なんだその名前?ふざけてんの?
生活の党に山本太郎が合流して「生活の党と山本太郎となかまたち」という政党が出来た時、みんな「は?ふざけてんの?」と思ったに違いない。
ただ振り返ってみると「支持政党なし」という詐欺みたいな名前の政党もあったし、
日本UFO党とか、日本愛酢党とか、雑民党とか、個性的というより若干ふざけてる名前の政党もあったし、
今回リストアップする世界の政党と比べたら「生活の党と〜」はまだマシなほうかもしれません。
1. 銃と麻薬党(アメリカ)
銃と麻薬を合法に!あとダチョウにも人権を
銃と麻薬党(The Guns And Dope Party)は、ロバート・アントン・ウィルソンという男が設立した党で、「政府はなくし、全ての人が自分自身の政府になるべきだ」という無政府主義を掲げています。
彼らの主なマニフェストは以下の通り。
- 望む人には誰でも銃を与えよ
- 望む人には誰でも麻薬を与えよ
- ダチョウにも人と同じ権利を与えよ
なんでダチョウかというと、党首のウィルソンが「オルガ・ストゥルーシオ」という名前のダチョウを「師匠」「精神指導者」として仰いでいるからです。
上記の党のPRビデオにも、やたらダチョウの写真が登場します。
2. 二尾の犬党(ハンガリー)
候補者全員がイシュトバーン・ナジという名前
二尾の犬党(Magyar Kétfarkú Kutya Párt)は、2006年にグレゴリー・スミスと言う男によって設立されたジョーク政党。
二尾の犬党所属で出馬する者は、全て「イシュトバーン・ナジ」という名前で登録せねばなりません。これは日本で言うと「山田太郎」とか「田中一郎」みたいな意味です。
マニフェストとしては、不老不死、世界平和、労働週1日、1日2回の日の出、重力低下、そしてビール無料と減税を訴えています。
どれも実現困難、というか無理なものばかりですね。
ジョーク政党ですが実際に候補者を擁立をして出馬しようとしましたが、政党要件を満たせずに選挙管理委員会に拒否されてしまいました。
3. ビール愛好者党(ポーランド)
反ソ感情を抱く享楽主義者たちの党
ポーランド・ビール愛好者党は、ソ連末期の1990年にポーランドにあった政党で、
国内のビールの消費量をウォッカよりも増やすことを目的として成立されました。当時の反ソ感情が透けて見えますね。
当初の党の活動はパブでダラダラ飲むことでしたが、パブで生活の質の向上や自由の拡大といった政治的な話をしているうちに、人や金が集まり始めて政治活動に拡大していき、1991年の選挙では下院議会で16席を獲得する中堅政党にまで成長してしまいました。
1992年、党は「大ビール愛好者党」と「小ビール愛好者党」に分裂。やがて党名を変えたり分裂を繰り返し、消滅していきました。
4. ミス・イギリス党(イギリス)
Photo from "Joke political parties of the UK" THE Telegraph
ミス・イギリス・コンテスト出場者しか入党できない党
2008年に設立された党で、入党条件は「過去にミス・イギリス・コンテストに出場したことがあるか」。とてつもなく高い入党条件ですね…。
党の目的は「ウェストミンスターをセクシーにする」で、
子育てしながら働く女性の子ども手当充実、働く女性の賃上げなどの女性を優遇する法案に加え、英国銀行の休日を作り、その日に国民に「すてきなもの」を鑑賞させる、など独特の政策をぶち上げています。
5. 良心的仕事嫌い連合(デンマーク)
ふざけた公約を掲げた人気政党
正式名称はThe Union Of Conscientiously Work-Shy Elementsといい、1979年にコメディアンのヤコブ・ハウガードによって設立された党。
その政策はマジでふざけてるんですが、1994年にはデンマーク議会に1議席を獲得するほどの人気政党です。そのふざけた政策の例は以下の通り。
- 天気をもっと良くしよう
- クリスマスプレゼントをもっと良くしよう
- IKEAの家具デザインをもっと「ルネサンス」っぽく
- 8時間の自由時間、8時間の休憩、8時間の睡眠
- 公園のガチョウにもっとパンをあげよう
- 教職室でのセ○クスを控えよ
- イ○ポ権を与えよ
イ○ポ権ってなんだ!気になる!
6. ザ・党(ドイツ)
Photo from "programm" Die PARTEI
曲がったキュウリの武器化を目指す政党
ザ・党(Die Partei)は2004年にドイツで設立された党で、正式名称は「労働者と法律と動物保護とエリートプロモーションと草の根運動イニシアチブの党(Party for Labour, Rule of Law, Animal Protection, Promotion of Elites and Grassroot-Democratic Initiative)」というやたら長い名前。その頭文字を取ってPARTEIと言い、ドイツ語で同時にPARTEIとは「党」という意味。ダジャレですね。
ナチや東ドイツ共産党のような権威的・ナルシスト的な姿勢をパロッたスタイルで人気があり、例えば党のユース組織の「ヒントラー・ユース」のメンバーは、お互いに「ハイル・ヒントラー!」と言ってあいさつするのだそうです。
2014年のEU議会選挙では、ザ・党は「ベルリンの壁を再構築する」というとんでもないキャンペーンを展開し、議席を獲得しました。
ただし今は「ウィンター・タイム」を設けて、1時間長く眠れるようにすべき、という法案や、「固くて曲がった緑のキュウリを武器に認定する」法律の可決を目指しているそうです。
7. くそマジメ党(オーストラリア)
ふざけてるのか、マジメなのかよく分からない党
「くそマジメ党(The Deadly Serious Party)」は、1980年代にオーストラリアの選挙で候補を擁立したことがある党で、
フォークランド紛争で「アルゼンチン軍の侵攻から、イギリス兵ではなくて、ペンギンたちを守るべきだ」と主張しました。ふざけてるのか、まじめなのか…。
この党は1988年に解散しましたが、その前に支持者たちに対し「氷河期が来た時にあなたの生命を保証する」証明書を発行していたらしい。ふざけてるのか、まじめなのか…。
8. 吸血鬼と魔女、異教徒の党(アメリカ)
Photo by Jonathon Sharkey
元プロレスラーが立ち上げた極右政党
この中二病あふれるネーミングの党の党首は、元プロレスラーのジョナサン・シャルキー。現役時代は、ザ・ロックと共にリングに上がりましたが、あまりレスラーとして芽が出ずに引退しました。
その後自身が代表の政党VWP(Vampyres, Witches And Pagans Party)を設立して政治活動に入り、2004年と2008年のアメリカ大統領選挙に出馬もしています。
彼は自身のことを「極右のヴァンパイア」と述べており、「凶悪犯罪者は公衆の面前で公開処刑にすべきだ」と主張しています。
彼はブッシュ元大統領は「最悪な共産主義野郎。無実のアメリカ人をイラクで殺戮した」と批判し、オバマ大統領は「ブッシュよりも最悪だ。あいつは国の治め方を知らない」と批判しています。
極右からしたらブッシュも共産主義者なんですね…。
9. 投票したい候補が誰もいねえよ!(イギリス)
投票したい候補が誰もいねえよ!と言わせろ!
この党は正式名称は「No Candidate Deserves My Vote!」と言い、ちゃんと登録されている政党です。
彼らの主張は一つ。
投票用紙に「投票したい候補が誰もいねえよ!」という欄を設置すべきだ、というもの。このことで、有権者の候補者への不満から来る投票無関心を減らすことができる、という主張です。
もし日本でやったらとんでもないことになりそうですよね。
10. クズ野郎党(オランダ)
Photo by Nationaal Archief
乞食が立ち上げた極左政党
名前からしてヤバい「クズ野郎党 (Rapaille Partij)」は、1921年にアムステルダムで設立されました。無政府主義・反資本主義の極左政党です。
設立したのは、路上パフォーマーのネリス・ヘルダーという男で、公園に住む乞食。
党の目的は「政治システム自体がジョークであると証明すること」。
なんか高尚なこと言ってますが、主張していたのは「住んでいる公園で勝手に動物とか魚を獲らせろ」とか「ブランデー、パン、バターをタダにしろ」とか、乞食の要求に近いものでした。
彼のカッコイイポスターや広告を使ったプロパガンダキャンペーンは成功し、なんとアムステルダム市議会で2議席も獲得してしまった。
このクレイジーな法案を審議しなくてはいけない議長は頭を抱えましたが、ラッキーなことに、ヘルダーは審議の打ち合わせがある日に酒に酔い潰れて寝ており、議会に遅刻し、それを理由に「職務怠慢」として議会から追放されてしまいました。
まとめ
なかなかインパクトがある政党名と政策ですね。
考えてみれば、日本の政党名はお堅いものが多いかもしれません。
自由とか民主とか維新とか、抽象的な概念を訴求するよりもっと分かりやすいネーミングはいかがでしょう。
「既得権益守ります党」とか、「とりあえず何でも反対します党」とか、「創価学会と池田大(以下省略)
参考文献
11 Bizarre Political Parties From Around The World
"10 Ridiculous Political Parties You Won’t Believe Got Elected" LISTVERSE
Hungarian Two-tailed Dog Party - Wikipedia, the free encyclopedia
Miss Great Britain Party - Wikipedia, the free encyclopedia