歴ログ -世界史専門ブログ-

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聖母マリアはイエスの死後どこで何をしていたのか

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聖母マリアの「老後の人生」とは

聖母マリアはキリスト教の宗教絵画に頻繁に描かれます。

天使から神の子を授かったとお告げを受ける「受胎告知」、イエスが馬小屋で生まれた「キリストの降誕」、幼いイエスを抱いた「聖母子像」、磔刑で死んだイエスを抱いて嘆き悲しむ「ピエタ」あたりがメジャーどころ。そのほか、妊婦の時や食事のシーンなどさまざまなシーンが描かれています。

聖書の主要キャラクターの一人の印象すらありますが、実際のところマリアはあまり聖書には登場しません。大部分が聖書の記述を元に想像で描いたシーンです。中には「マリアの死」というモチーフの絵画もあります。ベッドに横たわりイエスの弟子たちに囲まれる姿が描かれるのが常ですが、これも想像。聖書にマリアの死は描かれていません。描かれていないのでマリアはイエスが死んだ後どういう人生を送ったか不明ですが、2つの説が存在します。

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マフディーの反乱 - 英国を動揺させたスーダンの大反乱

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現在のスーダン国家の礎となった一大蜂起事件

マフディーの反乱は現在のスーダンで1881年から1889年の間にかけて起こった反乱。

マフディー(救世主)が指導する農民主体の反乱軍は何度もイギリス・エジプト軍を退け、約18年間の間独自の統治を行いました。
 しかし相次ぐ対外戦争で国力は疲弊し、イギリス・エジプト軍の巻き返しもあり崩壊。スーダンはイギリス・エジプトの統治領となります。

 しかしこの時の反乱は現代のスーダン国家の基礎となり、当時の指導者マフディーは現在でも政治指導者として活躍するなど現在に受け継がれています。

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ユダヤ教の救世主「メシア」を自称した人たち

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救世主メシアの下に神の国の実現を目指したユダヤ人

 聖書の「詩篇」には、神がダビデ王とその子孫が常にイスラエルを支配することを約束する、とあります。しかしイスラエルの王は紀元前586年にバビロニアによって廃位させられてしまいます。
この矛盾に対し、ユダヤ人たちは「いつか未来にメシアが到来し、神が支配する世界が成立し、神の国イスラエルが再建される」と考えました。
メシアの到来は完全な幸福の時代の幕開けを意味し、メシアは正義を再建し、全ての悪を駆逐する。イスラエル民族の十二支族はイスラエルの地に再会し再統一する。すべての民が精神的にエルサレムを拠り所にし、神に服従する。

 ご存知のようにイスラエルという国は第二次世界大戦後、多分に政治的な決断の結果誕生したのですが、当時は一部のユダヤ教保守派は「メシアが到来していない以上、イスラエルに戻ることはできない」とすら主張したそうです。

 このようにユダヤ民族はメシアの到来を歴史的に待ち望んでおり、数多くの「メシア」自称者が登場してきました。

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【WW2】枢軸国に入る可能性のあった中立国・準枢軸国

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もしかしたら枢軸国の一翼になっていたかもしれない国

第二次世界大戦における枢軸国の主要参加国は、ドイツ、イタリア、日本の三国です。

この他に枢軸国側で参戦した国は、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリア、スロバキア、クロアチア、フィンランド、タイが挙げられます。その他には傀儡政権がいくつか枢軸国入りしたケースもあります。例えば、ヴィシー・フランス、ギリシャ、アルバニア、ビルマ、ベトナムなどです。

連合国も活発な外交を繰り広げ自陣の国を増やしていたわけですが、枢軸国も様々な外交チャネルや陰謀を駆使して自陣を広げるべく画策していました。

その結果いくつかの国は、何らかの条件が重なれば枢軸国入りをしていた可能性がありましたが、結局中立を保つことになりました。

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アメリカの州旗にまつわるおもしろい話

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 様々な歴史や逸話があるアメリカの州旗

アメリカは「合衆国」なので、日本の都道府県に比べて州が持っている権限ははるかに大きいです。例えば州独自の軍を持っていたりします。

日本の都道府県旗なんて、県庁の庁舎くらいでしか見ないと思いますが、これだけ州独自の権限が強いのであれば思い入れも強いのではないかと想像してしまいます。

アメリカの州旗はそのデザイン性も独特ですし、その成立にまつわるおもしろい話をそれぞれ持っていたりします。

 
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「イスラエルの失われた十支族」の移住伝説

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Image from "Are the British Descended from the Ten Lost Tribes?" the Libraians

世界中に様々なディアスポラ伝説がある「十支族」

「イスラエルの失われた十支族のうちのひとつが日本にやってきて支配層となった」というお話は耳にしたことがあるかもしれません。

その根拠は、儀礼や祭祀、言語、習慣などに日本とイスラエルと間で似ている事柄があまりにも多くあるというものです。

なかなか面白い話でロマン溢るるのですが、同じように世界各国の国や民族が「イスラエルの失われた十支族がうちにやってきていた」と主張しています。今回は「日本以外」の十支族の移住伝説をピックアップしてみます。

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歴史的な価格下落をした6の通貨 - ハイパーインフレはなぜ起こったのか

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お金とは何なのか、を考えざるを得ないハイパーインフレの世界 

2007年から2009年にかけてジンバブエ・ドルが狂ったようなインフレを起こし、最後は100兆ジンバブエ・ドルまで発行されたのは記憶に新しいと思います。

この件は結構ネタ的に語られることが多かったですが、実際銀行に預金をしていたであろう庶民はたまったもんじゃありません。預金にあった1000万円が、ある日1円まで値下がりしてたみたいな話ですからね。庶民もバカじゃないので、金やドルに変えて持っておくとかそれなりの自衛策はやるんでしょうが、経済や市場は大ダメージを受け庶民生活にも影響があるのは必然でしょう。

今回はかつてハイパーインフレを起こした6の通貨から、どのようなタイミングで起こるものかを学んでいきたいと思います。

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世界の「言語純化運動」の5つの事例

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「我が国固有の言語」に戻すための取り組み

確か「はだしのゲン」だったと思うのですが、戦争中は「敵性語」は禁止されていたため、ストライクは「いい球ひとつ」、ボールは「悪い球ひとつ」と審判が言って、主人公が「何でわざわざ言い換えるのか」とポカーンとするいう描写があったのを覚えています。実際当時どれだけの人が守ったか定かじゃありません。

これら戦前戦中の「日本語の純化」が無意味なものだと皆わかったので、現在はこういう「伝統的日本語への回帰」というものの社会的な関心度は高くありません。

ただし一概に「言語純化は無意味」は言い切れない側面もあり、たしかにナショナリズム的な側面も強い一方で、文化や言語の保護・育成といった側面もあります。

言語純化の取り組みは世界中にあり、いくつかの国では現在でも進行中のものもあったりします。

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