史家のニコル・クーリッジ・ルマニエールを相棒に、歴史をひもときながら現代社会を明るく生きるヒントを探る、対談&エッセイ集。

 

18.『世界の移民歴史図鑑』

フィリップ・パーカー 編,本村 凌二 監,小林 朋則 訳 原書房 2023/04/21 税込6,380円

5万年以上前のアフリカ出発、大陸の横断、海の移動、帝国の拡大、迫害と追放、交易など、人類の移動がどのように歴史を形成してきたのか、6つの年代ごとに写真や図版、移動ルートを示す地図を用いて解説する。索引付き。

 

19.『経済の流れと仕組みでわかる人類の1万年史』

フィリップ・コガン 著, 花田 知恵 訳 原書房 2023/05/18 税込3,080円

人類が営々とつむいできた「生産」と「交換」、そして「開発」と「発展」の変遷を通じて俯瞰した経済・社会・政治・文化の統合史を、『エコノミスト』誌のジャーナリストがわかりやすく身近な例を挙げながら案内。未来へのヒントもたっぷり詰まった一冊。

 

20.『地図とデータで見る現代都市の世界ハンドブック』

シャルロット・リュジェリ 編, 太田 佐絵子 訳 原書房 2023/05/23 税込3,080円

未来の都市はどうなっているだろう? 世界人口の半数強が都市部で暮らす今、都市空間は21世紀の戦略的課題のひとつとなっている。政治、経済、文化において重要な機能をもつ都市を90以上の地図・グラフ・表で解説する。

 

お手頃の専門書

4,000円以内で買える専門書をこのカテゴリに入れています。

岩波講座世界歴史が続々と出てますね。実は私あまり追いついてなくて、途中まで買ってましたが積読になってます。早く追いつかないと!

 

21.『スカートと女性の歴史』

キンバリー・クリスマン=キャンベル 著, 風早 さとみ 訳 原書房     2023/04/24 税込    3,850円

二〇世紀に流行した10の有名なスカートのスタイルを取り上げ、流行の背景と女性の社会進出、女らしさの定義の変遷を明らかにする。ファッションが映し出す時代の価値観、ジェンダー、アイデンティティとは。

 

22.『南北アメリカ研究の課題と展望』

住田 育法,牛島 万 編著 明石書店 2023/03/31 税抜3,000円

南北ともに激動の時代を迎えているアメリカをテーマに、米国研究者・ラテンアメリカ研究者が双方の歴史的、社会的経験を共有し、米国の普遍的な価値観とその受容、および、南北アメリカのマイノリティの問題を、幅広い視点から論ずる。

 

23.『岩波講座 世界歴史 第10巻 モンゴル帝国と海域世界 12~14世紀』

岩波書店 2023/04/27 税込    3,520円

「初期グローバル化」としてのモンゴル帝国の成立・展開と海域世界を扱う。帝国の拡大に伴い、陸上と海上の複数のルートを通じて西アジアと東アジアの人的・物的・文化的交流が急速に進んだ。多民族・多言語・多宗教が共存する大帝国の構造と周辺地域へのインパクトを探る。ジェンダー史、環境史の可能性にも言及。

 

24.『岩波講座 世界歴史 第15巻 主権国家と革命 15~18世紀』

岩波書店 2023/03/24 税込    3,520円

中世と近代のはざまにある近世ヨーロッパは、複数の時間の流れる、地域差を抱えた空間だった。ルネサンスからフランス革命まで約350年にわたる西欧と大西洋の歴史を概観し、政治・経済・宗教・学問において起きた諸革命の実相、戦争や商業活動を通して生じた主権国家・国際関係の形成過程を、変化と連続を共に跡づけつつ描く。

 

25.『岩波講座 世界歴史 第19巻 太平洋海域世界 ~20世紀』

岩波書店 2023/05/30 税込    3,520円

今からおよそ三〇〇〇年前、人類が地球上で最後に足を踏み入れ、適応と改変を重ねてかたち作ってきた太平洋とその島々。考古学、移民/植民、ジェンダー、そして日本とのかかわりといった多彩な切り口でこの太平洋海域世界に迫り、「歴史・歴史学のいとなみとは何か」という大きな問いを再考する。

 

26.『岩波講座 世界歴史 第23巻 冷戦と脱植民地化Ⅱ 20世紀後半』

岩波書店 2023/06/29 税込    3,520円

二二巻とセットで、冷戦期を中心に二〇世紀末までを扱う。本巻では経済、文化、宗教のダイナミズムが、政治と絡み合いながら世界史の動因となった過程を概観する。環境問題、新自由主義の台頭、高度経済成長の下、人々の生活はどう変わったのか。社会主義諸国家の模索、マイノリティ運動、福祉国家とジェンダー観の変容など。

 

27.『アジア人物史 第10巻 民族解放の夢』

集英社 2023/3/24 税込4,400円

「アジア」と名指される広大な領域を、東西南北、古代から21世紀へと、縦横無尽に駆けめぐる。
現代のアジア史研究の第一人者である編集委員たちと、東洋史研究の伝統を継承した人々が、古代から21世紀までを展望し、圧倒的個性を掘り起こす!

「月報」エッセイ・上野千鶴子

尹致昊/金マリア/李載裕/魯迅/張愛玲/林献堂/カルティニ/
カマラーデーヴィー・チャットパディヤーイ/オリガ・レベヂェヴァ/
アブデュルレシト・イブラヒム/アブドゥッラフマーン・ハーン/
ジェブツンダムバ・ホトクト8世/サアド・ザグルール/
マラク・ヒフニー・ナースィフ/後藤新平/夏目漱石/
柳田国男/吉野作造/与謝野晶子/平塚らいてう/伊波月城/他。

 

28.『アジア人物史 第11巻 世界戦争の惨禍を越えて』

集英社 2023/4/26 税込4,510円

「アジア」と名指される広大な領域を、東西南北、古代から21世紀へと、縦横無尽に駆けめぐる。
現代のアジア史研究の第一人者である編集委員たちと、東洋史研究の伝統を継承した人々が、古代から21世紀までを展望し、圧倒的個性を掘り起こす!

「月報」エッセイ・ テッサ・モーリス-スズキ

金性洙/金天海/京城帝国大学関連人物/台北帝国大学関連人物/
蔣介石/胡適/毛沢東/ホセ・リサール/アウン・サン/
スカルノ/ピブーン/ガンディー/モサッデク/
昭和天皇/尾崎秀実/中野重治/林達夫/李香蘭/山代巴/他。

 

29.『アジア人物史 第4巻 文化の爛熟と武人の台頭』

集英社 2023/6/26 税込4,290円

「アジア」と名指される広大な領域を、東西南北、古代から21世紀へと、縦横無尽に駆けめぐる。
現代のアジア史研究の第一人者である編集委員たちと、東洋史研究の伝統を継承した人々が、古代から21世紀までを展望し、圧倒的個性を掘り起こす!

「月報」エッセイ・佐藤賢一

藤原道長/白河院/慈円/李子淵/李資謙/
ラージャラージャ1世/ジャヤヴァルマン7世/
司馬光/徽宗/李清照/朱子/バイバルス/崔忠献/他。

 

30.『[ヴィジュアル版]ダンスの歴史』

ロバート・ヒルトン 著, 高尾 菜つこ 訳 原書房     2023/06/26 税込3,740円

宮廷、酒場、ダンスホール、ディスコ、クラブ、公園。世界のあらゆる場所で人々は踊ってきた。ワルツ、タンゴ、ルンバ、チャールストン、スウィング、ジャイブ。大衆の体を揺らし続けるダンスの歴史に豊富なカラー図版で迫る。

 

31.『[図説]食材と調理からたどる中世ヨーロッパの食生活』

ハンネレ・クレメッティラー 著, 龍 和子 訳 原書房     2023/06/20 税込3,960円

貴族の晩餐から庶民の食事まで、中世ヨーロッパの食文化を当時の写本から徹底的に読み解き、食材と献立、調理から案内する。そこには意外なほど豊かな中世が垣間見える。当時を再現する60あまりのレシピ集とともに、ご賞味あれ。

 

32.『中世ヨーロッパ全史 上 王と権力』

河出書房新社 ダン・ジョーンズ 著 ダコスタ 吉村花子 訳 2023/05/29 税込4,290円

古代ローマ末期から宗教改革までの約1000年間、権力者、民衆、疫病、大量移民、気候変動など、人類の歴史を動かしたあらゆる力を描き出す、新たな中世ヨーロッパ史の幕開け!

33.『中世ヨーロッパ全史 下 創造と革命』

河出書房新社 ダン・ジョーンズ 著 ダコスタ 吉村花子 訳 2023/05/29 税込4,290円

古代ローマ末期から宗教改革までの約1000年間、権力者、民衆、疫病、大量移民、気候変動など、人類の歴史を動かしたあらゆる力を描き出す、新たな中世ヨーロッパ史の幕開け!

 

34.『マス・エンパシーの文化史』

亀田 真澄 著 東京大学出版会 2023/03/29 税込4,950円

「共感する」ことは道徳的に正しいとする価値観がある現代社会。かつては危険だとされていた「共感」が、いつ有益となったのか、1930年代の国家による直接的・間接的プロパガンダとそれに対する人々の感情に分け入り、アメリカとソ連の歴史的・文化的な比較から現代世界のウクライナ戦争をめぐる共感の議論にも接続する。

 

35.『沖縄の生活史』

石原昌家,岸政彦 監修 みすず書房 2023/5/12 税抜4,950円 

2022年5月に、日本復帰50年を迎えた沖縄。これを節目として、沖縄の歴史とともに生きてきた人々の来し方を聞き取って文章に残そう、という沖縄タイムス社の企画が結実したのが本書である。
沖縄タイムス紙上での募集に応えた「聞き手」たちが、それぞれ思い思いの「語り手」を選び、その人生を聞き取って生活史として仕上げた。紙上に、およそ半年以上にわたって連載された85篇に加え、新聞には掲載しなかった15篇を合わせた、計100篇の生活史がここにまとめられている。巻頭と巻末にはそれぞれ、監修者のまえがき、あとがきを収録する。

 

36.『動くものはすべて殺せ【新装版】アメリカ兵はベトナムで何をしたか』

ニック・タース 著, 布施由紀子 訳 みすず書房 2023/5/18 税抜4,620円 

「民間人を殺害し、森の空き地や田んぼの排水路に死体の山を築いていたのは地上部隊だけではなかったのだ。ヘリコプターが襲いかかった村では、数え切れないほど多くの人が恐怖に駆られて走りだし、結局はM60機関銃の掃射に切り裂かれて命を落とした。ミライ事件をはるかにしのぐ大規模殺戮では、通例、重火器が用いられ、事務的に淡々と死体が量産されていった。(…)
それがこの戦争の本質であり、ベトナムをテーマとする数万冊の書籍にほとんど描かれてこなかった真の姿なのだ」

4時間で500人以上の村人を虐殺したミライ(ソンミ村)事件は逸脱ではなかった。“動く者はすべて殺せ”という命令の下になされた軍事作戦の一部だったのだ。
国立公文書館資料の粘り強い調査や、事件にかかわった帰還兵や内部告発者、さらにベトナム人生存者へのインタビューによって、米軍と政府の施策がどれだけ多くの無辜の住民を殺し傷つけたか、そして軍司令部と国防総省はその事実をいかに隠蔽してきたか、いま初めて明かされる。
本書が2013年にアメリカで刊行されるや、「パラダイムシフトを迫る画期的な戦争史」「ベトナム戦争について書かれた最も重要な本」等々と絶賛され、優れた調査報道に贈られるライデナワー賞を受賞した。アメリカの戦争とはいかなるものか。生々しい戦慄とともに語られる戦争の真実。

 

37.『ハンナ・アーレント、あるいは政治的思考の場所【新装版】』

矢野久美子 著 みすず書房 2023/5/18 税抜3,300円

「わたしがつねに念頭においている目的意識とは、アーレントの言葉のありか、〈政治的思考〉の現場を、いかに精密に、しかも息づかいを見失うことなく跡づけることができるのかという一点である」

『全体主義の起原』や『人間の条件』をはじめ、20世紀を代表する政治哲学者ハンナ・アーレントへの注目は、ますます高まってきている。しかし、彼女独特の鍵概念である《現われ》や《あいだ》は、伝統の崩壊という認識からはじめられた彼女の政治的思考と、どのように結びつくのか。また亡命ユダヤ人であるアーレントは、なぜ論争を生んだ『イェルサレムのアイヒマン』を書いたのだろうか。
本書は、ヤング=ブルーエルのアーレント伝や膨大なエッセイ・書簡に分け入りながら、「アーレントとは何者か」を真摯に問いかけていった成果である。亡命知識人アーレント/政治と《あいだ》/アイヒマン論争と《始まり》/「木の葉」の〈身ぶり〉の4章。小著ながらみごとな作品が、ここに誕生した。

 

38.『周縁の三国志 非漢族にとっての三国時代』

関尾史郎 著 東方書店 2023/5/ 税込2,640円

中国世界の統一をめざす曹魏、孫呉、蜀漢の三国に周縁の諸勢力はどのように対峙したのか。烏桓、山越、鮮卑、高句麗、氐、西南夷、クシャン朝、倭について、史料を徹底的に読み込んで考察する。

秦の始皇帝から後漢の献帝まで450年近く続いた統一が瓦解し、曹魏、孫呉、蜀漢に分裂した三国時代と、これに続く両晋・南北朝時代は中国史上でも有数の分裂時代であった。実質的には300年近くに及んだ政治的な分裂は、中国世界の内部だけではなく、外部すなわち周縁に位置していた諸種族や諸国家に対してもさまざまな影響を与えることになった。ある勢力はこのような状況を利用して中国王朝との関係を強化し、また中国王朝の側でも周縁の勢力との関係強化につとめる動きが活発化していった。倭王卑弥呼による曹魏への遣使や、倭の五王による南朝への遣使もこの時代のことである。しかし周縁にあった全ての勢力がこの分裂の時代をしたたかに生き抜いたわけではない。本書は、三国時代の非漢族のうち、烏桓、山越、鮮卑、高句麗、氐、西南夷、クシャン朝、そして倭を取り上げ、それぞれにとっての三国時代について、『三国志』に代表される史書を読み込みながら考えてみたものである。

 

39.『世界史から見た新宿騒乱事件』

柴田 潤一 著 彩流社 2023/04/14 税込2,750円

歴史的事象の鍵語は「近代市民社会の成立」だ。その基軸が独立自営農民と近代産業資本である。60年代の運動末期には党派闘争で学生側にも警察側にも死者がでた。その後、爆弾闘争によって市民にも死傷者がでた。病を得た著者はいつ死んでもおかしくない身となって、かつて運動の「渦中」にいた者として書き残しておきたいことをまとめようと決意。若い世代が、かつての「著者」たちの経験を知り、今後に役立ててほしいという一念からのことであった……。

 

40.『ヒットラーの遺言』

永峯 清成 著 彩流社 2023/05/15 税込2,420円

オーストリアの片田舎での生活、夢破れたウィーンでの放浪生活、下級兵士の大戦期……。政治に芽生え、弁舌を武器にナチス党を掌握、ユダヤ人絶滅と大ドイツ建設を目指して領土拡張戦争を展開。第2次世界大戦という大惨事を招くが、なぜ大衆に支持されたのか!「ナチズムは崩壊したが、百年後に同じ思想が甦るかもしれない。宗教の力と一緒になって……」と言い残した。

 

41.『論点・ジェンダー史学』

山口 みどり,弓削 尚子, 後藤絵美,長 志珠絵,石川 照子 編著 ミネルヴァ書房 2023/06 税込3,520円

ジェンダーで歴史を読み解こう

ジェンダーの視点は、歴史の見え方を変えてきました。本書は、歴史学に新しい地平を開いてきたジェンダー史研究の「論点」を集めています。日本を含むアジア、ヨーロッパ、アメリカ、アフリカを中心に、「社会」「家族」「身体」「文化」「政治」などからバランスよく精選された全113の論点と、各時代及び地域の特色溢れるトピックとして36のコラムを収載。語句解説やクロスレファレンス、映画や小説を使ったアクティヴィティ、巻末資料も充実しています。

 

42.『ドイツ人が語る ドイツ現代史』

ドミニク・ゲッパート 著,進藤 修⼀ 訳, 爲政 雅代 訳 ミネルヴァ書房 2023/5/30 税込3,080円

本書は、ドイツ連邦共和国の歴史を再検討し、その新たな⼀側⾯を照射する。著者は外交史を専⾨とし、冷戦や欧州統合に直⾯した戦後ドイツの葛藤、苦悶を、世界やヨーロッパという視点から見直すとともに、文学や映画、歴史政策など文化史的現象にも⾔及する。ドイツ人ならではの、日本人では絶対に思いつかない視点で描かれた、コンパクトなドイツ現代史の通史。
原著:Dominik Geppert, Geschichte der Bundesrepublik Deutschland, C.H.Beck, 2021, p.126

 

43.『中国百科 増補改訂版』

日本中国友好協会編 めこん 2023/4/10 税抜2,500円

未来のために中国を知る。
好きでも嫌いでも、中国は最も重要な隣国であることは間違いありません。
歴史・政治・経済から食文化・芸能・スポーツまで、中国のあらゆる側面をそれぞれの専門家がコンパクトに記述。この1冊で「中国」の全体像がつかめます。

 

44.『古代ローマ人は皇帝の夢を見たか』

ピーター・トーネマン 著,藤井 千絵 訳, 藤井 崇 監修 白水社 2023/03/24 税込4,180円

類例のない貴重な記録を同時代の社会・文化・宗教に位置づけながら、当時の人々の希望と不安、その前提となった価値観を読み解く。

 

高額専門書

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45.『セネガルの宗教運動バイファル』

池邉 智基 著 明石書店 2023/03/31 税抜5,200円

セネガルで成立したイスラームの神秘主義教団の一つ、ムリッド教団のバイファル。イスラームの特筆でもある礼拝などを教義としていないことから、これまでは「逸脱」「異端」と等閑視されてきた彼らの実態を文化人類学的手法から解き明かす、世界初の試み。

 

46.『マラリアと帝国 増補新装版』

飯島 渉 著 東京大学出版会 2023/05/24 税込8,580円

近代日本は「熱帯医学」と「開拓医学」という2つの植民地医学の体系「帝国医療」に植民地や占領地域の統治のための明確な役割を持たせ東アジアの再編をめざした。台湾統治における衛生行政を起点とし、八重山、満洲、朝鮮、中国などで展開されたマラリア対策の多様な問題系を抉り出し、東アジアの統治秩序や広域秩序の形成に与えた影響を検討する。復刊にあたり、「補論 北海道開拓とマラリア」(書き下ろし)を増補。

 

47.『壬辰戦争と東アジア』

川西 裕也,中尾 道子,木村 拓 著編 東京大学出版会 2023/03/30 税込9,680円

16世紀末に豊臣秀吉が大陸に侵攻し引き起こした戦争を、国際的な観点から捉えなおすべく「壬辰戦争」と呼ぶことが提唱されつつある。東アジア全体に大きな影響を及ぼしたこの戦争について、日・中・朝・満の史料を活用し、各国間・集団間に発生した接触と交流・交渉、そしてその記録と記憶の実態を明らかにする。

 

48.『ヨーロッパの極右』

ジャン=イヴ・カミュ 著, ニコラ・ルブール 監訳, 南祐三, 木村高子 訳 みすず書房 2023/4/18 税込5,940円

世界が右傾化するなか、極右は政治を語る上で欠かせないものとなった。ヨーロッパ各国でさまざまな極右勢力が台頭し、人々をひきつけている。  
ヨーロッパの極右はどのように誕生し、定着したのか。いかなる活動を展開してきたのか。
排外主義、自国中心主義、強権的な指導者を特徴とする極右は、その単純な見た目とは裏腹に、多種多様な背景をもっている。伝統的な保守派、急進的な革命派、グローバルな交流、サブカルチャーなど、その姿をとらえることは容易ではない。
極右研究のスペシャリストである著者たちは、ナチズムとの関係、新右翼、宗教、ポピュリズムなどの切り口から、極右の諸相を紐解いていく。
極右が問題視されるのは、選挙という民主主義の手続きによって政治に躍り出たことが大きいが、極端な主張を現実的なものに調整すると求心力を失うというジレンマも抱えている。
19世紀から現在まで、ヨーロッパ各国からロシアにかけて根深く息づく極右の歴史に光を当て、その実態を明らかにする。極右を理解する上で欠かせない一冊。

 

49.『ゾルゲ伝 新資料が語るゾルゲ事件2 スターリンのマスター・エージェント』

オーウェン・マシューズ 著, 鈴木規夫,加藤哲郎 訳 みすず書房 2023/5/10 6,270円

スパイ小説の母国イギリス発、欧米圏でベストセラーになった稀代のスパイの伝記である。英独日露の新資料を駆使して、歴史的事実だけでなくリヒアルト・ゾルゲと彼をめぐる多くの人々の人間性にも迫る。
第一次世界大戦でドイツ軍に志願入隊、三度負傷したゾルゲは、病院のベッドの上でこの戦争の原因について考えた。除隊後、共産党に入党し、炭坑で活動しながらドイツ革命に加わり、コミンテルンからリクルートされる。
赤軍参謀本部情報本部の諜報員として上海をへて1933年東京へ。駐日ドイツ大使オットの親友のジャーナリストとして大使館内にデスクを持ち、同時に元朝日新聞記者・近衛内閣嘱託の尾崎秀実を中心にした日本人諜報網を形成。ゾルゲは日独の最重要機密を入手しては、モスクワに打電した。
機密情報を携え満州に亡命したソ連秘密警察幹部。第二次世界大戦の結末に大きく影響したノモンハン事件。ドイツのソ連侵攻の裏で、ソ連もドイツ侵攻を計画していた雷雨作戦… 本書では、ゾルゲを基点に日本・ソ連・ドイツの関係が交錯する。一方でゾルゲ諜報団は、日米戦争が不可避であるという分析を開戦の三か月前に導き出していた。
刑場に消える瞬間まで、自然で自発的にふるまうゾルゲには男も女も惹きつけられた。優秀な分析家、クールな嘘つき、大酒のみの女たらし。彼はいったい何に殉じたのだろうか? ゾルゲの成功と孤独は、各自がそれぞれの情報戦を生きる現代人にも示唆に富むだろう。

 

50.『構造人類学【新装版】』

クロード・レヴィ=ストロース 著, 荒川幾男,生松敬三,川田順造,佐々木明,田島節夫 訳 みすず書房 2023/5/18 7,920円

レヴィ=ストロースは、マルクスの有名な定式〈人間は自分の歴史をつくる。けれども歴史をつくっていることを知らない〉を引用し、前半の言葉で歴史学を、後半の言葉で民族学を正当化し、二つのアプローチは補完的で分ちがたいものであることを示しているといい、人類学の目的は、意識されない思惟の普遍的構造を明らかにし、人間への全体的考察に寄与することにあると述べている。
この目的を果すために、無意識な言語活動に音韻上の体系をもたらした構造言語学の成果や数学の変換理論を人類学に適用することは、レヴィ=ストロースによりはじめて、ひとつの力をもった方法として確立した。本書は、未開社会の親族関係、社会組織、宗教、神話、芸術に構造分析の軌跡を具体的に例示した、構造主義人類学のマニフェストというべき画期的論文集。後半の諸章における人類学の方法と人類学教育の現状と未来についての考察も、きわめて示唆に富むものである。

 

 

まとめ

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