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おもしろい世界史のネタをまとめています。

【2020年6月版】世界史関連の新刊30冊

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2020年3月〜2020年6月の世界史関連の新刊の紹介

新型コロナの影響で、地方によっては本屋が閉まって本に触れる機会が減った方もいたかもしれません。逆に、図書館が閉まったせいで電子書籍やネット通販でガンガン本を買った人もいるかもしれません。後者は私のことです。

直近で出た世界史関連の新刊を紹介してまいります。やはり疫病に関する本が多く出ているのと、あと大学出版会から分厚めの専門書が多く出ています。

 

 1. 「陸海の交錯 明朝の興亡 <シリーズ 中国の歴史>」

檀上寛 著  岩波書店 2020/5/20

陸海の交錯 明朝の興亡 (シリーズ 中国の歴史)

陸海の交錯 明朝の興亡 (シリーズ 中国の歴史)

  • 作者:檀上 寛
  • 発売日: 2020/05/21
  • メディア: 新書
 

中華と夷狄の抗争、華北と江南の対立、草原と海洋の相克――明の時代とは、このような混沌とした状況に対する解答であった。第四巻は、一四世紀の元末から清が台頭する一七世紀まで、三〇〇年にわたる明の興亡を描く。中国社会の多元性・多様性に対して、一元化・画一化の力学がどのように働いたのか、その顛末がここにある。

これは読みました。太祖洪武帝が作り上げた「安定秩序第一」の国家が、国際環境の変化や民心の変化により段々と変化していく様が描かれ、非常に面白かったです。

それにしても、元末の動乱って後の中国大陸の運命を大きく変えたんだなあと。もし張士誠や方国珍が統一王朝を作っていたら、今の中国はまったく別なものになっていたんじゃないかなと思います。

 

2. 「戦車将軍グデーリアン 「電撃戦」を演出した男」

大木毅著 角川新書 2020/3/07

「電撃戦」はなかった!
『「砂漠の狐」ロンメル』に続き、欧州を征服し、第二次世界大戦を席捲した名将の素顔を暴く。
伝説となった戦車将軍は、ドイツ装甲部隊をいかにしてつくりあげたのか?
『独ソ戦』著者の最新作にして、最新学説による、これまでの俗説を一掃する決定的評伝!

第二次世界大戦の緒戦を華々しく飾ったドイツ装甲集団を率いた著名な将軍にして、「電撃戦」の生みの親とされ、連合軍からも「名将」と畏怖された男、グデーリアン。
ところが、「電撃戦」というドクトリンは存在しなかったことが今では明らかになっている。
ロンメル同様、グデーリアンの研究は日本では遅れていた。
いまでは否定されている数十年前に人口に膾炙した伝説が、未だに独り歩きしているのだ。
彼は国粋主義者だった。が、純粋な愛国者だったのか、それともナチの賛同者だったのか? 
ヒトラー暗殺計画にどこまで与していたのか?
欧州を征服した男にして、伝説となった戦車将軍の仮面を剥ぐ。
――ドイツ装甲部隊はいかにしてつくられたのか、その真相が明らかとなる。

 2019年の大ヒット書「独ソ戦」の著者・大木毅氏の最新作。

これはまだ読めていません。前作の「独ソ戦」も、独ソ戦の電撃戦が作られたイメージであることが強調されました。戦略・戦術に優れたドイツ軍が野蛮なソ連軍に数の力で負けたという定説は決定的に間違いで、いかにドイツ軍が場当たり的な行動と希望的観測で戦争を戦っていたかを示し、読者にも衝撃が大きかったと思います。

独ソ戦が好きな人もこちらも読んでおきたいですね。

 

3. 「白人ナショナリズム アメリカを揺るがす「文化的反動」」

渡辺靖 著 中央公論社 2020/5/19 

白人至上主義と自国第一主義が結びついた「白人ナショナリズム」。トランプ政権の誕生以降、注目を集めるオルトライトをはじめ、さまざまな勢力が連なる反動思想だ。反共、反多文化主義、反ポリティカル・コレクトネスといった旧来の保守と共通する性格の一方、軍備拡張や対外関与、グローバル資本主義を否定する。社会の分断が深まるなか、自由主義の盟主アメリカはどこへ行くのか。草の根のリアルな動向を現地から報告。

これは買いました。コロナ以降は排外主義・人種主義の傾向が強まりな流れがあります。特にいったん物理的に人の移動を絶ってしまった後、さらなるローカル化が進み、大規模な人の移動や文化的な交流・融合を望まない人の数が増えるはずです。

こういうテーマの本はこれから増えていくかもしれません。 

 

4. 「人類と病 国際政治から見る感染症と健康格差」 

詫摩佳代 著 中央公論社 2020/4/21

人類の歴史は病との闘いだ。ペストやコレラの被害を教訓として、天然痘を根絶し、ポリオを抑え込めたのは、20世紀の医療の進歩と国際協力による。しかしマラリアはなお蔓延し、エイズ、エボラ出血熱、新型コロナウイルスなど、新たな感染症が次々と襲いかかる。他方、現代社会では、喫煙や糖分のとりすぎによる生活習慣病も課題だ。医療をめぐる格差も深刻である。国際社会の苦闘をたどり、いかに病と闘うべきかを論じる。

やはりというか、コロナ関連で疫病に関する本は増補版を含めて多く出ています。

本書はサブタイトルに「国際政治から見る感染症と健康格差」とあるように、疫病以外にも生活習慣病やタバコといった健康問題全般の政策に関する本です。

 コロナの本と思って読んだら肩透かしかもしれませんが、国際機関や国、医療機関がいかにして健康リスクを抑えるべく取り組むかという点も、普段は関心が薄くても、このような機会だからこそ入っていきやすいかもしれません。

 

5. 「感染症 広がり方と防ぎ方」

井上栄 著 中央公論社 2020/4/28

感染症 増補版 広がり方と防ぎ方 (中公新書)

感染症 増補版 広がり方と防ぎ方 (中公新書)

  • 作者:井上栄
  • 発売日: 2020/04/28
  • メディア: Kindle版
 

グローバル化による人やモノの大移動によって、病原体が世界的に拡散するリスクは劇的に高まった。本書では、伝染病対策の歴史、病原体の種類や性質、伝播経路と遮断法など、感染症の脅威に正しく対処するための基礎知識を伝える。コレラから新型インフルエンザまで、多様な感染症をわかりやすく解説したロングセラーに、新型コロナウイルスの特徴や予防法を考察した新章「新型ウイルスが広がりにくい社会」を加えた増補版。

 こちらは2006年に出版された本の増補版です。

当然、新型コロナに対する情報が欲しい、というニーズに応えるものではありません。

感染症に関する一般知識と、いかにして感染症に立ち向かうか、という観点で書かれています。今後、コロナウィルスと共存する社会になっていくことが予想されており、そうなったときにどのように備えるべきか、予備知識を与えてくれます。

 

6. 「牛疫—兵器化され、根絶されたウイルス」

アマンダ・ケイ・マクヴェティ著, 山内一也訳 みすず書房 2020/5/18

そのウイルスを制御する力を得たとき、ある人々は根絶を夢想し連帯を訴え、ある人々はそれを兵器に変えた。紆余曲折の歴史をたどる。

牛疫は、数週間で牛の群れを壊滅させる疫病である。徹底的な検疫と殺処分しか防ぐ手段がなく、その出現以来、この疫病は人々に恐れられてきた。
ところが20世紀初め、牛疫ウイルスをワクチンにできるとわかると、牛疫と人々の関係が変わり始める。恐るべきウイルスは、制御可能な力に変わったのだ。
宿主にワクチンで免疫を与えれば、地域からウイルスを排除できる。ある国での成功が他の国でのキャンペーンを誘発し、その先に地球上からの根絶という夢が生まれた。しかしその道のりは、各国の利害にたびたび翻弄されることになった。
その一方で、ワクチンの誕生は、自国の牛を守りながらウイルスで別の地域の食糧生産を攻撃できることを想像させた。一部の国々は第二次世界大戦中に生物兵器研究を開始する。研究は、大規模な根絶キャンペーンの陰で、時にはキャンペーンを主導する国によって、戦後も続けられた。
牛疫は、人類が根絶に成功した2種のウイルスの内の一つである。牛疫は、根絶に至る最後の150年間に、国際的な連帯の意義を示し、そして科学技術があらゆる目的で利用されうることを示した。疫病との戦いを記録し、科学研究のあり方を問う、必読の書。

感染症の中でも牛疫にテーマを絞って書かれた本がこちら。

ただ、感染症の話というだけでなく、ワクチンの発明から生物兵器への転用まで、紆余曲折を経て最終的に根絶されたウイルスの話です。人間とウイルスの関係や歴史を語るうえで見落とせない歴史ではないでしょうか。非常に読みたいです。お値段が4400円とやや張るので、財布と相談します。

 

7. 「文明史から見たトルコ革命」 

M・シュクリュ・ハーニオール著, 柿﨑正樹訳 みすず書房 2020/3/2

約600年存続したイスラム帝国オスマンは、第一次世界大戦での敗北を受け1922年に消滅した。列強の干渉を退ける独立戦争を経た翌年、近代的国民国家として発足したトルコ共和国はイスラムと決別してゆく。この一大革命を主導したケマル・アタテュルクは建国の父として崇められ、「ケマリズム」「アタテュルク主義」というイデオロギーが形成されるまでになった。それは次第に影響力を減じながらも、今もトルコの公式イデオロギーであり続けている。

建国に際してアタテュルクは、科学主義、理性崇拝、世俗主義といった近代西洋の理念を礎として、言語から服装まで徹底的な改革を断行した。本書はそのアタテュルクが、西洋のどのような書物を読み、どのような学説を支持し、どのような影響を受けて自らの建国思想を形成したのかを追究するものであり、これまでにない角度からアタテュルク像を描く。さらに、ヨーロッパ発祥の近代文明史にトルコ革命を位置づけることで、近代西洋に裏から光をあてるという、注目すべき試みにもなっている。徳川幕藩体制から明治の近代国家へと、性急な近代化を成し遂げた日本との、興味深い共通性も浮かび上がってくるだろう。
オスマン帝国近代史研究の第一人者による、現代トルコの起源を知るための必読書。エルドアン現大統領の政策とアタテュルクとの関係を論じた訳者解説を付す。

トルコの歴史に関する大方の人の興味はアタチュルクのトルコ革命成就で終わっていて、彼がどのような改革を行ったかや、死後のトルコ共和国の文化や社会まではなかなかいかないと思います。この本はそういった側面に加え、トルコの近代化を文明史としてどう見るかという視点で論じる試みをしており、非常に興味をそそられます。

 

8. 「イギリス史 上」

川北稔 著 山川出版社 2020/5/18 

イギリス史 上 (YAMAKAWA Selection)

イギリス史 上 (YAMAKAWA Selection)

  • 発売日: 2020/05/18
  • メディア: 単行本
 

EU離脱(ブレグジット)で国論を二分する混乱を味わったイギリスの、保守性と先進性のあいだで揺れる歴史をたどる。『新版世界各国史 イギリス史』を分冊・加筆したハンディ版。

 あまり情報がないのですが、上下巻ありますので古代~現代までの通史になると思います。著者は川北稔氏なので、安定して読めると思います。

 

9. 「20世紀ドイツ史」

石田勇治 著 白水社 2020/5/21

20世紀ドイツ史

20世紀ドイツ史

 

神聖ローマ帝国から統一後のドイツまでの流れを概観し、帝国の概念や戦争責任問題、ホロコースト、ジェノサイドなどを論じる、20世紀ドイツ史最良の手引き。

[目次]
Ⅰ 通史で学ぶ
一 神聖ローマ帝国からドイツ帝国まで
二 第一次世界大戦
三 ヴァイマル共和国
四 ナチ・ドイツ
五 占領下のドイツ
六 ドイツ連邦共和国(西ドイツ)
七 ドイツ民主共和国(東ドイツ)
八 統一ドイツ

Ⅱ テーマで学ぶ
一 帝国の幻影
二 戦争責任問題とヴァイマル外交
三 あるドイツ・ユダヤ人の軌跡
四 強制移住から大量殺戮へ
五 東部戦線
六 「過去の克服」とは何か

あとがきにかえて

ブックガイド
地図・資料
20世紀ドイツ史略年表
人名索引

 こちらは2005年発行の復刻版になります。

 2部構成になっていて、1部では神聖ローマ帝国から統一ドイツまでの概略、2部ではホロコーストや歴史教育などテーマごとに取り扱っています。ドイツの現代史の入門書には適しているのではないかと思われます。

 

10. 「《世界史リブレット人》088.ムッソリーニ」

高橋進著 山川出版社 2020/5/18

ムッソリーニ: 帝国を夢みた政治家 (世界史リブレット人)
 

 世界ではじめてファシズム運動を創設したムッソリーニ。革命派の社会党員からファシストに転じた彼は、何をめざしたのか。その行動と思想、生涯に焦点を当て、イタリア・ファシズムを描き出す。

 ムッソリーニは人物評や伝記をはじめ多く出ています。ぼくも何冊か読みました。

 しかし本によってかなり描かれ方が違うというか、野心的・能動的で自らの意志でローマ進軍や大戦参戦など進めていったように描く向きと、多分に日和見的で場当たり的に動いていたらいつの間にか神輿に乗せられていた、と描く向きがあるように思えます。好き嫌いで語ってはダメですが、ぼくは後者の方が事実に違いのではないかと思っています。

 

11. 「地図で見るイタリアハンドブック」

オーレリアン・デルピルー 著,ステファヌ・ムルラーヌ 著,土居 佳代子 訳 原書房 2020/4/25

地図で見るイタリアハンドブック

地図で見るイタリアハンドブック

 

 イタリアは、経済モデルを刷新するのに苦慮しており、社会と地域の新たな断絶に直面している。歴史家と地理学者、2つの視点で、19世紀以来続くイタリアの現実の複雑さを130のカラー地図や資料を用いてわかりやすく解説する。

地図で見るシリーズのイタリア版です。イタリアの社会と地域の断絶は、本の知識でも実際に現地に足を運んでみてもようく知ってるつもりではありますが、地図で見てみてるとまた新たな視点が見えてくるかもしれません。

 

12. 「リビアを知るための60章【第2版】 」

塩尻和子編著 明石書店 2020/3/30

リビアを知るための60章【第2版】 (エリア・スタディーズ 59)

リビアを知るための60章【第2版】 (エリア・スタディーズ 59)

  • 作者:塩尻 和子
  • 発売日: 2020/04/05
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 他に類を見ない独特な政治思想を掲げ、42年間にわたり続いたカッザーフィーの独裁体制が崩壊してから9年、待望の改訂新版。予断を許さない内戦状態が続く「カッザーフィー後」の現状と、なお連綿と変わらない風土と人々の姿を、現地からの声も交えつつ紹介する。

個人的に、リビアの歴史はあまり勉強できてないので気になります。これは買うかも。

目下の内戦はトリポリとキレナイカの伝統的な地域対立以外にも、世界各国が割拠する武装勢力をそれぞれ支援し、まるで終わる気配が見えません。まるで戦争自体が産業と化しているかのようです。

 

 

13. 「世界史を動かしたフェイクニュース 」

宮崎正勝 著 河出書房新社 2020/5/14

フランス王妃が飢えた民衆に言い放ったという「パンがなければ……」という台詞。これは虚報だったが、結果、革命を進展させることになる。世界史を動かした「フェイク・ニュース」をつまびらかにする書!

テーマ本としては面白い切り口ですね。

フェイクニュースという言葉はいかにも現代的ですが、要はデマや流言ですね。デマが戦争や革命のスイッチになった事例は枚挙にいとまがないです。どういうふうにまとめているか、本屋で見つけたら見てみようと思います。

 

14. 「地図とグラフで見る第2次世界大戦」

ジャン・ロペズ 監,ヴァンサン・ベルナール 著,ニコラ・オーバン 著,太田佐絵子 訳 原書房 2020/5/23

 インフォグラフィックによる第2次世界大戦レファレンスの決定版! 膨大な資料から各国の数値データを集約し、あのとてつもなく大きな出来事をより深く理解し見直すために、物資、兵器、軍備、作戦、戦闘、損失などをグラフ化して比較。重要なポイントを俯瞰的かつ直感的に把握できる。

8,800円の大型本です。かなり思い切らないと買えない値段ですが、これが家にあったら色々捗るだろうなあ・・。欲しい・・・。

こちらでサンプルが見れます。

 

15. 「ヴィジュアル版「決戦」の世界史[普及版]」 

ジェフリー・リーガン 著,森本哲郎 監修 原書房 2020/4/22 

ヴィジュアル版「決戦」の世界史[普及版]:歴史を動かした50の戦い

ヴィジュアル版「決戦」の世界史[普及版]:歴史を動かした50の戦い

 

 サラミスの海戦から十字軍、無敵艦隊、ワーテルロー、日本海海戦、ミッドウェー、そして湾岸戦争にいたるまで、2500年にわたる「歴史」が変わった瞬間を、軍事史の権威が詳細に評価、フルカラー図版とともに「再現」。

視覚的に分かる資料として持っておきたいんだけど、ハードカバーが2,000円なんだけど、ソフトカバーが4,180円もするのなんで?

 

16. 「図説アーサー王物語 普及版 」

アンドレア・ホプキンズ 著,山本史郎 訳 原書房 2020/4/16 

図説アーサー王物語 普及版

図説アーサー王物語 普及版

 

  「イギリスもの」として知られる中世の物語群を再構成。きわめて感動的で劇的なエピソードの数々を、オリジナルの中世の作者の声を借りながら、語ろうとする試みは本書がはじめて。読者は、クレティアン・ド・トロワからマロリーまでのさまざまの調子を味わうことができる。

イギリス史を学ぶのであれば、アーサー王伝説は知っておかないわけにはいきません。

こちらの本は総合的にアーサー王伝説にまつわる情報が網羅されており、ざっくり知るには非常に有用ではないでしょうか。ぼくは購入を検討しています。

 

17. 「[コンパクト版] 世界の神話伝説図鑑」

フィリップ・ウィルキンソン 編,井辻朱美 監修,大山晶 訳 原書房 2020/5/2

[コンパクト版]世界の神話伝説図鑑

[コンパクト版]世界の神話伝説図鑑

  • 発売日: 2020/05/02
  • メディア: 大型本
 

古代ギリシャからヨーロッパ、アジア、アフリカ、南北アメリカ、オセアニアまで、神話や伝説の起源や、世界の創造、主要な神々やキャラクター、怪物や精霊たち、物語のエッセンスなど120項目をオールカラー、1500点の図版で解説。

これは単純に欲しい。手元に持っておきたい。

近いものは持ってるんですけど、たまにパラ見するとすごく楽しいですよ。

  

18. 「帝国の島々 漂着者、食人種、征服幻想」

レベッカ・ウィーバー=ハイタワー著, 本橋 哲也訳  法政大学出版会 2020/5/26

『テンペスト』から『ロビンソン・クルーソー』『ガリヴァー旅行記』、そしてメルヴィル、ヴェルヌ、H.G.ウェルズらの諸作品を経て現代文学・映画・テレビシリーズへ。見知らぬ島に漂着した遭難者たちの冒険を描き、世界中で人気を博したこれら「島の物語」がいかにして帝国主義イデオロギーの拡大を支え、白人男性による暴力と植民地支配、新自由主義的搾取を正当化してきたかを論じる。

これはまた挑戦的な本ですね。ウォーラスティン的な言い方をすると、いかに冒険物語が世界システム構築に貢献したか、といったところでしょうか。パッと聞いただけだとその論にどこまで蓋然性があるか分からないのですが、いろんな意味で怖い話です。

5,280円となかなかのお値段です。ううむ…。

 

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19. 「カオス・領土・芸術 ドゥルーズと大地のフレーミング」

エリザベス・グロス著, 檜垣 立哉監訳, 小倉 拓也訳, 佐古 仁志訳, 瀧本 裕美子訳 法政大学出版会 2020/5/25

生命進化の歴史のなかで、物質的かつ概念的な構造としての〈芸術〉はいつ、どのようにして始まったのか。建築し、描き、歌い踊ることは、この大地の上に何を表現し、創造してきたのか。オーストラリア先住民絵画に触発された女性哲学者が、ドゥルーズ=ガタリの非人間主義的哲学やイリガライの性的差異の思考、ダーウィンの性淘汰理論と共振しつつ、動物的なものとしての芸術の起源を探究する。

プリミティブな芸術の起源を探るというエキサイティングな試みです。すごい楽しそう。ジャンルで言うと哲学史なのでしょうが、こういう本読んだことないので単純に興味があります。

 

20. 「中世ヨーロッパの文化」

ハラルド・クラインシュミット著, 藤原 保明訳 法政大学出版会 2020/5/12

5世紀から16世紀まで、一千年を超える中世ヨーロッパの文化と社会の概念史。時間、空間を皮切りに、身体、集団、男女関係、生産と分配、戦争、思考、情報伝達、秩序等の多岐にわたって、中世の人々が抱いた概念はいかなるもので、それはどのように変容していったのか、先行研究を踏まえ、批判的に検討しつつ分析した「中世を理解する」ための大著。豊富な図版を収録し、詳細な原注・参考文献・索引を付す

 中世ヨーロッパという単語は、歴史好きからすると混乱するというか、どこからどこまで?地域はどこを指している?と思ってしまうのですが、ご安心あれ、本書は611ページ、価格も8,550円という堂々たる作品で、その物理的な存在感はタイトル負けしていません。ガチの専門書なので、初心者向けではないのですが、これを読みこなせば「中世ヨーロッパの文化に詳しい」と言っていいのでは?

 

21. 「ヨーロッパ中世の想像界」

池上俊一 著 名古屋大学出版会 2020/3/5 

ヨーロッパ中世の想像界

ヨーロッパ中世の想像界

  • 作者:池上 俊一
  • 発売日: 2020/03/05
  • メディア: 単行本
 

西洋中世の人々が生きた豊穣なる世界 ——。動植物や人間から、四大や宇宙、天使や魔女、仲間と他者、さらには楽園と煉獄まで、文学・図像・伝説・夢を彩る広大な想像界を縦横無尽に論じ、その全体構造を解明する。心性史・社会史を刷新する「イマジネールの歴史学」の集大成。

 中世ヨーロッパを理解するには、当時の精神世界を知ることも必須、ですよね!

こちらも960ページ、価格9,900円という超大作です。

図書館などでじっくり見てみたいです。さすがに買うのは無理かなあ。

 

22. 「コロンブスの図書館」 

エドワード・ウィルソン=リー 著,五十嵐加奈子 訳 柏書房 2020/4/23

コロンブスの図書館

コロンブスの図書館

 

 蔵書はあらゆる分野におよぶ3200冊。それでも持ち主が生涯をかけて蒐集したほんの一部だ。持ち主の名はエルナンド・コロン、コロンブスの私生児である。15世紀半ばのグーテンベルクの印刷革命から100年足らず、ルネサンス、宗教改革、大航海時代の最前線で世界のありとあらゆる情報を集めて目録化しようと試みた書物狂の知られざる物語。

コロンブスの子どもが書の収集家だったというのは何かで読んで知ってましたが、詳しくは知りません。単に父コロンブスの名誉回復をしようとした男ではないのですね。おもしろそうです。

 

23. 「アジアの公共宗教 ― ポスト社会主義国家の政教関係」

櫻井義秀編著 北海道大学出版会 2020/3/21

 アジア発の新たな公共宗教論の構築を目指し、歴史的な政教関係の構築、グローバル化によるトランスナショナルな宗教運動の影響、急速な社会変動と社会問題による人々の宗教文化への渇望の3点に着目。現代宗教が公共圏に参画する形態を比較社会学的に分析。

章をコピペします。

第一章 現代中国の政教関係と「宗教と和諧」政策の動向………川田 進

第二章 権威主義体制下の中国におけるキリスト教徒の生存戦略と政教関係
    ──「中国のエルサレム」、浙江省温州の事例から………佐藤千歳

 第三章 戦後台湾の民主化運動における長老教会
    ──三つの宣言と美麗島事件にあらわれた政教関係………藤野陽平

第四章 モンゴルにおける政教関係と公共宗教
    ──仏教、社会主義、福音派………滝澤克彦

第五章 戦後日本における二つの宗教右派運動
    ──国際勝共連合と日本会議………櫻井義秀

第六章 不可視化されるタイのムスリム
    ──イスラームの表象から見たタイ仏教と公共宗教………矢野秀武

第七章 南アジアから公共宗教論を問い直す
    ──植民地近代とインド社会………外川昌彦

第八章 危機時代における公共宗教としてのウクライナの正教会
    ──ポスト社会主義時代の新しい公共宗教のカタチ………高橋沙奈美

第九章 公共宗教の光と影
    ──ポーランドにおけるカトリック教会と公教育………加藤久子

2~6章超おもしろそう。公共宗教というと目新しいワードですが、日本会議と聞くと「なるほど、そういうことね」と思えます。

 

24.「ファシズムと聖なるもの/古代的なるもの」

平藤喜久子編著 北海道大学出版会 2020/4/24

ファシズムと聖なるもの/古代的なるもの

ファシズムと聖なるもの/古代的なるもの

  • 作者:平藤 喜久子
  • 発売日: 2020/04/28
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

ファシズム運動の時代、「聖/古代」が人々を魅了し、人々によって称揚された。それは何故なのか。実態はどうだったのか。――日本と独伊仏ルーマニアを取り上げ、ファシズムを準備した文化・学問・芸術・建築、また戦後に受け継がれたものを視野に入れ、現代に埋め込まれた「ファシズム」を透視する。

ファシズムという言葉は実に曖昧です。国によってまったく成立文脈が違うので寄って立つイデオロギーが全然違います。そのため様々な視点からのファシズム研究ができるわけですが、この本は「古代」の取り入れ方で比較検証しようという取り組みです。とても面白いです。章をコピペします。

第1章 ファシズム期の神話学と“青年結社”………平藤喜久子

第2章 日本型ファシズムと学問の系譜──宇野圓空とその時代………鈴木正崇

第3章 大川周明のスーフィズムへの傾倒………臼杵 陽

第4章 ナチス時代の日本学における「神道」と「禅」
    ──W・グンデルトとその周辺………………ベルンハルト・シャイト

第5章 日本ファシズムの起源の固有性について
    ──からごころ………………クラウス・アントーニ(齋藤公太訳)

第6章 ファシズム時代のイタリア語訳『古事記』とその背景
    ──「日本の聖書」について………シルヴィオ・ヴィータ

第7章 ナチス時代の「アッシリア神話」………月本昭男

第8章 戦間期ルーマニアの知識人と歴史表象………新免光比呂

第9章 表象しえぬ「古代」の表象
    ──ドイツ・プレファシズムおける視覚文化………深澤英隆

第10章 ナチズム期の〈古代〉表象の形成
     ──H・ヴィルトの〈アトランティス母権制〉論をめぐって………………久保田 浩

第11章 ファシズム期の比較神話学………松村一男

 

25. 「文化大革命 上巻」

フランク・ディケーター 著,谷川真一 監訳,今西康子 訳 人文書院 2020/3/12

文化大革命 上巻

文化大革命 上巻

 

激動の時代、なぜ暴力の連鎖は起こったのか

飢餓、紅衛兵、粛清、裏切り、恐怖と混乱---

毛沢東の野望と権力闘争の犠牲になった民衆たちの姿を圧倒的筆致で抉り出す!

 著者のフランク・ディケーターは現代中国史の歴史家としては欧米圏でもっとも注目される人物です。本作は「毛沢東三部作」と言われる作品、「解放の悲劇」、「毛沢東の大飢饉」の三作目にあたり、アメリカでは2016年に出版されています。待望の邦訳版です。筆者は膨大な資料を読み込み、統計分析や調査を重ねて、中国全体で何が起こっていたかを丹念に書いている、そうです。

本作は日本ではあまり注目度は高くないのですが、欧米では高く評価されており、文化大革命を評価する際のスタンダードとさえ言われています。そこまで言われたら見てみたい…。

 

26. 「朝貢・海禁・互市 近世東アジアの貿易と秩序」 

岩井茂樹 著  名古屋大学出版会 2020/3/10

朝貢・海禁・互市―近世東アジアの貿易と秩序―

朝貢・海禁・互市―近世東アジアの貿易と秩序―

  • 作者:岩井 茂樹
  • 発売日: 2020/03/10
  • メディア: 単行本
 

朝貢体制論を超えて ——。「天下を統べる皇帝と朝貢する蕃夷諸国」という美しい理念の外形を辛うじて保っていた明代の通商外交体制も、海と陸の辺縁からの衝撃で転換を迫られ、やがて清代には互市が広がっていく。西洋とは異なる「もう一つの自由貿易」への構造変動を、日本の役割も含めて跡づけ、新たな歴史像を実証する労作。

明朝が厳しい統制体制を敷き、外交含むすべての秩序を政府が望むようにコントロールしようとしたものを、海側と陸側、両方の外からの圧力により次第に揺らいでいき、形骸化していき終いには王朝をも倒していく様は、個人的には非常に面白いし大好きです。おおよその概略は分かってるつもりですが、セーターの糸がほぐれていくように、国家システムが少しずつ崩れていく様子を丹念に描いている本作は注目です。

 

27. 「物語 世界史への旅」

大江一道,山崎利男 著 山川出版社 2020/6/1

物語 世界史への旅

物語 世界史への旅

 

  1981年の刊行以来、何度も刷を重ねてきた『物語 世界史への旅』を山川セレクションとして リニューアル。現代の世界を見渡す上で基本認識の助けとなる24のテーマを厳選。歴史のな かに自分をおいて、出来事を再体験するように理解を深める異色の歴史書。

1981年発売の本のリニューアル版です。世界史のいろいろな出来事を小説風に分かりやすくまとめているもので、中高生の世界史入門にうってつけの本です。 

 

28. 「殺人区画 大量虐殺の精神性」

アブラム・デ・スワーン著, 大平章訳 法政大学出版会 2020/5

二十世紀、非戦闘員に向けられた集団的暴力は戦争の三倍以上の人命を奪ったと言われる。ホロコーストをひとつの頂点として、ホロドモールやポル・ポト派による虐殺、ユーゴスラヴィア、ルワンダの虐殺にいたる無数の悲劇はいかなる人びとにより、いかにして実行されたのか。権力者の命令で、あるいは自ら進んで大量殺戮に従事した人びとの置かれた状況と、彼らを殺戮へと駆り立てる方法を社会学的に分析する。

 人類が一番学ぶべきだけど、なかなか勉強したがらない項目ですね…。

 読んでいくのはとても辛そうだけど、自分が殺戮者になったり、殺戮に加担しないという保証はどこにもないわけです。学校や職場でのちょっとした行動、世間で話題のニュース、そういったすぐ身近なところに「スイッチ」はあります。

 何が人を大量殺戮に導くか、という知識を皆もっと学んでいくべきでしょう。

 

29. 「ヨーロッパの略奪 ナチス・ドイツ占領下における美術品の運命」

リン・H・ニコラス 著,高橋早苗 訳 白水社 2020/5/21

第二次大戦下、ナチスによる全欧州の組織的美術品略奪と各国の防衛作戦、さらに連合軍による奪還の詳細を綿密な調査で明るみに出す。全米批評家協会賞受賞。

こちらは2002年6月発売の本の復権版です。 

第二次世界大戦期の美術品回収チームと言えば、映画「ミケランジェロ・プロジェクト」で有名になったモニュメンツ・メンが有名ですが、本作も同じような形でナチス・ドイツに奪われた美術作品を奪還していく様が描かれた作品です。アメリカ人作家の本なので、正義のアメリカが悪のドイツから聖なるものを奪い返す、というニュアンスがありそうで、やや注意しながら読む必要があるかもしれません。「奪還」て。アメリカも散々日本の美術品の略奪やっとるがな。

 

30. 「中華世界を読む」 

奈倉京子編著 東方書店 2020/4/22

中華世界を読む

中華世界を読む

  • 発売日: 2020/04/22
  • メディア: 単行本
 

「一帯一路」構想に顕著なように、国家としての中国を中心に、政治的・経済的に統合しようとする側面がある一方で、台湾が東南アジアとの結びつきを強めることで台湾独自の「中華」を志向するなど、分裂が際立つ側面もある。雲南省の回族の歴史を振り返ると、中国内部で中国との距離の取り方を模索する様子がみえ、香港・台湾・マレーシアなどへと拡大していく「華語語系文学」の議論からは、中華世界の統合に近づいたり分裂に傾いたりする様子がわかる。華僑華人のネットワークも、一方では中国の故郷と深く結びつく統合の側面があり、一方では居住地をハブとして故郷からさらに遠くへと拡散してゆく側面もある。「中華世界」とはなにか。本書はその輪郭を描くものである。

 ははあ、紹介文を読むだけでこれ絶対面白いのが分かりますね。

中華世界は一つではなく、分裂したり、分裂が統合したりすることがある、と。興味深いです。これは買いかもしれません。

 

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まとめ

コロナ期ともあって、話題本は少ないのですが、この時節柄の本ですとか、重厚な専門書が多く出版されています。ぜひチェックしてみてください。

今回のぼくのリストはこちら。

買った

陸海の交錯 明朝の興亡 (シリーズ 中国の歴史)

 白人ナショナリズム アメリカを揺るがす「文化的反動」 (中公新書)

 

買う予定

戦車将軍グデーリアン 「電撃戦」を演出した男 (角川新書)

 

リビアを知るための60章【第2版】

中華世界を読む

  

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あなたの教養レベルを劇的に上げる 驚きの世界史

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  • 作者:尾登 雄平
  • 発売日: 2019/12/06
  • メディア: 単行本
 

 

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