甘くて魅惑的なフルーツの妖しいお話
古来より人々の甘味欲を満たしてきたフルーツ。
あまりになじみ深いためか、世界中で様々なメタファーに用いられてきました。
よく知るところだと、旧約聖書でリンゴは知恵を司る果物とされていますし、イチヂクは繁栄と肥沃の象徴でした。
そしてそれにまつわるお話も様々に語り継がれています。
今回は海外サイトlistverse.comよりこのような世界中の「フルーツ」にまつわる不思議なお話を紹介します。
1. イチゴを食べることは子殺しと同義(ドイツ)
イチゴは、ゲルマン神話では「愛の女神フリッグ」と関連があるフルーツだと言われています。彼女は幼くして死んだ子どもをイチゴに埋めて天国に送り出したそうです。
キリスト教が普及してからはキリスト教の文脈とミックスして、フリッグが聖母マリアと同一視され、イチゴは「処女のフルーツ」であると見なされるようになりました。
そのため、もし天国の門にやってきた女の口がイチゴまみれだと、地獄に追い返されると考えられました。
別の解釈だと「子どもは死ぬと天国でイチゴに変化する」と考えられたため、イチゴを食べることは子殺しと同義と見なされたそうです。
2. マンゴーは毒薬?(東南アジア)
東南アジア一帯に伝わる伝説です。
天国に行ったカササギが「不老長寿の種」を採ってきて、地上の王の元に帰ってきました。
種を植えると、果たして立派なマンゴーが成った。
王はある年寄りにこれを食べてみよ、と命令しました。ところがこの実は、鷲が空中から落とした毒ヘビによって毒されており、これを食べた年寄りは死んでしまった。激怒した王は、このカササギを殺した。
その後、ある老婆が人生に疲れ、マンゴーを食べて自殺しようとしました。ところが当然毒はないものだったので、たちまち老婆は若がえった!
愚かな王は、みすみす不老長寿のチャンスを逃した、というお話です。
糖分たっぷりのマンゴーは、栄養分の乏しかった昔は高カロリーな栄養食だったのでしょうね。
3. エルダーベリーとお墓の関係(チムシアン族)
チムシアン族はカナダ太平洋岸に住んだインディアンの部族。
彼らによると、人間の寿命がこんなに短いのはエルダーベリー(日本名セイヨウニワトコ)のせいなのだと。
ある時、石とエルダーベリーが「どちらが早く子どもを持てるか」を議論していました。
議論の結果、石が勝てば「人間の寿命をより長く」、エルダーベリーが勝てば「人間の寿命をより短く」することで決定。
両者は同時に競争をスタート。
これを見ていた巨人はエルダーベリーに近づき、オレと子どもを作ろうと提案。
もちろん同意するエルダーベリー。そうしてエルダーベリーは競争に勝利して、人間の寿命は短くなり、それゆえエルダーベリーは墓場の付近によく生えるようになったとさ。
なんか摩訶不思議なお話ですね。何で墓場の付近にはエルダーベリーがよく生えてるのか?という疑問からここまでの物語を作ったチムシアン族はマジでクリエイティブだと思います。
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4. コーヒーと午後のお祈り(エチオピア)
エチオピアはコーヒーの原産国として有名ですが、こんなお話があります。
ヤギ飼いの少年カルディは、ある時ヤギが木に登ってベリーらしきものを食べているのを発見しました。ベリーを食べてからというもの、そのヤギは興奮状態になり夜も寝ずにやかましいくらい騒ぐ。
不思議に思ったカルディ少年は、そのベリーをとって近くに住むお坊さんに見せに行きました。
お坊さんは思い切って口にしてみた。すると目が冴えてお祈りがめっちゃ捗るではないか。
この魔法のフルーツの噂は口コミで広がり、眠くなる午後の礼拝前に食べる習慣が広がった。そのフルーツこそコーヒーで、その後アラブ商人の手に渡って世界中に広がっていくようになったとさ。
5. 性格の悪いパイナップル(フィリピン)
あるところにピナという名の少女がいました。
彼女はたいそう性格の悪い女。
隣人が「ちょっと鍋を貸しておくれ」「ホウキを貸しとくれ」とお願いしても、「見つからないね」と言って断ってしまう。
家族はみんな病気がちだったため、
「この役立たずどもめ!」
と彼女は毎朝のように罵倒するのでした。
ある時ピナは病気にかかってしまいました。
母親は嫌みを込めて言いました。
「ピナよ、ちょっと米を炊いておくれ。あんたはまた見つからないと言うんだろうね。ああ、あんたに百の目があれば見つかるんだろうねえ」
意外なことにピナは外に出て行き、米を刈り取ろうとしますが、もはや体が言うことを聞かない。そして彼女は帰ってこなかったのでした。
数ヶ月後、病気が完治したピナの母が庭で見つけたのは、百の目を持つ奇妙な形をしたフルーツ。それがパイナップルだったのです。
6. 男のアソコから生えたパンノキ(ハワイ)
ハワイの神話の中で、パンノキができたワケには複数のお話があります。
1つめは死体から生えた話。
ある時、飢饉がワイアケア島を襲い、栄養失調でウルという男の命を奪った。
ウルは死亡する時、家族に小川の近くに埋めてくれるように頼みました。
果たして、ウルの墓から木がなりパンノキのフルーツがたわわに実った。ワイアケア島の住民はそれで飢えをしのぎ、飢饉を乗り越えることができたそうな。
2つめは股間から生えた話。
ある男が死に、その股間から生えてきたのがパンノキ。
偶然それを見つけたある神様が、その実を食べてみた。
うん、うまい。で、これはどこから生えているのかな?
ふと根元を見てみる神様。
げえ!アソコかよ!!と思わず全部吐いてしまった。
神様が吐いたゲロはハワイ全土に広がり、種が散らばったおかげでみんなが食べれるようになったのです。
まとめ
フルーツにまつわる神話や言い伝え、実におもしろいです。
実生活に根ざしたような話もありましたが、本当に神話っていうのはクリエイティブですよね。
フルーツと巨人の交尾とか、どう考えたらそんな発想が生まれるのか。
小学生レベルの下ネタ要素もあって実に楽しいです。
参考・引用