歴ログ -世界史専門ブログ-

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頭にスッと入ってくる文章を書くための参考本

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流し読みでも理解できる文章を目指す

歴ログは比較的、文章が長いのが特徴です。

テーマが歴史である以上、ある程度しょうがないかもしれません。

なのでできるだけ「流し読みでも理解できる文章」を目指しています。

 多発するミス…

ですが、忙しいこともあって最近は、

通勤中にインデックスだけ考えておいて、数時間で2〜3本いっきに書き上げたり、無茶をやることが多くなってきました。

そのせいか、意味の重複や繋がりのない悪文が目に見えて増えており、こりゃいかんということで、作文のための本を再度しっかり読んでみました。

このあいだ、村上春樹さんが「文章は才能」と言ったことが話題になってましたね。

ミシュラン五つ星級の文章は才能かもしれませんが、素人が美味しい家庭料理を作るのは努力次第でできるような気がします。

 

 

「日本語の作文技術」本多勝一  

新装版 日本語の作文技術

新装版 日本語の作文技術

 

本多勝一さんについて 

本多勝一さんは戦後ジャーナリストの重鎮とでもいう人で、

アラスカ・エスキモーなど、巨大な国家に飲み込まれるマイノリティや、

ベトナム戦争下の民衆やゲリラを追ったルポで、日本の戦後ジャーナリズム界に大きな影響を与えました

一方で1970年代に朝日新聞で連載された「中国の旅」は、戦争中に行われた日本軍による中国民衆への残虐行為を告発するもので、当時から議論になりました。

中国共産党公認のプロパガンダ写真や、事実の怪しげな証言を多数引用したとの批判が根強く、この本をきっかけに特に保守派の評価を著しく下げてしまいました。

今はどうなのか知りませんが、連載をしていたころの本多さんはゴリッゴリの左翼だったので、著作は気をつけて読む必要があるのですが…

「日本語の作文技術」

この本が優れているのは、

  • 伝わりやすい言葉の運用や、論理的な文章接続・順序など「作文」を科学的なアプローチで説明している
  • 言葉のリズム、改行の仕方、「掴み」をどう持ってくるかなど、読んでもらうための文章を作るコツに重きを置いている

ことです。

ぼくはこれを高2の時に父親の薦めで読み、大きな影響を受けました。

「取材の方法」といった章もあるので、当時の新聞記者向けに書いた本なのだと思いますが、我々21世紀のブロガーにも充分参考になります。

以下、ブログを書く上で参考になりそうなコツをまとめてみました。 

 

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1. 書き出しのテクニック

 なるべく早く問題の核心へ

例えばテレビでお祭り会場から中継がある時、

まず太鼓や笛の音を聞かせ、ひと呼吸置いた上でアナウンサーがしゃべりだします。

読者にすばやく状況を理解させ、自分のペースに持ち込むためには、なるべく早い段階で問題の核心に触れた方がよい

簡単で旨い料理の内容なら、出だしのあとすぐに出来上がった料理の写真と味の感想を入れた方がいいし、

ヴェネツィアに旅行した内容なら、数段落後にはヴェネツィアに着いていたほうがいい。 

 

2. 文章の構成

本多さんは分かりやすい文章の構成として、以下を提唱しています。

  1. 長い方を先に
  2. 句や連文節を先に
  3.  大状況を先に
  4.  なじみの強弱(親和度)

1. 長い方を先に

句でも節でも、長い方を先に持ってくるべき

  1. 美しい
  2. 川のそばにある水車小屋の
  3. 栗色がかった赤毛の

  娘

上記3要素を、どういう順番で並べるか。

短いものから並べると

美しい栗色がかった赤毛の川のそばにある水車小屋の娘

すごくゴチャゴチャして分かりづらく、どういう意味なのかを理解するために、ここで読者は一旦止まってしまう。

ところが長いものから先に並べると、

川のそばにある水車小屋の栗色がかった赤毛の美しい娘

一気に頭に入ってきやすくなった。

2. 句や連文節を先に

句や連文節を先に持ってきた方が文章の通りが良くなる。

  1. セールスマンの前川が
  2. 色気で迫る中尾夫人を
  3. どこまで

  かわせるか

上記を1〜3まで通しで読むと、

セールスマンの前川が色気で迫る中尾夫人をどこまでかわせるか

理解はできるけど、色気で迫るのがセールスマンの中尾のように一瞬思ってしまう。

色気で迫る中尾夫人をセールスマンの前川がどこまでかわせるか

のほうがしっくりきますよね。

3. 大状況を先に

重要な情報を先に持ってくる、ということ。

  1. 太郎さんが
  2. 薬指に
  3. ナイフで

  怪我をした

この場合、誰が怪我をしたかの情報が一番重要だから、

太郎さんがナイフで薬指に怪我をした

とするべき。

4. なじみの強弱(親和度)

文章の構成上、なじみが強すぎて誤解を与えそうな単語を遠ざけるということ。

  1. 初夏のみどりが
  2. もえる夕日に

  照り映えた

これを、

初夏のみどりがもえる夕日に照り映えた

とすると、一瞬「みどりがもえる」と思ってしまい、

直後に夕日がくるので、もえるは夕日にかかっているのだと気づきますが、読者はここでも一瞬止まってしまいます。

もえる夕日が初夏のみどりに照り映えた

だと、何の違和感もありません。

これは「みどり」と「もえる」の言葉の親和度が強いためで、前後のつながりで誤解を与えそうな場合は、上記のようにわざと言葉を遠ざける工夫が必要です。

 

3. 改行・リズム

改行 

本多さんは、文章の改行は「あるまとまった1つの思想が終わった段階」で改行すべきで、「長くなったからそろそろ改行しよう」というのは愚の極みであるとしています。

それは全くもって正しいと思うんですが、

ぼくは文章のリズムをつけるために、あえて1つの節の中でも改行をします。

↑この節もですね。

ネット、特にスマホは縦にスクロールして読ませます。

常にスクロールしてると言ってもいいかもしれません。止まってじっと読むことはほとんどありません。

ですから、変なところでブッちぎれない限りは1節で改行をして、リズムよく読ませることが必要じゃないかと個人的に考えています。

リズム

基本的に「です・ます」や「だ・である」は統一しなくてはいけませんが、

あえて崩すと文章にリズムが生まれる場合があります。例えば。

別に後悔はしませんでした。むしろ感謝した。そのかわり準備には「1時間くらい」どころか1回分に2日も3日もかかりました。

ですます調の中に、突如「した」が出てくることでリズムが生まれています。

もし全部ですます調にしてしまうと、

別に後悔はしませんでした。むしろ感謝しました。そのかわり準備には「1時間くらい」どころか1回分に2日も3日もかかりました。

 全体的にのぺっとした平板な文章になってしまいます。

 

 

まとめ

この他にも色々、誰でも仕える定石のテクニックから、名人級の言葉の運用方法まで様々な事例が紹介されています。

また、「典型的悪文」もいくつか事例を紹介されており、

ここでは紹介は避けますが、ブロガーが陥りがちな「症状」もいくつか含まれていたりします。

300ページほどの本なので、1〜2日あれば読めてしまうでしょう。

興味ある方は是非、読んでみてください。

ぼくも「分かりやすい文章」を書くように、がんばります。