18世紀カリブ海を荒し回った女海賊
メアリ・リード(1685-1721)とアン・ボニー(1700-1782)は、18世紀に実在した女海賊。
その物語は既に伝説的で、劇画、小説、映画、アニメなどの「女海賊」はこの2人がモチーフとなっています。
漫画「ONE PIECE」にも「メアリ・リード」というキャラクターが登場するようですね。
2人には非常に多くの伝説があるのですが、スゴい男勝り伝説を紹介します。
1. 男装して陸軍に入隊。バレなかった!(メアリ10代)
メアリ・リードはイギリスのロンドン出身。母親は幼いメアリを男装して育てます。
理由は、祖母の金銭的援助。祖母はメアリが女の子だと全く気づかなかったようです。
兄と一緒に男として育てられたメアリは、男装したままイギリス陸軍に入隊。スペイン継承戦争に従軍します。
そこで夫を見つけ結婚しますが早死にされてしまい、失意の中、船で西インド諸島に向かいます。
2. 「お嬢様の生活」に飽きて海賊と駆け落ち(アン16歳)
アメリカの裕福な家庭の娘であったアンは「お嬢様」の生活に飽き、海賊と恋に落ちてバハマに駆け落ちしてしまいます。
ただその男はうだつの上がらないケチな海賊だったらしく、次第に気持ちが冷めていきます。
3. 海賊の一味として男装して船に乗り込む(アン19歳)
そんな中バハマの居酒屋で、元・海賊のジョン・ラカムに一目惚れ。
ジョン・ラカムは当時流行であったキャラコであしらえた服を着た伊達男。
ラカムもアンを気に入り2人は恋仲になります。
ラカムが再び海賊業に戻ると言うことで、アンは夫に三行半を突きつけラカムの妻となり、海賊団の一員として船に乗ることを決意。
ただ当時、女は船に乗ってはいけないという掟があったため、男装して船に乗り込みます。
4. 男装姿のメアリに恋に落ちるアン(メアリ34歳・アン19歳)
復活したラカム海賊団はカリブ海で商船や漁船などを襲いまくります。
ある日捕まえた商船の捕虜で海賊に参加した者の中に、とてつもないイケメンがいるのをアンは見つけます。
一目で恋に落ちたアンはイケメンを誘惑。
そのイケメンはとまどい、自分はじつは女だとカミングアウトします。
そのイケメンこそ、船で西インド諸島に行こうとしていたメアリ・リードでした。
アンは驚き、そして自分も男装していることをカミングアウト。
男装して船に乗る女同士、2人には深い友情が芽生えたのです。
5. 海賊団の主力として戦う(メアリ34歳・アン19歳)
あまり2人の仲がいいので、嫉妬したラカムはメアリを殺そうとします。
メアリはラカムに服をまくり上げて胸を見せて、女であることを証明してみせます。
ラカムは逆に面白がって、その男勝りな性格を見込んで海賊団の主力として側に置きます。
メアリが使っていたのはカットラスという湾曲した短刀。
一方でアンは銃の名人だったそうです。
6. メアリを奪い合っていた男の一方を闇討ち(メアリ35歳)
メアリは30代の半ばになっていてましたが海賊仲間に人気があり、しばしば彼女を巡った争いが起きていました。
(そういうことが起きるから女の乗船は禁止だったのでしょう)
ある日、メアリを巡って2人の男が決闘をしようとしていました。その内の1人は、若いイケメンでメアリのお気に入り。
メアリは、まともに戦うときっと負けてしまうと思い、相手を決闘の前夜に呼び出して殺してしまいます。
イケメン君が決闘の場に行ってみると、そこには既に死体になっている対決相手の姿が・・・。
7. 男たちが逃げる中、最も激しく抵抗(メアリ36歳・アン20歳)
悪名高いラカムの海賊は、賞金稼ぎの海賊ハンターに常に狙われた存在でした。
船に乗った金目当ての荒くれ男だから、海賊も海賊ハンターも素材は同じ。
1720年、ラカムの船は酒盛りの最中、海賊ハンターに囲まれます。
抵抗しますが敵の数は圧倒的に多く、怖じ気づいたラカムを含む男たちは、我先に船倉に逃げ込んでしまいます。
そんな中、最後までハンターと戦ったのはメアリとアン。
必死の形相で短刀と銃を握りしめ、数に勝るハンターを次々となぎ倒す。
やたら強く降参しないため、ハンターも手こずりますが、最後は捕まってしまいます。
8. 死刑台に向かうラカムを臆病者と罵る(アン20歳)
ラカムと配下の男たちは裁判で有罪判決がくだされ、ジャマイカで死刑にされます。
最後、妻であるアンとの面会が許された際、アンはラカムを罵ります。
「あんたが最後まで男らしく戦っていたなら、犬のように吊るされることはなかったのに!」
ラカムは処刑され、遺体は曝されます。
9. その後
ラカム海賊団解体後、2人はどうなったか。
メアリは妊娠を理由に死刑を免れますが、病気にかかりまもなく死亡。
アンも公式な刑執行の記録がなく、本当のところはどうだったか分かりませんが、一説によると父が保釈金を払って刑を免れ、その後元の夫のところに戻り子どもを授かり、82歳になるまで生きたそうです。
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