繰り返し読める本10冊を挙げてみます
このブログを運営するにあたってというのもあるんですが、ぼくはだいたい年間で100冊くらい本を読みます。
高校生のころからかなり真面目に本を読み始めたのですが、印象に残ったり、大きく考え方や行動に影響を与えたり、繰り返し読める本というのは限られています。
今回は、これまで読んできた中で、特に面白くて繰り返し読める歴史関連本10冊を紹介したいと思います。
1. アーロン収容所 会田雄次
第二次世界大戦後、現在のミャンマーで英軍の捕虜になった筆者の、捕虜中の生活が中心に語られた伝記。
日本軍捕虜の実情を知る上での貴重な証言であると同時に、
イギリス人、インド人、ミャンマー人、ネパール・グルカ兵、そして日本人の行動様式・思考がくっきり鮮やかに描かれており、その比較文化論がめちゃくちゃ面白い。
また軍隊という社会の中で、状況に応じて人間社会・関係・勢力がどう変化していくかが生々しく描かれており、社会学的にも興味深い一冊となっています。
2. サイゴンのいちばん長い日 近藤紘一
産經新聞の海外特派員であった筆者が遭遇した、ベトナム戦争の終結の瞬間を描いたルポ。北ベトナム軍が、南ベトナムの首都サイゴン(現ホーチミン市)に突入してくる瞬間は手に汗握る緊張感です。
さらに面白いのは、サイゴンの庶民街ファン・グー・ラオ通りに住み、ベトナム人の奥さんと結婚した著者の、ベトナムの文化・風土・歴史や庶民の暮らしの描写。
雑駁だけど分かりやすく、愉快なタッチで描かれた文章は、読んでいて引き込まれます。
3. サイゴンからきた妻と娘 近藤紘一
「サイゴンのいちばん長い日」の続編で、
南ベトナム崩壊後に東京にやってきたベトナム人の妻と、その連れ子であるミーユンとの生活を描いた一冊。
東京で生活する中での、ベトナム人の妻の破天荒な行動に笑え、思春期を迎えたミーユンと接する筆者にもぞもぞし、与那国島のベトナム難民の話に涙が出る。名著。
文章を覚えるくらい読み込んだ。たぶん20回以上読んでると思います。
4. 中国の大盗賊 高島俊男
たぶんこれも10回くらいは読んでます。
朱元璋、李自成、毛沢東など歴代の「盗賊出身」ながら天下をとった男達の物語。
この一冊で、中国は3,000年近くの歴史で、どういうサイクルを繰り返してきたかが、だいたい分かってしまう。
今まで読んだ中国史の本の中で、ダントツに面白いです。
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5. 海の都の物語 塩野七生
海上交易都市として繁栄を極めた、ヴェネツィア共和国の歴史を描いたシリーズ。
ぼくは塩野七生さんは大好きなんですが、その中でもダントツに好きです。
交易に生きることを決めたヴェネツィアの男たちは、宗教的情熱や感情ではなく、もっぱら「益」を求めて動く。
その冷徹なアンチ・ヒーローっぷりが、とにかくカッコいい。
ヴェネツィアが最後、オーストリアに併合される瞬間は、読みながら泣いてしまいました。
6. 十字軍物語 塩野七生
これも塩野七生さんの本の中で好きなシリーズ。
全3巻あるのですが、1巻の第1次十字軍編がとにかく面白い。
ゴドフロア、ボードワン、ボエモンド、タンクレディなど、自国では自領を持たない厄介叔父たちが、中東に遠征し水を得た魚のように無双しまくる壮快感。
イスラム教徒を殲滅することが善、みたいな感覚の人物達の「正義の戦い」なのですが、それでも読んでいくと聖地エルサレム占領の瞬間は、ちょっと感動してしまうのです。
全3巻ありますが、1巻だけでも楽しめます。
7. 完訳マルコムX自伝 マルコムX,浜本武雄
1950~60年代にアメリカで活躍した黒人解放運動の指導者、マルコムXの伝記。
貧しい生い立ちから、犯罪に手を染めるようになりますが、刑務所で出会ったネーション・オブ・イスラムの教えに開眼し、出獄後にカリスマ指導者となります。
そして教団の内ゲバと真のイスラムの教えとの出会い。
ぼくがこれまで読んだ様々な自伝の中でもっとも優れたものの一つです。
この本は、スパイク・リー監督の映画「マルコムX」のベースになっています。この映画も素晴らしいので、もし本書をお読みの際は併せてご覧ください。
8. 遠くて近い国トルコ 大島直政
1960年代にトルコに留学した著者が、その魅力や歴史、文化などを軽快なタッチで描く、トルコ愛に満ちた本。
発売当時の1968年はまだトルコ=ソープランドという認識しかなかった日本人に、トルコについて分かりやすく紹介した最初の本です。
いま読んでも非常に面白いし、学びがあります。
9. 文明の生態史観 梅棹忠夫
1957年に発表された故・梅棹氏の代表的な論説文。
西ヨーロッパと日本を第一地域、ユーラシアの広大な大陸の大部分を第二地域と定義。第二地域はいち早く帝国が発達するが、循環が早く興亡を繰り返す。一方、第一地域は文明の発達は遅いものの、辺境であるために政権が安定し、国内産業や教育をじっくりと行ったために近代化に成功した、と説明しました。
西洋文明、東洋文明、というくくりで語られがちだった文明論に一石を投じた論説。
いま読んでも古さを感じさせないです。
10. 東南アジア紀行 梅棹忠夫
歴史関連本というより紀行本に近いのですが、これも梅棹忠夫の著作。
1953年から56年にかけて行われたタイ、ラオス、カンボジアの学術調査をドキュメンタリー風にまとめたもので、経済発展前のタイや、紛争に入る前のラオスやカンボジアの様子が描かれており、大変貴重。
文体も軽快でサクサク読めていける上に、現在でも充分に参考になる梅棹流・東南アジア文明・文化論は一読に値します。
ぼくはこの本を見ながら、東南アジアバックパック旅行をし、当時と変わったところ / 変わっていないところを比較しながら楽しみました。
まとめ
結構古い本が多いのですが、
高校生のころに父親の本棚から勝手に引っ張りだして読んでた本に、印象深かったのが多かったからなのです。
みなさんもぜひ、人生に影響を与えるようないい本に出会ってください。
今日挙げた本は名著ばかりなので、本当におススメですよ!!