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おもしろい世界史のネタをまとめています。

【2020年9月版】世界史関連の新刊50冊

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2020年6月〜2020年9月の世界史関連の新刊の紹介

新型コロナウイルスの影響で各社延期していたのが一気に出たのか偶然かは分かりませんが、今期は世界史関連の本が多かったです。いつもは30冊の紹介ですが、今回は50冊紹介いたします。

この記事ですが、ブックマークしてメモ代わりに使ってもらえるといいと思います。ぼくも大型本屋に行ったときは、この記事を見ながら本探しをしています。

それでは参ります。

 

1. 『岩波新書〈シリーズ 中国の歴史〉 5 「中国」の形成 現代への展望』

岡本隆司 著 岩波新書 2020/7/17

「中国」の形成 現代への展望 (シリーズ 中国の歴史)
 

 さまざまな勢力が併存、角逐する一七世紀。そのカオスを収拾し、東アジアに君臨した清朝の「盛世」から、多元共存システムがほころびをみせる一八世紀。西洋の衝撃、革命と独立によって清朝が潰え、ふたたび混迷する一九世紀、そして現代へ――。一元化と多元化を往還しつづける、平和と騒乱の四百年を描く。シリーズ完結。

中国の歴史シリーズの完結版です。これは読みました。

清を建てた女真族は、白黒はっきりしたがった明とは違い、多様な秩序を共存させ全体をカバーする現実的な手法で圧倒的に数が多い漢人を支配しました。しかし清末には漢人社会が強大化し、外夷を強く区別するようになったことで西洋との軋轢を生むことになりました。

清の記述が多く、中華民国~現代までの記述が少ないのが残念でしたが、いかに歴史が現代の習近平の中国につながっていくかが分かります。おもしろかったです。

目次はこちらから。

 

2. 『イスラームからヨーロッパをみる 社会の深層で何が起きているのか』

内藤正典 著 岩波新書 2020/7/17

 ヨーロッパとイスラームの共生は、なぜうまくいかないのか? シリア戦争と難民、トルコの存在、「イスラーム国」の背景。そしてムスリム女性が被るベールへの規制、多文化主義の否定など、過去二〇年間に起きたことを、著者四〇年のフィールドワークをもとに、イスラームの視座から読み解く。

本書の「おわりに」のタイトルが「共生破綻への半世紀」なので、いかにヨーロッパ社会がイスラムを受け入れようとし、その試みが失敗に終わったかというなかなか辛い内容です。多文化共生だ、異文化に優しい社会をなど、口で言うのは優しいですがいかにそれが困難か。まずその現実を直視しなくてはならない時が来ているようです。

目次はこちらから。

 

3. 『クレメント・アトリー チャーチルを破った男』

河合秀和 著  中公選書 2020/7/8

 第二次大戦の勝利の立役者であるチャーチルを抑え、総選挙で圧勝したのはアトリー率いる労働党だった。NHS(国民保健サービス)はじめ社会保障政策や産業国有化を次々と実現、現在の英国社会の基礎を築くと同時に、帝国を解体し、多くの旧植民地を独立させたアトリー政権は、いかにして生まれたのか。激しい内紛を抱える労働党をまとめ、挙国一致内閣で副首相としてチャーチルに仕えながら、社会主義を信じ続けたアトリーの本格的評伝。

 チャーチルの伝記や映画はたくさんありますが、アトリーの伝記は珍しいですね。

チャーチルが「偉大」すぎて目立たないですが、戦後イギリスの基礎を作ったのは間違いなくこのアトリーであると言えます。要チェックです。

 

4. 『冷戦 ワールド・ヒストリー (上)』

O.A.ウェスタッド 著 , 益田実監訳 , 山本健, 小川浩之訳 岩波書店 2020/7/3

冷戦 ワールド・ヒストリー(上)

冷戦 ワールド・ヒストリー(上)

 

 資本主義と社会主義に世界を二分し、国家や人々の生活を激しく揺さぶった冷戦。その起源から終焉までの一〇〇年を、冷戦史研究の第一人者が描き切る。米ソや欧州のみならず、アジア、アフリカ、ラテンアメリカなど全世界を包含した稀有の歴史叙述。上巻は一九世紀末からキューバ危機まで。下巻はヴェトナム戦争からソ連解体まで。

冷戦史研究の第一人者による上下巻の冷戦100年史。19世紀末に冷戦のルーツがあるという記述のようで、どのような切り取り方をされているのか非常に気になります。

米中対立という「新冷戦」の到来が現実味を帯びている現在、冷戦の枠組みの見直しが求められているのでしょうか。

上下巻とも目次はこちらで見れます。

 

5. 『ネズミ・シラミ・文明 伝染病の歴史的伝記』

ハンス・ジンサー著,橋本雅一訳 みすず書房 2020/7/16

 細菌学者として、発疹チフスの病原菌に対するワクチンの研究に寄与した、ハンス・ジンサーによる1935年刊行の古典。アメリカから、発疹チフスが流行していたセルビア、ロシアへと赴き、調査をした経験を動機として執筆された。
発疹チフスの、ネズミ、シラミ、ヒトの間での疫学、全世界への伝播を中心に、古代から20世紀までの伝染病の歴史を描く。新しい病気と向かいあう21世紀のわれわれも、本書から多くの示唆を得るであろう。

 こちらは1935年刊行の本の新装版です。

「with コロナ」などと言われウイルスと共存していかなくてはいけない現在、先人たちがウイルスにどう打ち勝ったか、またはなぜ負けたかを知っておくのは重要だろうと思います。

 

6. 『マーシャル・プラン 新世界秩序の誕生』

ベン・ステイル著,小坂恵理訳 みすず書房 2020/8/9

マーシャル・プラン――新世界秩序の誕生

マーシャル・プラン――新世界秩序の誕生

 

「本書は新たに始まった冷戦の中心にマーシャル・プランを大胆に位置づけ、ソ連が苦労のすえに勝ち取った中欧と東欧の緩衝地帯にこのプランが脅威をおよぼす可能性について、スターリンがいかに真剣に考えていたかに焦点を当てる…プラハでのクーデターやベルリンの封鎖など、冷戦初期の劇的なエピソードのほとんどは、マーシャル・プランを挫折させ、欧州全域におけるアメリカの影響力弱体化を狙うスターリンの強い決意が原動力だった」
「マーシャル・プランがアメリカ外交の最大の成果のひとつとして記憶されるのは、先見の明があったからだが、実際に効果を発揮したからでもある…政治的手腕が素晴らしい成果を発揮するためには、高い理想を掲げながらも現実に目を向けなければならない。私たちは、それを教訓として再び学ぶ必要がある」(本文より)
この巨額かつ野心的な欧州復興イニシアティブは、いかにして冷戦という世界秩序を形作り、アメリカの戦後の大戦略に資したのか。アメリカ、ロシア、ドイツ、チェコの新資料を駆使して、その全貌を描いた決定版。

本書も冷戦構造がいかに形作られたかというテーマです。上記の本文と概要からもうすでに面白いです。「政治的手腕が素晴らしい成果を発揮するためには、高い理想を掲げながらも現実に目を向けなければならない」の言葉は沁みますね…。理想も現実もない今の世界では、多くの人が第二のマーシャルプランを求めているのではないでしょうか。

目次はこちらから見れます。

 

7. 『ペルシア帝国』

青木健 著 講談社現代新書 2020/8/19

ペルシア帝国 (講談社現代新書)

ペルシア帝国 (講談社現代新書)

  • 作者:青木 健
  • 発売日: 2020/08/19
  • メディア: 新書
 

 なぜイラン高原の辺境から、世界史上に輝く二つの帝国が生まれたのか?  ハカーマニシュ(アケメネス)朝とサーサーン朝、気鋭の研究者がその興亡を描く、世界史ファン待望の一冊! ペルシア悲劇、ペルシア絨毯を生んだ、哀調を帯びた神秘的な桃源郷。 しかし、古代オリエント期のペルシアは、リアリズムの極致というべき世界だった! 急激な都市化、海のシルクロードの掌握がもたらす経済的繁栄。 西アジアからエジプトまで支配するに及んだ壮大な組織力と軍事力。 くりかえされる宮廷クーデターと兄弟間の殺戮……。 そしてリアリズムの塗料が剥げ落ちた時、古代ペルシアに衰亡が忍び寄る――。

古代ペルシア宗教史が専門の青木健氏の本は何冊か所有していて、どれも面白いです。これは予約して買って、読みました。非常におもしろかったです。古代ペルシア帝国について、あまりにも知らないことが多すぎたなと目からうろこが落ちる気持ちです。

ぼくが大好きな青木氏のツッコミが要所で炸裂してて、時にクスっと笑えます。おすすめです。

 

8. 『インドネシア大虐殺 二つのクーデターと史上最大級の惨劇』

 倉沢愛子著 中公新書 2020/6/22

 一九六○年代後半、インドネシアで二度のクーデターが起こった。事件発生の日付から、前者は九・三○事件、後者は三・一一政変と呼ばれる。この一連の事件が原因となって、独立の英雄スカルノは失脚し、反共の軍人スハルトが全権を掌握する。権力闘争の裏で、二○○万人とも言われる市民が巻き添えとなり、残酷な手口で殺戮された。本書は、いまだ多くの謎が残る虐殺の真相に、長年に及ぶ現地調査と最新資料から迫る。

これも読みました。1960年代当時、中国についで二番目の規模を誇っていたインドネシア共産党(PKI)のメンバーや関係者が、スハルト率いる国軍の策略で壊滅させられ、その過程で200万人ともいわれる市民が虐殺された、20世紀で最大級のジェノサイド。にも関わらずほとんど知られていない、インドネシアの黒歴史です。本書は綿密な公文書の読み解きと関係者への取材から当時のジャカルタの政治状況、政府中枢の人間関係、国際環境を追いながらいかに異常な大虐殺が進行していくかを丹念に追っていきます。今やテレビの人気タレントであるデヴィ夫人も、事件の発生を防ごうと奔走する主要な登場人物の一人です。

これはですね、はっきり言って読んだ方がいいです。書店で立ち読みするだけで、尋常じゃなさが伝わってくると思います。

 

9. 『ビザンツ帝国 千年の興亡と皇帝たち』

 中谷功治著 中公新書 2020/6/22

ビザンツ帝国-千年の興亡と皇帝たち (中公新書)

ビザンツ帝国-千年の興亡と皇帝たち (中公新書)

  • 作者:中谷 功治
  • 発売日: 2020/06/22
  • メディア: 新書
 

 アジアとヨーロッパをつなぐ首都コンスタンティノープルを中心に、千年以上にわたる歴史を刻んだビザンツ帝国。ローマ帝国の継承国家として地中海に覇を唱えた4世紀頃から、イスラム勢力や十字軍に翻弄される時期を経て、近代の到来目前の1453年に力尽きた。賢帝や愚帝がめまぐるしく登場し、過酷な政争や熾烈な外交および戦争を展開する一方、多様な文化が花開いた。波瀾万丈の軌跡をたどり、この帝国の内実を描き出す。

今はビザンツブームなんですかね。最近新書や専門書でビザンツ関連の書籍が多く出版されている印象です。

ビザンツ帝国についてはある程度勉強してる「つもり」ではあるんですが、こういうまとめを見ると見落としている視点があって、非常に勉強になるのですよね。これはまだ買ってないのですが、入手するつもりです。

 

10. 『カール・シュミット ナチスと例外状況の政治学』

 蔭山宏 中公新書 2020/6/22

 M・ウェーバー以後、最大の政治思想家か、それとも批判すべきナチのイデオローグか――。毀誉褒貶相半ばするドイツの政治学者カール・シュミット(一八八八~一九八五)。ワイマール期の『政治神学』から転換点となったホッブズ論、第二次大戦後の『大地のノモス』まで、主要著作を読み解きつつ、七〇年に及ぶ思索の変遷を辿る。ワイマール思想史研究の第一人者が〝尊敬すべき敵〟の思想と理論を精緻に解読した入門書。

ナチスの法学理論を支えた一方で、右派左派のみならず大きな影響を与えた思想家カール・シュミット。ぼくはこのあたりまだ勉強できていないので、ぜひ読んでみたいです。

 

11. 『孫基禎―帝国日本の朝鮮人メダリスト』

金誠 著 中公新書 2020/6/1

孫基禎―帝国日本の朝鮮人メダリスト (中公新書 (2600))
 

 1936年のベルリン五輪マラソンで金メダルを獲得した孫基禎。日本は国威発揚に利用、朝鮮では民族の優秀性を示す英雄と扱い「日章旗抹消事件」が起きた。戦後韓国では陸連トップやソウル五輪開会式で聖火ランナーを務め、英雄視は続く。他方で、戦時中に学徒志願兵の募集など対日協力に従事した翳が近年明らかになってきた。本書は、スポーツ選手が国と民族を背負わされた20世紀、「英雄」とされた孫の生涯を描く。

 孫基禎(ソン・ギジョン)はぼくは中学生の頃に学びました。朝鮮人という誇りを日本によって踏みにじられた、朝鮮の人々の怒りがどのようなものだったか学びましょう、という趣旨だったと記憶しています。間違ってないのですが、いま思うと一面的です。本書の概要にあるように「それだけではない」込み入った事情があったはずです。そして時の政治状況や国際状況に左右される。日韓関係史のみならず、韓国の歴史観の変化という点でも興味深いテーマです。

 

12. 『香港の歴史 東洋と西洋の間に立つ人々』

ジョン・M・キャロル 著,倉田明子,倉田徹訳 明石出版社 2020/7/10 

本書は、分かりやすく、しかも学問的水準の高い、香港の通史である。雨傘運動から「国家安全法」提案に至る、昨今の香港危機にあたって、香港に関心をもつ読者の座右に置き、その歴史の特性を抑えることで、変動するニュースの深い理解の一助となろう。

明石書店の香港の通史です。香港は現在中国の覇権拡張の最前線にあり、今後米中対立が定着した日には、香港は新冷戦構造を作られた土地として記念碑的な位置づけになるかもしれません。

 

 

13. 『《歴史の転換期》3.750年普遍世界の鼎立』

三浦徹編 山川出版社 2020/8/24

750年 普遍世界の鼎立

750年 普遍世界の鼎立

  • 発売日: 2020/08/24
  • メディア: 単行本
 

 8世紀に姿を整えたキリスト教ヨーロッパ、イスラームの中東、仏教・儒教の中華の3つの「普遍」世界。現代世界を考える上でも重要な3つの世界はどのように生まれ、人々に何をもたらしたのだろうか。

 歴史の転換期シリーズの第3巻。一巻から順繰りに出てるわけじゃなく順不同なので、同シリーズはこれで9巻目です(ややこしい)。

750年と言えば、中国は唐の全盛期、中東ではアッバース朝が成立し、西欧ではフランク王国カロリング朝が成立した頃。こういう離れた土地で同時に政治的に重要な動きが生じているのを見ると、歴史というのはある方向に向かうという規則性があるのかもしれないと思ってしまいます。

 

14. 『一冊でわかる中国史』

岡本隆司 監修 河出書房新社 2020/8/21

 中国とはどういう国か。その歴史を図やイラストを使いながらわかりやすく、ていねいに描く。コラム「そのころ、日本では?」「知れば知るほどおもしろい中国の偉人」も役に立つ。

一冊でわかるシリーズの中国版です。イラストや図でざっくり勉強したい方や、高校生の学習のエントリーなどにいいかも。

 

15. 『とうがらしの世界』

松島憲一 講談社選書メチエ 2020/7/10

とうがらしの世界 (講談社選書メチエ)

とうがらしの世界 (講談社選書メチエ)

  • 作者:松島 憲一
  • 発売日: 2020/07/10
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 いつ、日本に伝わったのか? なぜ、辛いのか?
辛いししとうと、辛くないししとうの違いとは?
ダイエットの効果はあるのか? 
「辛い」というよりも「臭い」ハバネロ、「ネズミの糞」の名を持つ激辛種・・・。
知れば知るほど汗が出る。科学と食文化の両面から、世界のトウガラシを挟み撃つ、刺激的な「食の教養」!
第一部では、食用トウガラシの起源から、たくさんの種類、辛さの秘密、トウガラシでのダイエットまで、「トウガラシの基礎知識」を解説。
第二部は、トウガラシの故郷・中南米のハバネロに代表される激辛料理に始まり、スペイン、イタリア、東欧などのヨーロッパの郷土料理、さらにアフリカ、インド、タイ、中国、韓国・・・などなど、「世界一周トウガラシ紀行」。そして、実は豊かな日本の「唐辛子文化」を京都、信州はじめ各地に訪れる。

 これは買って読みました。日本のみならず世界の唐辛子の概要にも触れられています。著者は信州大学の教授ということもあって、特に日本の唐辛子の歴史や栽培事情などが特に詳しく興味深いものがありました。ただ、世界の唐辛子事情の内容がやや薄く、もう少し歴史やお国事情や文化について知りたかった感じです。

  

16. 『旧ドイツ領全史』

衣笠太朗 著 パブリブ 2020/8/10

そこはなぜドイツになり、そしてなぜドイツではなくなったのか?

周辺各国の地理・歴史だけでなく、多文化主義・地域統合
安全保障・複合国家論・国民国家論・エスニシティ等
あらゆる現代社会科学の研究テーマに波及する

●カラーで紋章・旗・歴史観光ガイド ●膨大な量のドイツ時代の古写真
●時代ごとの境界・国境変遷地図 ●現統治国言語名とドイツ名を必ず併記

■オストプロイセン 歴代君主の戴冠地ケーニヒスベルクを擁すプロイセンの中核
■ヴェストプロイセン ポーランド分割後にプロイセンと一体化させられた係争地
■シュレージエン ピァスト朝・ハプスブルクを経て、工業化を果たした言語境界地域
■ポーゼン プロイセンによって「ドイツ化」の対象となった「ポーランド揺籃の地」
■ヒンターポンメルン スウェーデン支配を経て保守派の牙城となったバルト海の要衝
■北シュレースヴィヒ 普墺戦争からドイツ統一、デンマーク国民国家化への足掛かり
■エルザス=ロートリンゲン 独仏対立の舞台から和解の象徴、欧州連合の中心地に
■オイペン・マルメディ ベルギーの中のドイツ語共同体と、線路で分断された飛び地
◦カシューブ人、ルール・ポーランド人、オーバーシュレージエン独立運動などマニアックなコラムも

タイトルからして面白そうです。ドイツ領の変遷、ドイツ帝国以降ですら把握するの大変ですからね。歴代のドイツ人の東方植民、ドイツ語圏の拡大、中世以来の歴史的な動きがあるので、複雑極まりないです。タイトルにもありますが「国民国家」という概念が民族が曖昧な境界の人々を分断し、それがために国民国家の原則と矛盾が生じ、国家間紛争の種になっていきます。

 

17. 『ローマ帝国の衰退』

ジョエル・シュミット 著,西村昌洋 訳 白水社文庫クセジュ 2020/7/1

ローマ帝国の衰退 (文庫クセジュ)

ローマ帝国の衰退 (文庫クセジュ)

 

文明は「歴史の苦難や破局を乗り越えて存続するもの」という見地から、いまもヨーロッパに刻印を残し続ける「ローマ」を描き出す。

紀元三世紀以降、気候・人口・政治・経済・宗教などの危機によって、ローマ帝国は衰退した。しかし、その文明が消滅したわけではない。「ローマは中世ヨーロッパの形成に絶えずつきまとい、その後の世紀においても、ヨーロッパに実に生き生きとした刻印を残し、芸術、文学、法、政治制度を介して、次から次へと生き返ったといっても過言ではないだろう」(「序文」より)。
著者は、古代ローマ史についての多くの論考を著すほか、編集者・文芸批評家・辞典編纂者としても活動をしている。また、フランス作家協会文学賞大賞を受賞した作家でもある。
本書は、文明は「歴史の苦難や破局を乗り越えて存続するもの」という見地から、ヨーロッパに刻印を残し続ける「ローマ」を描き出す。

『文明は「歴史の苦難や破局を乗り越えて存続するもの」』という言葉は印象的ですね。ローマがなぜ崩壊したかという観点ではなく、文明の断片がいかに次の文明を価値づくっていき今の我々の社会に受け継がれていってるか。文庫クセジュはフランスの叢書シリーズでぼくもたまに読むのですが、さすがフランス、文章のクセが強いです。読者に分かりやすくなど1ミリも考えてないような、己を通そうとする著者のワールドに挑戦してみたい方はおすすめです。

 

18. 『岩波講座 東アジア近現代通史8 ベトナム戦争の時代 1960―1975年』

和田春樹, 後藤乾一, 木畑洋一, 山室信一, 趙景達, 中野聡, 川島真 編集委員 岩波書店 2020/7/10

日韓基本条約の締結、9・30事件、ASEANの発足、文化大革命、中ソ対立……「アジア諸戦争の時代」がベトナム戦争でその最終局面を迎えようとするのと同時に、東アジアは構造的な変化を遂げつつあった。

岩波講座は歴史だけでも様々なシリーズが出ていて、ぼくも「世界歴史」「日本通史」「東南アジア」「世界史への問い」のシリーズはがんばって集めています。

本書はオンデマンドブックスなのでなかなか貴重です。しかし6353円+送料ということなので、なかなか手が出ませんね…。

 

19. 『岩波講座 東アジア近現代通史 10 和解と協力の未来へ 1990年以降』

和田春樹 , 後藤乾一, 木畑洋一, 山室信一, 趙景達, 中野聡, 川島真 編集委員 岩波書店 2020/8/11

岩波講座 東アジア近現代通史 10 和解と協力の未来へ 1990年以降 (岩波オンデマンドブックス)
 

 冷戦が終わり社会主義体制が終焉を迎え、アメリカ主導によるグローバル化と新自由主義による新たな世界秩序が現れたようにみえた。だがその一方で、通貨危機や歴史認識問題も浮上し、アジアは緊張感を増していく。

こちらも同じタイミングで出る東アジア近現代通史の最終巻です。

 貴重な本であることに間違いはないので、是非にという方は。

 

20. 『ドイツ統一』

アンドレアス・レダー 著 , 板橋拓己 訳 岩波印書 2020/9/18

ドイツ統一 (岩波新書)

ドイツ統一 (岩波新書)

 

  一九九〇年一〇月三日。第二次世界大戦の敗戦によって東西に隔てられていたドイツは、ふたたび統一された。この出来事は、冷戦末期の変容する世界政治がヨーロッパにもたらしたもっとも大きな成果であり、その後のすべての始まりでもあった。さまざまなアクターの思惑を越えて進む市民革命を、傑出した歴史家が明快に描く。

今年はドイツ統一30年目にあたります。本書のようなドイツ統一の振り返りや、30年の評価、そして主に移民を巡って分断する市民、様々なドイツという国をめぐる論説や意見が秋に出てくることでしょう。

 

21. 『人口の中国史 先史時代から19世紀まで』

上田信 著 岩波新書 2020/8/20

人口の中国史――先史時代から19世紀まで (岩波新書)
 

 一八世紀に突如起こった人口の爆発的増加は、中国を知るための鍵である。それはなぜ、どのように起き、今まで続いてきたのか。文明の始源からの歴史がもたらしたさまざまな条件と、大変化のメカニズムを明らかにし、現在、そして未来までも人口史から読み解く。ヒトの生態を羅針盤にゆく、中国四千年のタイム・トラベル。

中国の人口史という切り口は面白いですね。人口の動きを見ようとすると、経済、社会文化、気候、農業技術などいくつもの要因を見なければならないはずです。本屋で中身をチェックしたいです。

 目次はこちらから。

 

22. 『この世界を知るための 人類と科学の400万年史』

レナード・ムロディナウ 著,水谷淳 訳  河出書房新社 2020/7/7

 人類はなぜ科学を生み出せたのか? ヒトの誕生から言語の獲得、古代ギリシャの哲学者、ニュートンやアインシュタイン、量子の奇妙な世界の発見まで、世界を見る目を一変させる決定版科学史!

科学史を網羅した本は家に一冊ほしいですね。

 文庫版は定価1485円なのでお求めやすい価格です。買っておこうかなあ。

 

23. 『《世界史リブレット人》052.フェリペ2世』

立石博高著 山川出版社 2020/9/28

フェリペ2世: スペイン帝国のカトリック王

フェリペ2世: スペイン帝国のカトリック王

  • 作者:立石 博高
  • 発売日: 2020/09/30
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 「太陽の沈まぬ帝国」に君臨し、「地球だけでは足りない」と豪語したフェリペ2世。宗教改革との軋轢に苦みながらも、帝国内の諸王国・諸領邦を統合すべく「カトリック君主国」の国王たることを前面に打ち出し続けたその生涯をたどる。

皆さんご存じ、世界史リブレット人シリーズの最新版です。

これは大きめの図書館に行くとあるので、しっかり抑えときたいです。

 

24. 『《世界史リブレット》105.中世のジェントリと社会』

新井由起夫著 山川出版社 2020/7/17

中世のジェントリと社会 (世界史リブレット)

中世のジェントリと社会 (世界史リブレット)

 

 15世紀、バラ戦争の時代を生きたイングランドのジェントリの生活と、それを支える無名の人々の営みを、家政会計記録の史料をとおしてよみがえらせる。

 こちらは通常の世界史リブレット。

目次は以下の通りです。
史料を読むとはどういうことか
1.動産目録の謎を解く
2.史料のかたちから情報をえる
3.家政会計記録に見る四季の暮らし
4.滞在客の記録
5.家中の消費から読む社会的身分の差 

 

なかなか渋いですね。これも図書館で抑えておこうと思います。 

 

25. 『スペイン市民戦争とアジア 遥かなる自由と理想のために』

石川捷治・中村尚樹 著 九州大学出版会 2020/8/25

スペイン市民戦争とアジア─遥かなる自由と理想のために─ (KUP選書 1)

スペイン市民戦争とアジア─遥かなる自由と理想のために─ (KUP選書 1)

 

1936年に勃発したスペイン市民戦争は、1930年代の歴史的分岐点になったというだけでなく、世界の今を解くカギを秘めた出来事であった。市民が人間の尊厳と自由を守るために立ち上がる大義がそこには存在した。

「反ファシズム」の旗印のもと、アジア各国を含む世界55ヶ国から集まった多種多様な義勇兵の存在を通じて、スペイン市民戦争における闘いの今日的意義を検証する。

*本書は「九大アジア叢書」第6巻として2006年に刊行したものを、このたび創刊するKUP選書に再録し、新装版として刊行するものです。

こちらは2006年刊行本の新装版です。

 概要にある通り、確かにスペイン内戦は一種の世界的な社会現象で、アジア・ヨーロッパ・アメリカ・アフリカ・中東、世界各地から共和国支援の義勇兵がスペインを目指しました。面白そうです。本屋でcheckします。

目次はこちらからご覧になれます。

 

26. 『東南アジアのスポーツ・ナショナリズム』

早瀬晋三 めこん 2020/8/6

 東南アジアの人たちがオリンピックより熱狂するスポーツ大会がSEA GAMES(シー・ゲーム)です。1959年の第1回バンコク大会から2019年の第30回マニラ大会まで、競技の全容・エピソードと共に、同時代の東南アジアの政治・経済・社会状況をわかりやすく解説してあります。スポーツ・ナショナリズムを背景とする「東南アジア現代史」の平明なテキストでもあり、東南アジア独特のあの曖昧な“ASEAN Way”を理解するのに最適な書です。

これは個人的に非常に興味深いテーマです。

うちは配偶者がタイ人なのですが、確かにSEAゲームの時期になるとスマホでずっと観戦してメダル数に一喜一憂し、ホスト国の「インチキ」に激高してSNSで友人と悪口を言いあったりと、まあ楽しそうにしています。東南アジアの国の人々は愛国心が非常に強く、国際舞台で自国国旗がひるがえるのをみると目頭が熱くなるようです。

とはいえ憎悪の対象ということではなく、南国らしいサッパリしたライバル感情で、東アジアのようなネチネチ絡みつくようなライバル感ではないのが肌感です。

そういう肌感がじっさいどういう感じなのか気になる所です。本屋でチェックしたいと思います。


27. 『スターリン時代の記憶 ソ連解体後ロシアの歴史認識論争』

立石洋子 著 慶応大学出版会 2020/6/17 

 独ソ戦や、スターリン体制による市民への大規模な抑圧は、
ロシアの人びとの記憶に何を遺したのか――。
体制転換後の新生ロシアにおける
ソ連時代の歴史認識論争の実像を、
歴史教育や歴史教科書をめぐる論争から明らかにする。

ソ連解体後の新生ロシアにおいて、スターリン時代をはじめとするソ連時代の歴史はいかに議論されてきたのか――。

体制転換後のロシアにおいては、ソ連時代の過去、特にスターリンの時代(1920年代~1953年)の大規模な抑圧にいかに向き合うかという問題が社会を分裂させる大きな論争を引き起こしている。また、共産主義体制を打倒して成立したロシアでは、自国の過去の歴史のなかに、いかにして「誇るべき遺産」を見出し、何をどのように否定したり継承したりするのかが特にデリケートな論点となっている。

本書では、こうした観点から体制転換後のロシアの歴史教育と歴史教科書をめぐる論争を検討することにより、いまだ知られていないロシアにおけるソ連時代の歴史をめぐる論争を明らかにするだけでなく、大規模な抑圧や内戦といった暴力を経験した共同体が、歴史を介して、いかに国家を再建し、民主主義を構築しうるのかという問題を探究する。

ソ連時代のレガシーを現代ロシアがどのように咀嚼しているか、確かにこれは重要なテーマですね。ぼくも同テーマの専門書は読んだことがないので非常に興味深いです。値段が4950円とちょっと高額なので、お財布と相談いたします。

 

28. 『紀元2600年の満州リーグ 帝国日本とプロ野球』

坂本邦夫 著 岩波書店 2020/7/21

紀元2600年の満州リーグ――帝国日本とプロ野球

紀元2600年の満州リーグ――帝国日本とプロ野球

  • 作者:坂本 邦夫
  • 発売日: 2020/07/22
  • メディア: 単行本
 

 東京オリンピックが幻に終わった1940年。神武天皇即位から2600年とするこの年、日本統治下の満州で、日本プロ野球チームによるリーグ戦が開催された。しかし、これを契機にプロ野球は国策と戦争に翻弄されていく――。学生野球が盛んだった1920年に「職業野球」として始まり、蔑まれつつ、苦難の道を歩んだ日本プロ野球の埋もれた歴史を描き出す。

満州リーグ、存在自体そもそも知らなかったです。

いかに野球というスポーツが国策として成立していくか。現在のプロ野球は国策でも何でもないですが、今の繁栄はいわばその礎の上にあるわけですからね。


29. 『市民の義務としての〈反乱〉 イギリス政治思想史におけるシティズンシップ論の系譜』

梅澤佑介 著 慶応義塾大学出版会 2020/5/28

 グリーン、ボザンケ、ホブハウスといった日本ではあまりなじみのないイギリス政治思想家たちの、国家論における「市民の義務」としての「抵抗・反乱」の概念の生成を歴史的アプローチによって検証し、その系譜によって20世紀前半最大の政治思想家ハロルド・ラスキの政治思想の可能性に新たな光を当てた意欲作。

 「市民の義務としての反乱」って、なかなかドキリとするワードですね。

 ハロルド・ラスキは「多元的国家論」を掲げたイギリスの政治学者で、日本でも戦後左翼論壇では人気があったようですが、今はあまり聞かれなくなっています。行き過ぎた新自由主義、富める者がますます富む現代社会、マルクス主義がリバイバルしているように、民主社会主義としてのハロルド・ラスキの思想も再評価されていいのではないと思います。 

 

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30. 『贈与の系譜学』

湯浅博雄 著 講談社選書メチエ 2020/6/11

贈与の系譜学 (講談社選書メチエ)

贈与の系譜学 (講談社選書メチエ)

  • 作者:湯浅博雄
  • 発売日: 2020/06/10
  • メディア: Kindle版
 

 何かを贈ること、プレゼントすることは、日常誰もが行っている。本書は、この「贈与」という行為に注目し、それがどこから生まれ、どのような機能をもってきたのかを探り、いかに人間の本質と結びついているのかを明らかにする。
贈与の起源を遡れば、それは〈宗教的なもの〉の発生と不可分だと考えられる。みずから働いて産み出した富――遊牧民や牧畜民なら羊など、定住農耕民なら小麦や葡萄などを「犠牲(サクリファイス)」として神々や精霊に捧げること。そこには祝祭の空間が生まれ、やがてそれは共同体を支える制度となった。これは現在も「祭り」として目にすることができる。
一方で、贈与は他の人に何かをプレゼントすることとしても現れる。歴史を振り返ると、その源には窮境にある人に自分の富や財産を贈る行為がある。これは今も「寄付」などの行為に見られるものであり、美徳とみなされることが多い。
このように、太古の昔から現代に至るまで、人間は贈与という行為に価値を見出してきた。では、なぜ贈与には価値があるのかといえば、自分にとって大事なものを手放して与える行為だからである。ところが、誰にとっても最も大事なものとは何かといえば、自分に固有のもの、自分の唯一のものだが、それは手放してしまえば自分が自分でなくなるものであり、つまりは原理的に贈与できないものだと言わざるをえない。これを逆から見れば、贈与できるものとは「交換可能なもの」であることになる。それゆえ、いかなる贈与も時間が経つうちに「見返り」を暗に要請するものとなり、「交換」になってしまう。
だとすれば、純粋な贈与とは不可能なのか。不可能だとすれば、そもそも贈与という行為の価値そのものが揺らいでしまうのではないか――。
本書は、数々の定評ある著作をものしてきた著者が長年にわたって取り組んできたテーマを正面から取り上げた、「集大成」と呼ぶべき渾身の論考である。今失われつつある「思考すること」の真の姿が、ここにある。

 これも上の概要だけですでに面白いですね。確かに贈与は、与える対象がどんな人であろうと「共同体の維持」とか「税金の控除」とか「ノブレスオブリージュ、社会的地位の維持」とか、長い目で見て自分への利を期待するものです。それが神であっても、結婚とか合格とか健康とか、あるいは天国に行かせてほしいとかも自分への利です。純粋な贈与ってなんでしょうね。面白いテーマです。 

 

31. 『朝鮮仏教史』

鎌田茂雄 著 講談社学術文庫 2020/8/11

朝鮮仏教史 (講談社学術文庫)

朝鮮仏教史 (講談社学術文庫)

  • 作者:鎌田 茂雄
  • 発売日: 2020/08/11
  • メディア: 文庫
 

 四世紀後半、朝鮮半島へ主として中国から伝わったとされる仏教。
高句麗・百済・新羅の王たちは新しい思想をどのように受け入れたのか。
またその後の王権と社会は仏教の影響のもとでどんな文化を形成していったのか。
崇拝と排斥、求道と教学、独自の哲学の錬磨、宗派の流れなど、
東アジア仏教圏の中でも独特の道を歩んだ朝鮮仏教の歴史を総覧する。

 朱子学もそうですが、朝鮮半島の宗教は個人的に興味があります。勉強中で全然詳しくはありませんが。こちらの本はその勉強の教材として適していそうです。文庫本で1298円です。

 

32. 『ベートーヴェン 巨匠への道』

門馬直美 著 講談社 2020/8/11 

ベートーヴェン 巨匠への道 (講談社学術文庫)

ベートーヴェン 巨匠への道 (講談社学術文庫)

  • 作者:門馬直美
  • 発売日: 2020/08/07
  • メディア: Kindle版
 

 その生涯は、音楽の歓喜と苦闘そのものだ!

1972年にウィーンの地にに立った一人の青年音楽家は、その後いかなる道のりをたどって、「楽聖」となったのか。
師ハイドンはじめ同時代の音楽家たちとの出会い、《エロイカ》《第十交響曲》創作の謎、家族関係の苦悩と波乱の生活、各界の理解者や奇人らとの友情、そして恋人……
音楽のあり方を根本から変え、傑作を生み出し続けたその生涯に、音楽評論の名手が全角度から光を当てる、珠玉の二十話。

【本書の主な内容】
青春のボン/ベートーヴェンの愛―婚約説をめぐって/第十交響曲のゆくえ/《シンフォニアエロイカ》の謎/ 「メルツェルさん、さようなら」―メトロノーム考/ 《ウェリントンの勝利》の顛末/べートーヴェンと宗教―フリーメーソンだったのか?/イギリスへの夢―ニートとの交際をめぐって/オペラのライヴァル―同時代人ウェーバー/「第三の故郷」ボヘミア/ヴァイオリン・コンプレックス/コントラバスとマンドリン/ダンス音楽への愛着/「歓喜」の背景―日本人とベートーヴェン など

※1987年刊『ザ・ベートーヴェン』(春秋社刊)の文庫化

 1987年の本で、講談社学術文庫として新装される本です。

 クラシック音楽好きの方はぜひチェックしてみてください。

 あと上の概要、出版社のサイトからのコピペですが、冒頭1972年じゃなくて1792年ですよね。大丈夫かな…。

 

33. 『アレクサンドロス大王物語』

カリステネス 著 , 橋本 隆夫 訳 ちくま学芸文庫 2020/8/6

アレクサンドロス大王物語 (ちくま学芸文庫)

アレクサンドロス大王物語 (ちくま学芸文庫)

 

 アレクサンドロスの生涯は、史実を超えた伝説として西欧からイスラムに至るまでの世界に大きな影響を与えた。伝承の中核をなす書物。解説 澤田典子

 アレクサンドロス大王物語は3世紀にエジプトのアレクサンドリアで書かれた本で、作者はカリステネスと伝わっていますが本当のところは分かりません。様々なアレクサンドロス大王伝説の下敷きになった本なので、見ておきたいです。

 

34. 『アジア主義全史』

嵯峨隆 著 筑摩選書 2020/7/14

アジア主義全史 (筑摩選書)

アジア主義全史 (筑摩選書)

  • 作者:嵯峨 隆
  • 発売日: 2020/07/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

江戸中期~明治期日本に起源を持つアジア主義は、中国などアジア諸国と連帯して西洋列強に抵抗し、アジア解放を目指すものだった。それは一九三〇年代以降の日本のアジア侵略に名目を与えてしまった。だが大東亜共栄圏の思想は興亜論に形を借りた脱亜論であり、決してアジア主義ではない。戦前の中国のアジア主義や、現代日本の「東アジア共同体論」などに形を変えた左右両極のアジア主義的言説にも注目。真のアジア共生への道を探るべくアジア主義の全貌を描き、その再評価を試みる。

 アジア主義は民主党政権時代に一時的に流行ったことがありますけど、中国がこうまで拡張主義全開で来ると、正直もう無理だ感はありますね。現代版華夷秩序はありそうですが、EU的感覚の共同体はアジアにはまだ早いのではないかと思います。

とはいえテーマとしてはすごく興味があります。

 

35. 『世界史を変えた戦い』

DK社 編著,トニー・ロビンソン 序文,甲斐理恵子 訳 原書房 2020/7/18

 3000年にわたる、世界史を変えた主要な戦いを網羅し、古代の「マラトンの戦い」から「壇ノ浦の戦い」、冷戦時代、湾岸戦争の「砂漠の嵐作戦」までを解説。充実した地図や図版を通じて、140以上の重要な戦いを学ぶことができる。

こういう大型本、買おう買おうと思っていつも後回しにしてしまいます。

いつも本屋でチェックはするんですが、「うーん、悪くないんだけど、また今度ね」となって10年くらいは経ってる気がする。しかし考えてみたら、140以上もの戦いを地図やイラスト付きで学べて 4180円って結構安いと思うんですよね。今回もチェックしてみます。

 

36. 『イギリス海上覇権の盛衰 上 シーパワーの形成と発展』

ポール・ケネディ 著,山本文史 訳 中央公論社 2020/8/7

 イギリス海軍の興亡を政治・経済の推移と併せて描き出す戦略論の名著。オランダ、フランス、スペインとの戦争と植民地拡大・産業革命を経て絶頂期を迎える。ベストセラー『大国の興亡』の著者の出世作は未訳だったが、新版を初邦訳

 著者のポール・ケネディ氏はイェール大学歴史学教授で非常に著名な歴史家です。「大国の興亡―1500年から2000年までの経済の変遷と軍事闘争〈上巻〉」 を読んだ方も多いのではないかと思います。本書は1976年の著者の未訳本の初刊行ということで、 大いに期待したいです。要チェック。

 

37. 『近世フィレンツェの都市と祝祭』

赤松加寿江 著 東京大学出版会 2020/8/7

近世フィレンツェの都市と祝祭

近世フィレンツェの都市と祝祭

 

 宗教的・政治的な儀式や競技行事などといった祝祭が共和制から君主制に移行していく過程において近世フィレンツェにどのような影響をもたらしたのか.市庁舎広場,聖堂,ロッジア,街路,橋,ヴィラなどを取り上げ,分析することで都市と祝祭の重層的な実相に迫る.

こちらは専門書ですので7150円というお値段です。歴史学習という点で買うにはなかなか手が出せませんが、研究はもちろん、ヴェネツィアを舞台にした創作には活用できる一冊ではないかと思います。

 

38. 『移民がつくった街 サンパウロ東洋街 地球の反対側の日本近代』

根川幸男 著 東京大学出版会 2020/7/16

 1908年から始まる日本からのブラジル移民は,どのように生き抜き,南半球最大のメガシティ・サンパウロの中心街であるサンパウロ東洋街をどのように造ってきたのか? ブラジル移民100年の歴史を豊富な資料から紐解き,地球の裏側に育まれたもう一つの日本近代をみつめる.

以前の新刊案内でも紹介した事ありますが、ブラジル都市の歴史はおもしろいですよ。都市によって成り立ちや発展の過程が全然違うので、ブラジルの都市の歴史だけで一つの地球を形成しているくらいの多様性があります。サンパウロは代表的なブラジルの都市でコーヒー農園が有名ですが日系移民が大きな役割を果たしています。こちらも要チェックです。

 

39. 『十字軍国家の研究 エルサレム王国の構造』

櫻井康人 著 名古屋大学出版会 2020/6/24

十字軍国家の研究―エルサレム王国の構造―

十字軍国家の研究―エルサレム王国の構造―

  • 作者:櫻井 康人
  • 発売日: 2020/06/24
  • メディア: 単行本
 

 〈キリスト教対イスラーム〉を超えて、多様な人々からなる社会の全体像へ ——。第1回十字軍によって生まれた「聖地防衛国家」は、内と外の異教徒とともになぜ存続しえたのか。祈る人、戦う人、働く人が都市と農村で形づくる王国の姿を、ヨーロッパとの関係も含め、精緻な史料分析から初めて解明した画期的労作。

 十字軍や十字軍国家はかなり興味があるので超超読みたいのですが、値段が…。9680円もする…。図書館にリクエストしようかな。

 

40. 『黒船来航と琉球王国』

上原兼善 著 名古屋大学出版会 2020/8/4

黒船来航と琉球王国

黒船来航と琉球王国

  • 作者:上原 兼善
  • 発売日: 2020/08/04
  • メディア: 単行本
 

 ペリーはまず沖縄にやって来た。—— 19世紀、次々と現れる列強の、布教をふくむ開国要求にさらされ、「鎖国」の防波堤とされた琉球の人々。彼らはいかに対応したのか。幕府や薩摩藩の姿勢は? 東アジアの変動のなか、外圧と内圧の狭間におかれた〈境域〉の経験から、琉球と欧米との交渉過程を初めてトータルに描く。浦賀中心では見えない、新たな開国史。

ペリーと江戸幕府との交渉の歴史は多く本がありますが、琉球の開国の交渉に関する本は読んだことないです。 こちらも専門書、6980円で御座います。

 

41. 『イタリア料理大全 厨房の学とよい食の術』

 ペッレグリーノ・アルトゥージ著,工藤裕子 監, 中山エツコ,柱本元彦,中村浩子 訳 平凡社 2020/7/17

 各地の郷土料理を渉猟し初めてイタリア料理として大成した聖典。大古典でありながら、一家に一冊あると言われる、美味しく健康によい現役レシピ790。

これはすごく気になってます。というのも単にレシピ本ではなくて、アルトゥージの料理本は、それまでトスカーナやピエモンテ、ウンブリアなど地方料理で区分されていた料理群をはじめて「イタリア料理」として統一した画期的な本だからです。

この本はイタリアの各家庭に一冊はあると言われたほどヒットし、料理の面でレシピや食材、用語など各方面で「イタリアの統一」に大きく貢献しました。8800円とちょっとお高いのですが……非常に歴史的な本の邦訳版なので。いいなあ。欲しいなあ。

目次はこちらからご覧になれます。

 

42. 『世界経済の歴史〔第2版〕 グローバル経済史入門』

金井雄一・中西聡・福澤直樹 編 名古屋大学出版会 2020/8/12

世界経済の歴史〔第2版〕―グローバル経済史入門―

世界経済の歴史〔第2版〕―グローバル経済史入門―

  • 発売日: 2020/08/12
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 世界の経済はどのような軌跡をたどってきたのか。グローバル・ヒストリーなど最新の成果をもとに、欧米・アジアや世界各地域の発展プロセスをバランスよく解説、通史編とテーマ編の二部構成で学ぶ好評の経済史入門、大幅改訂による決定版。

グローバル経済入門書。これは本棚に入れておきたいです。すぐには読まなくてもいつか必ず役に立つ日がくるはず。2970円です。まだ読んでいないですが、買いました。

目次はこちらからご覧になれます。

 

43. 『マルクス 古き神々と新しき謎-失われた革命の理論を求めて』

マイク・デイヴィス著,佐復秀樹訳,宇波彰解説  明石書店 2020/7/10

 感染症やスラムの問題など、グローバリズム下での社会矛盾を鋭く論じてきた著者が、マルクス、エンゲルスの思想に立ち戻って読み直し、彼らの時代の階級闘争とは異なる様相を呈し、また地球環境危機の進む現代における新たな変革の可能性を追究する。

マルクス・エンゲルスは本当にいまリバイバルされていますね。

著者のマイク・デイヴィスはカリフォルニア大学リバーサイド校の都市社会学を専門とする学者で、「自動車爆弾の歴史」なんていうおもしろそうな本も書かれています。

こちらに訳者による書評がありました。参考になさってください。

 

44. 『東アジアのなかの二・八独立宣言 若者たちの出会いと夢』

在日韓人歴史資料館 編,李成市監修 明石書店 2020/7/25

 1919年2月に東京の朝鮮YMCAで発せられた二・八独立宣言。三・一朝鮮独立運動の「前史」「導火線」としてだけでなく、東京に居住していた朝鮮人・中国人・台湾人の留学生と在日朝鮮人・日本人が関わった東アジア近代史上の意義の発掘する野心的な試み。

二・八独立宣言はほとんど知られていないのではないかと思います。世界史の中の位置づけについても研究はこれからといったところではないでしょうか。

本書の目次はこちらから見れます。

在日本韓国YMCAのサイトにある二・八独立宣言に関するページはこちら

 

45. 『歴史学の慰め アンナ・コムネナの生涯と作品』

井上浩一 著 白水社 2020/7/15

歴史学の慰め:アンナ・コムネナの生涯と作品

歴史学の慰め:アンナ・コムネナの生涯と作品

  • 作者:井上 浩一
  • 発売日: 2020/07/16
  • メディア: 単行本
 

 歴史学は何のためにあるのだろうか? 私たちがより良い未来を生きるためである。しかし辛い日々を送る者にとって、歴史学が生きる糧となることもあった。歴史学が男の学問だった西洋古代・中世にあって、アンナ・コムネナは、不幸な我が身への慰めを歴史学に見いだした。ビザンツ帝国中興の祖である父アレクシオス一世の治世を描いた『アレクシアス』は、こうして誕生した。
権威ある「緋色の生まれ」としての誇り。皇帝である父への敬愛。皇妃となっていたはずの人生。ヨハネス二世となる弟との確執。アンナは、政治や戦争といった公のことがらについて真実を伝えるのが歴史家の務めであることを承知のうえで、自身の人生や溢れくる思いまでも歴史書に盛り込んだ。
本書は、第一部でアンナ・コムネナの数奇な生涯を語り、第二部では、ビザンツ歴史文学の最高傑作と言われる一方で批判も受けてきた『アレクシアス』を、ビザンツの歴史学や歴史書の性格、ビザンツ知識人にとって歴史学とは何だったのかという文脈から分析する。そして、長らく指摘されてきた年代の誤りの謎や、世界の翻訳者たちが苦心してきた不可解な記述の謎をも考察していく。

 一部の歴史ファンに絶大な人気を誇るアンナ・コムナネさん。

 皇女でありつつ当代きっての歴史家というギャップがたまらないということでよく萌え絵にされてるのを見ます。アンナ・ファンは必読の書ではないでしょうか。

こちらで目次が見れます。

 

46. 『エネルギーの物語』

マイケル・E・ウェバー 著,柴田譲治 訳 原書房 2020/7/14

 「水」からはじまるエネルギーはつねに人間社会の中心である。エネルギーが人類とどのようにかかわり進歩してきたか、そして未来はどうなるのか。その負の面も余すところなく伝え持続可能な明日を探る、新時代の必読書。

目次が公式にないので詳細は分からないのですが、エネルギーというワンテーマですが、扱う範囲は非常に広範囲に及びそうです。

これもまずは本屋で中身をチェックしたいです。

 

47. 『英国レシピと暮らしの文化史』

エレイン・レオン 著,村山美雪 訳 原書房 2020/7/18

 料理だけではない! 美味しいエールの醸造法から疫病から身を守る家庭薬の実証試験、王様に贈る上級メロンの栽培方法まで。17世紀英国の上流家庭で貴重な財産とされた「レシピ帳」。それは知の収集と緻密な家庭戦略だった。

深夜に酒飲みながら読みたい感じの本です。

 Amazonでじゃっかんですが中身が見れます。2750円。

 

48. 『空中写真歴史図鑑』

イーモン・マッケイブ,ジェンマ・パドリー 著,月谷真紀 訳 原書房 2020/7/18

空中写真歴史図鑑

空中写真歴史図鑑

 

 凱旋門、ギザのピラミッド、ロンドン空爆、真珠湾、水爆実験、アポロ8号、ウッドストック、9.11、東日本大震災……。19世紀から衛星・ドローンまで、大自然、人類文明、災害、戦禍など空撮による歴史的、決定的写真200点を収録。

 これもなかなか買う決心がつかない大型本だ。Amazonで数ページですが中身が試し読みできます。要検討入りです。

 

49. 『アウグストゥス:虚像と実像』

バーバラ・レヴィック著, マクリン富佐訳 法政大学出版局 

 ローマ史に燦然と名を残す皇帝アウグストゥス。カエサルの跡を継ぎ、対立する有力政治家や元老院の貴族勢力を抑え、やがて神的な至上権を握るまでにいたった毀誉褒貶の独裁者は、実のところいかなる人物であったのか? その政治手法やPR術に注目しつつ、青年オクタウィアヌスが自らを神話化していった行程をつぶさにあとづけ、帝政時代の礎がいかに築かれたのかを分析する歴史学の労作。英国の碩学レヴィックの初の邦訳。

 ぼくのアウグストゥスのイメージは、映画「ゴッドファザー」のマイケル・コルレオーネ。高い知性を持ち慎重な性格で威厳に満ちている。しかし決断は果敢で苛烈で人をぞっとさせることも平気でやる。時にはジョークも言って笑うこともあるが基本はポーカーフェース。そして家庭人としてはどこか欠落したところがある。あくまでぼくのイメージなのですが、色々なアウグストゥス伝を読むとそんな印象を受けます。

実際のところどういう人物だったのか、非常に読んでみたいです。

 

50. 『旗章の世界史 大図鑑』

苅安望著 山川出版社 2020/8/31 

旗章の世界史 大図鑑

旗章の世界史 大図鑑

  • 作者:苅安 望
  • 発売日: 2020/08/31
  • メディア: 単行本
 

日本における旗章研究の第一人者である著者が、様々な集団の歴史、性格、理念などを象徴的に示す旗章を通して、ダイナミックな視点で古代から現代まで世界の世相を概観する。

★旗章とは、古代から現代まで、さまざまな民族や王朝、国家などが使用してきた旗の総称です。
旗章 約1,000点のデザインの意味を、歴史的な解説とあわせてオールカラーで紹介。
★ 通史的に旗章を概観することで、世界の国々の国旗などがどのような歴史をへて今のデザインになったのか、また旗章の変遷から歴史がダイナミックに理解できます。
★ 文章にあわせて豊富な画像資料と詳細な地図がついており、高校生以上の歴史理解にも役立ちます。

 とっても面白そうなんですが、今回ご紹介する中で最も高額な13,200円です。

 しかし現在の国家の旗だけでなく、過去の旗章のデザインやその意味などを網羅したものだそうで、なるほどその値段の価値はあるかもしれません。

 誰か誕生日プレゼントで買ってください!!

 

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まとめ

お疲れ様でございました。ざっと見ただけで体力が奪われたのではないでしょうか。

正直こんなもん、一気に細かく見ていくもんじゃないです、情報量多すぎなんで。

流し読みするだけやって、あとでリストのチェック用にお使いください。

ちなみにぼくの今回の個人的リストは以下の通りです。

買った

「中国」の形成 現代への展望 (シリーズ 中国の歴史)

ペルシア帝国 (講談社現代新書)

インドネシア大虐殺 二つのクーデターと史上最大級の惨劇 (中公新書)

とうがらしの世界 (講談社選書メチエ)

世界経済の歴史〔第2版〕―グローバル経済史入門―

 

買う予定

イスラームからヨーロッパをみる――社会の深層で何が起きているのか (岩波新書 (新赤版 1839))

マーシャル・プラン――新世界秩序の誕生

贈与の系譜学 (講談社選書メチエ)

東南アジアのスポーツ・ナショナリズム: SEAP GAMES/SEA GAMES 1959-2019年 (早稲田大学アジア太平洋研究センター研究叢書)

 

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あなたの教養レベルを劇的に上げる 驚きの世界史

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  • 作者:尾登 雄平
  • 発売日: 2019/12/06
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