「ちょっとJohn行ってくるわ」
英語圏では「トイレ」のことを「John」と言う場合があります。
なのでJohnに行く、は「用を足す」という意味になります。
なぜトイレはJohnと言うのか。
覚えて、さっそく明日から使っていきましょう。
1. そもそもトイレとは
「トイレ(toilet)」の語源は、フランス語の「トワレット(toilette)」から来ています。そして「トワレット」の語源は「トワル(toile)」つまり「布」です。
ここで言う布とは、髪の毛が整えられている間に肩にかけられた布のことを言いました。
17世紀ごろ、「トイレ」は単に用を足すだけではなく、髪をブラッシングして綺麗に整えたり、お化粧をキメたり、服をコーディネートしたりなど、芸能界でいう控え室のような場所のことを言いました。
肩にかけた布で、手を拭いたり余計な化粧を落としたりなどしたのでしょう。
ちなみに、イギリスではトイレのことを「ルー(loo)」と呼ぶ場合もあります。
これもフランス語由来なんですが、「グワデー・ルー(guardez l'eau)」つまり「水に備えよ」という意味です。それが略されてルーとなりました。
中世ヨーロッパでは、人々は用を足したそのブツを、窓から外に放り投げていました。その時に外を歩く人が汚物を頭から被ってしまわないように「今から放るから気をつけなさい!」と警告した上で、外にぶちまけたわけです。
警告したところで間に合わなそうだけど…。
古い英語ではトイレのことを「ヘッド(Head)」とも言いました。
17世紀頃に使われた言葉で、昔の船舶のトイレは船の船首にあったからです。
出された汚物は船首の下部にたまり、船首にぶつかる波によって洗われる仕掛けでした。1708年に、元海賊でバハマ提督のウッズ・ロジャーズが「世界の航海術(Crusing Voyage Around the World)という本で紹介して一躍流行しました。
さて、蛇足が過ぎましたが、なぜトイレがJohnというかです。
諸説ありますが、有力なのが水洗便所を発明したジョン・ハリントン卿のことを指してJohnというというものです。
2. 近代水洗便所を発明したジョン・ハリントン卿
エリザベス1世の寵愛を受けた宮廷詩人のジョン・ハリントンは、16世紀後半にイギリスで初めて水洗トイレを考案し、自宅に実際に設置しました。
この水洗トイレは、便座の上に設置したウォーターサーバーからパイプを通してブツを洗い流すというもので、当時としては非常に画期的なアイデアでした。
ジョン・ハリントンはこの水洗トイレを「エイジャックス(Ajax)」と呼びました。これは「Jakes」という言葉の派生で、当時のトイレのスラングです。
この水洗トイレは1596年、エリザベス1世は自身の住まいであるリッチモンド宮殿に設置されました。エリザベス1世もなかなかの新しもの好きですね。
ジョン・ハリントンはその後、自身の新しい発明について説明する「Ajaxの変容(The Metamorphosis of Ajax)という著書を著しますが、その内容がレスター伯爵を「Ajax」に例えた政治的な寓話だったため、裁判沙汰にまでなってしまいました。
しかし、水洗トイレを発明したジョン・ハリントンに敬意を表し、「水洗トイレ」のことを「John」と言う習慣は未だに続いているのです。
まとめ
水洗トイレ自体は古代ローマの時代から存在するので、別に彼が発明したわけではありませんが、家庭に導入できる実用的な水洗トイレを発明したのは評されるべきものじゃないでしょうか。
水洗便所のことを「John」というわけなので、正確にはボットン便所は「John」ではないし、野糞も「John」ではないです。
ですが最近はボットン便所はほぼ絶滅してるし、一部のマニアな人以外は野糞はしないので、99.9%の人が毎日「John」をしているということになります。
ジョン・ハリントン卿に敬意を表し言ってみましょう。
「ごめん、ちょっとJohn行ってくるわ」って。
参考サイト
" WHY THE TOILET IS SOMETIMES CALLED A “JOHN”" TODAY I FOUNDOUT