歴ログ -世界史専門ブログ-

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世界のアブナい(?)宗教 5選

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アウトローな宗教は何をやっていたのか?

人類の誕生から今まで、世界中の数えきれないほどたくさんの宗教が生まれてきました。ただ現在、大多数の人は三大宗教に属しているようです。wikipediaによると信者の割合は以下の通りです。

キリスト教約20億人(33.0%)、イスラム教(イスラーム)約11億9,000万人(19.6%)、ヒンドゥー教約8億1,000万人(13.4%)、仏教約3億6,000万人(5.9%)、ユダヤ教約1,400万人(0.2%)、その他の宗教約9億1,000万人(15.0%)、無宗教約7億7,000万人(12.7%)である。

キリスト教、イスラム教、仏教で60%近くを占めています。ヒンドゥー教とユダヤ教を足したら74%近く。

こういう宗教は、言ってみれば主流派ですよね。こういう主流派が政治を率い、経済を動かしてきた。

じゃあ主流派ではなく、アウトローな連中は何を信仰し、どのように生きたのか

このエントリーでは、恐ろしいものからジョークみたいなものまで、ちょっとアブナい(?)宗教を紹介します。

 

 

暗殺教団

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暗殺によって勢力を拡大

イスラム教イスマーイール派の派生集団アサシン派。別名「暗殺教団」。

この宗派は11世紀、現在のイランでハサン・サッバーフという人物によって開かれた。

ハサンは謀略によって入手したアラムート城を拠点に、セルジュク朝と戦いを続けたのだが、彼らが得意とした戦い方が「暗殺」であった。宗派の若者を用い、敵対する集団の指導者を暗殺せしめることで次々と勢力を拡大していった。

暗殺=神への忠誠

 アサシン派の暗殺者は、常に短刀一本を用い、飛び道具での殺傷や毒を用いた殺害は一切行わず、事が成功した際は逃げも抵抗もしなかったと言う。

彼らにとっての暗殺とは、神への忠誠を究極的に表す手段であった。

「山の老人」伝説

その狂信的な教えはヨーロッパ人に恐怖を与え、尾ひれがついて伝わって、有名なマルコ・ポーロ伝聞の「山の老人」伝説へとつながった。

「山の老人」が支配する国の、2つの山の間の渓谷に「秘密の園」がある。 その庭園では世界中の珍しい果物を集めて栽培しており、多くの美女が楽器をひき、ミルクやはちみつの川が流れている。 老人は、しばし山を降りるとふもとで若者を集め、この庭園について語りきかせる。その後眠り薬を飲ませて庭園に連れて来られた若者は、この庭園で酒池肉林の快楽を味わう。夢のような時間を過ごしていると、いつの間にか、ウトウト眠りについてしまう。 ふと目覚めると、どこにも庭園はない。いつもの馴染みの場所にいる。あれは夢だったのか。そう思っていた矢先に再び山の老人が現れこう告げる。 「再び楽園に戻りたくば、この短剣を使って神への忠誠を示さなければいけない。汝は楽園への帰ることを望むか」と。 こうして若者は迷いなく、いかなる危険も辞さず、暗殺を行うようになる。

サギー(旅人殺戮教徒)

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追いはぎ殺人で神に報いる

12世紀ごろからインドに現れた集団で、別名「パンシガル」とも呼ぶ。

彼らは旅人のふりをして他の地方などからの旅人をだまくらかし、隙を見て絞め殺し、荷物や金銭を奪い取る。追いはぎ殺人を信仰ととらえている集団であった。

ヒンドゥーの死の女神カリー

彼らが信仰するのは、ヒンドゥーの死の女神カリー。

神話によると、元々カリーは自分で旅人を襲って死体を食っていたのだが、ある僧にその姿を見られてしまったため、代わりに旅人を殺して自分に献上するように僧に命令したらしい。

彼らは2人ないし3人でで行動し、殺す際もそれぞれ役割があった。

1人目が縄を旅人の首に巻き付け、2人目が頭を持って前向きに押さえつけ、3人目が足を捕えてうつぶせに押さえ込む。

殺人が終わると、見つからないように穴を掘って死体を埋め、その上で女神カリーへの祝祭が催された。

イギリスのインド植民地支配が確立した後は、インド総督の命令により徹底的に撲滅された。

 

ホアハオ教

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メコン・デルタの戦闘的仏教一派

1939年に、フランス支配下のベトナム南部メコン・デルタに起こった仏教系新興宗教

教祖のフイン・フー・ソー(上記写真の人物)がホアハオ村で興したため、ホアハオ教と呼ばれている。

反フランス・民族ナショナリズムをベースとした貧農村落の社会改革的要素が強く、門徒は排他的で気性が荒いという。

近藤紘一著 文春文庫「サイゴンのいちばん長い日」からの引用。

発足当時は、村の道路に切り刻んだ人肉を並べ、刀を手にした信徒が他宗派の通行人をひっとらえては「改宗がいやならこの肉を買え。両方ともいやなら、お前もこの通りにしてやる」と迫ったという。

メコン・デルタを支配する私兵勢力に

強引な方法でヒトとカネを集めて勢力を蓄え、メコン・デルタ一帯を支配する私兵勢力にまで成長。しかし、1950年代に南ベトナム大統領ゴ・ディン・ジエムによって制圧されて私兵は政府に吸収されてしまった。

ベトナム統一直後は、もともと反共をスローガンとしていたために弾圧されたが、現在は布教が認められており約200万人の信者がいるらしい。

 

コピミズム伝道協会

コピペこそ神聖である!

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2010年にスウェーデンの19歳の大学生イーサク・イェショーンによって設立された。

教団によると、「意思を疎通させる行いは神聖なもの」であり、その象徴こそ、

Ctrl+C、Ctrl+V つまり「コピー&ペースト」であるということらしい。

コピミズム伝統協会の教え

  • 知識は全ての人のものである
  • 知識を追求する行いは神聖である
  • 知識を回覧する行いは神聖である
  • 複製は神聖である

コピミズム伝統協会の憲法

  • 複製された情報は倫理的に正当である
  • 配布された情報は倫理的に正当である
  • より多くの情報を生むため、デジタル複製は神聖である
  • 他人と交流するために情報の複製や再編集を行われることは、尊重・容認されるべきである
  • インターネットは聖なるものである
  • コードは法律である

 

空飛ぶスパゲッティモンスター教

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宗教保守派を皮肉ったジョーク宗教

このふざけた名前の宗教は、2005年にアメリカの大学生ボビー・ヘンダーソンによって設立されたジョーク宗教である。

2005年にカンザス州議会において、公教育において進化論とともにインテリジェント・デザインも教えるべきという意見が採用された。

インテリジェント・デザインとは、宇宙や自然にある事物や事象は「意思ある何か」によってデザインされたものである、という説。

主に反進化論団体や学者など、聖書に影響を受けた宗教保守派が支持層。

これに反発したヘンダーソンは、空飛ぶスパゲッティモンスター教を立ち上げ、

進化論・インテリジェントデザインとともに、空飛ぶスパゲッティモンスター教も公教育で教えるべきであると主張し始めた。

ヘンダーソンの主張

ヘンダーソンは、インテリジェントデザイン支持者が

「平等のために、進化論と共にインテリジェントデザインも教えるべきだ」と主張しているのを皮肉り、

平等のために、インテリジェントデザインと共にスパゲッティモンスター教も教えるべきだ」としている。

さらに、インテリジェントデザインが"意思ある何か"を"キリスト"であることを明言していないことを逆手にとり、

「"意思ある何か"とはスパゲッティモンスターであり、インテリジェントデザイン支持者には積極的にスパゲッティモンスター教布教に尽くしてくれる

とからかっている。

スパゲッティモンスター教の聖書

以下、教団サイトより引用

ヌードル聖書 創世記 第1章
初めに言葉ありき、その言葉は「うわあああ!」なり。 ― 海賊記 13:7

★ 第一日 : 光
スパモンは「光あれ」と言われた。すると光があった。
スパモンはその光と闇とを分けられた。
スパモンは光を昼と名付け、闇を夜、またはゴールデンタイムと名付けられた。夕となり、また朝となった。第一日である。

★ 第二日 : 大空
スパモンはまた言われた、「水の間に大空があって、入り江を作り、いつか海賊の安全な港となれ。水と水とを分けよ」。
スパモンは大空を造って、大空の下の水と大空の上の水とを分けられた。
スパモンはその大空を天と名付けられた。
スパモンはまた言われた、「泡立つビールを吹き出す火山あれ。こいつはうまいことを考えたぞ」。
火山は泡立つビールを吹き、スパモンは味見して、きわめて良しと言われた。夕となり、また朝となった。第二日である。

★ 第三日 : 陸と草木
スパモンは目覚めたとき、頭がぼうっとしていた。
(ビールの飲みすぎによって二日酔い気味で、インド洋のどこかにいた。)
スパモンはまた言われた、「天の下の水は一つ所に集まり、かわいた地が現れよ」。
スパモンはそのかわいた地を陸と名付け、水の集まった所を海と名付けられた。
スパモンはまた言われた、「地は青草と、セモリナ、米、他にも我がヌードル触手に似た食べ物となる何でもはえさせよ」。
スパモンはビール火山で呑むのを少し控えられた。
夕となり、また朝となった。第三日である。

★ 第四日 : 太陽、月、星
夜は、やがて現れるイカ墨のパスタよりも暗かった。
そこでスパモンは二つの大きな光を造り、大きい光(太陽)に昼を司らせ、小さい光(月)に夜を司らせ、また星を造られた。
翌日には大きな計画があったので、スパモンは早寝された。
夕となり、また朝となった。第四日である。

 

★ 第五日 : ビッグバン(魚、鳥、獣、家畜、ストリッパー工場、人)
スパモンはまた言われた、「生き物を種類にしたがっていだせ」。
「ヌードルのようにからみあって生めよ、ふえよ、満ちよ」。
スパモンは見て、良しとされ、自身をたいそう誇らしく思われ、午後はビール火山でしこたま飲まれた。
その晩遅く、スパモンはベッドから転げ落ちた。
「うわあああ!」
(みなさん、これこそが本当のビッグバンなのです!)
スパモンは酔ってぼんやりした頭で、天にはスキャンティを身にまとい透明のハイヒールを履いた女性を製造する工場を、地には小人を造られた。
(現在の工場では、女性ストリッパーだけではなく、プリンプリンのバナナビキニを履いた男性ストリッパーも製造できるようになっていますのでご安心を。)
スパモンは小人を人と名付けられた。
スパモンは当分休むことにされ、手短に祝福して言われた。「これからずっと、毎週金曜日を休日とする」。

 

 アブナい(?)宗教シリーズ