歴ログ -世界史専門ブログ-

おもしろい世界史のネタをまとめています。

2017年に読んで面白かった本&よく読まれた記事

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2017年の歴ログの振り返り

細々と更新していますが、当ブログは何気にスタートして4年目になります。

今年は仕事でも私生活でもメチャクチャに忙しかったこともあって、更新頻度をさらに落として運営していました。

当然ながらアクセス数は下がったんですが、これくらいはしょうがないかなーくらいの下がり方なので、来年度も「長く続ける」ことを目標にやっていこうと思います。

ということで、2017年度にぼくが個人的に読んだ本で面白かったものの紹介と、あとアクセス数ランキングを今回はお送りします。

 2017年に読んで面白かった本

どんなに忙しくても、本を読む時間と心の余裕は持っておきたいものです。

雑誌とか漫画除くと今年度はたぶん100冊近くは読んでますが、最新のものを追うというより古い本でもどんどん発掘して読んでいくスタイルです。なのでご紹介するのも、かなり古い本も混じっています。

 

1. したたかな敗者たち 近藤紘一 文藝春秋

したたかな敗者たち (文春文庫)

したたかな敗者たち (文春文庫)

 

 以前の記事「面白くて繰り返し読める歴史関連本10冊」でも紹介しましたが、ぼくは中学生の時から近藤紘一氏の本が大好きで、ベトナム戦争と南ベトナム陥落を描いた「サイゴンのいちばん長い日」」「サイゴンから来た妻と娘」は何回読んだか分からないくらい読み直しています。ベトナムの文化・歴史と当時の複雑な政治状況、そしてベトナムの人々の息づかいまで聞こえてきそうな描写は、読者をどんどん本の中に引き込んでいきます。

本作はベトナム陥落後に日本に戻り、今度はバンコク支局勤務を命じられた筆者が、カンボジア内戦の続くタイ・カンボジア国境の報道を続けながらも、陥落後のサイゴンの訪問やフランス留学時代の記憶を呼び覚ませながら、生涯に会った人々の生き方と自分自身を客体して描写したものです。

エッセイ、紀行文として、あと一ファンとして読むのが楽しく、一気に読んでしまいました。 

 

2. 妻と娘の国へ行った特派員 近藤紘一 文藝春秋

妻と娘の国へ行った特派員 (文春文庫)

妻と娘の国へ行った特派員 (文春文庫)

 

 近藤紘一氏の最後の著作です。

この本は胃がんで病床にある近藤氏があとがきを書いたもので、27もの短い文章で構成されたもの。東南アジア〜南アジア各国の滞在時のコラム、ベトナム、タイ駐在中の随筆、自身のこと、友人のこと、そして家族のこと。 

近藤氏の人生の走馬灯のような本で、ファンとしては非常に泣ける作品です。 

 

3. 謎のアジア納豆:そして帰ってきた日本納豆 高野秀行 新潮社

謎のアジア納豆: そして帰ってきた〈日本納豆〉

謎のアジア納豆: そして帰ってきた〈日本納豆〉

 

 昨年度のまとめ記事に書きましたが、高野秀行氏の紀行文が大好きです。

本作は、納豆の起源を求めてミャンマー・シャン族、ネパール、雲南、岩手、秋田を巡りながら、「納豆とは何か」「なぜ納豆は深く人の心を打つのか」の本質を探っていきます。納豆料理の描写が非常に旨そうで、よだれが垂れてきます。

最高だったのは「パー・ナンピック」。大きめの魚にナンピック(納豆と各種調味料を混ぜたタレ)を詰めて揚げる豪華料理だ。その日母さんはティラピアを料理した。詰め物と言えば、普通の魚の腹を開きそうなものだが、ここでは背中を開くのがポイント。味噌のようなナンピックをぎっしり詰める。強火で揚げると、納豆、ニンニク、唐辛子、パクチー、ネギ、クミンなどの入り混じった香りが豪快に立ち昇る。

 ぼくは納豆が食えないんですが、食ってみたいと思わせるような美味しそうな描写です。

 

4. スピリットサークル 水上悟志 少年画報社

スピリットサークル (1) (ヤングキングコミックス)

スピリットサークル (1) (ヤングキングコミックス)

 

あまり漫画は読まないのですが、これはめっちゃ面白かった。

冴えない中学生・桶屋風大の通う中学校に、おでこに大きな傷のある美少女・石神鉱子が引っ越してくる。浮かれる風大だが、なぜか鉱子の背後に不思議な背後霊が見える。どういうわけか背後霊は風大のことを知っており、しかも鉱子は初対面の風大を「殺すためにずっと探してきた」という。

…というところから始まる壮大なストーリー。読み終わった後、自分の家族や友人、同僚が愛おしく、しかも遠い過去からつながりがある尊い存在のように思えてきます。

 

5. 岩波講座 東南アジア史

岩波講座 東南アジア史〈7〉植民地抵抗運動とナショナリズムの展開―19世紀末〜1930年代

岩波講座 東南アジア史〈7〉植民地抵抗運動とナショナリズムの展開―19世紀末〜1930年代

 

岩波講座シリーズはとにかく良く読みます。

このシリーズは文字通り東南アジアにフォーカスした内容で、名だたる日本の歴史研究者が古代から現代までの東南アジア史をミクロ・マクロ的視点、国や人物視点から解説していきます。1巻から10巻まであるので、どこか自分の興味がある時代をピックアップして読むと今までいかに歴史を表層的に見ていたかを思い知らされとてもとても勉強になります。

 

6. 岩波講座 世界歴史

岩波講座 世界歴史〈23〉アジアとヨーロッパ―1900年代−20年代

岩波講座 世界歴史〈23〉アジアとヨーロッパ―1900年代−20年代

 

岩波講座の世界歴史は29巻もありますが、この1年でだいたい読みました。

おおよそ1巻に8章程度論文が入っていて、内容は細かく面白い。

買うのもいいかもしれないけど何冊か借りて興味ある章を読みたいなら、ぜひ図書館へ。ちょっと大きめの図書館にいったらきっと見つかります。

ぼくも図書館で全部借りました。

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2017年度読まれた記事

2017年に公開した記事のアクセスランキングです。

ヒットしたものもあればそうでないのもありまして、4年やってますが何が人気が出るか本当分からねーなという感じです。

 

10位:黒猫はなぜ不吉とされるのか

reki.hatenablog.com

 黒猫が不吉というのは誰でも知ってますし、まあ、魔女狩りあたりと関係あるんだろうなってのは予想できますが、まったくその通りの感じです。

黒猫に関する歴史的な話をつらつらと重ね書いてる記事でまとまりはありませんが、それなりに面白いと思います。

 

9位:「福祉国家スウェーデン」はどのように成立したか

reki.hatenablog.com

日本もスウェーデンを見習うべきだ、という言説にいい加減うんざりしていたので、美しいところだけ切り出して議論しても意味ないよということをこの記事で言いたかった感じです。とはいえ、スウェーデンの長年の福祉国家構築の取り組みは、非常にリスペクトされるべきと思います。

 

8位:史上最も短命な国家ベスト10(前編)

reki.hatenablog.com

 ぼくが確認できる範囲でもっとも存在時間が短い国家のランキングです。国家とは何か、というのがよく分からなくなってきます。10位で既に1ヶ月未満ですし。

 

7位:YouTubeで聞く世界の古代音楽

reki.hatenablog.com

 現代に再現できる古代の音楽に関する記事です。とはいえ、現代人が再生しているのでやはり全く同じ風に再生しているとは思えません。ですが、音という記録できないものを再生するという試み事態に意味があると思います。

 

6位:ヒトラーが戦争勝利後に計画していた「世界新秩序」

reki.hatenablog.com

ヒトラーがどこかのタイミングで語ったり書いたりした「戦争勝利後のドイツの青写真」。空想科学読本じみていますが、 こんなことを発言する指導者は本当に勘弁してほしいものです。

 

5位:アメリカ西部開拓時代の有名なガンマンとアウトロー

reki.hatenablog.com

アメリカ西部で活躍したガンマンやアウトローをまとめた記事です。

当時のウェスタンは取り締るのも取り締まられるのも素材が同じようなギャングで、人々の欲望や感情やプライドがむき出しのような時代でした。

この時代に生まれなくて良かったなあという感じです。

 

4位:【リア充】世にも羨ましい独裁者の末路

reki.hatenablog.com王族とか独裁者の末路といえば、だいたいみんな酷い死に方をするのが関の山ですが、幸せな死に方をした人もいました。

みんな結構何でもない普通の、共感できるような話が好きなんだなあと思いました。

 

3位:【前編】イザベラ・バード「朝鮮紀行」まとめ

reki.hatenablog.com

イザベラ・バードは19世紀のスコットランド出身の女性旅行家。

日本・中国・イラン・オーストラリアなど、当時のヨーロッパから見ると僻地と見られていた未開の地を探検し数多くの旅行記を残しました。

この本は李氏朝鮮末期の朝鮮に滞在した時のバードの旅行記をまとめたものです。旅行記にしては当時の国際状況や政治に多くのページが割かれた本。明治初期の歴史について知りたい方はぜひ読んでいただきたい本です。

 

2位:なぜ海賊旗はドクロのデザインなのか

reki.hatenablog.com

これは個人的に好きな記事です。

 海賊の旗といえばドクロの旗を思い出しますが、なぜドクロの旗を海賊が採用したのか、という点を分析した記事です。伝説めいていてどこまで本当かは定かではありませんがワクワクしませんか?

 

1位:【コブラ効果】全くの逆効果になった5つの法律

reki.hatenablog.com

 これは今年ダントツ人気の記事でした。

為政者が数字をもとに理性的に決めた政策も、実際に施行してみたら思い通りの結果を産まないどころか、まったく逆効果の結果を招くこともあります。

この記事の拡散具合はちょっと凄くて、僭越ながら、「コブラ効果」という言葉を広める一端になったのではないかと思います。

 

 

この記事あんまり読まれてないけど面白いですよ

あまりアクセスはなかったものの、個人的に好きな 記事たちを紹介します。

 

世界史で有名な人物の「決闘(デュエル)」

reki.hatenablog.com

王や部族長同士の決闘で雌雄が決した、名だたる「サシの勝負」を集めた記事です。 

 

なぜアンコール・ワットは密林に埋もれたのか

reki.hatenablog.com

 カンボジアの世界遺産アンコール・ワット。なぜあのような森林地帯に高度な文明が成立したのかを解説しています。 

 

【論争】渤海国は中国・朝鮮どちらに帰属するか

reki.hatenablog.com

 渤海王国はかつて現在の中国東北部やロシア極東部にあった王国。韓国・北朝鮮は渤海は「朝鮮人の国」とし、中国は「中国人の国」とし互いに対立しています。なぜこのような対立が起こっているのか解説しています。 

 

「スペイン領フィリピン」が世界史にもたらしたもの

reki.hatenablog.com

世界史の中でフィリピンはあまり大きく取り扱われませんが、世界史の流れを決定的に決めた重要な役割を果たしました。スペイン領フィリピンは、メキシコ・アカプルコとフィリピン・マニラの太平洋交易は、中国大陸の経済発展をもたらし、中国の富を求めるヨーロッパの国々アジア進出を促進したのでした。

 

フライドポテトの歴史ーなぜフレンチフライと言うのか?

reki.hatenablog.com

 最近、ベルギー・ポテトフライが流行っています。

あれ、ポテトフライってフレンチフライって言わないっけ?

いやいや、フライドポテトといえばアメリカでしょう?

みたいな、ポテトフライの本家を巡る歴史です。

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まとめ

あまり大きなヒットもないものの、大きな落ち込みもない感じで、のんびりゆったりと更新をし、多くの人に見ていただいた感じです。

個人的には、2017年は結婚したり転職したり大きな転機となった年なんですが、来年度も引き続き継続してやっていこうと思います。

よろしくお願い申し上げます。