歴ログ -世界史専門ブログ-

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【武器】これ反則だろ!と言いたくなる銃

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こんな銃が許されるのか

我々日本人は、武士道の伝統があるからか、はたまた西部劇のステレオタイプか、

ピストル同士の戦いも正々堂々としたものに違いない、いやそうであるべきだ、という幻想がどっかしらにあるような気がします。

ただやっぱ殺し合いですから、敵を情け容赦なく殺戮する銃がいくつも考え出されてきました。

いくつかの海外サイトで紹介されていた、「ちょっとひどくないか」と思えるような銃を集めてみました。

 

 

 1. ソードピストル(イギリス)

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画像転載元:thetimes.co.uk

ネルソン提督が使った中二病な武器

そういえばFF13でライトニング先輩が使ってましたね。 

上記のソードピストルは、トラファルガーの海戦で大活躍したイギリスのネルソン提督が実際に保有していたもの。

刃渡りは25インチ(63センチ)、取手の部分に弾の発射装置がついています。

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画像引用元:lebanontimes.com

実際にトラファルガーの海戦でネルソン提督はこのソードピストルを携帯していましたが、戦闘中に肩から背骨にかけて弾丸が貫通し死亡。

そのためこの中二病な武器は「提督の伝説の武器」として崇め奉られることになってしまいました。

 

2. 銃付き大鎚(イギリス)

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画像転載元:redditmirror.cc

デブのヘンリ8世らしい大鎚(銃付き)

イギリス・テューダー朝のヘンリ8世といえば、イギリス国教会を通じた宗教改革で有名ですが、当時はその巨漢で知られました。

アニメやゲームでは、パワー型キャラはハンマーとか大鎚を持ってるのがお約束ですが、ヘンリ8世ご愛用の武器は、その巨漢を活かした大鎚でした。

創作の世界と違うのは、それに弾丸発射装置がついていたことです。

どこから弾を発射するかというと、

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画像引用元:vikingsword.com

なんと天辺がパカリと開いて4つの銃口が現れた!

何だこの中二病的な武器は。カッコイイじゃないか。

残念ながらこの武器が実際に使われた記録はいのだそうです。

 

3. ガン・シールド

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いいとこ取りすると欠陥品になる例

見たまんまです。銃付きの盾。

16世紀ごろにイタリアで発明され、主にイギリスで利用されました。

先述のヘンリ8世はこれを見るなり大興奮。

「これがあれば銃と盾を両方持つ必要がない!守りながら攻めが可能な武器だ!」

として採用したのでした。

重大な欠点は、弾丸を込めながら進軍するということが不可能なこと。

一発目は進軍しながら発砲が可能ですが、二発目を打ちたいときは一旦進軍をストップし、弾を込めて、もう一回歩みを始める必要がありました。

つまり、歩いたら歩いたで

「おいおい、銃持ってんだから撃てよ!」

と突っ込まれ、撃ったら撃ったで

「おいおい、盾持ってんのに何止まってんだよ!」

と突っ込まれるという致命的な欠陥を内包していたのでした。

 

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4. カギ型銃

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画像転載元:oobject.com

 看守が保有していた警護用の銃

このスパイ映画に出てきそうな銃は、16世紀のヨーロッパで見られた銃。

刑務所の看守が護衛用に保有していたもので、カギ型をしていますが、実際にカギとしても使えたのだそうです。というか、両方を兼用していました。

しかし、こんな代物をポケットに入れていたら危なっかしくてしょうがない。ポケットはモノの出し入れが多い場所だから、誤って引き金を引いてしまうことも大いに有り得る。

そこで看守たちは、この危ないカギを「パンツの中」に入れていたそうです。

いや、そこもどうかと思うけどなあ…

一番大事なところを撃ち抜いたらそれこそ悲劇じゃないか…

 

5. グローブ付き銃

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画像転載元:nww2m.com

一回で確実に敵を暗殺するための武器 

ジェームズ・ボンドが持ってそうなこの武器は、実際に第二次世界大戦中に使われており、スパイが使う暗殺用にアメリカ軍が採用していました。

単発式のため遠距離では使えず、目の前まで敵に近づいて一撃を喰らわし相手を殺害するものです。

もし失敗したら命はないでしょうから、かなりリスキーです。

2009年に公開されたクエンティ・タランティーノ監督の映画「イングロリアス・バスターズ」にも登場します。

これは映像を見ていただいたほうが、理解が早いです。

www.youtube.com

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6. ペッパーボックス・ピストル

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画像転載元:firearmshistory.blogspot.jp

西部ガンマンご愛用の「複数弾同時発射型ピストル」

胡椒挽きにその姿が似ていることからその名が付いたペッパーボックス・ピストルは、1800年代半ばのアメリカ西部開拓時代に大流行した代物。

銃身と薬室が一体化した筒をいくつも組み合わせ、1回の発射で数発の弾丸を同時に発射できるようにしたものです。

上記の、まるでマカロニ・グラタンのように筒が並んだリボルバーは、

ベルギーのMariette社によって1850年ごろに製造された逸品で、24発の弾丸を同時発射できます。

ただ、24もの弾をチマチマと込めないといけず、全ての弾を装填するのに40〜60分近くもかかったそうです。

 

 

まとめ

不謹慎ですが、なんか笑っちゃいます。

効率をあげようとして余計な機能を足していったのはいいけど、やっぱ使い勝手が悪くてシンプルな銃のほうが採用されていったんでしょうね。

プロダクト自体はシンプルな機能の性能を追求しつつ、それをどう運用していくかを発展させたほうが汎用性があったのでしょう。

余計な機能がゴチャゴチャついたオーブンとか要らないんですよ。

焼ければいいの焼ければ。何分焼けば丁度いいかはこっちで理解するからさ〜。

 

参考・引用

6 Awesomely Insane Guns People Actually Used

7 Awesomely Insane Guns People Actually Used

Sword-pistol given to Nelson’s friend on sale

Lebanon Times Beirut, Sword-pistol "brandished by Lord Nelson" at Battle of Trafalgar goes up for auction

INDEPENDENT UK, Henry VIII: the 'gadget master'

vikingsword.com,A highly important four barrel Landsknecht mace, ca. 1540

Firearms History, Technology & Development, Revolver: Colt Single Action Army a.k.a. The Peacemaker

oobject, jailers key guns: Flintlock style Jail key gun