歴ログ -世界史専門ブログ-

おもしろい世界史のネタをまとめています。

【2022年9月版】世界史関連の新刊50冊

今月は歴史専門書の数が多いです

 2022年7月~9月の世界史関連新刊紹介です。

本記事はざっと流し読みをして気になる本をメモしていただくか、ブックマークして書店を訪れた際に見返すかして使っていただけるといいかと思います。今回も50冊あります。

今回は日本軍や太平洋戦争に関する書籍が多い印象です。

いつも多いんですが、今回は諸外国と絡めたアジア・太平洋地域の歴史として太平洋戦争を見るという視点があります。ウクライナ戦争や台湾海峡危機で改めて日本のすぐ近くに戦争があることが誰の目にも明らかになり、軍事費拡大や予防的な敵基地攻撃を容認するかという議論が盛んになり、改めてかつての戦争について問い直したいという思いが高まっているのかもしれません。

新書・文庫・選書

安価に楽しめる新書、文庫、選書。今期はかなりバリエーション豊かなです。個人的な注目は以下です。(すべて買いました)

 

1. 『アメリカとは何か 自画像と世界観をめぐる相剋』

渡辺 靖 著 岩波新書 2022/08/19 946円

ポピュリズムやナショナリズムの台頭、社会的分断の深化、Qアノンはじめ陰謀論の隆盛、専制主義国家による挑戦などを前に、理念の共和国・米国のアイデンティティが揺らいでいる。今日の米国内の分断状況を観察し続けてきた著者が、その実態を精緻に腑分けし、米国の民主主義、そしてリベラル国際秩序の行方を展望する。

 

2.『ミャンマー現代史』

中西 嘉宏 著 岩波新書 2022/08/19 946円

ひとつのデモクラシーがはかなくも崩れ去っていった。――2021年におきた軍事クーデター以降、厳しい弾圧が今も続くミャンマー。軍の目的は? アウンサンスーチーはなぜクーデターを防げなかった? 国際社会はなぜ事態を収束させられない? 暴力と分断が連鎖する現代史の困難が集約されたその歩みを構造的に読み解く。

 

3.『ペリー日本遠征随行記』

サミュエル・ウェルズ・ウィリアムズ 著 洞 富雄 訳 講談社学術文庫 2022/7/14 1,672円

幕末の黒船、ペリー艦隊で来日し、ペリー自身の日記や公式記録とは異なる視線で日米交渉の一部始終を目撃した首席通訳による貴重な記録。

 

4.『パリ万国博覧会 サン=シモンの鉄の夢』

鹿島 茂 著 講談社学術文庫 2022/7/14 1,496円

現在も世界各国が競って開催する万国博覧会。
それは、サン=シモンという男が思い描いた「産業という宗教」を奉ずる者たちが、物神たる機械と商品の数々によって荘厳した神殿として創められた。
万博というものを、単なる近代産業技術のひとこまとしてではなく、来たるべきユートピアとして構築され、資本主義文明の展開そのものを懐胎した運動であったことを活写する、この著者だからこそ書けた万博論の決定版!

 

5.『中国戦乱詩』

鈴木 虎雄 著 講談社学術文庫 2022/8/12 1,177円

太平の時は常に稀にして戦乱の世は常に多し。――古来より、中国では戦争が絶えなかった。歴代の詩人たちは、あるがままの現実を作品に昇華し、人々の叫び出でたる声として残した。中国古典文学研究の泰斗が、蘇軾・李白・杜甫・文天祥といった、周代から清朝の名詩・四十一首を精選する、味わい深い名著。

 

6.『イギリス貴族』

小林 章夫 著 講談社学術文庫 2022/7/14 946円

イギリスの貴族は、国の主導者として法律を作り、政治を司り、軍隊を指揮する一方で、宏壮な邸宅では社交、狩猟、スポーツに熱中した。今では世界中に広がる「英国的」な文化にも、彼らエリートが育んだものが多い。イギリスを知るには、貴族への理解が不可欠なのだ。とはいえ、そうした貴族の実態は、多くのイギリス人にとって謎に包まれてきた。
たとえば、貴族の身分はどのように決まるのか、カントリー・ハウスでの豪奢な生活はどのようなものか。貴族と紳士の違いは何か。どのような社会後周の世宗・明の永楽帝ら、虐殺を重ねた支配者たち。安禄山・馮道ら、権力に執着した裏切者たち。王安石・梁啓超ら、独り善がりな改革者たち。李卓吾・康有為ら、過激な教えを説いた思想家たち。12人の生涯をたどり、彼らが「悪の道」に堕ちた背景を解き明かす。現代中国の悪党も射程に入れた、圧巻の1400年史!的役割を果たし、他方で社交に興じていたのか。そもそも、貴族の起源とは? 多くの事例とともに、軽妙な語り口でわかりやすく紹介する好著。

 

7.『兵士の革命 ─1918年ドイツ』

木村 靖二 著 ちくま学術文庫 2022/8/6 1,650円

キール軍港の水兵蜂起から、全土に広がったドイツ革命。軍内部の詳細分析を軸に、民衆も巻き込みながら帝政ドイツを崩壊させたダイナミズムに迫る。

 

8.『インド大反乱一八五七年』

長崎 暢子 著 ちくま学芸文庫 2022/07/07 1,320円

東インド会社の傭兵シパーヒーの蜂起からインド各地へ広がった大反乱。民族独立運動の出発点ともいえるこの反乱は何が支えていたのか。

 

9.『大東亜共栄圏』

安達 宏昭 著 中公新書 2022/7/20 968円

大東亜共栄圏とは、第2次世界大戦下、日本を盟主とし、アジアの統合をめざす国策だった。それは独伊と連動し世界分割を目論むものでもあった。日本は「自存自衛」を掲げ、石油、鉱業、コメ、棉花などの生産を占領地域に割り振り、政官財が連携し企業を進出させる。だが戦局悪化後、「アジア解放」をスローガンとし、各地域の代表を招く大東亜会議を開催するなど、変容し迷走する。本書は、立案、実行から破綻までの全貌を描く。

 

10.『最後の審判』

岡田 温司 著 中公新書 2022/7/20 924円

世界の終末に神が人類を裁く「最後の審判」。キリストが再臨して、天国で永遠の命をあずかる者と地獄へ堕ちて永遠の苦しみを課される者を振り分けるとされる。西洋の人々にとって、希望の光であると同時に恐怖の源でもあった。本書は、このキリスト教の重要主題をわかりやすく解説する。死後の世界はどうイメージされたか。罪は誰が裁き、どんな罰が与えられたか。裁きに正義はあったか――。多くの図版とともに読み解く。

 

11.『韓国併合』

森万 佑子 著 中公新書 2022/8/22 946円

日清戦争の結果、朝鮮王朝は清の「属国」から脱し大韓帝国を建国、皇帝高宗のもと独自の近代化を推進した。だが帝国日本は朝鮮半島での利権を狙い侵食。日露戦争下、日韓議定書に始まり、1904~07年に三次にわたる日韓協約によって外交・財政・内政を徐々に掌握し、10年8月の併合条約により完全に植民地化する。本書は日韓双方の視点から韓国併合の軌跡と実態を描く。今なお続く植民地の合法・不法論争についても記す。

 

12.『悪党たちの中華帝国』

岡本 隆司 著 新潮選書 2022/8/25 1,870円

後周の世宗・明の永楽帝ら、虐殺を重ねた支配者たち。安禄山・馮道ら、権力に執着した裏切者たち。王安石・梁啓超ら、独り善がりな改革者たち。李卓吾・康有為ら、過激な教えを説いた思想家たち。12人の生涯をたどり、彼らが「悪の道」に堕ちた背景を解き明かす。現代中国の悪党も射程に入れた、圧巻の1400年史!

 

13.『Q1054 ペスト』

キャロリーヌ・コステドア, ミシェル・シニョリ 著, 井上 雅俊 訳 白水社 2022/08/02 1,320円

埋葬地から得られたデータに基づく、過去のペストの流行に関する新たな知見を紹介。その流行の歴史から現状までを概説する。

 

企画本

特定のテーマにトピックを当てた企画本・選書です。リーズナブルな価格で専門的でおもしろい切り口の内容の書籍が読めます。

今回は個人的にこれらが注目です。

 

14.『ウルグアイを知るための60章』

山口 恵美子 編著 明石書店 2022/07/20 税抜2,000円

サッカー強豪国、牛肉の産地としても知られる南米の国ウルグアイ。80~90年代には多国間交渉ウルグアイ・ラウンドの舞台になり、近年は「世界一貧しい大統領」が話題を呼んだ。諸分野の専門家が結集し、国の全体像を提示する初めてのウルグアイ入門書。

 

15.『現代ホンジュラスを知るための55章』

中原 篤史 編著 明石書店 2022/07/15 税抜2,000円

北はカリブ海、南は太平洋に面する中米の国ホンジュラス。豊かな歴史や文化が残る反面、そこでは政府による汚職が横行し、刻一刻と格差が広がっている。現代ホンジュラスの光と影をジャーナリスティックに映しだす入門書にして、人間のつながりとその強さを感じさせる希望の書。

 

16.『モルドヴァ民話』

グリゴーレ・ボテザートゥ 収集・語り, 雨宮 夏雄 訳 明石書店 2022/07/15 税抜2,500円

ルーマニアとウクライナに挟まれた東欧の小国モルドヴァ。14世紀半ば国家として出現以来、ハンガリー、ポーランド、オスマン帝国、ロシアなど周辺大国の狭間で厳しい立場に置かれながらも伝統文化と言葉を武器にアイデンティティを保持してきたモルドヴァの人々。
モルダヴィアの民として受け継がれてきた感性や想像力がいかなるものか、その景色の一端を知る珠玉の民話13篇。

 

17.『モスクワ音楽都市物語』

S.K.ラシチェンコ 著, 広瀬 信雄 訳 明石書店 2022/06/30 税抜2,500円

帝都ペテルブルクに比べ不毛の地であったモスクワを音楽都市に変えた背景と経緯について、名高い音楽家、演奏家、作曲家を芸術の面のみならず社会改革者、挑戦者という視点から捉え直し論述する。

 

18.『図説 ヨーロッパの装飾文様』

浜本 隆志 著 河出書房新社 2022/7/22 2,365円

建築や美術、服飾、装飾品など、ヨーロッパ文化を彩ってきた様々な文様の、秘められた意味と歴史をたどる。文様の起源から日本との関わりまで、様式美のコスモロジーの世界への招待。

 

19.『一冊でわかる北欧史』

村井 誠人, 大溪 太郎 監修 河出書房新社 2022/9/21 1,870円

北欧の国ぐにはどんな歴史を歩んできたのか。図やイラストを使いながらわかりやすく、ていねいに描く。コラム「そのころ、日本では?」「知れば知るほどおもしろい北欧の偉人」も役に立つ。

 

20.『ドイツ映画史の基礎概念:新世紀のディアスポラ』

古川 裕朗 著 九州大学出版会 2022/9 3,200円

戦後のドイツ人は自身の〈ホーム〉を失ったディアスポラの民であり、人々は精神的故郷を求めてさまよい、さすらった。果たして現代のドイツ映画は〈ドイツ人のディアスポラ〉という戦後のビッグ・モチーフに対していかに応答したのだろうか?

21世紀以降のドイツ映画賞受賞作のうち、「移民」「ナチ」「東西ドイツ」を扱った諸作品を異文化理解の立場から紹介・解説する本書は、現代ドイツ映画史への格好の手引書であるといえよう。あらすじ、主題、メディア論的な意味を分析考察し、2000年代から2010年代にかけて生じた作品傾向の歴史的変容を基礎概念の提示と共に明らかにする。

 

21.『メガネの歴史』

ジェシカ・グラスコック 著, 黒木 章人 訳 原書房  2022/08/23 3,850円

13世紀に誕生した世界初の老眼鏡から、片眼鏡、オペラグラス、サングラス、レディガガの奇抜なファッション眼鏡まで。ときに富や権力、女性解放の象徴となった眼鏡の意外で奥深い歴史を、豊富なビジュアルで解説。

 

22.『スポーツの歴史』

レイ・ヴァンプルー 著, 角 敦子 訳 原書房 2022/07/23 4,950円

あらゆる面からスポーツ全般の歴史を描く大著。スポーツのはじまりと時代背景、代表的競技の歴史、政治・権力との関係、ビジネス、文化、環境問題まで、スポーツは人間や社会とどう関わり、発展したのか。

 

23.『ココナッツの歴史』

コンスタンス・L・カーカー, リー・ニューマン 著, 大槻 敦子 訳 原書房 2022/09/15 2,420円

ケーキやパイのトッピングだけでなく、カレーの材料、酢、砂糖、粉、油など調味料としても大活躍するココナッツ。万能食材でありヒンドゥー教やポリネシアの儀式にも用いられるココナッツの起源から現在までを探る。レシピ付。

 

24.『世界を変えた100のシンボル 上』

コリン・ソルター 著, 甲斐 理恵子 訳 原書房 2022/09/15 2,640円

このマークはなぜこういう形なのか、どのように生まれたのか? 本書はよく知られた100の記号、シンボルを整理し、それらの起源や作られた経緯などをくわしく見てゆく。アイデアの源泉となるヴィジュアル・レファレンス。

 

25.『世界史を変えた独裁者たちの食卓 上』

クリスティアン・ルドー 著, 神田 順子, 田辺 希久子 訳 原書房 2022/07/22 2,200円

ヒトラーの奇妙な菜食主義、スターリンが仕掛けた夕食会の罠、毛沢東の「革命的」食生活、チャウシェスクの衛生第一主義、ボカサの皇帝戴冠式の宴会、酒が大量消費されたサダムのディナーなど、この本は暴君たちの食にまつわる奇癖やこだわりを描く。

 

26.『《世界史リブレット人》060.ワシントン』

中野 勝郎 著 山川出版 2022/8 880円

    ワシントンは、彼以降の大統領のように、大統領制や連邦制という政治制度が確立された時代に大統領になったのではない。彼は、ほかのどの大統領も負うことのない役割、つまり、憲法で定められた大統領制や連邦制を具体的に作動させる役割を担った。18世紀後半当時においては、王のいない社会というのは想定しにくく、王のいない政治体制をつくるというのは非常識かつ前例を求めることができない試みであった。カエサルやナポレオンのような偉業を達成したカリスマをもつ英雄でもなく、ジャクソンやアイゼンハワーのような輝かしい軍歴もなかったワシントンは、どのようにして初代大統領となったのか。植民地時代から独立戦争、合衆国憲法の制定、連邦政府の発足という歴史のなかでその生涯をたどり、彼がどのような人物であり大統領であったのかを探る。

 

お手頃の専門書

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27.『日ソ戦争 南樺太・千島の攻防 領土問題の起源を考える』

富田 武 著 みすず書房 2022/7/19 3,740円

『日ソ戦争1945年8月――棄てられた兵士と居留民』(2020年刊)で記述できなかった南樺太・千島戦およびその後の占領の経過と考察を、続編として刊行する。ヤルタ密約後のソ連の参戦動機と米ソの角逐から、日本人捕虜や居留民の実態、ソ連による南樺太・千島の占領と併合、現在まで、ロシア側資料もふんだんに使用し、日本軍・ソ連軍・各兵士、および住民の多様な記録から戦闘の全貌と詳細をしるす最新研究である。北方領土問題を考えるためにも、重要な書となるだろう。
「南樺太・千島戦とその後の占領は、ロシア国防省のソ連軍戦闘記録デジタル文書と防衛研究所所蔵文書、そして参戦し、捕虜になった将兵や住民、島民の回想記を活用することによって、かなりの程度まで解明される。南樺太や占守島での奮闘が「北海道上陸作戦」を阻止したという思い込みに反駁し、従来ほとんど無視されてきたソ連海軍太平洋艦隊の動向の一部解明も併せて、「太平洋への出口」確保戦略を実証するものとなろう」。

 

28.『沖縄戦と琉球泡盛』

上野 敏彦 著 明石書店 2022/07/15 税抜2,500円

「鉄の暴風」と呼ばれた沖縄戦は、文化の破壊行為でもあった。永く伝わる古酒には100年をこすものもあったというが、すべては灰燼に帰した。大切な文化を残すためにも平和を守らなければならない。沖縄の人びとの文化に対する愛着を平和な時代に託す試みとは。

 

29.『岩波講座 世界歴史 第9巻 ヨーロッパと西アジアの変容 11~15世紀』

岩波書店  2022/08/30 3,520円

グローバルヒストリー、フェミニズム、環境史などの成果をふまえつつ、太平洋地域やアフリカ大陸に加え、「歴史総合」に対応して日本史とも接続させた、新しい世界史像。「接合」と「分断」が同時に進む世界で、時間と空間を超えた人びとのつながりをとらえなおす、四半世紀ぶりの第三期刊行。学界の総力を結集してお届けします。

 

30.『岩波講座 世界歴史 第17巻 近代アジアの動態 19世紀』

岩波書店 2022/07/28 3,520円

19世紀のアジアは、各地の伝統社会の成熟を基にしつつ、どのような歴史的経験をしたのだろうか。広大なアジアを舞台に欧米の進出も取り込みながら展開していった政治的・経済的・社会的ダイナミズムを追うとともに、ジェンダーや宗教、法制度や軍事技術といった新鮮な切り口も加えて、日本を含む近代アジアの動態を捉える。

 

31.『自発的隷従の日米関係史』

松田 武 著 岩波書店 2022/08/09 3,520円

日米関係を「対等な関係」とは程遠いものにさせている原因は何なのか。戦後から今日に至る日本政府の「対米追随」は、どのようにして「日本が望んだ」ものとされていったのか。日米安保体制の歴史的構造を多角的な観点から明らかにし、日米関係の新たな構図を描き出す。ジョン・ダワー推薦!

 

32.『羊皮紙の世界』

八木 健治 著 岩波書店  2022/08/30 3,190円

動物の皮を薄い紙にしていく工程から、中世の写字生が駆使したテクニックの数々、西欧以外の文化圏での活用法まで、羊皮紙にまつわる基礎知識を一冊に。羊皮紙の表も裏も毛穴までも知り尽くした第一人者が贈る入門書。

 

33.『超大国・中国のゆくえ1 文明観と歴史認識』

劉 傑 著, 中村 元哉 著 東京大学出版会 2022/8/12 3,850円

中国はどのようにして東西の文明を理解し、また自らの歴史を総括して政権の正統性を確保しながら、世界との関係を切り結んできたのか。経済成長に自信を深め攻勢を強める中国の現在地とゆくえを文明観と歴史認識から読み解く。シリーズ全5巻完結!

 

34.『日独伊三国同盟の虚構』

手塚 和彰 著 彩流社 2022/7/22 3,960円

日独各々が、短絡的な都合の下に勝手な解釈を繰り出し実質を伴わずに成立した日独伊三国同盟を、独の最新資料から再検証し、この同盟の根本的無意味さを暴き、現代の情報化された外交問題にも示唆を与えようと試みる。

 

35.『「いま」を考えるアメリカ史』

藤永康政, 松原 宏之 編著 ミネルヴァ書房 2022/9 3,080円

「いま」のアメリカを形づくったものは何か。歴史の源流を遡り、その根源を探るとともに、人種や消費などのトピックからも追究。現代のアメリカ社会を多角的にとらえ直し、社会問題の処方箋を考えるテキスト。

 

36.『《YAMAKAWA Selection》北欧史 上 』

百瀬 宏, 熊野 聰 著 山川出版 2022/8 1,430円

    『新版世界各国史21 北欧史』を上・下巻のハンディ版としてリニューアル。現代までの研究動向を踏まえ、特にカナ表記を一新するなど、全体を通して修正を加えての刊行。
北欧の国々は周辺の大国とのパワーバランスの前にどのように立ち回り、いかにして「幸福度」の高い社会をつくり上げたのか。
環境問題、世界平和、男女平等など、さまざまな課題においていまや世界をリードする北欧各国の歴史の積み重ねをみつめる。
上巻では、先史時代から19世紀半ばまでを扱う。

 

37.『日本の南進と大東亜共栄圏』

後藤乾一 著 めこん 2022/6/6 2,750円

アジアを学ぶとき日本人として必ず整理しておかなければないテーマ―――。
日本人はいつごろから、どのようなかたちで、東南アジアに進出していったのか?
アジア太平洋戦争の時代、日本軍は東南アジアで何をしたのか?
日本が戦争遂行の大義として掲げた「大東亜共栄圏」とは何だったのか?
その大義は果たされたのか? 東南アジアの人たちはどのように受け止めたのか?
その記憶は、東南アジアでは、どのように受け継がれているのか?
日本では?
大量の文献と先行研究の分析を基に、包括的かつ客観的にまとめた「アジアの基礎知識」。

 

高額専門書

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38.『中国の「よい戦争」 甦る抗日戦争の記憶と新たなナショナリズム』

ラナ・ミッター著, 関智英 監訳, 濱野大道訳 みすず書房 2022/7/19 4,840円

かつては限られた語りしか許されていなかった抗日戦争(日中戦争)の記憶が、国力を増す中国でいま、「よい戦争」として甦っている。タブーだった蒋介石と国民党に対する再評価が進み、第二次世界大戦後の国際秩序の形成に自国が果たした役割にも、新たなまなざしが向けられている。何が起きているのか?
本書は、オックスフォード大学で現代中国史を研究する第一人者が、1980年代以降の政界と学界の動向から、博物館の展示拡充、文学潮流、人気映画、ソーシャル・メディア上の議論までを取り上げ、中国のナショナリズムと内的論理を多角的に分析するものである。
射程は現在の日中関係にも及ぶ。『南京! 南京!』『エイト・ハンドレッド(八佰)』など中国のヒット映画と、『永遠の0』『この世界の片隅に』ほか日本の人気作との違いを論じ、歴史教科書問題や尖閣諸島(釣魚群島)をめぐる対立の背景に潜む異なる記憶の回路にも迫っていく。
日中関係の今後を考えるうえでも新たな手がかりとなる本書は、『フォーリン・アフェアーズ』『スペクテイター』『アジアン・レビュー・オブ・ブックス』などで年間ベストブックにも選ばれた。日本版序文と監訳者による解説を収録。

 

39.『慰安婦問題論』

C・サラ・ソー著, 山岡由美 訳 みすず書房 2022/7/9 4,950円

この問題が注目された端緒は1991年、金学順らが日本政府を相手に起こした集団訴訟だった。それから30年。元慰安婦らが国家賠償を求め続ける一方で、日本では教科書の記述が変更され、あいちトリエンナーレ2019で平和の少女像展示が一時中止になり、2022年日独首脳会談ではベルリンの少女像の撤去が求められた。1993年の河野談話を継承するとしつつ責任を限定したい日本側と、慰安婦制度は国家犯罪という認識は平行線をたどってきた。
本書は2008年に、韓国人研究者がシカゴ大学出版から英語で刊行した研究書の待望の日本語版である。刊行当時から現在まで慰安婦問題をめぐる基本構図は変わらない。なぜこれほどまでに、問題はこじれたのか。
日本軍の慰安所について、本書はそれを認可業者型、軍専属型、犯罪型に分類し、商業性と犯罪性の濃淡を認めている。公娼か性奴隷かの二元論はこの現実を見てこなかった。そうした論争は問題の核心も看過してきた。それは、慰安婦にされた女性を飲み込んだ女性蔑視・搾取の巨大な濁流、それに日韓双方が国家レベルでも国民レベルでも加担していた事実である。これが本書の問題意識である。
「自らの政治的立場を強める目的で文脈を無視して本書の一部を悪用することのないよう、日本内外の右翼および急進的ナショナリストに注意を促しておく」(「はじめに」より)。曲解を招く危険を自覚しつつ、争いの不毛さを指摘した勇気ある書。

 

40.『日本のカーニバル戦争 総力戦下の大衆文化1937-1945』

ベンジャミン・ウチヤマ 著, 布施 由紀子 訳 みすず書房 2022/8/16 4,620円

総動員令が発令されても、「帝国臣民」は息をひそめ、ただ受け入れたわけではない。統制が厳しくなるにつれ、大衆は無遠慮、不謹慎、価値倒錯的な行動さえとるようになり、メディアもそれを煽ったのだ。日中戦争の従軍記者は、戦場での「百人斬り競争」をこぞって報じ、銃後はその記事に飛びついて、文字通り「消費」した。「スリル」という日本語も、この頃生まれた。
20世紀初頭のロシアの文学理論家バフチンは、このような状況を「カーニバル」と呼んだ。社会の通常のルールが一時的に適用されなくなり、既存の階層構造が壊されて平準化する、過渡的な瞬間のことだ。そこでは強者が貶められ、弱者や一癖ある者がコミュニティの「カーニバル王」に祭りあげられる。こうして「カーニバル戦争」は「大衆に、鬱積した不満を吐き出すセラピー効果のある通気口を提供」した。
その象徴的な存在として本書が取り上げるのは、①「スリル・ハンター」になった従軍記者、②高給取りの軍需工場の職工、③兵隊(帰還した傷病兵を含む)、④映画スター(総力戦のチアリーダーも務めた)、⑤少年航空兵(戦争末期には特攻隊員に)。
著者は日本の近現代史を専門とする、アメリカの気鋭の歴史学者。当時の新聞雑誌からの膨大な量の引用(軍国少年の投書や柳屋ポマードの広告まで)を土台とした、「消費者=臣民」の具体的な洞察に、読者は引き込まれるだろう。

 

41.『「満洲」という遺産』

劉 建輝 編著 ミネルヴァ書房 2022/9 11,000円

14年間しか続かなかった帝国日本最大の植民地「満洲」は、関内(中国)をはじめ、内地(日本)、朝鮮、ソ連などといかなる関わりをもっていたのか。また、いわゆる「日人」「満人」双方の精神活動と行動原理に深く影響を与えた現地の社会や文化はいかなるものであったのか。本書では、構造的かつ多角的な視点から「満洲」の全体像を構築し、あわせてその存在が中国や日本、また朝鮮に及ぼした歴史的な役割と意味を追究する。

 

42.『原典朝鮮近代思想史 第5巻 民族の解放と社会変革』

 吉野 誠 編集委員, 小川原 宏幸 編集協力 岩波書店 2022/08/09 17,600円

噴出する朝鮮人のナショナリズムに対応した日本の植民地政策である「文化政治」の時代を扱う。民族主義と社会主義、植民地社会の現実と変革、植民地支配下の文化運動などの資料を収録。

 

43.『絵図の史学』

杉本 史子 著 名古屋大学出版会 2022/7 5,940円

近世期、高度に成熟した表現を獲得した国絵図、鳥瞰図などの絵図の役割を、色彩・材料などのモノや、制作者や人々の想像力から新たに捉え、近代地図への発展史観が見落とした全体像を提示、海図など海洋の視点も導入して、近代移行期の社会空間をめぐる理解を書き換える、絵図研究の決定版。

 

44.『北欧中世史の研究: サガ・戦争・共同体』

阪西 紀子 著 刀水書房 2022/7/4 4,950円

ノルウェーとアイスランドに残された古アイスランド語文献を根本史料とし,9~13世紀に至る当該地域の社会のあり方を,とりわけ独特の社会秩序意識とその維持機能に注目しながら明らかに

 

45.『カラヴァッジョ ほんとうはどんな画家だったのか』

石鍋 真澄 著 平凡社 2022/8 6,160円

 「光と闇」の真実――。カラヴァッジョ評伝の決定版

バロック美術の礎を築いた革新者でありながら殺人を犯したならず者……。
巷に流布する「カラヴァッジョ神話」から、作風や生き様をわかりやすく光と闇にたとえ、評するのは容易だが、それはほんとうに正しいのか?
生涯をかけ作品に触れてきた西洋美術史の第一人者が、過去の伝記から最新研究まで丹念にひも解き、その時代の社会的背景に基づく現実的な解釈を加えながら実像に迫っていく。

 

46.『崩壊と復興の時代 戦後満洲日本人日記集 』

佐藤 仁史, 菅野 智博, 大石 茜, 湯川 真樹江, 森 巧, 甲賀 真広 編著 東方書店 2022/7 7,700円

「満洲の記憶」研究会の活動の中で発見・整理された、満洲在住日本人の敗戦直後から引き揚げまでの日記4種を収録。筆者は国策企業の経営層、同上層幹部、専門技術者、女性新聞記者、主婦である。性別も立場も異なる書き手の日記はそれぞれ興味深く有用な情報が多く含まれているが、複数の日記を読み比べることで、同じ事象を異なる角度から捉えることもできる。各日記に解題と注釈を付す。

 

47.『フランク史Ⅱ メロヴィング朝の模索』

佐藤 彰一 著 名古屋大学出版会 2022/8 7,920円

「軍閥王」が建設した「自由なる民」の王国は、度重なる分裂と統合を経て何を欧州にもたらしたのか。第一人者による初の本格的通史の第2巻。本巻では世界史の新局面のなか、初代王の征服と受洗から司教座・貴族・宮廷権力の形成まで、海を跨いだ交流を視野にダイナミックに描く。

 

48.『野蛮と宗教Ⅱ』

J・G・A・ポーコック 著, 田中秀夫 訳 名古屋大学出版会 2022/8 7,480円

西洋史の大きな物語 —— 古典古代の崩壊にともなう「野蛮と宗教」の時代から、洗練された習俗・商業・主権国家に基づく「ヨーロッパ」へ —— はいかにして形成されたのか。聖史を脱して博学と哲学を統合する多様な「啓蒙の語り」を読み解き、ギボンの知的文脈と独自性に迫るライフワーク。好評の第Ⅰ巻に続く、歴史叙述をめぐる思想史。

 

49.『フィリピン革命の研究』

池端 雪浦 著 山川出版 2022/08 7,700円

本書は長年日本におけるフィリピン近代史研究を牽引してきた著者が、1970年から2001年にかけて学会誌や大学紀要、共著書などで発表してきた論考のなかから、フィリピン革命に関する論考9編を選び、編集したものである。
 フィリピン革命は、19世紀の末スペインの植民地支配下で、アジアで初めての「共和国」を生んだ独立革命であった。その原動力となったのはパションに象徴される民衆カトリシズムであり、兄弟会に参集した民衆の救済への希求が抵抗運動を支えた。その一方で、リサールやデル・ピラールに代表される知識人による改革運動、プロパガンダ運動が民族思想を醸成した。
 この二つの潮流が、革命運動へと結実するのであるが、革命は当初ボニファシオの指導する秘密結社カティプーナンの蜂起として開始された。カティプーナンの運動の核心にあったのはパションであり、その思想・組織・運動形態を検討して「受難としての革命」の実像を明示する。しかし、この蜂起ののち革命運動のリーダーシップは、アギナルドに代表されるプリンシパリーアと呼ばれる有産階級に移った。その過程が詳細に検討されるが、一時は「フィリピン共和国」の成立を宣言して、南部のタガログ6州で民族独立を果たしたかにみえた革命政府も結局は、自由主義政策に転じたスペイン政府と和平協定を結び、改革運動へと後退した。国民国家創出への道半ばで、新たにアメリカの支配下におかれることになった1896年の革命が「未完の革命」と呼ばれるゆえんである。
 本書を構成する9つの章は、本来個別の論考ではあるが、一貫した問題関心に導かれて、フィリピン革命の実像に迫る本書は、フィリピン革命史研究の基本文献である。国民国家への疑念が欧米史研究者によって語られる時代に、いまだ国民国家形成の途上にあるフィリピンで展開された最初の国民国家創出の試みを解明する意義は、国民国家のあり方を考えるうえでも大きいであろう。

 

50.『大英図書館豪華写本で見るヨーロッパ中世の神話伝説の世界』

チャントリー・ウェストウェル 著, 伊藤 はるみ 訳 原書房  2022/07/22 4,950円

壮大な叙事詩から、年代記、英雄とヒロイン、冒険物語、恋愛譚、勇者と悪漢、魔法の世界まで、中世ヨーロッパの40の物語を、大英図書館収蔵品の中でも最も豪華な中世の写本により紹介する。フルカラー図版250点。

 

 

まとめ

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