歴ログ -世界史専門ブログ-

おもしろい世界史のネタをまとめています。

小さなミスがきっかけで起こった大きな事件

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ちょっとしたミスで起こった大騒ぎ

ミスは世の中に溢れています。

注意散漫でボケーとしている時に起こりやすいですが、注意していれば防げるというものではなく、集中していても起こるときは起こるものです。

電車に乗り間違えた、とかシャツを表裏逆に着ていた、とかいうレベルであればいいですが、例えば発注個数の桁数を間違えたとか、ブレーキと間違えてアクセルを踏んだとか、目も当てられない災害を起こすミスもあります。

そして歴史上はそんなミスでとんでもない大騒ぎが起こったこともありました。

 

 1. コンマの打ち間違いで100万ドルの税収を失う(アメリカ)

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誤って関税撤廃が果物にも適応される

1872年6月6日、アメリカ政府は関税法を改訂し、国内の栽培を目的とすること限定で、熱帯と亜熱帯の果物植物の輸入関税を撤廃しました。

担当者は発令文書で、

「耕作栽培の目的で、熱帯、亜熱帯の果実植物(“fruit-plants, tropical and semi-tropical for the purpose of propagation or cultivation.”)」

の輸入についての関税を撤廃すると文書に起こすところ、ハイフンとコンマを打ち間違え、

「耕作栽培の目的で、熱帯植物、亜熱帯の果物(“fruit, plants tropical and semi-tropical for the purpose of propagation or cultivation.”)」

と書いてしまいました。

この間違いを目ざとく見つけたアメリカの果物輸入業者は、この発令文書を根拠にして、熱帯と亜熱帯産の果物は全て関税の撤廃の対象となると主張しました。

後に政府はコンマを修正した修正版の文書を発令しますが、修正版が適応されるまでの期間にこのコンマを打ち間違えた発令は効力を発揮し続け、アメリカ政府は100万ドルの税収を失ったのでした。

 

 

2. Sのタイプミスで関係ない会社が倒産(イギリス)

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Photo from "The £8.8m typo: how one mistake killed a family business" The Gurdian

タイプミスで会社が倒産

2009年2月、イギリス政府の委託を受けて企業の経営状態をレポートするカンパニー・ハウスは、125年の歴史を持つウェールズのエンジニアリング会社「タイラー&ソンズ(Taylor&Sons Ltd)」が経営破たんした、とレポートしました。

レポートが公開されると、タイラー&ソンズの株は売られ大暴落し、驚いた取引先は事実関係を確認しようとオーナーに電話するもつながらず。実はオーナーはモルディブでバカンス中だったのですが、雲隠れしたと勘違いされ同社からの資金の回収に拍車がかかりました。

実は本当に倒産したのは「タイラー&ソン(Taylor&Son Ltd)」という全く別の会社。カンパニー・ハウスの担当者が「S」のタイプミスをしてそのまま公表してしまっており、3日後に誤りに気付いて修正のリリースをだしたものの、時すでに遅し。全く関係のないタイラー&ソンズは本当に倒産してしまい、250人の従業員は失職してしまいました。

 

 

3. 通貨に刻む自国名をスペルミス(チリ)

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国名の間違いに1年半以上気づかなかったチリの人々

 2008年に南米のチリで新たに発行された新50ペソ硬貨は、国名のスペルが間違っていました。

本当は「C-H-I-L-E」と書かなくてはいけないところを、「C-H-I-I-E」と書かれていたのです。(上記写真の右側)

 何とこのスペルミスが「発見」されたのは2009年の後半で、政府は急いで間違ったスペルのコインを回収し、修正版を配布しました。

これだけでも相当な費用がかかったでしょうね。

ところが人々はレアコイン市場で高値で売れると踏んで手元から話したがらず、かなりの数の「スペルミス硬貨」がまだ残っていると考えられます。

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4. 月面着陸のビデオテープを上書き(アメリカ)

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 貴重なテープを上書き利用してしまったNASA担当者

 NASAは2006年、歴史的な人類初の月面着陸の映像のオリジナルテープが紛失していることを公式に認めました。

 それ以降、NASAのゴダード宇宙飛行センターのエンジニアであるリチャード・ナフツェーガーが、山と積まれたテープの中からオリジナルのビデオテープの捜索を進め、2009年にようやくそのテープが発見されました。

しかしそのテープは既に別の映像が上書きされており、月面着陸のオリジナルは既に消失して消えてしまっていたのです。

NASAは1970~80年代に深刻なビデオテープ不足に陥っており、対処するために20万本近いビデオテープが再利用されていました。

歴史的な月面着陸のビデオも、その中のひとつとして再利用されていたのでした。

NASAはその後、ハリウッドのプロの映像専門家の助けを借りて映像の復元を行い、当時の映像よりはるかに綺麗な映像に仕上げて公開しました。

www.nasa.gov

 

5. 電車で居眠りしたスパイ、機密情報を置き忘れる(ドイツ)

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 Photo by V85

 アメリカ世論を沸騰させたドイツ人スパイ事件

第一次世界大戦中の1915年7月、アメリカでスパイ活動を行っていた駐米ドイツ外交官のハインリヒ・アルベルトは、移動中に電車の中でうたた寝をしてしまいました。と、電車が急に停車し、乗り過ごしたと思ったアルベルトは機密書類が入ったブリーフケースを車内に置き忘れ、電車から急いで降りてしまいました。

すぐに重要な書類を置き忘れたことに気付いたアルベルトは、電車を追いかけて回収しようとしますが、ブリーフケースは既に彼を尾行していた諜報機関スタッフのフランク・バークによって奪われていました。

アルベルトはバークを追いかけますが結局追いつくことはできませんでした。

ドイツのスパイがアメリカ国内で活動をしている証拠がマスコミによって報道されると、アメリカ世論は対独強硬論に傾いていき、とうとうアメリカ軍参戦に繋がったのでした

 

6. 核戦争を起こしたかもしれないコンピューターチップのバグ(アメリカ)

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 全米を恐怖に陥れたコンピューターチップのバグ

1980年6月3日の午前3時、北アメリカ航空宇宙防衛司令部(NORAD)の夜勤スタッフが監視の任務にあたっていたところ、監視画面に「2基のミサイルが飛来中」と表示されました。驚いて確認しようとすると、次の瞬間「220基のミサイルが飛来中」と表示が出ました。

すぐさま全米中の航空基地に緊急事態が告げられ、ミサイルに対する報復攻撃が直ちに実行できるように、核爆弾を積んだ爆撃機が緊急離陸しました。

ただし幸運なことに、レーダーのどこにも220基ものミサイルが現れないことから、ミサイル飛来は誤報と認められ、緊急事態は回避されました。関係者は全員、ホッと胸をなでおろしたことでしょう。

なぜ誤報が発信されたか原因をつきとめるのに3日かかったのですが、原因は「NORAD内のコンピューターチップのバグ」でした。このチップはわずか46セントの小さな廉価版で品質が悪く、0を表示するはずが2を表示する場合があり、事件が起きた日は「000」を「220」と表示してしまったためでした。

もし命令が撤回されないまま、誰かが勘違いしてソ連への核攻撃を行ってしまっていたら、最悪の事態になっていたでしょう。

 

 

7. プログラマーのタイプミスで電話が不通に(アメリカ)

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Photo by Raysonho @ Open Grid Scheduler / Grid Engine

 6とdの打ち間違いで大混乱発生

1991年7月1日、ワシントンDC、ピッツバーグ、ロサンゼルス、サンフランシスコなどの大都市の電話交換局で通信トラブルが発生。大規模な不通障害が発生しました。

この障害で500万人に影響が出、通信会社AT&Tと請負業者は必死になって問題解決と原因究明に当たりました。

当初はハッカーによる妨害の可能性が疑われましたが、調査の結果、信号転送ポイントで走らせるソフトウェアに問題があったことが分かりました。

原因は、このソフトウェアを開発したテキサス州プラノのDSCコミュニケーション・コーポレーションのエンジニアが書いたコードの記述にわずか1文字のミス。

それは、「d」と「6」の打ち間違い

このミスにより連鎖的に電話の不通障害が発生し、数日間混乱が続きました。

 

 

 

まとめ

 ちょっとしたミスや不注意でとんでもない大災害がもたらされることもあります。ゾッとする話です。

そりゃ、ミスなんてしないにこしたことはありませんが、人間がやる以上ミスは起こるものだし、起こってしまったものを最小限に食い止めるのが人間が一番苦労しないといけないところなんでしょう。それが一番しんどいのですが。 

 

 

参考サイト

"Cause of telephone system breakdowns eludes investigators More failures reported as computer sleuths track mysterious problem." The Baltimore Sun

"6 Tiny Mistakes That Almost Ended the World" Cracked

"Million Dollar Comma" Snopes

"The £8.8m typo: how one mistake killed a family business" The Gurdian

"Chilean mint spells country's name wrong on coins" The Telegraph

"9 Tiny Mistakes With Monumental Historical Consequences" LISTVERSE

"Software Horror Stories"