お金持ちになるには、お金を使わないこと
昔、物の本で読んだ気がします。
何ページも色々書いてましたが突き詰めると「金を貯めるには収入を上げて支出を減らせばよい。つまりがんばって働いて倹約すれば金持ちになれる」ようなことでした。
まあ、確かにそれは真理なのかもしれませんが、ソレジャナイ感がすごいというか。
多くの人は「お金を使いたいからお金持ちになりたい」と思っているのであって、使うなっていうのは本末転倒なんですよね、一般ピーポーの立場で言えば。
とは言え、歴史を見てみるとこの真理を裏付けるような驚くべき「守銭奴」たちがたくさんいます。
1. ヘティ・グリーン(アメリカ)1834-1916
ギネスブック認定の"世界一のケチ"
ヘティ・グリーンは、捕鯨業で財を成した両親の元に生まれました。
彼女はその財を元に積極的な投資で莫大な利益を上げ、「ウォール街の魔女」とあだ名されるほどの敏腕投資家に。その資産は2億ドルと見積もられ、当時の世界最高の金持ちでした。
一方でグリーンのケチは当時から有名で、家は木造のボロ家、服はすり切れの黒いドレス1着のみ、光熱費がもったいないから電気や火はつけず、水道代がもったいないから手も洗わない。
とにかく、カネを使うことを異常に嫌ったのでした。その他有名なエピソードは、以下の通り。
- 家のどこかで紛失した「2セントの印鑑」を一晩中探しまわった
- いよいよ服が臭ってくると、できるだけ石けんをケチるために「汚れた服の中の最も汚い部分」だけを洗った
- 息子が足を怪我をしたが、貧困層向けの無料の診断所に連れて行き、診断を拒否されると自分で直そうとしたため、息子は足を切断する羽目になった
彼女は1916年に81歳で亡くなりますが、死ぬ直前まで家政婦と「脱脂粉乳の栄養価」について口論していたそうです。
そのあまりの守銭奴っぷりが認められ、同年にギネス・ワールドレコードに「世界一のケチ」として名前が掲載されました。
2. ダニエル・ダンサー(イギリス)
イギリス田舎町の「どケチ一家」の当主
ダニエル・ダンサー(1716-1794)は、イギリスの田舎町ピネーの生まれ。
ダンサー家はピネーの土地持ちの農家で、比較的裕福でしたが当時から「どケチ一家」として名が知れた存在でした。
ダニエルはその中でも飛び抜けたケチぶりで知られ、例えば「水がもったいない」という理由で服を洗わず、また服を着替えることもしなかった。
飼料用の牧草が泥棒に盗まれることを異常に恐れ、家の中に牧草を持ちいれて厳重に鍵をかけ、草の中で眠っていました。
また「腐った羊の肉」を「捨てるのがもったいない」として、ミート・パイを作らせて2週間も供させたそうです。普通の人だったら病気にかかってますよ、そんなもの…。
ダニエルの古い友人いはく、彼は「汚く生まれ、さらにゴミのように汚れて死んだ」とのことです。
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3. エフライム・ロペス・ペレイラ・ダギーラル(オーストリア)
「腹ぺこ農場」のオーナー
ダギーレル伯爵(1739-1802)は、オーストリア・ウィーン生まれのユダヤ人。
ロンドンをはじめイギリス各地に建物をいくつも所有しており、そこで上がる家賃収入などで生活をしていました。
伯爵はいくつもの農場を経営していましたが、通称「腹ぺこ農場(Starvation Farm)」と言われていました。
伯爵はめったにエサを与えることをせず、家畜たちは常に腹ぺこでガリガリに痩せ細っていたそうです。
彼はケチって蓄えたそのカネを自分が所有する土地や建物に隠し、死後20万ポンドもの隠し財産が発見されました。
4. ジョン・エルウェス(イギリス)
小説「クリスマス・キャロル」の主人公のモデル
イギリスの文豪ディケンズの代表作「クリスマス・キャロル」には、エベネーザ・スクルージというケチで強欲な商人が登場します。
物語はクリスマスにスクルージが幽霊に出会って改心していく、というものなのですが、その強欲な主人公のモデルがジョン・エルウェス(1714-1789)でした。
エルウェスは富裕な貴族の生まれで、良家の子息らしい良い教育を施され、当時のヨーロッパで随一の乗馬の達人だったそうです。また彼は政治家としても活躍するのですが、その「ケチ」のエピソードの方が後世に残ってしまいました。
例えば、ロウソク代がもったいないから暗くなったらすぐにベッドに入る。食費がもったいないから専ら自分で穫った鳥やウサギの肉を食べる。衣服代がもったいないから服がボロボロになっても着る。
ある時、エルウェスは乞食が捨てた上着を拾い、それを2週間も着続けたそうです。
またある時、エルウェスは腹ごしらえにミートパイを食べていたのですが、それは2ヶ月前に上着のポケットに入れて保存していたものだった。
ここまで来ると精神的に異常だったんじゃないかって気もしてきますよね。
5. ジャン・ポール・ゲッティ(アメリカ)
孫の身代金をケチった石油王
ジャン・ポール・ゲッティ(1892-1976)は、アメリカ・ミネアポリスの石油王。
アメリカ国内の石油ビジネスで巨万の富を築いた後、第二次世界大戦後にサウジアラビア、クウェートなど中東での石油採掘に乗り出してまた大成功。
1956年にフォーチュン誌で世界一の富豪として紹介されました。
ゲッティはハードワーキングのビジネスマンであり、かつ並外れたケチでした。
例えば、自宅に招いた客が使う電話代がバカにならないという理由で固定電話を撤去して電話ボックスを設置。電話代を客に払わせるようにしました。
また、孫のゲッティ三世がテロリストに誘拐された時、郵送で孫の切り取られた耳が送られてきたのにも関わらずゲッティは支払いを拒否。結局世論の声に負けてゲッティは身代金を支払いますが、かかった費用を息子のゲッティ2世に「利子付き」で請求したそうです。
まとめ
超がつく「どケチ」を紹介しました。
冒頭に述べた「お金を使わないからお金が溜まる」を地で行っているような人たちばかりですね。
それにしても、何だかなあ、ここまでしてカネに執着するのが金持ちなら、ぼくなら別に金持ちじゃなくていいやって気になります。
くだらないことに散財するのもバカらしいけど、必要なことに使わなすぎるのもの阿呆の極みですよね。
何事もほどほどが一番です。