歴ログ -世界史専門ブログ-

おもしろい世界史のネタをまとめています。

【2023年3月版】世界史関連の新刊50冊

今期は企画本が多いです

 2023年1月~3月の世界史関連新刊紹介です。

本記事はざっと流し読みをして気になる本をメモしていただくか、ブックマークして書店を訪れた際に見返すかして使っていただけるといいかと思います。今回も50冊あります。

新書・文庫・選書

安価に楽しめる新書、文庫、選書。今期はかなりバリエーション豊かなです。個人的な注目は以下です。

物語 オーストラリアの歴史 新版 イギリス植民地から多民族国家への200 年 (中公新書)

永遠の映画大国 イタリア名画120年史 (集英社新書)

 

1.『「音楽の都」ウィーンの誕生』

ジェラルド・グローマー 著 岩波新書 2023/2/21 税抜1,100円

ウィーンはいかにして「音楽の都」になったのか。十八世紀後半のウィーンでは、宮廷や教会などによる支援、劇場の発展、音楽教育の普及と聴衆の拡大、演奏会や舞踏会の展開など、多彩な要素が相互に作用しながら、音楽文化が重層的かつ豊かに形成されていった。膨大な同時代の史資料を駆使して描かれる「音楽の都」の実像。

 

2.『西洋書物史への扉』

 髙宮 利行 著 岩波新書 2023/2/21 税抜1,100円

中世の写字生、グーテンベルクをはじめとする印刷術の立役者、あるいは蒐集家、偽作者、伝統を守ろうとした改革者たち……。いつの時代にも、書物を愛し、あたかも書物に愛されて生きているような人々がいた。巻物から冊子へ、音読から朗読へ、書物と人が織りなす世界を楽しみながら、壮大な迷宮を旅する。カラー口絵四ページ。

 

3.『軍と兵士のローマ帝国』

井上 文則 著 岩波新書 2023/03/17 1,056円

古代世界において繁栄を極めたローマは、一方では、対外戦争や内乱を繰り返す戦闘姿勢の国家であり、兵士が皇帝位をも左右する軍事体制の国家であった。建国から西ローマ帝国滅亡まで、軍隊と政治・社会との関わりを多角的に追跡、兵士たちの生涯にも光をあてて新たなローマ史を描き、その盛衰をユーラシア史のなかに位置づける。

 

4.『戦後世界史』

玉置 悟 著 講談社現代新書 2023/3/1 税込1,980円

今日のウクライナ紛争も、アフガニスタンの混迷も、中東諸国の対立も、すべては戦前の地政学上のグレートゲーム(ハートランドを巡る闘い)および戦後冷戦の時代にその原因がつくられたものだ。 欧米の歴史書、研究書から資料にいたるまで渉猟した翻訳家が平易な言葉で解説する「冷戦の世界戦後史」。

 

5.『物語 オーストラリアの歴史 新版』

竹田いさみ/永野隆行 著 中公新書 2023/2/20 税込1,100円

南半球の大陸オーストラリア。1788年以降、英国の植民地としてヨーロッパから移民を迎え、金鉱開発と羊毛貿易によって成長。1901年に建国した。戦後は白豪主義を転換してアジア諸国と結びつき、21世紀は多民族国家として存在感を示している。本書は、英帝国や日本、アメリカ、中国と対峙しながら、豪大陸が国家形成する成長物語である。旧版を刷新し、料理・観光のコラムを追加。「理想社会」の成功と苦難を活写する。

 

6.『ギリシア・ローマの文学』

高津 春繁 著 講談社学術文庫 2023/2/9 税込1,639円

叙事詩人ホメロス、勝利歌のピンダロス、悲劇詩人エウリピデス、雄弁術のキケロ、弁辞学のセネカ、ローマ最大の詩人ウェルギリウス……。この時代の文学は、何よりもまず音の技芸だった。ホメロスやサッポーは歌であり、プラトンの対話編は巧みな話術である。今日の西欧でも、この音声による文学の伝統は根強く残っている。
二千年以上読み継がれてきた西洋の古典は、どのような背景から生まれたのか。膨大な作品と共に、歴史上の傑作を時系列で、鮮やかに解説し、文学史を一望する。

 

7.『西太后に侍して 紫禁城の二年間』

徳齢 著, 太田 七郎 訳, 田中 克己 訳 講談社学術文庫 2023/2/9 税込1,518円

清朝末期、半世紀にわたって権力を握り続けた西太后を、側近として見つめた女性による迫真の手記。
満洲人外交官の父親のもと、フランスで語学力を身につけた著者・徳齢は、1903年から1905年まで、通訳兼女官として晩年の西太后に仕えた。そこで目にしたのは豪華な食事と太后自ら演出した劇に時を費やす贅沢な日常だった。普段は離宮・頤和園で過ごし、正式な宮廷行事の時のみ、何十人もの女官や宦官を連れた大行列で紫禁城に赴いた。西太后はキリスト教を嫌い中国古来の風習を誇りにしながら、写真など西欧技術には関心をもち、ロシアから来た曲馬団にも大興奮。聡明な著者に心を許し、戊戌の変法の内幕や、自ら「生涯唯一の誤り」という義和団の乱の真相を語る。そして、後にアメリカで文筆家として大成する著者のジャーナリスティックな視線は、陰険な宦官たちや、不遇の皇帝・光緒帝の実像など、宮廷の人々にも向けられていく。
本書の原著Two years in the Forbiddencityは英語で執筆され、西太后が没して3年後の1911年、辛亥革命の年に上海で刊行されて、いまも版を重ねている。
[日本語版原本:『西太后に侍して』生活社1942年、研文社1997年]

 

8.『中国の神話 神々の誕生』

貝塚 茂樹 著 講談社選書メチエ 2023/1/13 税込1,100円

「子は怪力乱神を語らず」。孔子に代表される儒教の合理的精神のもと、早くに歴史の中に取り込まれ、断片的にしか伝わることがなかった中国神話。『山海経』や『楚辞』、甲骨資料などわずかに残された痕跡から、一つ目、一本足で猿面の山神を主人公に、古代中国史の泰斗が神話世界を大胆に復元する!

 

9.『逆襲する宗教 パンデミックと原理主義』

小川 忠 著 講談社選書メチエ 2023/2/9 税込1,925円

宗教から眺めると世界の「いま」が分かる!
アメリカのクリスチャン・ナショナリストはなぜ陰謀論めいた主張を叫んでやまないのか。インドでは反イスラムの動きが先鋭化し、モスクワこそが「第3のローマ」と謳うロシアの原理主義者たちもまた陰謀論を思わせる「世界の終末」を唱える。一体、いま世界で何が起こっているのか。――その背景には1970年代以降に広がった「宗教復興」の潮流があった。
パンデミックに揺れる世界で、一気に噴き出した宗教と社会の問題を、各国各宗教ごとに解き明かす。
宗教ぬきに国際情勢を理解することはもはや不可能となった現代にあって、「いま」をあと一歩深く知るために必読の書!

 

10.『越境の中国史 南からみた衝突と融合の三〇〇年』

菊池 秀明 著 講談社選書メチエ 2022/12/25 税込1,980円

香港の民主化運動への禁圧、台湾への軍事的圧力――。現在の中国が見せる、特に南部への強硬な姿勢には、どのような歴史的背景があるのだろうか。中国史のフロンティア=華南地方の周辺民族と移民活動に焦点を当て、南から中国史を見直す。
中国の歴史は従来、黄河流域に展開した古代王朝の興亡史や、騎馬遊牧民が打ち立てた大帝国など、「北から動く」ものとして捉えられてきた。しかし、清代末期、広州などの港町を窓口とした近代ヨーロッパとの出会いをきっかけに、新しい時代が始まる。洪秀全の太平天国、孫文の辛亥革命など、社会変革の大きな動きは南から起こり、中国史上初めて「南からの風が吹いた」のである。その「風」を起こしたのは、漢民族にヤオ族・チワン族やミャオ族、さらに客家など様々な人々が移動と定住を繰り返す「越境のエネルギー」だった。
世界のチャイナタウンではなぜ広東語が話され、福建省出身者が多いのか。周辺民族は、漢民族のもたらす「文明」にどのように抵抗し、あるいは同化したのか。辺境でこそ過剰になる科挙への情熱や、キリスト教や儒教と軋轢を起こす秘密結社、漢民族から日本人そして国民党と、波状的な支配を受ける台湾原住民など、中国社会の多様性と流動性を史料と現地調査から明らかにし、そこで懸命に生きてきた人々の姿を見つめる。

 

11.『パルメニデス 錯乱の女神の頭上を越えて』

山川 偉也 著 講談社選書メチエ 2023/1/13 税込2,310円

紀元前五世紀前半に活躍したパルメニデスの詩的断片をめぐって後世になされた数多の解釈は、どれも道を踏み誤っている。遺されたテクストを丹念に読み直し、「あるもの」をめぐるすべての論証を「帰謬論法」として捉えてみれば、「あらぬものはあらぬ」と、否定に否定を重ねる道の彼方で、「あるもの」の本性に肉迫することができるだろう――。最新の考古学的発見をも参照しつつ、政治家・立法者でもあった哲学者の全貌を復元せんとする独創的な試みは、やがて誰も予想しなかった意外な結末へと辿り着く。古代哲学最大の難問を解き明かす、著者畢生の書!

 

12.『貴族とは何か―ノブレス・オブリージュの光と影―』

君塚 直隆 著 新潮社選書 2023/1/25 税込1,760円

不当な特権と財産を有し、豪奢で享楽的な生活を送る怠け者たち――このような負のイメージは貴族の一面を切り取ったものに過ぎない。古代ギリシャから現代イギリスまで、古今東西の貴族の歴史を丁寧に辿り、いかに貴族階級が形成され、彼らがどのような社会的役割を担い、なぜ多くの国で衰退していったのかを解き明かす。

 

13.『ストーンヘンジ ─巨石文化の歴史と謎』

山田 英春 著 筑摩選書 2023/1/16 税込2,200円

世界で最も有名な遺跡なのに、謎ばかりの巨石建造物ストーンヘンジ。いったい誰がつくったのか?何のために建てられたのか?石はどうやって運ばれたのか?その謎は、学者、考古家、秘密結社などの多くの人びとを魅了し、彼らはこの遺跡を熱心に発掘・研究し、古代に思いを馳せてきた。本書は、百以上のブリテン諸島の巨石遺跡を巡った著者が、最新研究をもとにその歴史と謎を整理する解説書の決定版である。

 

14.『永遠の映画大国 イタリア名画120年史』

古賀 太 著 集英社新書 2023/2/17 税抜1,000円

『無防備都市』『自転車泥棒』『道』『8 1/2』『情事』『山猫』『荒野の用心棒』『木靴の樹』『ニュー・シネマ・パラダイス』『ライフ・イズ・ビューティフル』『君の名前で僕を呼んで』……
数々の名作を生み、日本でも絶大な人気を誇るイタリア映画。
アメリカやフランスに比べて、その文化の全容が語られる機会は少ないものの、世界の映画史に大きな影響を与えてきた。
本書ではイタリア映画の歴史を、19世紀から現代までの120年を、約800の作品とともに通覧。
「イタリア映画祭」を立ち上げた著者がその豊かな文化的土壌と、映画の本質を明らかにする。

 

企画本

特定のテーマにトピックを当てた企画本・選書です。リーズナブルな価格で専門的でおもしろい切り口の内容の書籍が読めます。

今回は個人的にこれらが注目です。

食文化からイギリスを知るための55章 (エリア・スタディーズ)

スラヴ民族の歴史 (YAMAKAWA Selection(山川セレクション))

 

15.『フィリピンの歴史』

アイリーン・C・デ・ロブレス 編 明石書店 2023/2/17 税抜4,500円

2015年からの新カリキュラムに沿った5・6年生用歴史教科書2巻からワークシートを除く歴史叙述部分を翻訳。国の成り立ちからスペイン、アメリカ、日本による植民地支配、独立への戦いを経て現代までの歩みをたどる。フィリピン通史の入門書でもある。

 

16.『食文化からイギリスを知るための55章』

石原 孝哉 編著 明石書店 2023/1/10 税抜2,000円

イギリス料理は「まずい」と言われるが、イギリスにおける食品の歴史をたどり、逸話に満ちた食の文化史をめくっていくと、考えが変わるかもしれない。歴史と伝統を重んじる一方で、新たなものをおおらかに受け入れかつ生み出すイギリス像を食文化を通して見せる。

 

17.『一冊でわかる東欧史』

関 眞興 著 河出書房新社 2023/1/27 税込1,870円

東欧の国ぐにはどんな歴史を歩んできたのか。図やイラストを使いながらわかりやすく、ていねいに描く。コラム「そのころ、日本では?」「知れば知るほどおもしろい東欧の偉人」も役に立つ。

 

18.『図説 聖書物語 新約篇』

山形 孝夫 著 河出書房新社 2023/1/27 税込2,310円

傑作絵画でよむ新約聖書のロングセラー。イエスとは何者か。その神の国運動とは何だったのか。どのような経緯を経て、世界の檜舞台に躍り出たのか。第一人者が、原初の謎に迫る。

 

19.『メガトン級「大失敗」の世界史』

トム・フィリップス 著, 禰冝田 亜希 訳 河出書房新社 2023/3/7 税込1,078円

とてつもない大失敗をやらかした時には、本書を読むといい。人類がどれほどあんぽんたんで、救いようのないヘマを繰り返してきたか。世界27ヶ国で訳されたユーモラスなベストセラー。

 

20.『ポスト・ヨーロッパ』

スラヴェンカ ドラクリッチ 著, 栃井 裕美 訳 人文書院 2023/2/20 税抜3,000円

共産主義終焉から30年後の東欧。ストックホルムでオウムを連れた移民、リヴィウの少女の写真、スコピエのアレキサンダー大王の彫刻、ソ連軍によるプラハ侵攻50周年の記念式典など、東欧の現在の政治的・社会的問題を垣間見ることができる刺激的でタイムリーな政治的ルポルタージュ。東欧のボーヴォワールともいわれ、内戦を経験した旧ユーゴ出身のジャーナリストが鋭くえぐる西側の論理からだけではみえないポスト共産主義のヨーロッパ事情。

 

21.『世界を変えた地図 上』

ジョン・O・E・クラーク 編, 伊藤 晶子 訳, 小林 朋子 訳 原書房 2022/12/26 税込2,640円

古代バビロニアの粘土板、北欧神話、大航海時代の世界図、金星探査画像、ロンドン地下鉄路線図、津波マップ、アフリカ分割図、トールキンの物語の地図等々、さまざまな角度から、「地図」と人間の営みについて読み解いていく。

 

22.『世界を変えた100の手紙 上』

コリン・ソルター 著, 伊藤 はるみ 訳 原書房 2023/1/23 税込2,640円

古代ローマの石板、ダ・ヴィンチ、アインシュタインなど、古代から現代まで、戦禍や災害を逃れて人類に残されたさまざまな手紙、書状、メッセージ、郵便物、遺書、通信、電報などを100件選び、手紙の内容と背景を解説する。

 

23.『世界の奇食の歴史』

セレン・チャリントン=ホリンズ 著, 阿部 将大 訳 原書房 2023/02/13 税込2,750円

脳味噌の酢漬け、カタツムリ水、妖精の腿肉――。王から貧民まで、人はなぜそれを食べずにはいられなかったのか。歴史の中の禁断の味や、食されてきた文化的・社会的背景を解説。人間の飽くなき食欲をたどる。図版50点収録。

 

24.『ザクロの歴史』

ダミアン・ストーン 著, 元村 まゆ 訳 原書房 2023/1/24 税抜2,420円

種が多く、その果汁が血を連想させるザクロは、古代から人々の想像力を刺激し、世界各国の宗教で珍重されてきた。美術品や文学作品のモチーフとして描かれるだけでなく、食品として心身に及ぼす効能までを網羅する。レシピ付。

 

25.『タラの歴史』

エリザベス・タウンセンド 著, 内田 智穂子 訳 原書房 2023/2/21 税抜2,420円

新大陸発見や入植など人類が遠くへ行くのを支えた魚、タラ。漁業や貿易の主要品で戦争の一因ともなったが、乱獲され、現在は量が激減している。歴史や経済と深く結びついたタラに迫る。保存法、調理法、伝統料理などレシピ付。

 

26.『捏造と欺瞞の世界史 上』

バリー・ウッド 著, 大槻 敦子 訳 原書房 2023/02/21 税込2,420円

偉人の誕生や国家隆盛を支える「歴史」は、どのように解釈され「創作」され拡大していったのか。「物語」を求める人々の性(さが)が生み出した「歴史」の本性を、さまざまな角度から照らし直した話題作。

 

27.『古代ゲノムから見たサピエンス史』

太田 博樹 著 吉川弘文館 2023/01/19 税込1,980円

ネアンデルタール人のゲノム解析で明らかになった人類の進化を解説。縄文人ゲノム解読で分かった系統など、日本の最新成果も紹介。

 

28.『スラヴ民族の歴史』

伊東一郎 編 山川出版社 2023/2 税込1,650円

東欧・ロシアの広大な地域に暮らすスラヴ諸民族の歴史は、ロシア史と東欧史の二つの枠組みで別々に論じられてきた。本書では、諸民族の相互関係の歴史として通観する。
1986年に刊行された『民族の世界史10 スラヴ民族と東欧ロシア』の歴史に関する部分に現代の動向を加筆し、再構成。1990年代の旧ユーゴスラヴィア紛争、ロシアのウクライナ侵攻(2022年~)など、スラヴ民族間の衝突を読み解くための良書。

 

29.『世界史のなかの近代日本』

小風秀雅 編 山川出版社 2023/1 税込1,980円

開国から日露戦争までの歴史を、20テーマの講義形式で、多彩な図版とともに読み解く。世界は日本をどうみたのか、世界のなかで日本はどう近代化・国際化したのか、日本と世界、双方向からの視点で学ぶ。「歴史総合」の学習にも最適。

 

30.『《世界史リブレット人》009.ユスティニアヌス大帝』

大月康弘 編 山川出版社 2023/3/10 税込880円

6世紀ローマ皇帝ユスティニアヌス。
ローマ法典を編纂させ、ササン朝ペルシア、ヴァンダル王国、東ゴート王国との戦いによって「帝国の復興」を推し進めた大帝。
帝都コンスタンティノープルでのハギア・ソフィア聖堂の再建をはじめ、帝国各地に建築活動や福祉事業を展開し、社会基盤を強化したキリスト教皇帝。「世界」の秩序と安寧に心を砕いたその38年にわたる治世を、彼を取り巻いた人びとの活動とともに紹介する。

 

31.『野戦郵便から読み解く「ふつうのドイツ兵」』

 小野寺拓也 編 山川出版社 2022/12 税込1,540円

敗色濃厚な大戦末期にあって、なぜドイツ兵たちは戦い続けたのか。兵士の手紙5477通からその心性に迫る、エゴ・ドキュメントの歴史学。

2012年に刊行された同書を一般読者向けに改稿した上で、章ごとに「本章全体の問い」「内容確認のための問い」を設けて、高校・大学などで史料を用いた学習を支援するよう編まれた新装版。

 

集英社「アジア人物史」

lp.shueisha.co.jp

集英社創業95周年企画「アジア人物史」全14巻の配本が12月より始まっています。

総監修は姜尚中氏。表紙はジョジョの荒木飛呂彦先生の書下ろし。編集メンバーも豪華です。

 

32.『アジア人物史 第1巻 神話世界と古代帝国』

2023年1月26日 税込4,400円 

ハンムラビ/ダレイオス1世/イエス/ブッダ/
アショーカ/孔子/始皇帝/冒頓単于/司馬遷/
王莽/曹操/カニシュカ1世/トーラマーナ/ミヒラクラ/
カウンディンヤ/プールナヴァルマン/他。

 

33.『アジア人物史 第2巻 世界宗教圏の誕生と割拠する東アジア』

2023年2月24日 税込4,400円 

ナーガールジュナ/ブッダゴーサ/苻堅/昭明太子/
蕭皇后/文帝(楊堅)/広開土王/長寿王/武寧王/
真興王/厩戸王子/金春秋/神文王/天智天皇/ムハンマド/他。

 

34.『アジア人物史 第10巻 民族解放の夢』

2023年3月24日 税込4,400円 

尹致昊/金マリア/李載裕/魯迅/張愛玲/林献堂/カルティニ/
カマラーデーヴィー・チャットパディヤーイ/オリガ・レベヂェヴァ/
アブデュルレシト・イブラヒム/アブドゥッラフマーン・ハーン/
ジェブツンダムバ・ホトクト8世/サアド・ザグルール/
マラク・ヒフニー・ナースィフ/後藤新平/夏目漱石/
柳田国男/吉野作造/平塚らいてう/伊波月城/他。

 

お手頃の専門書

4,000円以内で買える専門書をこのカテゴリに入れています。

 

35.『中世史とは何か』

ジョン・H.アーノルド 著 , 図師 宣忠 訳 , 赤江 雄一 訳 岩波書店 2022/12/23 税抜3,080円

フィクションの世界で描かれる「暗黒の中世」は、近代ヨーロッパが創り出した政治的な物語だ。異端審問、王の儀礼、市民の裁判……注意深く史料を読み解けば、当時の人びとが生き生きと甦る。『歴史〈一冊でわかる〉』やBBCの企画、市民向け講座で有名なケンブリッジ大学教授が誘う、新鮮でドキドキする本格的中世史入門。

 

36.『岩波講座 世界歴史 第13巻 西アジア・南アジアの帝国 16~18世紀』

荒川 正晴 編集委員ほか 岩波書店 2023/1/27 税抜3,520円

16世紀から18世紀の西アジア・南アジア地域は、多様な人間集団、社会規範が有機的に結びついた独自の「近世」を歩んでいた。オスマン、サファヴィー、ムガルの三帝国の統治システムが多民族・多宗教からなる社会を守っていたのである。共生を特徴とするこの地域の歴史を、法秩序、王権の正統性、思想、ジェンダー表象、交易などの視点を交えて豊かに描き出す。

 

37.『岩波講座 世界歴史 第21巻 二つの大戦と帝国主義Ⅱ 20世紀前半』

荒川 正晴 編集委員ほか 岩波書店 2023/2/22 税抜3,520円

帝国主義・植民地主義の継続と二度にわたる世界大戦は、地球上のあらゆる人々の関係や労働、生き方、国家や社会のありようを大きく左右した。第二〇巻とともに二〇世紀前半を扱う本巻では、社会・経済の変容や民族・思想・文化といった側面に光をあて、二つの大戦をはさんだ世界史の連続性と非連続性を考える。

 

38.『岩波講座 世界歴史 第15巻 主権国家と革命 15~18世紀』

荒川 正晴 編集委員ほか 岩波書店 2023/3/24 税抜3,520円

 

39.『ドイツ帝国の解体と「未完」の中東欧』

衣笠 太朗 著 人文書院 2023/02/20 税抜4,500円

暴力と民主主義が交錯するポスト大戦期、ナショナリズムが高揚する中東欧。
各国の思惑が渦巻く中、人々は何を求めて新たな国民概念を創りあげ、分離主義運動を行ったのか。
「脱国民国家化」するヨーロッパで今なお余燼がくすぶる歴史問題の淵源に迫る力作。

 

40.『イギリス近代と自由主義 ─近代の鏡は乱反射する』

金子 勝 著 筑摩書房 2023/01/26 税込2,970円

イギリス「近代」国家は、内には地方、外には植民地という「非近代的」な領域を組み入れながら、それらを食い潰していった。国内では財政均衡と「小さな政府」を追求し、国外では自由貿易を掲げたイギリスは、アジア・アフリカの非資本主義的な経済圏を、いかにして世界市場へと組み込んでいったのか?覇権国となる中で、「経済的自由主義」というイデオロギーは、いかなる役割を果たしたのか?これらの難問を実証的に解き明かし、戦後日本の社会科学を深く規定するイギリス近代像に再考を迫る!

 

41.『歴史学の作法』

池上 俊一 著 東京大学出版会 2022/12/26 税込3,190円

歴史とは何か、そして史料とは何か。ヨーロッパ史研究を牽引してきた著者が歴史学のさまざまな手法を解説、学問の基本と作法を平易に説く。歴史教育の現状も視野に入れ、私たちがこれからすすむべき道を示す。概論を学びたい学生や、歴史を見る眼を養いたい社会人にも最適。

 

42.『古代ローマ人は皇帝の夢を見たか』

ピーター・トーネマン 著, 藤井 千絵 訳 白水社 2023/03/24 税込4,180円

類例のない貴重な記録を同時代の社会・文化・宗教に位置づけながら、当時の人々の希望と不安、その前提となった価値観を読み解く。

 

43.『一八世紀の秘密外交史』

カール・マルクス 著, 石井 知章 編訳, 福本 勝清 編訳, 周 雨霏 訳 白水社 2023/03/28 税込2,750円

タタールの軛がもたらしたものは?なぜロシアは膨張したのか?クリミア戦争下構想され、数奇な運命を辿ったマルクスによるロシア通史

 

44.『クリミア戦争(上)[新装版]』

オーランドー・ファイジズ 著, 染谷 徹 訳 白水社 2023/2/9 税込4,620円

19世紀の「世界大戦」の全貌を初めてまとめた戦史。露・英・仏・トルコの地政学と文化から戦闘まで活写した決定版。

 

45.『親切の人類史』

マイケル・E・マカロー 著, 的場 知之 訳 みすず書房 2022/12/26 税込4,950円

人間の「利他の心」の存在はどのように説明できるだろう? 一筋縄ではいかないこの問いに、進化生物学と慈善の歴史という観点から挑みかかる。
「利他行動」は生物学の難問の一つだ。ヒトをはじめ、他個体を利する行動をとる動物は実際に存在する。だがしかし、寛大にも他者を思いやる個体の遺伝子は、狡猾な個体に出し抜かれて繁殖機会を奪われ、淘汰されてしまうのでは? 生物学者たちはこのことにおおいに悩み、利他行動を説明できる理論を求めて奮闘してきた。
ただし、人間の利他の心は、生物学だけで完全に説明することはできない。社会福祉制度や慈善活動などの方法で、血縁や地域を超えた「完全な赤の他人」にまで援助の手を差し伸べる動物は人間以外にいないのだ。ここには、何か特別な説明が必要になる。著者によれば、一万年の人類史における「七つの大いなる苦難」を、人類がどう解決してきたかが説明のカギだという。

本書では、利他行動に関するいくつかの理論の要点とその妥当性を検討したのち、歴史を通して力を発揮してきた人間特有の能力を鮮やかに提示する。人類史上もっとも寛大な「思いやりの黄金時代」を生きる私たち。ここへ至るまでの道程を照らし出す、本能と理性のビッグヒストリー。

 

高額専門書

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46.『学知の帝国主義』

松島 泰勝 著 明石書店 2022/12/25 税抜5,800円

「日本人の起源」を研究するためと称して琉球王族の墓から遺骨を勝手にもち出した形質人類学、日琉同祖論を提唱して同化政策の一翼を担った言語学。帝国日本の世界観を補強し、独立国家だった琉球を「沖縄」の枠のなかに閉じこめた近代の学問の責任を問う。

 

47.『共和国の美術』

藤原貞朗 著 名古屋大学出版会 2023/2/10 税込6,930円

王なき世俗国家で人々は芸術に何を求めたのか。戦争に向かう危機の時代に、中世宗教美術や王朝芸術から、かつての前衛までを包摂するナショナルな歴史像が、刷新された美術館を舞台に創られていく。その過程を、担い手たる学芸員=「保守する人」とともに描き、芸術の歴史性を問い直す。

 

48.『ドイツ史1866-1918(上)』

トーマス・ニッパーダイ 著,  大内 宏一 訳 白水社 2022/12/28 税込8,800円

帝国の成立を挟んで第一次世界大戦に至るまで、社会・経済・宗教・教育・学問など、広い意味での精神文化に関する状態史・構造史。

本書は、『ドイツ史1800―1866 市民世界と強力な国家 (上・下)』に続く、「十九世紀ドイツ史三部作」の第二巻目だ。ドイツ帝国の成立を挟んで第一次世界大戦に至るまでのドイツが、「アンビバレント」な側面と問題性を孕みながらも、「モダン」な社会と文化に向かってダイナミックな発展を遂げていく様子が、社会・経済から宗教・教育・学問・芸術まで、分野ごとに詳述される。

 

49.『トマス・ペイン』

ハーロー・ジャイルズ・アンガー 著, 森本 奈理 訳 白水社 2023/1/27 税込5,280円

18世紀最大のベストセラー作家が、英米仏の宗教や政治といかに闘争したか? 理性を信奉した「祖国なき革命家」の波乱万丈の人生。

 

50.『帝国の時代 1』

エリック・ジョン・ホブズボーム 著, 野口 建彦 訳, 野口 照子 訳 みすず書房 2023/1/5 税込6,600円

歴史家ホブズボームによる、『革命の時代』『資本の時代』に続く本書『帝国の時代』は、フランス革命(1789年)から第一次世界大戦勃発(1914年)に至る「長い19世紀」を展望する三部作のクライマックスとなっている。
「帝国の時代」は、地球の表面積の4分の1がほんのひと握りの国々の間で植民地として分配ないしは再分配された時代である。このいわゆる帝国主義の時代の様相を、著者は流麗な筆致と新鮮な視角で重層的に描き出す。それは豊富な事実と数字に裏打ちされ、視野はアフリカ、ラテン・アメリカ、インド、中国、日本に及ぶ。
時代は経済面では、家族経営の小さな会社から、雇われ経営者と事務職・技術者によるビッグビジネスに変わりつつあった。自動車や飛行機、無線電信、蓄音機、映画が姿を現わし、大量消費の時代の幕が開こうとしていた。しかしこの時、ブルジョワジーは存立の危機に瀕していたのである。その伝統的道徳的基盤は自らの蓄積した富の影響下で崩れ去ろうとしていた。また、労働者階級の大規模な組織運動も台頭する。進歩と文明の名の下にブルジョワジーが、ブルジョワジーのために作り出した世界に「奇妙な死」が迫っていた。
20世紀につながるナショナリズムの変容を描き、21世紀の現在にも示唆に富む書。全2巻。

 

まとめ

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