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おもしろい世界史のネタをまとめています。

【2020年3月版】世界史関連の新刊30冊

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2019年12月〜2020年3月の世界史関連の新刊の紹介

新型コロナの影響で外出を控え自宅にいがちな方も多いのではないでしょうか。

本屋に行くのもためらわれるという方もいるかもしれません。

世界史関連の新刊の最新の情報をまとめましたのでぜひご参考にしてください。

 

 

 1. 「シリーズ中国の歴史②江南の発展:南宋まで」

丸橋充拓 著 岩波書店 2020/1/21

江南の発展: 南宋まで (岩波新書)

江南の発展: 南宋まで (岩波新書)

  • 作者:丸橋 充拓
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2020/01/23
  • メディア: 新書
 

 ユーラシアを見わたせば、中国は、北は遊牧世界、南は海域世界へと開かれている。第二巻は、長江流域に諸文化が展開する先秦から、モンゴルによる大統一を迎える南宋末までの長いスパンで「海の中国」を通観。中原と対峙・統合を重ねながら、この地域が経済・文化の中心として栄えゆく姿を、社会の重層性にも着目しつつダイナミックに描く。

一巻に引き続いて、出た次の日に買って読みました。面白かったです。

古代中国の中心であった中原に相対する古代の呉越楚から、モンゴルに滅ぼされる前の南宋までの南中国を中心とした通史になっています。

第一巻の渡辺氏と比べると、丸橋氏はだいぶ書き方が柔らかで、詰まることなくグングン引き込まれていきました。とはいえ、制度や開発の歩みが結構詳しく述べられていて、もう一度ちゃんと腰を据えてじっくり読みほぐしたいと思います。

 

2. 「〈内戦〉の世界史」

デイヴィッド・アーミテイジ著, 平田雅博,阪本浩,細川道久 訳 岩波書店 2019/12/19

〈内戦〉の世界史

〈内戦〉の世界史

 

「内戦」とは何なのか.何故これほどまで,われわれを苛むのか.ハーヴァード大学歴史学教授による,初の「内戦」の思想史.古代ローマ以来2000年の思索を辿り,われわれの世界観に食い込んだ「内戦」の意味を明らかにする.歴史認識の転換を迫る,壮大な思想のグローバル・ヒストリー.The Economistなど書評多数.待望の邦訳.解題=成田龍一(近現代日本史)

これは何度か本屋で手には取ったのですがまだ読んでいないやつです。

後世の人が「あれは内戦だった」と一括りに語ったとしても、もし当事者がいたとすれば「いや全然違う」「一緒にするんじゃねえ」ときっとなるでしょう。

圧制からの独立vs反乱の鎮圧、正統性の維持vs安定の確保。

「内戦感」というのも時代によって大きく変化しており、現代はシリアやリビアの内戦を見ると、内戦と言いつつ誰がどこでどのように戦っているか全く見えなくなっています。現在の我々を見つめる際に必要な視点の一つがあるのではないでしょうか。

 

3. 「台湾研究入門」

若林正丈,家永真幸 編 東京大学出版会 2020/3/9

台湾研究入門

台湾研究入門

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: 東京大学出版会
  • 発売日: 2020/03/09
  • メディア: 単行本
 

 東アジアの地政学上,いまや重要な島となってきた台湾.台湾研究の第一線の研究者たちが,台湾の歴史・政治・社会・文化を理解する上で重要なキーワードによってわかりやすく,簡潔に解説する.「台湾とは何か」という問いに多角的な視点から迫る新しい入門書.

台湾の歴史、政治、法律、文化などが網羅的にまとまった、その名の通り入門書にはぴったりな一冊になっています。

こちらに目次ありますが、なかなか読み応えありそうです。

 

4. 「世界史年表・地図(2020年版)」 

亀井高孝, 三上次男,林健太郎,堀米庸三 編 吉川弘文館 2019/11/15

世界史年表・地図(2020年版)

世界史年表・地図(2020年版)

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: 吉川弘文館
  • 発売日: 2020/02/21
  • メディア: 単行本
 

 永遠のベストセラー! 2019年の記事を追加して新年度版を刊行。

年表は収載事項が豊富・詳細で、政治・経済・文化等各般にわたり縦横に理解できる編集で、持って役に立つ。地図は世界史を多方面から一望できるよう独創的な編集を行い、政治史の外、経済史・文化史等の地図を配置した。

吉川弘文館の世界史年表、これはいいものです。一家に一台は置いておきたいです。

2019年度版は買いました。ぼくは好きなページをスマホで写真に撮って、電車とかトイレの中とかで眺めたりしてます…。

 

5. 「中国料理と近現代日本 食と嗜好の文化交流史」

岩間一弘 編著 慶応大学出版会 2019/12/25

中国料理と近現代日本:食と嗜好の文化交流史 (慶應義塾大学東アジア研究所叢書)

中国料理と近現代日本:食と嗜好の文化交流史 (慶應義塾大学東アジア研究所叢書)

  • 作者:岩間 一弘
  • 出版社/メーカー: 慶應義塾大学出版会
  • 発売日: 2019/12/20
  • メディア: 単行本
 

なぜ,日本で独自の進化を遂げ,これほどまでに浸透したのか?
中国料理をめぐる政治・社会情勢の変化に着目しながら,
東アジアにおける食の文化交流の多様な軌跡をひもとき、新たな史実を究明する。
本書は,歴史学・文化人類学などの観点から,
ユニークに発展した日本の中国料理の特色を浮き彫りにし,
さらに中国料理を通して見える東アジアの多様な文化交流とその社会的背景の変容を明らかにする。

あーあ、こういう本をずっと読むだけの人生でありたい。

面白くないわけがないです。しかしお値段が5,720円と、ちょっとためらう価格であります。ぼくはお財布と相談します。

詳細な目次はこちらから。

 

6. 「ウィーン包囲 オスマン・トルコと神聖ローマ帝国の激闘」

菊池良生 著 河出書房新社 2019/12/13

ウィーン包囲: オスマン・トルコと神聖ローマ帝国の激闘

ウィーン包囲: オスマン・トルコと神聖ローマ帝国の激闘

  • 作者:菊池良生
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2019/12/10
  • メディア: 単行本
 

神の名の下に、世紀の戦いの火蓋が切って落とされた。世界征服を企てるオスマン帝国からキリスト教世界を守った最大の決戦、「ウィーン包囲」の激闘を描いた初の一冊。世界史ファン必携!

これも何度か本屋で手に取ったのですが、まだ買っていません。しかし目次を見る限り、超面白そう。時間見つけて絶対読みます。

序章 ヨーロッパの危機
第1章 第一次ウィーン包囲
第2章 第二次ウィーン包囲前夜のオスマン・トルコ帝国
第3章 ルイ14世ーー「余はちと戦争を愛しすぎた」
第4章 要塞化するウィーン
第5章 トルコ軍動く
第6章 ウィーン攻防
第7章 救援軍
第8章 カーレンベルクの戦いーー来た、見た、勝った!
第9章 戦いすんで
終章 バロック大帝の死から『後宮からの逃走』まで

 

7. 「〈世界史〉をいかに語るか」

成田龍一, 長谷川貴彦 編 岩波書店 2020/2/18

〈世界史〉をいかに語るか――グローバル時代の歴史像

〈世界史〉をいかに語るか――グローバル時代の歴史像

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2020/02/20
  • メディア: 単行本
 

 現代歴史学の様々な「転回」を踏まえ、グローバルヒストリー・ブームを批判的に検証しつつ、歴史叙述の在り方を根本から問い直す。大好評の『思想』2018年第3号に、D.アーミテイジ、L.コリーの新訳、そして井野瀬久美惠・川島啓一の対談を増補。歴史学の現在地を知りたい全ての人へ。歴史教育者にも、必携の一冊。

これは買いました。ユヴァル・ノア・ハラリやジャレド・ダイアモンド、ウィリアム・マクニールに代表されるグローバルヒストリー全盛期の昨今ですが、本書は「グローバルヒストリー・ブームを批判的に検証しつつ、歴史叙述の在り方を根本から問い直す、とあります。ちょっと上級者向けの本です。まだ読んでいませんが楽しみです。

こちらから目次とお試しが見れます。

 

8. 「地中海世界 ギリシア・ローマの歴史」 

弓削達 講談社学術文庫 2020/1/14 

地中海世界 ギリシア・ローマの歴史 (講談社学術文庫)

地中海世界 ギリシア・ローマの歴史 (講談社学術文庫)

  • 作者:弓削達
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2020/01/10
  • メディア: Kindle版
 

古代ローマ史の泰斗による、古代地中海世界の歴史。講談社現代新書で好評を博したシリーズ「新書西洋史」全8冊のうちの第2巻として刊行されたが、単なる概説書にとどまらず、古代史への新しく、大きな視座を提供した、定評ある意欲作。

本書は、ほぼ2000年にわたるギリシア・ローマの歴史を扱うが、「ギリシア」と「ローマ」という二つの歴史を扱っているのではない。「ギリシア・ローマ」という一つの世界の一貫した歴史として追及する。
現在の西半球の主要な歴史の担い手とその文化は、地中海世界を母胎として生み出されたものであった。ラテン的・ゲルマン的世界、ギリシア的・スラブ的世界、オリエント的・アラブ的世界は、地中海世界の崩壊の中から生み出された第二次的世界であり、キリスト教的東西ヨーロッパ文明、イスラム的アジア文明は、地中海世界の転生の中から生まれたものだった。地中海世界は、それらすべてのものの出発点であり、母胎であり、故郷なのである。巻末解説を、東大名誉教授・本村凌二氏が執筆。〔原本:『新書西洋史2 地中海世界――ギリシアとローマ』講談社現代新書、1973年〕

これは1973年の電子版での再刊行です。

弓削達氏の著作はぼくも本を書くときにめっちゃ参考にしました。もう古典の領域に入るのかもしれませんが、今でもまったく衰えない新鮮さがあり、一読をお勧めします。

 

9. 「麻薬の世紀 ドイツと東アジア 一八九八-一九五〇」

熊野直樹 著 東京大学出版会 2020/3/13

麻薬の世紀: ドイツと東アジア 一八九八-一九五〇

麻薬の世紀: ドイツと東アジア 一八九八-一九五〇

  • 作者:熊野 直樹
  • 出版社/メーカー: 東京大学出版会
  • 発売日: 2020/03/17
  • メディア: 単行本
 

 ナチス・ドイツと麻薬は密接な関係にあった.阿片とコカを素材としながら,19世紀末から第二次大戦後に至るドイツと東アジアとの関係を描き,独亜通商関係を新たに捉え直す.研究上の空白を埋める一連の史料の発見から,戦後史の謎を解明する.

ナチスと麻薬の関係については、何となく知ってはいますが、ちゃんとした資料として読んだことはありません。そしてタイトルには東アジア、1898年から1950年とあるので、当然日本も無関係ではないでしょう。我々には辛いですが、明らかにしておくべき歴史に違いありません。

 

10. 「禁忌の兵器 パーリア・ウェポンの系譜学」 

榎本珠良編著 日本経済評論社 2020/2/29

禁忌の兵器: パーリア・ウェポンの系譜学

禁忌の兵器: パーリア・ウェポンの系譜学

  • 作者:榎本 珠良
  • 出版社/メーカー: 日本経済評論社
  • 発売日: 2020/02/29
  • メディア: 単行本
 

ダムダム弾、攻撃的兵器、大量破壊兵器、地雷、クラスター弾――特定の兵器をタブー視する近現代の発想や概念はいかに構築され変容したのか。既存の知の前提を問う新たな試み。

兵器の歴史ですが、中でも人道主義に反する大量破壊兵器や地雷などがいかにしてタブー視されていったかの歩みを見ていくという興味深い本です。

こちらから目次が見れます。

 

11. 「数学と文化 」

赤攝也 著 筑摩書房 2020/2/10

数学と文化 (ちくま学芸文庫)

数学と文化 (ちくま学芸文庫)

  • 作者:赤 攝也
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2020/02/11
  • メディア: 文庫
 

 記号の運用方法である代数学と身近にある図形の研究である幾何学との結合帯が数学である。数学は、物理学や化学などの諸科学、それらにもとづく諸技術の根幹を担う。また対話や討論の前提となる「論理的・体系的な思考」も数学が培う。いったい数学とは何ものなのだろうか。数概念の始源から始め、ユークリッドの『原論』、パスカルの『幾何学的精神について』、デカルトの『方法序説』、確率論、数理統計、計画数学などを概観し、数学の歴史と思想、さらには私たちの文化の根本に迫った入門概説。

 こちらの本は1989年に出版された本の文庫版です。

ぼくは数学はダメな典型的文系人間なんですが、数学ができるようになりたい願望はかなりあって、何度か数学に関する本を手に取りましたがことごとく撃沈されてきた歴史があります。この本は結構難しそうですが、哲学・文化にもよってるので、いけそうな気もしてきました。

 

12. 「図説 マヤ文明」

嘉幡茂 著 河出書房新社 2020/2/25

図説 マヤ文明 (ふくろうの本/世界の歴史)

図説 マヤ文明 (ふくろうの本/世界の歴史)

  • 作者:嘉幡茂
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2020/02/22
  • メディア: 単行本
 

巨大なピラミッド群、特異な芸術と世界観で我々を魅了し続けるマヤ文明がいかに栄え、いかに滅びたか。最新の発掘調査と共に、古代マヤ人の国家、都市、生活、宗教や経済まで徹底解説。

こういう写真が綺麗な歴史本はなんぼあってもいいですね。寝室とかトイレとかに置いといて、パラパラと読み眺めたい一冊です。

 

13. 「一枚の絵で学ぶ美術史 カラヴァッジョ《聖マタイの召命》」

宮下規久朗 著 筑摩書房 2020/2/5 

一枚の絵で学ぶ美術史 カラヴァッジョ《聖マタイの召命》 (ちくまプリマー新書)

一枚の絵で学ぶ美術史 カラヴァッジョ《聖マタイの召命》 (ちくまプリマー新書)

  • 作者:宮下規久朗
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2020/02/21
  • メディア: Kindle版
 

 名画ながら謎の多い《聖マタイの召命》。この絵を様々な角度から丁寧に読み解いてみる。たった1枚の絵画からあふれて尽きぬ豊かなメッセージを受け取る。

一枚の絵の読み解きに一冊費やしてるとは。こういう本を出す筆者も筑摩書房さんも素敵です。ちなみに聖マタイの召命はこういう絵です。

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この絵は税務署で働くマタイにイエスが呼びかけ、それにマタイが応えた、というエピソードを描いたものですが、そも絵の中の誰がマタイなのか長年に渡って議論があります。この謎を解き明かしていく本になっているようです。とりあえず買いました。これから読みます。

 

14. 「建築の聖なるもの 宗教と近代建築の精神史」

土居義岳 著 東京大学出版会 2020/1/31

建築の聖なるもの: 宗教と近代建築の精神史

建築の聖なるもの: 宗教と近代建築の精神史

  • 作者:土居 義岳
  • 出版社/メーカー: 東京大学出版会
  • 発売日: 2020/02/03
  • メディア: 単行本
 

19世紀末から20世紀にかけて,宗教学から生まれた「聖なるもの」という概念が,建築の意味をどう変容させたのか.フランス革命に端を発する,国家による空間管理,歴史的建造物,文化財学の展開から,20世紀初頭の聖芸術運動や先進国首都の都市計画まで,建築の近代を根底から問い直す.

これは建築好きにはたまらない本なんじゃないでしょうか?

ぼくはまだ建築分野にまでは手を出せていないのですが、概念を空間の中でどうとらえて人の行動や思考をどう変化させようとしたか、または変化をどうとらえたのか、という領域から関心を広げていくと、一気に建築の沼にハマっていきそうな気もします。

こちらから試し読みができます。

  

15. 「1187年 巨大信仰圏の出現」

千葉敏之編  山川出版社 2019/12/23

1187年 巨大信仰圏の出現 (歴史の転換期)

1187年 巨大信仰圏の出現 (歴史の転換期)

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: 山川出版社
  • 発売日: 2019/12/23
  • メディア: 単行本
 

 1187年のサラディンによる聖地イェルサレム奪還は、キリスト教とイスラーム教がその後別々の道を歩む分岐点となった。各地で宗教が対峙・接触・相克する中世を世界規模で考える。

 歴史の転換期シリーズはいちおう全部読んでます。しっかり読みごたえがある論文集なので、世界史の中級者以上におすすめです。1187年と言えばアイユーブ朝のサラディンによって十字軍のエルサレム支配が覆された年ですが、その前後での主にイスラム世界の変容を眺める本です。

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16. 「反穀物の人類史 国家誕生のディープヒストリー」

ジェームズ・C・スコット著,立木勝訳 みすず書房 2019/12/19

反穀物の人類史――国家誕生のディープヒストリー

反穀物の人類史――国家誕生のディープヒストリー

 

「ある感覚が要求してくる――わたしたちが定住し、穀物を栽培し、家畜を育てながら、現在国家とよんでいる新奇な制度によって支配される「臣民」となった経緯を知るために、深層史(ディープ・ヒストリー)を探れ、と…」
ティグリス=ユーフラテス川の流域に国家が生まれたのが、作物栽培と定住が始まってから4000年以上もあとだったのはなぜだろうか? 著者は「ホモ・サピエンスは待ちかねたように腰を落ち着けて永住し、数十万年におよぶ移動と周期的転居の生活を喜んで終わらせた」のではないと論じる。
キーワードは動植物、人間の〈飼い馴らし〉だ。それは「動植物の遺伝子構造と形態を変えてしまった。非常に人工的な環境が生まれ、そこにダーウィン的な選択圧が働いて、新しい適応が進んだ…人類もまた狭い空間への閉じこめによって、過密状態によって、身体活動や社会組織のパターンの変化によって、飼い馴らされてきた」
最初期の国家で非エリート層にのしかかった負担とは? 国家形成における穀物の役割とは? 農業国家による強制の手法と、その脆弱さとは? 考古学、人類学などの最新成果をもとに、壮大な仮説を提示する。

これも買ってますが読んでませんです。

めちゃ簡単に言うと、人類は穀物を利用したのではなく、逆に穀物に利用されているのであって、「穀物の奴隷」になって以降の人類は自由が奪われ、国家というクソみたいなシステムを作らざるを得なくなったといった等々の趣旨です。

税込み4,180円なのでちょっとためらう価格ですが、買って損はないはず。

 

17. 「骨が語る人類史」

ブライアン・スウィーテク 著,大槻敦子 訳 原書房 2020/2/19

骨が語る人類史

骨が語る人類史

 

カンブリア期から現生人類までの生物の骨の発達の歴史、発掘されたヒトの骨からわかる過去の暮らし、リチャード3世の遺骨などの歴史的発見、骨に関わる人種差別と倫理観など、骨にまつわる興味深い古生物学、人類学。

骨と聞くと、アウストラロピテクスとかクロマニヨン人とか想像してしまうのですが、 そういう考古学的なものだけではないっぽいです。「○○から語る歴史」って本すごく多くて、この○○に入る単語が今めちゃくちゃ考え尽くされていて、その度になるほど!その手があったか!という気分になります。

 

18. 「[図説]毒と毒殺の歴史」

ベン・ハバード 著,上原ゆうこ 訳 原書房 2020/2/22

[図説]毒と毒殺の歴史

[図説]毒と毒殺の歴史

  • 作者:ベン・ハバード
  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2020/02/22
  • メディア: 単行本
 

毒を使った暗殺の歴史は、人間の歴史と同じくらい古い。本書では、クレオパトラ、ボルジア家、サド侯爵といった歴史上の人物から現代のテロリストまで、毒と人間との関わりや、代表的な毒物の作用、効果をフルカラーで解説。

 毒で亡くなった歴史上の人物や、毒殺犯の手口の紹介とかまではありそうですが、毒と人間の関わり、毒物の紹介とかまで来ると、毒の文化史といった様相ですね。

 

19.「 歴史のなかのカタルーニャ -史実化していく「神話」の背景」

立石博高著 山川出版社 2020/3/2

歴史のなかのカタルーニャ: 史実化していく「神話」の背景

歴史のなかのカタルーニャ: 史実化していく「神話」の背景

  • 作者:立石 博高
  • 出版社/メーカー: 山川出版社
  • 発売日: 2020/03/02
  • メディア: 単行本
 

2017年10月、スペイン北東部の州カタルーニャで起こった独立をめぐる騒動は、世界中の注目を集めた。あの騒動はどうして起こったのか。その根底には、「国民国家」という神話に対する様々な問題が潜んでいることが、歴史を通して見ることでわかってくる。現在も続くカタルーニャの独立問題をテーマに、「国民国家」という神話について考える。

カタルーニャの歴史って実は結構専門の本が出版されていますよね。手に取りやすいのは中公新書か明石書店の「50章シリーズ」です。

本書は「国民国家の神話」からカタルーニャ独立問題を読み解くとのこと。テーマがしっかりしていて、楽しみな本です。

 

20. 「地図で見るドイツハンドブック」

ミシェル・デシェ 著, 蔵持不三也 訳 原書房 2020/1/22

地図で見るドイツハンドブック

地図で見るドイツハンドブック

  • 作者:ミシェル・デシェ
  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2020/01/22
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

ドイツは多様な顔をもつ国である。だれの目にも明らかな経済的成功をおさめてはいるが、深刻な分断と向き合ってもいる。本書は、100以上の地図および多くの資料やコンピュータグラフィックスをもちいて、このヨーロッパの大国の複雑さと挑戦を分析・評価するための、あらゆる鍵を提示する。

 ドイツの複雑さは、17世紀ごろの神聖ローマ帝国の領邦を見たら一目瞭然ですよね…。

結構興味あるので、本屋でチェックしてみます。

 

21. 「CIA裏面史 薬物と洗脳、拷問と暗殺」 

スティーブン・キンザー 著, 花田知恵 訳  原書房 2020/1/22

CIA裏面史:薬物と洗脳、拷問と暗殺

CIA裏面史:薬物と洗脳、拷問と暗殺

 

《アーティチョーク》計画はCIAの強い確信から生まれた。人間の思考を操る術はどこかにあり、もしそれが発見できたら、世界で優位に立てるのは間違いない。シドニー・ゴットリーブと彼の同僚たちが催眠術と電気ショックの分野に傾倒していた頃、じつは彼らが最も魅了されていたのは薬物だった。精神薬理学の未踏域のどこかに、発見されるのを待っている夢の薬がある。それはおそらく奇跡に近いものだ。手に負えない頑固者が口を割る「自白剤」、心を開き、操られるままになる薬、どんな記憶も消し去る薬。
彼らが最初に期待した薬物は、大麻の有効成分、テトラヒドロカンナビノールだった。CIA設立前、戦略情報局の科学者たちがこの成分を精製し、無色透明、無味無臭の濃い液体をつくっていた。その効力に絶対の自信を持っていた彼らは「自白剤」の頭文字を取ってTDというコードネームをつけた。何か月も自ら実験台になってテストし、キャンディやサラダドレッシング、マッシュポテトに様々な分量を混ぜて摂取した。それから、たばこにして吸ってみた。この試みは今から思えば当然の結論を導き出した。大麻の有効成分は「無責任な状態」を引き起こし「あらゆる抑制がゆるむようだ……ユーモアの感覚が鋭くなり、どんな言葉も、どんな状況もとてもおかしく感じる」。これでは尋問に役立つ道具には到底なり得ない。研究者たちは次に進んだ…

 なかなかこういう類の本は手にとらないのですが、本文の抜粋を読んだらすごく引きつけられます。じゃっかん怖いもの見たさな野次馬的な部分がありますが面白そうです。

 

 22. 「これから読む聖書 出エジプト記」

橋爪大三郎 著 春秋社 2019/12/24 

これから読む聖書 出エジプト記

これから読む聖書 出エジプト記

  • 作者:橋爪 大三郎
  • 出版社/メーカー: 春秋社
  • 発売日: 2019/12/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

日本人にはとっつきにくい聖書だけれど、「これを読んでおけば安心」の第2弾。旧約聖書最大のヒーロー、モーセの誕生からイスラエルの民を導いてエジプトを発ち、神の戒律を授かるまでの波瀾万丈を、時代背景も踏まえてわかりやすく。

旧約聖書のモーセの箇所は知ってるようで知らない人も多いと思うので、入門書としてはとても良さそうです。これを片手に聖書を読むと理解が進んでいいかもしれませんね。

 

23. 「ブラジルの都市の歴史」

中岡義介, 川西尋子 著 明石書店 2020/2/6

ブラジルの都市の歴史―コロニアル時代からコーヒーの時代まで (世界歴史叢書)

ブラジルの都市の歴史―コロニアル時代からコーヒーの時代まで (世界歴史叢書)

 

 ブラジルの都市は到来した様々な人々によって建設されており、世界的にも類を見ない特異な経験の地である。フィールド調査と史資料を基に、植民地時代から20世紀前半の移民の時代まで各地に建設された都市の成り立ちをたどり、歴史の変遷も浮きぼりにする。

これ図書館で借りました。まだパラパラとしか読んでませんが、その成り立ちによって、都市設計思想や人々の暮らしが全く違うことが分かり、すごい面白いです。例えば日本移民は地形を生かし、学校や病院などの公共施設を中心に据えその周りを農地や宅地にする秩序だった都市構造になっているが、イタリア移民は地形をいかした設計など一切考えず家族が住む家をどう作るかを一番に考える、など。

Ⅰ 低平地の大湿地開発――呼応する丘と湾の景観都市 リオデジャネイロ

Ⅱ 海に浸る町――「町」に変える都市施設 サンヴィセンチ

Ⅲ ブラジル「発見」の山と湾、川と丘――キリスト騎士団の箱庭聖地 ポルトセグーロ

Ⅴ ブラジル植民都市のひな型――ルネサンス都市の実験場 サルヴァドール

Ⅵ 州浜の自由都市――寛容に向かい合う水の都 レシーフェ

Ⅷ 山岳のアライアル――無名の人びとの祝祭都市 オウロプレット

Ⅹ ドイツ系移民都市――商業ネットワークの都市 イビラマ

XI イタリア移民都市――世界の教会網の都市 ヴェラノポリス

XII 日本移民都市――ミニ国家としての都市 ウライ

こちらから目次詳細が見れます。

 

24. 「中国 統治のジレンマ 中央・地方関係の変容と未完の再集権」

磯部靖 著 慶応大学出版会 2019/12/20 

中国 統治のジレンマ:中央・地方関係の変容と未完の再集権 (慶應義塾大学法学研究会叢書 90)

中国 統治のジレンマ:中央・地方関係の変容と未完の再集権 (慶應義塾大学法学研究会叢書 90)

  • 作者:磯部 靖
  • 出版社/メーカー: 慶應義塾大学出版会
  • 発売日: 2019/12/13
  • メディア: 単行本
 

なぜ習近平政権は「再分権」を推進するのか?

80年代の改革・開放政策によって分権が進み、地方の台頭に関心が高まる一方で、90年代半ば以降、中国では中央政府により再び集権が進んだ。現代中国における中央・地方の関係はどのように変化し、またどのように論じられてきたのか。

さらに、分権を進める習近平政権を考える上で示唆となる、地方での政策執行を促進するためのインセンティブ・メカニズムを考察する。

 これは歴史というより、現代中国政治研究の本なのですが、文革以降の中国の歴史の流れの中で現代の政策がどういう意図を持っているか分析しているようです。中国の歴史は常に中央集権化と分権化の間で揺れ動いていて、国が安定したら分権化の流れになり、中央の力が衰えて地方が強くなり、疫病やら異民族の侵入やらで国が危機になると地方が中央を平らげて中央集権化を再度厳しくする、という繰り返しをしています。さすがに現在の中国共産党も過去の経験を踏まえてどう地方が独立しすぎないように分権化をするかを考えていると思うのですが。

 

25. 「東南アジア大陸部の戦争と地域住民の生存戦略」

瀬戸裕之, 河野泰之 編著 明石書店 2020/2/10

 長期にわたり種々の戦争が継続した東南アジア大陸部において、犠牲者としてのみ見られがちな地域住民は戦中・戦後の社会変化にどのような「生存戦略」をもって関わってきたのか。オーラルヒストリーを重視し、勝者の戦後史とは異なる「被戦争社会」の実相を描く。

主に冷戦期の東南アジア辺境部、タイ東北部・北部山岳地、ラオス山岳地や、宗教的マイノリティの戦争と抵抗の歴史。概要でもある通り「オーラルヒストリー」、資料や公的文書には出てこない、人の証言を重視して編纂されています。個人的には、配偶者の祖父母がタイ共産党のゲリラだったこともあり、ここら辺の話はもろに「家族史」であり興味があります。

こちらから目次が見れます。

 

26. 「無の国の門 引き裂かれた祖国シリアへの旅」

サマル・ヤズベク 著,柳谷あゆみ 訳 白水社 2020/3/4

無の国の門:引き裂かれた祖国シリアへの旅

無の国の門:引き裂かれた祖国シリアへの旅

 

祖国を逃れた作家が一時帰還し、反体制派の人々の苦悩と挫折に耳を傾ける。記録する行為を通じて内戦という過酷な現実と向き合う

 著者はシリア人で、アサドと同じく少数派アラウィー派ですが、2011年から反アサド派のジャーナリストとなりシリアを脱出して現在パリを拠点に著作活動をしているとのこと。

シリアに関する情報って断片的で、ISの崩壊以降は目立って報道もなくなってしまい、まとまった情報が少なくなっています。シリアはまだまだひどい状態ですので、我々にまずできることはシリアに関心を持つことだと思います。

 

27. 「茶の世界史[新装版]」 

ビアトリス・ホーネガー 著, 平田紀之 訳 白水社 2020/3/27

茶の世界史[新装版]:中国の霊薬から世界の飲み物へ

茶の世界史[新装版]:中国の霊薬から世界の飲み物へ

 

その一杯を味わいながら繙きたい――ポスト・コロニアルな問題意識とお茶への愛とに裏打ちされた豊穣な東西文化史

著者のビアトリス・ホーネガー氏はロス在住の作家で、茶に関する展示のキュレーターをされたこともある茶の歴史に詳しい方のようです。この本は2010年に出た本の新装版ですね。

茶で結ぶ歴史はいろいろ話が発展展開できそうだなあ。

 

28. 「図説 デザートの歴史」

ジェリ・クィンジオ 著, 富原まさ江 訳 原書房 2020/1/22 

図説 デザートの歴史

図説 デザートの歴史

 

 食事の最後の甘い至福、デザート。しかしその歴史は意外に短い。香辛料との深い関係、デザート誕生の背景、産業革命とデザートの進化、大衆文化の影響……デザートの奥深い歴史を楽しいエピソードと共に探訪する。カラー図版多数。

 これはまた面白い視点ですね!

デザートの歴史など考え付きもしませんでした。一度、アントナン・カレームに始まるフランス料理のデザートについて調べたことがありますが、現代に至るまでの歴史はかなり面白そう。いろいろ資料も豊富でしょうが、あまりにも膨大すぎて溺れやしないかと心配になります。

 

29. 「映画と黙示録」 

岡田温司著 みすず書房 2019/12/19

映画と黙示録

映画と黙示録

  • 作者:岡田 温司
  • 出版社/メーカー: みすず書房
  • 発売日: 2019/12/21
  • メディア: 単行本
 

核による人類滅亡、宇宙戦争、他者としての宇宙人(異星人)の表象、救われる者と救われない者、9・11という虚実の転倒と終末映画、そして、コンピューターやロボット、AIに支配される社会…。ホラー、パニック、アクション、戦争、SF、ミステリー、フィルム・ノワールなど、約250作を取り上げ、原典があらわすイメージ・思想と今日の私たちとの影響関係を解き明かす、西洋美術史・思想史家の面目躍如たる一冊。

これは素晴らしい切り口ですねー。映画の中の「黙示録」の表現とその思想を追っていくというもの。めっちゃ面白そう。黙示録は、言わずもがなですが「ヨハネの黙示録」のことです。

 

30. 「[アートミュージアム] ポスター芸術の歴史」

デイヴィッド・ライマー 著, 井上廣美 訳 原書房 2020/2/22

ミュシャなどのアール・ヌーヴォーやアール・デコ、ロシア構成主義、シュルレアリスムなどさまざまな芸術運動と印刷技術の発達を関連させて作品を解説する。美術史的・デザイン史的に重要なポスターを100点以上収録。

 5,800円と結構なお値段なんですが、歴史に名が残る名ポスター100点以上収録されてこの価格なので、むしろお安いんじゃないでしょうか。

 デザインやアート好きな人は買いでしょう!

 

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まとめ

前回の新刊紹介でグローバルヒストリーの大物の著作がでまくったことがあって、今回は話題書が少ないのですが、粒揃いの本が並んでいます。

本屋にいくのが躊躇われる場合は、電子書籍などでぜひ買ってみてください。

ぼくもこういう形で毎回調べてみて、自分の買いたい本リストを作っている感じです。今回はこんな感じです。

 

買った

江南の発展: 南宋まで (岩波新書)

〈世界史〉をいかに語るか――グローバル時代の歴史像

 一枚の絵で学ぶ美術史 カラヴァッジョ《聖マタイの召命》 (ちくまプリマー新書)

反穀物の人類史――国家誕生のディープヒストリー

 

たぶん買う

台湾研究入門

映画と黙示録

[アートミュージアム] ポスター芸術の歴史:ミュシャ、ロートレックからシュルレアリスムまで

中国料理と近現代日本:食と嗜好の文化交流史 (慶應義塾大学東アジア研究所叢書)

ウィーン包囲: オスマン・トルコと神聖ローマ帝国の激闘

数学と文化 (ちくま学芸文庫)

地図で見るドイツハンドブック

 

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あなたの教養レベルを劇的に上げる 驚きの世界史

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  • 作者:尾登 雄平
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