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歴ログ -世界史専門ブログ-

おもしろい世界史のネタをまとめています。

【超サマリ】メキシコ革命の一連の流れ

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30年にも渡る男たちの熱き戦い

以前、「ロシア革命の一連の流れ」という記事を書いたことがあるのですが、

革命や内戦は動きが激しく、関わっているキーパーソンも多く複雑で正確に理解するのはなかなか難しいものです。

ただし、ちゃんと勉強したらこんなに面白いものはない。

今回は、ぼくが以前から気になっていたメキシコ革命について、本を買って勉強してみました。

ということで、誰でも分かる「メキシコ革命超サマリ」です。

1. メキシコ、高度経済成長期 

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独裁者ディアス登場(1876年)

 

 ディアス「いいかおめえら、メキシコに何が必要か教えてやる。それは独裁だ。メキシコは広大で多様。ギャングもいっぱいいる。北からはアメリカが領土を狙ってる。国を安定させて経済発展させるには独裁しかねーんだよ」

 

ロメロ・ルビオ内相「欧米の投資家のみなさーん!是非是非メキシコに投資してよ!」

外人投資家「お、けっこういいんじゃね?投資させてもらうよ!」

メキシコ人ブルジョワ「おお!国がみるみるうちに発達していく!ディアス万歳!」

※ディアスは自由主義の理念に基づき積極的に外国資本を取り入れることで、前近代的だったメキシコの経済発展を成し遂げました。また、長期に渡る安定した政治と治安の良さを達成。加えて教育が広まり職業の幅が広がって中間層が増え、都市化が進みました。

 

一方、地方の大農園プランテーション

 

大土地所有者「おら農民ども、死ぬまで働け。休むんじゃねえ。死んでから充分休めんだろボケ」

メキシコ人農民A「うう、家も畑もブルジョワどもに奪い取られて奴隷のような毎日だ」

メキシコ人農民B「神がこのようなことをお許しになってもよいものか」

 ※地方のサトウキビプランテーションや鉱業採掘地では、大土地所有者が近隣の農民や先住民を奴隷のごとく働かせていました。日中の作業はムチや銃を持った現場監督によって監視され、夜は家畜小屋のようなところで眠らされました。逃亡しても警察によって連れ戻され、他の労働者への見せしめに私刑されることもありました。

 

メキシコ人労働者「もう我慢がならねえ!ストライキだ!」

会社「あれ〜?いいのかな〜?お巡りさんこっちです」

→ リオブランコ労働紛争(1906年)

  軍隊によってストライキの労働者200名が殺される

 

2. 反ディアス一斉蜂起期

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革命家マデロ登場

 

マデロ「メキシコの心ある者よ、独裁者ディアス打倒のために立ち上がろう!」

武装勢力「うおーー!ディアスぬっ殺す!」

→ 反ディアス一斉武装蜂起(1910年11月) 

 

ディアス「うわ、みんなめっちゃ怒ってるやん。おれもう老人やし、大統領辞めるわ」

→ ディアス大統領辞任(1911年5月)

  レオン・デ・ラバーラ暫定政権発足

 

ラバーラ「選挙やるよー」

マデロ「はい、立候補します」

→ マデロ大統領就任(1911年11月)

 

3. マデロ大統領なにやってんの期

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 農民指導者サパタ登場

 

サパタ「マデロのやり方はヌルい!オレたちは明日の生活を変えたいんだ!」 

マデロ「えー、必要なのは独裁体制打倒によって成し遂げられる民主政治の実現にあるわけでありまして、えー、民主政治が実現しますと様々な社会的立場の住民がですね、えー」

サパタ「もうええわ!オメエにはウンザリだ!」

農民・改革派・ジャーナリスト「マデロはん、あんた無能やわ」

→ 反マデロの暴動発生

 

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軍人ウエルタ登場

 

ウエルタ「キターッ!マデロぶっ殺して軍事独裁政権つくるよー」

→ 悲劇の10日間事件、マデロ大統領、暗殺される(1913年2月)

  

ウエルタ「マデロ死んじゃったし、しょうがねえ、オレが大統領になってやるよ」

→ ウエルタ、大統領に就任

 

4. 反動・革命死ね死ね期

ウエルタ「社会改革?労働改善?何ソレ、食えるの?オレはディアスの方針を受け継ぐよ。さあ経済発展に邁進だ!」 

 

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北部コアウイラ州知事カランサ登場

 

カランサ「ウエルタ、こいつアカンやつや。革命を継続するぞ!兵を挙げよ!」

 

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チワワ州の山賊の首領ビリャ登場

 

ビリャ「敬愛するマデロを殺されて我慢がならねえ!ぶっ殺す!」

→ 反ウエルタ武装闘争開始、ウエルタ大統領辞任(1914年7月)

 

5. 革命勢力同士の対決期

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統治体制を定める「アグアスカリエンテス会議」開催

 

カランサ「さあさあ、ウェルタを倒した皆さんで協力してメキシコを盛り上げていきましょうよ」

ビリャ「おう、まあそうだな。ところで今回の顛末の最も画期的なことは、私やサパタさんのような農民勢力がブルジョワ軍人を倒したことにあるのではないかな?」 

サパタ「いや、まったくその通りですな。農民の力で起こした運動は農民に帰結させねばなりません。農地改革を中心とする抜本的な改革を進めてまいりましょう」

カランサ「ちょ、ちょっと待て。鉱業や商業など考慮すべきことはいくつもあるぞ?」

農民A「おい、カランサ、てめえは引っ込んどけ!」

農民B「そうだそうだ!引っ込め引っ込め!」

→ ビリャ、サパタら農民勢力主導でグティエレス大統領が就任

 

カランサ「話にならねえ、オレは抜けるぞ」

→ カランサ派、港町ベラクルスへ逃亡しカランサ政府を樹立。内戦勃発

 

カランサ「政権奪回するぞ!そのためには労働者、農民を味方につけるんだ!」

→ 農地改革令公布、最長労働時間と最低賃金の策定、労働組合部隊の組織

 

サパタ派の農民C「うちの村を優遇しろ!」

サパタ派の農民D「ふざけんな、うちの村が先だっつーの!」

サパタ「もう、ほら、ケンカしないでよ〜〜」

※サパタ農民勢力は明確な農地改革ビジョンを持っていたものの、地域対立やサパタ自身の指導力不足のせいでイニシアチブを採ることができませんでした。

 

ビリャ「あれ、これからどうすればいいんだっけ?」

※ビリャの勢力はチワワ州を中心に農園・工場・銀行を接収し莫大な資金を元に革命軍を組織したものの政治ビジョンに欠け、最後まで武装組織の域を出ませんでした。

 

カランサ「それいけ、首都に突入だ!」

→ カランサ派首都奪還(1915年1月)

  カランサ軍、ビリャ軍を打倒(同年4月) 

  アメリカから政府承認を取り付ける(同年10月) 

 

ビリャ「ふざけんな、アメリカ人死ね!」

→ ビリャ、アメリカ人拉致・殺害を繰り返す

 

6. 不安定な革命体制期

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カランサ「憲法作るよ!」 

→ 革命憲法を樹立(1917年2月5日)

※革命憲法は、外国資本の制限、農地改革、労働者保護、教会の行動の制限などを定めた、当時世界で最も急進的な憲法でした。労働基本法と社会保障に関する第123条には、8時間労働、夜間労働7時間、週休、女性の出産休暇と母体保護、最低賃金製、男女同一労働同一賃金、貨幣による賃金支払いの義務化、労災保障、労働者の団結権とストライキ権、労使関係の調停仲裁委員会の設置など事細かに明記されました。

 

サパタ「カランサめ、オレたちは抵抗を続けるぞ」

カランサ「いい加減にしろテメエ」

→ サパタ、カランサの刺客によって暗殺される(1919年4月) 

 

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軍人オブレゴン登場

 

オブレゴン「カランサの農民弾圧は問題だ!そもそも革命憲法も気にくわねーし、カランサを倒すぞ!」

カランサ「うっせえ、ぶっ殺すぞ」

→ オブレゴン、ソノラ州に逃亡

 

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ソノラ州知事ウエルタ登場

 

ウエルタ「カランサのやり方には我慢ならん。ソノラ州は独立するよ!」

→ ソノラ共和国独立宣言、メキシコ政府に宣戦布告

 

ビリャ派、サパタ派「いいぞ、ウエルタ!応援するよ!」

→ ビリャ派、サパタ派内戦に加担

 

カランサ「…ああ、もう面倒くさいなあ………うっ………」

→ カランサ、就寝中に暗殺される(1920年5月)

 

ウエルタ「とりあえずオレが臨時大統領やるわ、その後選挙な」

→ ウエルタ臨時大統領就任(1920年6月)

  大統領選でオブレゴン大勝、大統領就任(1920年12月)

 

オブレゴン「もっとガッツリ農地改革をやるよ!同時に経済成長も成し遂げるんだ!」

→ 農地改革の実施:4年間で170万ヘクタールの土地を16万人の農民に分け与える

  アメリカの権益を認め石油資本を導入する

 

ウエルタ「おいこらてめえ、アメ公と何イチャこいてんだ」

ビリャ「あーあ、戦争かなあ」

→ オブレゴン、ビリャを暗殺

 

ウエルタ「オレの尊敬するビリャを暗殺しやがって!オブレゴンぶっ倒す!」

→ ウエルタ、反オブレゴンの反乱を起こすも鎮圧され、アメリカへ亡命

 

7. 革命体制の安定化期

オブレゴン「近代教育で国民の意思統一しないとヤバいわ」

→ 各農村に農村学校を設立し、識字率を10%以上上げる

  学校は村の近代化の中心となり、カトリック教会から住民を切り離すことに成功

 

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カリェス登場。オブレゴン暗殺に伴い次の大統領に就任。

 

カリェス「カトリック勢力は国家に一切逆らうな。逆らったら殺すよ」

聖職者「私有財産も持てないし、政治活動もできないなんてイヤだ!教会は憲法を拒否する」

→ クリステーロの乱(1926年-1929年)

  聖職者とそれを支持する中産階級が反政府武装闘争を開始

  3年後停戦。

  政府は教会を拘束する法律を作らず、教会は反政府活動をしないことで合意。

 

カリェス「メキシコ革命を制度として体制の中に組み入れてしまおう」

→ 革命国民党設立(1929年3月)

  地方の実力者、州政府、公務員、労働組合、農民組織を緩やかに統合

 

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カルデナス登場

 

カルデナス「これまでの大統領たちの農地改革はヌルいよ。オレがもっとドラスティックにやってやる」

→ 1. カルデナスの大規模農地改革

※エヒード(農地の再分配)制に基づき、6年間で1800ヘクタールの農地が約81万人の農民に分配され、歴代の大統領の中でも突出した数字です。

 

 2. エヒード銀行の創設による、農民への融資と技術指導の導入

 3.大規模プランテーションの国家による接収と集団エヒードの導入

 

大土地所有者「マジでふざけんな。オレたちの土地をふんだくりやがって」

カルデナス「あれ、文句言っちゃう?いいのかな〜」

大土地所有者「……」

カルデナス「農民諸君、大土地所有者が報復するかもしれんから、武器を持ちな」

→ 約6万人に及ぶ農民武装軍を組織

 

カルデナス「外国人が好き勝手やらないように資本を奪っちまえ」

→ メキシコ鉄道の国有化(1937年)

  石油産業の国有化(1938年)

メキシコ国民「キャー!カルデナス大統領カッコいい!」

外国資本家「…(こいつらヤベえ)」

※鉄道や石油などディアス時代に基礎を成した産業やインフラの多くは、この時代になっても外国資本の経営下にありました。そのため、労働者と外国資本の経営層との間で労働争議が多発し問題になっていたことが背景にありました。

 

 

まとめ

ざっと、メキシコの30年にも及ぶ革命の歩みをサマってみました。

革命家、インテリ、在郷勢力、宗教勢力、軍人、山賊、農民勢力が合従連衡の血みどろの紛争を繰り広げました。

それでも、途中で暗殺されたサパタやビリャの意志や哲学は確実に次世代に受け継がれ、ゴリッゴリの左派だけどけっこう柔軟なメキシコの体制を作り上げてきました。

モザイクのように異なるメキシコの各地域を統合して教育を施し、労働問題を解決しつつ農民に土地を再分配し、同時に経済成長を成し遂げる。

考えただけで気が遠くなります。

しかし実際にそれをやり遂げたメキシコの指導者たちは偉大だし、メキシコが世界に誇る人類の偉業の1つなのだろうと思いました。

 

参考文献:世界史リブレット「メキシコ革命」 国本伊代 山川出版社

メキシコ革命 (世界史リブレット)

メキシコ革命 (世界史リブレット)

 

 

バックナンバー

第1回:ロシア革命

第2回:メキシコ革命

第3回:フィリピン革命

第4回:イラン革命

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