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歴ログ -世界史専門ブログ-

おもしろい世界史のネタをまとめています。

人造の小人・ホムンクルスを作った(?)パラケルスス

その他ジャンル ドイツ

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ファウストに登場するホムンクルス

 18世紀のドイツの文豪ゲーテの著作「ファウスト」にワーグナーという学者が登場します。

 ワーグナーは登場時は平凡な男なのですが、努力を重ねてついに人造の小人「ホムンクルス」の作成に成功。

生まれたホムンクルスは小さく、フラスコの中でしか生きられない弱々しい存在。しかしあらゆる知識を持ち、主人公ファウストと対等に話ができるほど賢くもあります。

ホムンクルスは最後、完璧な肉体を求めてフラスコから出ていくのですが、これは小説のお話。

この小さな人造の小人の存在を世間に広め、自分自身ホムンクルスを作った、と主張したのが、スイスの医師パラケルススでした。

医師パラケルスス 

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パラケルススは1493年にスイス・アインジーデルンの生まれ。

ドイツ人で科学者・医師の父から哲学・神学を教わり、16歳でイタリアのフェラーラ大学医学部に入学。

卒業後は、東はロシアから西はフランスまで、各地を流浪しながら医療を施して周ります。

当時ヨーロッパは後期ルネッサンスの中で、解剖などの実践科学による医術が主流派を占めまたが、パラケルススはこれを批判し、宇宙と人間の関係から生命の本質をとらえる必要性を訴えました。

そのため医術というよりは、自然哲学、占星術、錬金術のほうに傾倒していったようです。彼にとってはそれこそが医術だったのかもしれませんが。

 

ホムンクルスの作り方

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パラケルススは著作「物の性質について」の中で、ホムンクルスの作り方を述べています。それによると以下の通り。

  • ヒトの精液を蒸留機に入れて40日密封し、腐敗させる
  • すると蒸留機の中に透明な生命体が誕生する
  • 40週間人間の血を与え続け、馬の体内と同じ体温で保存し続ける
  • すると、透明だった体に形が出来て、人間の子どもになる

こうやって出来たホムンクルスは人間の言葉を話す上、あらゆる知識を持ち合わせ、知能も高いそうです。

パラケルススはこの方法でホムンクルスを実際に作った、と主張しています。

ホントかよ!

 

宇宙と人間の三原質

パラケルススは、

この世界(大宇宙)は水銀・硫黄・塩の3つで形成されているが、

これに対をなす形で人間(小宇宙)は、精神、霊魂、肉体の3つで形成されていると考えます。

3原質という点で世界と人間とは繋がっており、かつ、構成物質は世界も人間も同じであるため、

世界が人間を生み出したように、人間も生命を生み出すことが可能である、という理屈です。

概念としては理解できるけど、個人的に飲み込むことはできません…

 

秘密結社・薔薇十字団 

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薔薇十字団とは、17世紀以降のドイツでその存在が噂された秘密結社。 古代の英知を守り抜き、世界をより良い方向に導くために活動を続けている、とされます。

不老不死や病の根絶を目指して、魔術や錬金術の研究を重ねて万病に効く薬を作り、世界の普遍的な改革を目指しました。実在した / するかどうかも謎です。

 伝説では、薔薇十字団はホムンクルスの作成に携わっていたと言います。

 不老不死を目指すためには、まずは生命の本質的な謎を解かねばならず、その鍵を握る人工生命の作成を追及したとされます。

 

 

まとめ

人造人間のホムンクルスにまつわる話を書いてきました。

40日放置した精液なんて見たくもありませんが、実際にそれを試したヒトがいっぱいいたであろうことを考えると、何か滑稽で笑けてきますね。

それにしても、現代は試験管ベビーとも言われる体外受精はいまそれなりに普及しています。

もしかしたらそれはパラケルススが目指した「生命を作る」ことの1つの形なのかもしれません。

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