歴ログ -世界史専門ブログ-

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世界史の驚くべき奇襲戦術(後編)

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 近現代の戦争の奇襲戦

近現代の奇襲戦と言えば、真珠湾攻撃が思い浮かびます。

あれが「だまし討ち」だったというイメージがあり、アメリカも日本が開戦準備してるの知らねえはずなかっただろ、とも思いますが、宣戦布告が遅れてしまいただでさえ悪い日本の国際的なイメージを決定的に悪化させてしまいました。

とはいえ、近代戦でも奇襲は非常に有効な手段であり、いかに初動で重要な拠点を潰すかが勝敗のカギを握りました。それは現代でも同じです。

歴史的な奇襲攻撃の後編は近現代編です。前編はこちらからどうぞ。

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世界史の驚くべき奇襲戦術(前編)

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芸術的なほど見事に奇襲攻撃がハマった事例

日本史で奇襲攻撃が成功した戦いは、パッと思いつくだけでも結構あります。

一の谷の戦い、屋島の戦い、厳島の戦い、桶狭間の戦い、真珠湾攻撃。

日本人はなぜか奇襲が成功した戦いは凄く好きですよね。

では世界史ではどうなのか。有名な世界史での奇襲攻撃が成功した事例をまとめていきます。

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冷戦期ラテンアメリカの政治とポピュリズムの台頭

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中南米諸国が経験したポピュリズムという政治

ラテンアメリカは十九世紀末から二十世紀初頭にかけて、繁栄を謳歌していました。

欧米向けの資源輸出が好調で、特にアルゼンチンは当時の十大国に数えられるほど経済力が高い国でした。しかし、世界恐慌の到来で資源輸出が不調になり、産業構造の変化が求められると、南米諸国は経済的な危機や都市部でのマルクス主義・労働運動の拡がりに対応するために、ポピュリズム体制が採られるようになります。

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白旗の歴史

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戦場で掲げられる「白旗」の意味とは

戦場で「白旗」を掲げた歴史は、古くは古代ローマ時代の書物に記述があります。また、漢の時代の中国でも白旗が使われたという記述もあります。

 近代からは国際ルールとして「白旗」の使用が定められました。

今回はもっともシンプルな意匠である白旗のシンボル的な意味を中心にまとめていきます。

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「反穀物の人類史」書評 - やっぱ国家ってロクなもんじゃねえな

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世界史を見る視点が大きく変わる壮大な文明論

「反穀物の人類史――国家誕生のディープヒストリー」ジェームズ・C・スコット著(みすず書房)を読みました。

紀元前4000年から紀元前2000年の時期に、我々の祖先が作り上げた「国家」という仕組みがどのように成立したか、その中で穀物がどのような役割を果たしたかを、考古学・人類学のファクトを元にし壮大で大胆な仮説が提示されています。

 その中で国家が民を支配していく中で、税が課され、兵役や労役が課され、疫病が流行り、ロクなもんは食えず、人間が自分たちをどんどん不幸な方向に追い込んでいく様が描かれます。

賛否はあると思いますが、「何だ、やっぱ国家ってロクなもんじゃねえな」という感想を持つ人もいるかもしれません。

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古代の人々が夢中になった7つのボードゲーム

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古代から人々の暇を潰してきたボードゲーム 

ボードゲームの人気がずっと続いてますね。

ちょっと前までは、ボードゲームといえば、伝統的な将棋や碁、麻雀、チェス以外には、オセロ、ドンジャラ、人生ゲーム、モノポリーくらしかありませんでした。

今や、海外製のユニークなボードゲームがたくさん入ってきて、子ども向けの分かりやすいものから、大人が眉間にしわ寄せて考える戦略的なものまで様々あります。

 ボードゲームは古代から様々な種類があり、碁やチェス、バッグギャモンのように古代に生まれて現代まで遊ばれ続けているものもあります。

今回はあまり日本では知られていない古代のボードゲームを紹介しようと思います。

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1840年フォルツァスのいたずら事件

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「この世に二冊とないレア本」をめぐる事件の顛末

「フォルツァスのいたずら(The Fortsas Hoax)」は、1840年にベルギーで起こったいたずら事件。

亡くなったフォルツァス伯爵が残したという超レア本がオークションにかけられることになり、鼻息の荒い収集家たちが現地にかけつけるも…。

その後の顛末も含めて「物の価値って何だろう」と考えさせられる事件です。

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チェコスロバキアの国民形成と体操集団ソコル

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Credit: Sokol excercises in Tábor, 1924 Author: Šechtl and Voseček

民族の発揚を促す、集団体操という「自由」 

長年日本の教育現場では、男子の団結心や克己心を育むとして組体操が尊ばれてきました。最近では危険性が問題視され始めており、原則禁止される日もそう遠くないと思われます。

中学や高校では集団行動や集団体操はまだ盛んですが、「集団の拘束」「自由の束縛」といったイメージを抱く人も多いと思います。北朝鮮のマスゲームなんかを見ると特にそう思います。

しかし19世紀末では、このような集団体操や集団行動は「異なる身分や階級出身者が同じ服を来て同じ行動をとる」ことが民主主義を感じさせるものとされていました。

 特に中欧のチェコスロバキアでは集団体操が盛んで、体操組織ソコルが国民と民族意識の高揚に大きな役割を果たしました。

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