古代ギリシアの黄金期を築いた、シチリアのギリシア植民市
アグリジェントは古代ギリシア時代は「アクラガス」と言われており、約20万の人口を擁したとされている。ちなみに人口20万人といったら、現在の東京港区の人口と同じ。古代にこの人数はすごい。
現在のアグリジェントは海岸から2〜3キロほど離れた丘陵地帯にある。(昔は海岸線が近かったのかもしれない)
あたりを見渡すと北西〜南東に細長くのびた丘が連なった地形。
その丘の上に神殿、丘の下に畑や民家が建っていたらしい。
アクラガスは豊かな農業生産を背景に大いに栄えたが、アテネとシュラクサとの紛争に巻き込まれて共和制がひっくり返されたあげくカルタゴに征服され、さらにはポエニ戦争で町は大ダメージを受けた。
ローマ帝国統治下で町はアグリジェントと改名され再び繁栄するが、帝国の崩壊後は町は放棄された。
考古学博物館の石像は圧巻の一言
崩壊から2,000年以上たった今もなお、当時の壮大な神殿が残っており、その規模と質はヨーロッパ随一。
アクラガスがいかに栄えていたかを物語るものが考古学博物館に保管されている。
この石像。
ぱっと見、大きさが分からないけど15〜20メートルくらいはある。
ううむ、正面から見ても写真じゃあまり伝わらないなあ。
進撃の巨人の小さめの巨人くらいはあるよこれ。こんなんに追いかけれたらおしっこちびって泣き叫ぶしかない。
これが何に使われていたかというと、「建物の柱」だったのです。
これは当時の神殿の何十分の一かの復元図です。
たくさんの巨人が柱になって天井を支えている!
これを見たらいかにこの神殿が巨大だったか分かるでしょう。
建物の高さはこれ、40〜50メートルはあったんじゃないか?
コンコルディア神殿
博物館を出て道なりに歩くと丘の上に巨大な神殿が見えてくる。
ディオスクロイ神に献上されたもので、当時は一面に鮮やかな色の漆喰が塗られていたらしい。
いや〜〜何でしょうねこの美しさ。
余計な装飾がないシンプルなデザイン。アテネのパルテノン神殿は黄金比率を用いているらしいですけど、この神殿もそうなんじゃないのかな。
もうこの古代の段階で美というのは完成されていたのだなあと思った。
ジュノーネ・ラチニア神殿
完全に天井が落ちてしまっている。ポエニ戦争で被災したらしい。
正面から見た図。
青い空、緑の丘、赤茶色の石の建物。めちゃ美しい。
ヘラクレス神殿
ぶっとい柱が力強く、まさにヘラクレスのようだ。これは地震で倒壊したとのこと。
ディオスクロイ神殿
カルタゴに破壊された神殿。草や花の中にポツンと柱だけがそびえる。
この辺りには神殿跡を始め、祭壇、堀、壕、通路など当時の宗教施設の遺構があちこちに点在している。
もうこれしか言えない。本当にすごい。
いろいろ賞賛する言葉は出てくるんだけど、そういう陳腐でありきたりな言葉の中に入りきれないと思う。