歴ログ -世界史専門ブログ-

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チェコスロバキアの国民形成と体操集団ソコル

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Credit: Sokol excercises in Tábor, 1924 Author: Šechtl and Voseček

民族の発揚を促す、集団体操という「自由」 

長年日本の教育現場では、男子の団結心や克己心を育むとして組体操が尊ばれてきました。最近では危険性が問題視され始めており、原則禁止される日もそう遠くないと思われます。

中学や高校では集団行動や集団体操はまだ盛んですが、「集団の拘束」「自由の束縛」といったイメージを抱く人も多いと思います。北朝鮮のマスゲームなんかを見ると特にそう思います。

しかし19世紀末では、このような集団体操や集団行動は「異なる身分や階級出身者が同じ服を来て同じ行動をとる」ことが民主主義を感じさせるものとされていました。

 特に中欧のチェコスロバキアでは集団体操が盛んで、体操組織ソコルが国民と民族意識の高揚に大きな役割を果たしました。

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バーチャルツアーが楽しめる世界の美術館・博物館

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海外旅行できないのでバーチャル美術館・博物館巡りをしよう

新型コロナのせいで、4月に予定していたタイ行きが中止になりました。GWにはロシア行きを予定してるんですが、この調子だとたぶん無理でしょう。

世の中には海外旅行依存症のような人がいて、定期的に外国に行かないと身体がどうかしてしまうと伝え聞きます。贅沢病の極みですが、とはいえ、ストレスは溜まることでしょう。数年に一回の旅行がバッチリ今回に被ってしまった人も多いと思います。

そんな人たちのために、今回はバーチャルツアーができる世界の美術館をご紹介します。本当にレベルの高い、選りすぐりのバーチャルツアーを紹介しますので期待してください。

さて皆さま、時間を潰すご準備はできていますでしょうか?では参ります。

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生前は評価されず死後に評価された人物

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何がきっかけで死後に評価されるに至ったか

芸術家や学者の中には、大きな仕事を成し遂げるも生前はまったく評価をされず、当人が死亡した後にその業績の大きさが評価される場合があります。

特に画家など芸術家は、二束三文で売られた当時の作品が今は何億円という価格で取引されるようになるわけです。可哀想としかいいようがないですが、死後も全く知られずに忘れられた人の方が圧倒的に多いわけで、それに比べれば幸運と言えるかもしれません。

 本記事では著名な「死後に有名になった人」を集めてみます。

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「反お笑い」の哲学史(後編)

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近代哲学の中の「反お笑い」

古代から近代までの哲学の中における「反お笑い論」をまとめています。

前編では古代の反お笑いの創始者プラトンからプロテスタントの反お笑い論までまとめています。まだご覧になっていない方はこちらをどうぞ。

 後編は近代哲学編です。

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「反お笑い」の哲学史(前編)

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笑いを否定する哲学論の歴史

「笑う」ことは心身のリラックスやストレスに効果があることが科学的に証明されており、健康的にも笑うことが推奨されています。

一方で「どんな理由で笑うか」は結構センシティブな話題で、人種やジェンダー、宗教、特殊な身体的特徴をあげつらって笑ったことで、毎日どこかで誰かが炎上しています。笑うという行為は、いかなる理由があってもしてはいけない、という極端な主張がなされた時代もありました。

 今回は歴代の「笑い」に反対する哲学者の主張を時代を追ってみていきたいと思います。

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決闘(デュエル)で死んだ政治家たち

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政府高官も活動家も皆決闘(デュエル)が好きだった 

ヨーロッパでは19世紀まで自らの名誉を守るための決闘(デュエル)はわりとポピュラーでした。

国王や政府や私闘を禁じてはいたものの、その国王や政府を支える貴族や政治家たちが頻繁にやっていたのだから取り締まりも何もありません。20世紀に入って決闘が古臭くてダサいという価値観が浸透してようやく廃れていきました。

 今回は本来は禁じるべき立場なのに率先して決闘をやり、しかも敗けて死んだ著名な政治家をピックアップします。

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中世・北東アジアの歴史 -モンゴルの樺太侵攻-

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国境を超えて様々な民族が交錯したきた北東アジア

現在のロシア極東、中国東北部、サハリン、北日本は、オホーツク海を挟んでいますが歴史的に民族的・文化的・経済的に極めて緊密な関係にありました。

日本民族が進出するまでは北海道はアイヌ人が広く住んでいましたが、アイヌというグループもかつては明確に定まっておらず、大陸側や樺太に住む民族とも繋がりがありました。モンゴル帝国の進出、次いで明王朝と清王朝の成立という大陸側の大きな政変と、日本列島の中央の抗争との間にあって、北西アジアは中世に大きく揺れ動くことになり、その後の運命が変わっていくことになります。

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『タイのかたち』書評 タイという正体不明の国を解剖する

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タイという国の謎が解ける本

ぼくは世界中の国の歴史や文化に興味があるのですが、配偶者がタイ人ということもあり、タイは他人事じゃないというか、放っておけないところがあります。

ですが、いくら学んでもタイは掴みどころがない。歴史的にも文化的にも、ハッキリとした輪郭が見えづらい印象がありました。それは嫁や知り合いのタイ人と交流しても同じで、いろいろな情報のピースはあるも、それがパズルにカチっとはまらない気がしていました。

で、今回紹介する本書です。

「タイのかたち」(赤木攻著, めこん)はそんなぼくのモヤモヤの大部分を整理してくれました。東南アジアクラスタに限らず、歴史や政治に関心のある多くの方が楽しめ学びがある本だと思います。

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