歴ログ -世界史専門ブログ-

おもしろい世界史のネタをまとめています。

歴ログ-世界史専門ブログ-は「はてなブログ」での更新を停止しました。
引き続きnoteのほうで活動を続けて参ります。引き続きよろしくお願いします。
noteはこちら

エレベーターの歴史

f:id:titioya:20181019192104j:plain

都市の景観を一変させたエレベーター

エレベーターという装置の歴史は実は古く、古代ローマの時代に遡ります。

しかし、エレベーターが人類の歴史に大きく貢献し始めるのは20世紀に入ってから。

安全で安定したエレベーター技術の確立は、超高層ビルの建設を可能にし、ニューヨークの摩天楼の風景を作り上げました。

ただし「安全で安定した」エレベーター技術は、技術者の長年の試行錯誤によって発展してきました。

続きを読む

複数の国の「共同主権」にある地域

f:id:titioya:20181103151258j:plain

Photo by Zinneke

なぜその場所は共同地域となったのか 

数は非常に少ないですが、現在の世界でも複数の国の共同主権にある地域というのがいくつか存在します。

基本的に特定の地域は明確にどこか一つの主権によって統治されるのが一般的だし、そちらのほうが統治が容易なのですが、どのような経緯で複数の国の統治になったかを見ていきたいと思います。

続きを読む

日本軍政下でのインドネシア独立準備の過程

f:id:titioya:20140103133546j:plain

決断と行動が遅い日本、急ぐインドネシア

インドネシアは太平洋戦争の日本敗戦のわずか2日後、1945年8月17日に独立宣言を発表しました。

その後植民地再獲得を目論むオランダとの戦争、地方勢力や共産ゲリラとの内戦を経て、連邦共和国として独立を果たしたのは1948年のことです。

スカルノやハッタといった独立運動家を中心に組織的に独立戦争を戦い抜けたのは、日本軍政下で独立に向けた準備をおおよそ終えていたからなのですが、日本がこれに積極的に協力したからということではなさそうです。

インドネシア側の粘り強い交渉と努力により、腰の重い日本を動かし、時には無視する形で独立準備を進めていったのでした。

続きを読む

史上最も多くの人が犠牲になった建物崩壊事故TOP10

f:id:titioya:20180925231059j:plain

Photo by 최광모

人工構造物の崩壊に伴う大惨事のランキング

毎年どこかの国で、大規模な建物崩壊事故が発生しています。

老朽化やメンテナンス不足、設計の問題、耐久容量を超えたなど、崩壊理由は様々ですが、数十人の犠牲者が出れば大惨事と言っていいと思います。

ところが歴史上は数百人・数千人・数万人規模の建物崩壊事故も起こっています。責任者を大量殺人の罪で逮捕すべきレベルなのですが、いったいどのようなきっかけで起こったのかを見ていきたいと思います。

なお、今回は爆破テロなど「誰かが意図的に壊そうとして崩壊した」事件は含まず、人為的ミスで崩壊した事故のみのランキングとなっています。

※修正(2018/11/1 13:00)永代橋崩落事故の犠牲者の方が多いという指摘に基づき記事を修正しました

続きを読む

ドイツ空軍の大失態・機密書類流出「メレヘン事件」

f:id:titioya:20181008102016j:plain

とんでもないミスにより露呈したドイツ軍のベルギー侵攻計画

メレヘン事件とは、ドイツのベルギー侵攻計画に関する機密文書を運んでいたドイツ空軍所属のメッサーシュミットBf 108が、あろうことか誤ってベルギーに不時着。ベルギー当局に機密文書が渡ってしまったという、前代未聞の事件。

事件を知ったヒトラーは激怒し上官たちは罷免され、一から西部侵攻計画を見直さざる得なくなったのでした。

続きを読む

フィリピン・ミンダナオ島の近代史 - イスラム武装組織が勃興するきっかけとは

f:id:titioya:20180826133430j:plain

Photo from Keith Kristoffer Bacongco 

フィリピン国家統合の過程で打ち捨てられたモロ人(フィリピン・ムスリム)

2018年8月6日、フィリピンのドゥテルテ大統領は、ミンダナオ島のイスラム自治政府を認める「バンサモロ基本法」に調印し、モロ・イスラム解放戦線(MILF)のムラド議長と握手しました。

長年イスラム法に基づく自治を求め武装闘争を続けてきたイスラム系武装勢力と、キリスト教徒が中心のフィリピン政府との歴史的な和解が成ろうとしています。

そもそもなぜ、彼がフィリピン政府と武装闘争を繰り広げてきたのか。

その直接の原因となった、ミンダナオのイスラム勢力の衰退、アメリカ支配下でのキリスト教勢力の伸張について解説していきます。

 この記事は、以前の記事「海賊の島」スールー王国の歴史の続きです。

続きを読む

【世界史】古代の有名な女性戦士とその逸話

f:id:titioya:20170324082536p:plain

 古代世界で活躍した女傑たち

古代社会では、地域によって女性の社会的な役割が大きい地域が結構多くありました。

王などの国家の要職を務める場合もあれば、今回ご紹介するように将軍や現場の戦士として活躍するケースもありました。

 女性戦士という名前だけで結構ときめくものがありますが、どのような活躍をした人物なのか見ていきましょう。

続きを読む

【イスラム教】多数派から非正統と見なされるイスラム教少数派

f:id:titioya:20180505153733p:plain

 正統イスラムからは外れているとみなされる一派

 キリスト教ではかつて「公会議」や「異端審問」など、正式な教え以外の教えを「異端」であると公式に裁定し布告する仕組みがありました。

一方でイスラム教では、ある一派や学派が異端であるかを「しかるべき人」が協議し正式に認定することはなかったので、何が異端であって何が異端でないかの判断は人によって分かれます。ただし、スンニ派やシーア派(十二イマーム派)など多数派の一派から見たときに「非正統」であるとみなされる一派は数多く存在します。

続きを読む