歴ログ -世界史専門ブログ-

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【2022年6月版】世界史関連の新刊50冊

今月は歴史専門書の数が多いです

 2022年4月~6月の世界史関連新刊紹介です。

本記事はざっと流し読みをして気になる本をメモしていただくか、ブックマークして書店を訪れた際に見返すかして使っていただけるといいかと思います。今回は50冊あります。

 

新書・文庫・選書

安価に楽しめる新書、文庫、選書。今期はかなりバリエーション豊かなです。個人的な注目は以下の通りです。

 

1.『物語 スコットランドの歴史 イギリスのなかにある「誇り高き国」』

中村 隆文 著 中公新書 2022/5/23 税込990円

イングランド、ウェールズ、北アイルランドとともに「イギリス」を構成するスコットランド。一七〇七年の合同法でイングランドと統合しグレートブリテン王国となったが、近年は独立を模索するなど、独自の歴史とナショナル・アイデンティティをもつ。ケルト文化、デイヴィッド・ヒュームやアダム・スミスに代表される啓蒙思想、「地酒」ウイスキー、ゴルフ、伝統衣装タータン・キルトなど多様なスコットランドを活写する。

 

2.『シリーズ歴史総合を学ぶ 1 世界史の考え方』

小川 幸司, 成田 龍一 編 岩波新書 2022/03/18 税込1,276円

近現代の日本史・世界史を総合し、近代化、大衆化、グローバル化の歴史像を考える高校の必修科目が始まる。シリーズ第一巻は中国史、イギリス史、アメリカ史、アフリカ史、中東史の歴史家とともに、近現代史の名著を題材に、歴史研究の最前線や歴史像の形成過程、概念に基づく比較、問いや対話による歴史総合の実践を示す。

 

3.『シリーズ歴史総合を学ぶ 2 歴史像を伝える』

成田 龍一 著 岩波新書 2022/06/17 税込1,276円

「歴史総合」の授業では、教室での「私たち」が、教科書をはじめとする、「私たち」を主語にした「歴史叙述」を解釈し、歴史の知識と歴史的思考力をむすびつけ、〈いま〉と過去とを往還する「歴史実践」の対話を行うことが求められる。本巻は、シリーズ第1巻の総論的な『世界史の考え方』に続き、歴史を学ぶ営みに迫る。

 

4.『人種主義の歴史』

平野 千果子 著 岩波新書 2022/05/20 税込1,034円

「人種」という根拠無き考えに基づいて、人を差別・排除する。人種主義(レイシズム)は、ナショナリズム、植民地主義、反ユダヤ主義等と結びつき、近代世界に計りしれぬ惨禍をもたらし、ヘイトスピーチや黒人差別など、現代にも深い影を落としている。大航海時代から今日まで、その思想と実態を世界史的視座から捉える入門書。

 

5.『海の東南アジア史 ─港市・女性・外来者』

弘末 雅士 著 ちくま新書 2022.05/09 税込968年

ヨーロッパ、中国、日本などから人々が来訪し、交易や植民地支配を行った東南アジア海域。女性や華人などを通して東西世界がつながった、その近現代史を紹介。

 

6.『天皇と中国皇帝 菊と龍の文様で読み解く』

彭 丹 著 平凡社新書 2022/05/17 税込1,210円

中国の文化・制度を取り入れてきた日本。万世一系の天皇が皇帝制度と性質を異にするのはなぜなのか。日中比較文化研究者が分析する。

 

7.『世界鉄道文化史』

小島 英俊 著 講談社学術文庫 2022/05/22 税込1,353円

鉄道誕生から約二〇〇年――そこには、爛熟する豪華列車もあれば、等級制が生み出す人間模様もある。廃線問題が起こる一方で、座席や照明は進化し、激化するスピード競争はついにリニア開発までいきついた。他に類を見ない独特な文化を生み運んできた鉄道の全軌跡を、第一人者が新聞や文学、写真や絵画を渉猟して描き切る、壮大にして無二の世界史!

 

8.『儒教・仏教・道教 東アジアの思想空間』

菊地 章太 著 講談社学術文庫 2022/05/12 税込968円

儒教と道教、そして仏教。この三つの異なる宗教は、長い歴史のなかで渾然と併存してきた。
そのような不思議な思想空間は、なぜ、いかにして成り立っているのか。
死生観、自然認識、民間信仰などの視点から、衝突・妥協・調和を繰り返すダイナミズムをとらえる意欲作。
矛盾しながら共存する東アジア的宗教の本質を、シンクレティズム=習合というキー概念から鋭く分析し、
軽妙な筆致でやさしく語る!

 

9.『国民とは何か』

エルネスト・ルナン 著 長谷川 一年  訳 講談社学術文庫 2022/04/14 税込660円 

「国民の存在は日々の人民投票である」――
この有名な言葉が見出される本書は、エルネスト・ルナン(1823-92年)が今からちょうど140年前、1882年3月11日にパリのソルボンヌで行った名高い講演の記録です。

 

10.『指揮官たちの第二次大戦―素顔の将帥列伝』

大木 毅 著 新潮選書 2022/05/25 税込1,650円

猛将、賢将、凡将、愚将――。大戦をリードした参戦各国の指揮官たちにつきまとう「評価」は、本当に正しいものなのか。戦後永らく日本を支配してきた俗説を排し、日進月歩の最新研究に基づいて明かされる、将軍たちの知られざる言動と意外な横顔。戦後七十七年、ついに登場した『独ソ戦』の著者による軍人評伝の決定版!

 

11.『聯合艦隊――「海軍の象徴」の実像』

木村聡 著 中公選書 2022/5/10 税込1,870円

東郷平八郎や山本五十六ら聯合艦隊司令長官は、時の海軍大臣よりも名の通った「英雄」であった。臨時の組織に過ぎなかった聯合艦隊が常置されるものとなり、政治的にも大きな存在となりながら、次第に戦争の現場に合致しないものになっていく過程を鍵となる司令長官の事例を軸に説き起こす。

 

12.『東アジアの農村 ─農村社会学に見る東北と東南』

細谷 昂 著 筑摩書房 2022/04/13 税込1,870円

文化や共同体の違いはどこからくるのか? 人間と大地の営み、農をめぐる統治と支配の歴史に深く分け入り、大陸の原風景を描き出す。

 

13.『ヴァンデ戦争 ─フランス革命を問い直す』

森山 軍治郎 著 筑摩書房 2022/05/10 税込1,650円

革命政府に対するヴァンデ地方の民衆蜂起は、大量殺戮をもって弾圧された。彼らは何を目的に行動したか。凄惨な内戦の実態を克明に描く。

 

14.『衣服のアルケオロジー ─服装からみた19世紀フランス社会の差異構造』

フィリップ・ペロー 著 , 大矢 タカヤス 訳 筑摩書房 2022/05/10 税込1,650円

下着から外套、帽子から靴まで。19世紀ブルジョワジーを中心に、あらゆる衣類が記号として機能してきた実態を、体系的に描くモードの歴史社会学。

 

15.『世界をつくった貿易商人 ─地中海経済と交易ディアスポラ』

フランチェスカ・トリヴェッラート 著 , 玉木 俊明 訳 筑摩書房 2022/04/07 税込1,430円

新世界に砂糖をもたらしインドの捺染技術をヨーロッパに伝えたディアスポラの民。何が彼らのグローバルな活動を可能にしたのか? その謎に迫る。

 

16.『スパイス戦争 ─大航海時代の冒険者たち』

ジャイルズ・ミルトン 著 筑摩書房 2022/04/07 税込1,650円

大航海時代のインドネシア、バンダ諸島。欧州では黄金より高価な香辛料ナツメグを巡り、英・蘭の男たちが血みどろの戦いを繰り広げる。

 

 

 

企画本

特定のテーマにトピックを当てた企画本・選書です。リーズナブルな価格で専門的でおもしろい切り口の内容の書籍が読めます。

今回は個人的にこれらが注目です。

 

17.『ブラジルの歴史を知るための50章 』

伊藤 秋仁, 岸和田 仁 編著 明石書店 2022/04/10 税抜2,000円

国土の広大さ、人口の多さから「未来の大国」と認められながら、経済不況に陥る大国ブラジル。しかし、市場の大きさではブラジルの重要性は今も変わっていない。移民が国家形成に重要な役割を果たしたブラジルの人種混淆の歴史と現在の不平等も描き出す待望のブラジル史入門書!

 

18.『一冊でわかるブラジル史』

関 眞興 著 河出書房新社 2022/04/26 税込1,870円

ブラジルとはどういう国か。その歴史を図やイラストを使いながらわかりやすく、ていねいに描く。コラム「そのころ、日本では?」「知れば知るほどおもしろいブラジルの偉人」も役に立つ。

 

19.『図説スペインの歴史』

立石 博高, 黒田 祐我 著 河出書房新社 2022/05/27 税込2,475円

国土の東西南北で変化に富む自然環境、その地政学的位置が大きく左右する歴史の歩み。多様な民族と文化の坩堝の中で育まれた栄光、没落、再生の通史を多数図版と共に描き出した、スペイン史決定版。

 

20.『図説 メディチ家の興亡』

松本 典昭 著 河出書房新社 2022/04/27 税込2,365円

ルネサンス発祥の地、フィレンツェを掌握し、芸術文化を保護。二人のローマ教皇と二人のフランス王妃をうんだメディチ家。「王朝」を彩る500年のエピソードを図版とともに解説。決定版!

 

21.『世界を揺るがした聖遺物』

杉崎 泰一郎 著 河出書房新社 2022/04/26 税込1,562円

「ロンギヌスの槍」「聖杯」など、キリストゆかりの遺物に秘められた奇跡譚の驚くべき由来とは?伝説と共に広まった狂信的な信仰は、世界をどう動かし、今日に至るのか、興味深く解明する。

 

22.『図説 本の歴史』

樺山 紘一 編 河出書房新社 2022/04/26 税込2,200円

石に刻み、木や葉に書くことから始まった書物は、グーテンベルクの印刷術によってさらに大きく進展することになった――。本とは何か。いま改めてその歴史を振り返る。新装版。

 

23.『独裁者のデザイン』

松田 行正 著 河出書房新社 2022/06/07 税込1,650円

いま、一人の「独裁者」が世界の地図を変えようとしている――独裁者たちは、プロパガンダを駆使してどのように大衆を踊らせ、抑圧して行ったのか? その手法を「デザイン」の観点から見直す必読の書!

 

 

お手頃の専門書

4,000円以内で変える専門書をこのカテゴリに入れています。今回注目の書籍はこちらです。

歴史とは何か 新版

新版 トルコ民族の世界史

日本の南進と大東亜共栄圏

 

24.『歴史とは何か 新版』

E.H.カー 著 , 近藤 和彦 訳 岩波書店  2022/05/17 税込2,640円

「過去は現在の光に照らされて初めて知覚できるようになり、現在は過去の光に照らされて初めて十分理解できるようになるのです」。歴史学への最良の入門書を全面新訳。未完に終わった第二版への序文、自叙伝、丁寧な訳注や解説などを加える。達意の訳文によって、知的刺激と笑いに満ちた名講義が、いま鮮やかによみがえる。

 

25.『新版 トルコ民族の世界史』

坂本 勉 著 慶応大学出版会 2022/05/18 税込2,640円

▼騎馬遊牧民族に起源をもつトルコ民族と先住民族との時間的・空間的な関わりをダイナミックに分析し、クルド人問題、ナゴルノ=カラバフ紛争など、トルコ周辺の民族やナショナリズムの諸問題を歴史的な視点から見渡していく。
▼トルコ周辺の複雑な問題について政治的手法、国際関係の視点から検討する類書は多いが、過去にさかのぼりその根にある問題について歴史的な分析をとおして検討しているのは本書だけ。
▼新版では、直近20年の情報をアップデート。
▼文献案内も更新し、より深い学びへの入り口となっている。

 

26.『ロビン・フッドの森 中世イギリス森林史への誘い』

遠山 茂樹 著 刀水書房 2022/05/11 税抜2,000円

本書の目的は,イギリス中世の森と人間のかかわりを歴史的にさぐることである。その歴史をふりかえりながら,森と人間のかかわりをアウトロー物語と史実の両面から考えてみることにある。

 

27.『30周年版 ジェンダーと歴史学』

ジョーン.W.スコット 著, 荻野 美穂 訳 平凡社ライブラリー 2022/5/12 税込2,420円

「ジェンダー」を歴史学の批判的分析概念として初めて提起し、女性史に光をあて歴史記述に革命的転回を起こした名著の改訂新版。

 

28.『岩波講座 世界歴史 第4巻 南アジアと東南アジア ~15世紀』

荒川 正晴, 大黒 俊二, 小川 幸司, 木畑 洋一, 冨谷 至, 中野 聡, 永原 陽子, 林 佳世子, 弘末 雅士, 安村 直己, 吉澤 誠一郎 編集委員 岩波書店  2022/05/27 税込3,520円

山脈によって内陸アジアと隔てられ、陸では東アジア及び西アジアと、海洋では西方とつながる南アジア世界と東南アジア世界。初期国家の形成と諸帝国の盛衰、サンスクリット語・文化の伝播、インド化とマンダラ政体、ヴァルナ(カースト)制などを軸に、両者が緊密に交流しつつ独自の地域社会を形成する過程を包括的に提示する。

 

29.『岩波講座 世界歴史 第8巻 西アジアとヨーロッパの形成 8~10世紀』

 荒川 正晴, 大黒 俊二, 小川 幸司, 木畑 洋一, 冨谷 至, 中野 聡, 永原 陽子, 林 佳世子, 弘末 雅士, 安村 直己, 吉澤 誠一郎 編集委員 岩波書店  2022/06/28 税抜3,520円

地中海から中央アジアに及ぶ一帯では、古代の遺産を引き継ぎながら、一神教による共通の枠組みのもと相互に連動する世界が立ち現れた。今日の諸社会の原風景となるこの世界は、ヨーロッパ・ビザンツ帝国・イスラーム帝国という政治体制下で、いかに形作られたのか。ユーラシア大陸西部の転換期における政治・社会・文化の諸相を活写する。

 

30.『攻撃される知識の歴史』

リチャード・オヴェンデン 著, 五十嵐 加奈子 訳 柏書房 2022/04/22 税抜3,000円

古代から文字によって記録されてきたもの、粘土板、巻物、書籍、住民の公的な記録、手稿、手紙など、その土地に住む人々の文化的な記録は、歴史上、故意にあるいは忘れ去られることで幾度も破壊が起きてきたことを説明しつつ、その過程でライブラリアンやアーキビストがどのように戦ってきたかを記す。

目次はこちらから見れます。

 

31.『新版 ヨーロッパの中世』

神崎 忠昭 著 慶応義塾大学出版会 2022/05/18 税込3,300円

中世ヨーロッパ史の好評テキストを改訂。12世紀ルネサンスからスコラ学・神秘主義等に注目した新章「知の世界」が加わり、全20章となった完全版。庶民の暮らし、ヨーロッパを取り巻くさまざまな隣人たちとの関わり、地勢や天変地異といったさまざまな“歴史”を網羅することにより、より深いレベルで西洋中世史を理解できる。学生のみならず、歴史を学び直したい大人へもおすすめの一冊。

 

32.『日本の南進と大東亜共栄圏』

後藤 乾一 著 めこん 2022/06/06 税抜2,500円

アジアを学ぶとき日本人として必ず整理しておかなければないテーマ―――。
日本人はいつごろから、どのようなかたちで、東南アジアに進出していったのか?
アジア太平洋戦争の時代、日本軍は東南アジアで何をしたのか?
日本が戦争遂行の大義として掲げた「大東亜共栄圏」とは何だったのか?
その大義は果たされたのか? 東南アジアの人たちはどのように受け止めたのか?
その記憶は、東南アジアでは、どのように受け継がれているのか?
日本では?
大量の文献と先行研究の分析を基に、包括的かつ客観的にまとめた「アジアの基礎知識」。

 

33.『中世ヨーロッパの「伝統」 テクストの生成と運動』

赤江 雄一, 岩波 敦子 編著 慶応義塾大学出版会 2022/03/25 税込3,850円

テクストという語は「織り上げられたものtextum」という原意をもち、言葉で表現されたものに加え、図像、モチーフ、工芸品なども射程に捉える。それは常に元と同じではありえず、連なりながら新しい「伝統」を紡ぐ。

本書では、キリスト教・イスラーム文化圏を対象として、言葉が、モノが、いかに産出され、複製され、受容され、そして伝播していったのかを辿り、伝統のダイナミズムを明らかにしていく。第一線の研究者たちによる論文集。

 

34.『王のいる共和政 ジャコバン再考』

 中澤 達哉 編 岩波書店 2022/06/28 税込3,520円

市民革命期(一八─一九世紀)に欧米諸国で議論された「共和政」は、世界各地へ広がりながら、いつ、どのように「王のいない」ものになったのか。「革命」や「自由」とともに、この原理が持っていた本来の意味に光を当て、「近代」を根底から問い直す。刷新を続けるヨーロッパ近世史の成果にもとづく、総決算的論集。

 

35.『「歴史の終わり」の後で』

フランシス・フクヤマ 著,マチルデ・ファスティング 編, 山田文 訳 中央公論 2022/5/23 税込2,530円

世界的ベストセラー『歴史の終わり』刊行から30年。フクヤマが勝利を宣言した自由で民主的な政治体制は、世界中で挑戦を受けている。歴史はなぜ終わらなかったのか。

 

36.『「ヘイト」に抗するアメリカ史』

兼子 歩、貴堂嘉之 編著、ほか 彩流社 2022/04/20 税抜2,800円

日本を問い直すためのアメリカ史
トランプ元大統領の登場によってアメリカのマジョリティの潜在的な”特権的地位”の存在が改めて意識されるようになった。
本書は歴史的視座を重視し、現代が抱えるマジョリティにとっての「他者」たちからの「脅威」による「被害者」意識の発露としての行動を検証し、自覚されない〝特権〟と差別意識払拭への可能性、レイシズムと不平等の問題を考える。同時に日本にも通底する差別の構造を照射する。

 

37.『補給戦 ヴァレンシュタインからパットンまでのロジスティクスの歴史』

マーチン・ファン・クレフェルト 著, 石津朋之 監訳, 佐藤佐三郎 訳 中央公論 2022/4/19 税込2,970円

16世紀以降、ナポレオン戦争、二度の大戦を「補給」の観点から分析。戦争の勝敗は補給によって決まることを初めて明快に論じた名著の第二版補遺(石津訳)と解説(石津著)を増補

 

38.『カチンの森【新装版】 ポーランド指導階級の抹殺』

ヴィクトル・ザスラフスキー 著 根岸 隆夫 訳 みすず書房 2022/05/19 税込3,960円 

1939年8月の独ソ不可侵条約、それにもとづく両国の相次ぐポーランド侵攻、こうして第二次大戦ははじまった。
1940年春、ソ連西部、スモレンスク郊外のカチンの森で、ソ連秘密警察は約4,400人のポーランド人捕虜将校を銃殺した。犠牲者数は、同時期に他の収容所などで殺されたポーランド人と合わせて22,000人以上。職業軍人だけでなく、医師、大学教授、裁判官、新聞記者、司祭、小中学校教師など、国をリードする階層全体におよんだ。

 

39.『権威主義的ネオリベラル主義の系譜学』

グレゴワール・シャマユー 著, 信友 建志 訳 明石書店 2022/04/20 税抜3,200円

すべての権力を市場の統治下に取り戻せ! フーコー、マルクス、ハイエクから対労組マニュアル、企業CM、経営理論まで、ネオリベラリズムの権力関係とその卑しい侵食の歴史を鮮やかに描き出し、現代の社会構造と市場の問題をえぐり出す名著、待望の刊行。

 

40.『グローバル開発史 もう一つの冷戦』

サラ・ロレンツィーニ 著, 三須拓也・山本 健 訳 名古屋大学出版会 2022/06/05 税込3,740円

開発はなぜ、いかにしてなされたのか。米・ソ・欧・中の対抗関係を軸にした実践と、国際機関や私的アクターの国境をこえた活動を描き出し、旧植民地・途上国との相克も視野に、20世紀初頭の「開発」の誕生から冷戦後までの、無数の思惑が交錯する複雑な歴史を初めてトータルに把握する。

 

41.『交差する日台戦後サブカルチャー史』

押野 武志, 𠮷田 司雄, 陳 國偉, 涂 銘宏 編著 北海道大学出版会 2022/03/31 税込3,300円 

文学、映画、オタク文化、ミステリなど、台湾において戦後日本のサブカルチャーがどのように受容され土着化していったのか、また、台湾から日本のサブカルチャーは何を逆輸入しようとしたのか。戦後から現代にいたるサブカルチャー史を、日本と台湾双方の観点から明らかにする。

目次はこちらから見れます。

 

42.『来たれ、新たな社会主義 世界を読む2016-2021』

トマ・ピケティ 著, 山本知子, 佐藤明子 著 みすず書房 2022/04/18 税込3,520円

英国のEU離脱(ブレグジット)、トランプの勝利と敗北、マクロンの諸改革、プーチンの泥棒政治、新型コロナ、気候危機……激動する世界のただ中で、格差と闘うエコノミストは何を訴えたのか? ピケティが構想する「新たな社会主義」とは?
2016年から21年初頭にかけて『ルモンド』紙に寄稿した時評から44本を精選し、新たに「序文」を付す。『21世紀の資本』から進化を続ける思考と格闘の軌跡。

 

高額専門書

4,000円以上の専門書をこちらのカテゴリに入れています。

個人的な注目はこちらです。

 

43.『居場所なき革命 フランス1968年とドゴール主義』

𠮷田 徹 著 みすず書房 2022/04/18 税込 4,180円 

1968年に各国で起きた運動は何だったのか。その本拠地フランス五月革命の意味を、反革命としてのドゴール政治を通して探り出す。

 

44.『和解のための新たな歴史学 』

劉 傑 編 明石書店 2022/05/31 税抜4,500円

東アジア未完成の課題である戦争と植民地支配という歴史の「負の遺産」を克服し、和解を実現するためにどのような歴史研究の可能性があるか。異なる国家体制、国民の歴史意識を相互の理解と和解に導くための新しい史学と歴史家ネットワークの形成を模索する。

 

45.『略奪の帝国 上 東インド会社の興亡』

ウィリアム・ダルリンプル 著, 小坂 恵理 訳 河出書房新社 2022/06/28 税込4,235円

18世紀、ムガル帝国栄えるインドを征服した一企業による、狡猾で傲慢な歴史に残る組織暴力と、凄惨な運命に翻弄されるインドを描いた、近年の歴史書最大の話題作、待望の邦訳!

 

46.『編集者ディドロ  仲間と歩く『百科全書』の森』

鷲見 洋一 著 平凡社 2022/04/27 税抜5,280円

フランス啓蒙思想の金字塔『百科全書』。全28巻に及ぶ、この壮大な出版プロジェクトの全貌と、編集長・ディドロの八面六臂の活躍を、精緻かつ自在な分析により描き出す大著。

 

47.『朝鮮前期の国家と仏教』

押川 信久 著 九州大学出版会 2022年6月 税抜6,000円

従来、朝鮮王朝政府は、建国以来、朱子学を国家の根本思想とする「崇儒政策」を実施する一方で、高麗時代に隆盛した護国仏教を排斥・抑圧する「斥仏政策」「抑仏政策」を推進したとされてきた。ところが、従来の研究は、新国家の形成理念である朱子学と個人の信仰である仏教が朝鮮社会で共存していた状況を考慮せず、「崇儒」と「斥仏」「抑仏」を安易に結びつけていた。また、「斥仏政策」「抑仏政策」の概念が生み出された背景についても、関心が乏しかった。

他方、近年、韓国の学界を中心に、近代以来の研究史を展望した上で、通説であった「斥仏政策」「抑仏政策」の概念を史実に即して検証する傾向が現れている。しかし、「斥仏政策」「抑仏政策」にかわる新たな通念を生み出すには至っていない。

そこで、本書では、15~16世紀における王朝政府の仏教政策の展開を実証的に検討した。その結果、王朝政府は、15~16世紀を通じて、僧尼を国家体制の枠内に収め、国家による土木事業の遂行や王室主催の仏事の開設に活用しようと模索していたのであり、決して「斥仏政策」「抑仏政策」という、仏教界に敵対的な政策を推進していたのではなかったことが明らかとなった。

 

48.『村の公証人 近世フランスの家政書を読む』

ニコル・ルメートル 著, 佐藤彰一・持田智子 訳 名古屋大学出版会 2022/06/03 税込6,380円

勤勉な農夫、貪欲な高利貸し、病を癒す魔術師 ——。公証人テラード一族の家長たちは、宗教戦争を経て訪れたあらたな時代を記録する。彼らが生きた物質的・精神的世界とその変容を、農村から都市にひろがる人々の繫がりとともに活写しながら、公証人が持つ「書くこと」の力に迫る。

 

49.『明代とは何か 「危機」の世界史と東アジア』

岡本隆司 著 名古屋大学出版会 2022/05/11 税込6,380円

現代中国の原型をかたちづくるとともに、東アジア史の転機ともなった明代。世界的危機の狭間で展開した財政経済や社会集団のありようを、室町期や大航海時代との連動もふまえて彩り豊かに描くとともに、民間から朝廷まで全体を貫く構造を鋭くとらえ、新たな時代像を提示する。

 

50.『征服の父 メフメト二世記』

トゥルスン・ベグ 著, 濱田 正美 訳 法政大学出版会 2022/06/27 税込7,700円

栄華を極めた大都市コンスタンティノープルを攻略し、東ローマ帝国を滅亡させたオスマン帝国のスルターン、メフメト二世の一代記。修辞技法の限りを尽くした美文トルコ語によるオスマン文学の嚆矢にして、イスラームの世界観と政治思想、慣習を伝える史書としても重要な古典を現存する写本より完訳。謎の多い著者の経歴とその技法を明らかにする訳者解説を付す。

 

まとめ

 こちらの記事はブックマークしていただき、書店を巡ったりネットで本を探すときにぜひご活用ください。

過去の新刊紹介も併せてどうぞ

【2022年3月版】世界史関連の新刊50冊

【2021年12月版】世界史関連の新刊45冊

【2021年9月版】世界史関連の新刊60冊

【2021年6月版】世界史関連の新刊60冊

【2020年12月版】世界史関連の新刊45冊

【2020年9月版】世界史関連の新刊50冊

【2020年6月版】世界史関連の新刊30冊

【2020年3月版】世界史関連の新刊30冊

【2019年12月版】世界史関連の新刊30冊+α

【2019年7月版】世界史関連の面白そうな新刊35冊

【2019年1月版】世界史関連の新刊35冊まとめ

【2018年9月版】世界史関連の新刊20冊まとめ

【2018年7月版】世界史関連の新刊20冊まとめ 

【2018年5月版】世界史関連の新刊21冊まとめ 

【2018年4月版】世界史関連の新刊30冊まとめ