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歴ログ -世界史専門ブログ-

おもしろい世界史のネタをまとめています。

「売国奴」と呼ばれる人たち:李完用

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第4回:李完用(1856 - 1924)

現代の韓国において「日韓併合の元凶 」「日帝の手先」と非難される朝鮮の政治家。

当初は王党派の立場から、日本を排除しアメリカ・ロシアと結ぶ路線を模索するも、日露戦争後に親日派に鞍替えし積極的に日本の朝鮮支配を後押しした人物。

 

代表的「親日売国奴」の若き日のキャリア

李完用は、没落両班(貴族)の出身だったが、幼い頃から優秀だったため養子に出され有力な一族の一員となった。

25歳で科挙に合格。甲申政変後の政界では守旧派が政権を握り、李はその中で近代化を担う人材として高宗に目をかけられる。

アメリカ留学後、対米交渉窓口を担当。また教育改革を行い、教育近代化を推進する。

日清戦争後に親清派が一掃され、朴泳孝などの親日の開化派が帰国。李完用も守旧派から内閣に参加するが、甲午改革が失敗に終わり多くの親日の開化派は国を追い出される。

日本、ロシア、アメリカ、ヨーロッパ各国とのバランスを保ちながら王のもと近代化を目指し始めた。李はあくまで守旧派であり、王政支持者であった。

 

親ロシア・親アメリカ

日本の影響力が増すことを恐れた高宗は、李を通じてロシア勢力と通じ始める。ロシアの影響力を背景に、日本を牽制して各国に自立性を認めさせようとした

だがロシアは大韓帝国の独立を認める代わりに、と各種の利権を突きつける。

そこで李はアメリカに介入を求める。だが南北戦争が終わったばかりのアメリカは東アジアの問題には関心が低く、求めた強力は得られなかった。

これに怒ったロシアは圧力をかけ、李を左遷させてしまう。

 

日露戦争後に親日派に転向

日露戦争は大方の見方を覆し日本が勝利。ロシアは朝鮮半島に対する権益を放棄する。

高宗はアメリカの介入を求めて李を中央政界に呼び戻したが、アメリカは既に朝鮮半島における日本の影響力行使を容認していた

ここにおいて、李完用は親日派に転向する。

1905年の第二次日韓協約にも李は積極的に賛同した。

日本は韓国のために二度も大きな戦争を行い、ロシアまで撃破したのに、韓国は何をやっているのだろうか。仮に日本の天皇と政府が、私たちに妥協的な条件を提示するとしたら、私たちの政府も日本の要求に応えるのが当然だと思う。

 

1907年、高宗がハーグで開催されていた万国博覧会に密使を送り、大韓帝国の主権を回復しようとして失敗した、「ハーグ密使事件」が発生。

事件が王である高宗が引き起こしたものだと分かると、韓国総督・伊藤博文と李完用は高宗を糾弾し王位を下ろさせ、皇太子である順宗に王位を譲らせた

 

「内鮮一体」を推進

李は日韓併合条約に調印。

朝鮮総督府中枢院副議長となり、積極的に日本に同化する「内鮮一体」政策を推進。

3.1独立運動発生時には、運動の参加者を非難した。

3.1独立運動は不純な暴動に過ぎず、弱肉強食の時代に朝鮮の独立の意思はむなしいだけだ。

運動の鎮圧後、陞爵となった。また1926年には大勲位菊花大綬章を授与されている。

 

なぜ売国奴と呼ばれるのか

韓国が日本に併合されていく過程の中で契機となった事件や事柄において、日本に加担したという人物は、以下のようにくくられて現在でも忌み嫌われている。

  • 乙巳五賊(いっしごぞく)・・・第二次日韓協約に調印した政治家
  • 丁未七賊(ていびしぞく)・・・高宗の退位に関与した政治家
  • 庚戌国賊(こうじゅうこくぞく)・・・日韓併合条約に調印した政治家

中でも李完用は上記の全てにトップに名を挙げられている。

 

現在もそうだが当時からも売国奴として朝鮮人には非難されており、

高宗の退位時には、反李完用デモや人形火あぶりデモが街角で起こっていた。

1909年には、明洞大聖堂のミサに参加しようとして人力車で乗り付けたところを、反対勢力が送り込んだ刺客の李在明にナイフで左肺を刺される大けがをしたが、一命を取り留めた。それほど当時から親日売国奴との反発は強かった。

なぜ彼が売国か。まとめたら以下となろうか。

  • 同じ朝鮮人なのに、王による独立の試みすら弾圧し、しかも退位までさせた
  • 亡国の条約に積極的に賛同した
  • 日韓併合35年の苦しみの時代を作った張本人
  • あまつ独立運動させ弾圧した
  • 国を売り渡して数兆ウォンの私財を蓄えた

バックナンバー

第1回:秦檜(中国)

第2回:呉三桂(中国)

第3回:フィリップ・ペタン(フランス)

第4回:李完用(朝鮮半島)

第5回:汪兆銘(中国)

第6回:朴泳孝(朝鮮半島)

第7回:ヴィドクン・クヴィスリング(ノルウェー)

第8回:マリンチェ(メキシコ)

第9回:洪大純・洪福源・洪茶丘(朝鮮半島)

第10回:ダーマット・マクマロー(アイルランド)

第11回:東京ローズ(アメリカ)

第12回:ミール・ジャアファル(インド)

第13回:ベネディクト・アーノルド(アメリカ)

第14回:ジャン=バティスト・ベルナドット(フランス)

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