歴ログ -世界史専門ブログ-

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ゴーレムを家で飼っていた(?)ラビ・レーフ

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チェコの著名なユダヤ教指導者

ラビ・レーフ(1525-1609)は、チェコ・プラハのユダヤ教指導者(ラビ)で、

本名をイェフダ・レーヴ・ベン・ベザレルと言います。

伝統あるユダヤの家庭に生まれ、父も兄も有名なラビや学者というエリート一家。

当時から著名で、様々な社会問題の解決に精力的に取り組み、法律や税制の改訂や非嫡出子への偏見の根絶などに尽くしました。

一方でユダヤの神秘主義思想カバラの第一人者でもあったため、

実は人造人間ゴーレムを作って家で飼っていて、家事全般をやらせている、と噂されました。

 

ユダヤ神秘主義思想カバラ 

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カバラとは何か

カバラとは、宇宙の無限の存在と、神が作ったいつかは無くなる有限の存在の関係を説明するための秘技。

宇宙の原理と人の存在との関係を定義し、その過程で、自然現象や人はなぜ生きるかなどの哲学的な疑問を説明しようという思想です。

カバラの思想は「生命の樹(エフィトロ)」と呼ばれる図に集約されています(上記図)。

10個の球(王冠・知恵・理解・慈悲・峻厳・美・勝利・栄光・基礎・王国・知識)と、それらをつなぐ22本の小径から構成された図は、そのまま宇宙を現しているそうです。

すいません…。自分で書いててもよく分かりません。

ラビ・レーフの功績

ラビ・レーフは、これまでの伝統的なメソッドから離れ、独自のアプローチでカバラを解釈しました。

彼の仕事は18世紀にポーランド南部で起こったハシディズム(ユダヤ教敬虔主義運動)に影響を与えたとされますが、

当時のユダヤ人主流派からすれば「何をやってるのか良く分からないヤツ」という印象を与えたのかもしれません。

「家でゴーレムを飼っている」などという噂がたったのもそのせいかもしれません。

 

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神によるアダムの創造

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ユダヤの伝承によると、神は以下の手順で最初の人間であるアダムを作ったとされています。

  • 1時間目はちりを集め、
  • 2時間目はちりを形どって人型にし、
  • 3時間目に形のはっきりしないゴーレムが完成。
  • 4時間目に足や手など、身体各部をつなぎ合わせる。
  • 5時間目に目や鼻など、穴を開く
  • 6時間目に霊魂が宿り、
  • 7時間目に自分の足で立った。

3時間でゴーレムはお手軽に作れちゃいますが、この段階ではただの泥人形。

カバラでは、言葉には霊的な力が宿るとされ、アルファベットや文字を駆使することで泥人形に生命が宿るそうです。

 

人造人間ゴーレムの作り方

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ゴーレムの作り方は、まず土や泥で人形を作ります。

そして、「emeth(真理)」と書かれた護符を貼付ければ、人形はゴーレムとなって動き出す、というのです。

そして「emeth(真理)」の「e」を消して「meth(死)」とすれば、ただの土くれに戻るそうです。

その他にも、土人形の口の中に護符を入れる方法や、

床の上に横たえた人形の周りで、カバラの呪文を唱えながら7周する方法もあります。

 

蛇足ですが、言葉には霊的な力が宿る、というのはアジアでも一般的です。

日本人も受験生の前で「落ちた」とか「滑った」とは言うのは禁物ですし、

中部ベトナムでは、子供の正式な名前を呼ぶと悪霊が嫉妬して呪い殺されるとされているため、ある程度成長するまで子供を「イヌ」とか「クソ」とか「チ〇ポ」とか、汚い名前で呼ぶそうです。

 

ゴーレムの暴走

ゴーレムは、ユダヤの安息日である金曜には働かせてはいけないことになってます。

ある日、ラビ・レーフはそのことをすっかり忘れ、護符を外さないまま出かけてしまいました。

すると、留守の間にゴーレムが暴れ狂いだし、市民の通報で警察が駆けつける騒ぎに。

慌てて家に戻ったラビ・レーフは、暴れるゴーレムの口から何とか護符を取り外す。

すると一気に魔法が解けてただの土くれに戻ったそうです。

これは後世の逸話なので本当のことかどうか分かりません。

というか、本当なわけないです。

 

 

まとめ

人造人間は、ゴーレムの他にもホムンクルスというものが存在していて、

ゴーレムは護符の力を使いましたが、ホムンクルスは様々な材料の交配と調合によって生命を作り出そうと言う試みでした。

生命ってよくわからないから、とりあえず作ってみようぜ!

という発想は、前向きと言うか、建設的と言うか、卓上で理論をこねくりましている連中より、個人的には好きです。

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