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世界史で有名な女性同士の決闘(デュエル)

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 愛のため誇りのため、一対一(サシ)で戦う女たち

 以前の記事「世界で有名な人物の「決闘(デュエル)」では、主に国同士の戦いの雌雄を決した決闘を見ていきました。

昔は決闘というのは神聖な意味を持っており、一対一で戦って勝った者は神の加護があると考えられました。法が曖昧で拘束力がなかったため、正しさの判断を神に委ねた結果、決闘をすることにより公正な正しさが分かると考えられたのだと思います。

 決闘を行ったのは男だけでなく、日本ではあまり考えられませんが、女性もかなり決闘を戦っていました。

今回はヨーロッパの有名な女性のデュエリストを紹介します。

1. アルメリア・ブラッドック嬢 vs エルフィンストーン夫人 (イギリス)

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年齢のサバ読みが殺し合いに発展

1792年のロンドン。

友人同士のアルメリア・ブラッドック嬢とエルフィンストーン夫人は、ささいなきっかけで大喧嘩をすることになります。その理由は、ブラッドック嬢が年齢をサバ読んでいたのをエルフィンストーン夫人に馬鹿にされたこと

たぶん以前から色々と積もるものがあったんだと思いますが、お互い腹の虫が収まらず、なんと決闘で決着をつけることになりました。お互いにペティコートを着て戦ったため、この戦いは「ペティコート・デュエル(Petticoat Duel)」と呼ばれます。

戦いの舞台はロンドンのハイド・パーク。最初はお互いに拳銃で撃ち合いますが、ろくすっぽ触ったことがない女性が上手く扱えるはずもなく、お互いかすりもしませんでした。

弾切れとなったため、二人は剣を抜いて切りあった!きっとグダグダな試合だったと思われますが、ブラッドッグ嬢の剣がエルフィンストーン夫人の腕を切り流血したことで、夫人は降参し侮辱を詫びたことで、この戦いは終わりました。

決死の戦いに挑んだ二人は、再び仲良しになったそうです。

 

 

2.マドモアゼル・ド・ギニェス vs マドモアゼル・ディグイヨン(フランス)

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 パーティーのVIPの座をめぐる女性同士の争い

18世紀のフランス・パリの社交界では、パーティーの出席者の序列がはっきりと決まっており、故に「誰がVIPか」をめぐる女性同士の争いが頻繁に起きていました。

目下と思っている女よりも自分が下の序列ということを知ると、奮然と食ってかかり、庭にその女を連れて行って決闘を戦うことがよくあったそうです。武器はナイフ。ハンドバッグにしのばせるにはちょうどいいサイズだったんでしょう。

記録にはマドモアゼル・ド・ギニェスとマドモアゼル・ディグイヨンという二人がパーティーの序列をめぐって争い、ド・ギニェスは腕を負傷し、ディグイヨンは首を負傷したとあります。どっちが勝ったかは定かではありません。

 

 

3. ポーリン・メテルニッヒ vs アナスタシア・キエルマンセグ(オーストリア)

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Image from: "К барьеру! Женское лицо дуэли"KOHT

超上流階級の奥方同士の戦い

1892年のオーストリアの新聞には、ポーリン・メッテルニッヒとアナスタシア・キエルマンセグという女性同士が、リヒテンシュタインのファドゥーズで決闘を行ったとあります。メッテルニヒ夫人はナポレオン三世統治下の駐パリ・オーストリア大使の妻。現代で言うところの超セレブです。

なぜ決闘をするに至ったかというと、とあるイベントで飾られた花のアレンジメントがメッテルニヒ夫人の好みと異なっており、自分のスタイルを貫くために戦いを挑んたということです。全く意味が分かりませんが、当時はそういう細かい装飾一つ一つに意味があり、何かを譲ると自分の立場がひっくり返りかねない重要事項だったのでしょう。

超セレブ女性が決闘で死ぬなど、それこそ国の恥なので、安全に充分気を使い、決闘には医師であるルビンスカ男爵が立ち会いました。

この戦いの決着は結局どうなったのかよくわからず、メッテルニヒ夫人は鼻を切り、キエルマンセグは腕を切ったのだそうです。

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4. イサベラ・ド・カラッツィ vs  ディアンブラ・ド・パティネッラ(イタリア)

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Credit:The Yorck Project: 10.000 Meisterwerke der Malerei. DVD-ROM, 2002. ISBN 3936122202. Distributed by DIRECTMEDIA Publishing GmbH.

男をめぐる壮絶な女性同士の決闘伝説

16世紀にイタリアのナポリで行われたとされる女性同士の決闘は、半ば伝説と化しており本当に起こったかどうか定かではありません。

伝説によるとイサベラ・ド・カラッツィとディアンブラ・ド・パティネッラは、二人ともファビオ・デ・ゼラソッラという男性を好きになってしまい、2人はファビオの許嫁になるために決闘を行ったのだそうです。

互いに好きな男のために戦うということで、戦いは熾烈を極め、その壮絶な戦いぶりはナポリっ子の語り草になったほど、ということです。なお、どちらが勝ったかは伝わっていませんが、この二人の戦いをモチーフにした絵画がいくつか描かれています。

 

 

5.マダム・ド・ポリニャック vs マダム・デ・ネレス(フランス)

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 愛しのリシュリュー公をめぐるライバルの女同士の決闘

18世紀フランスでの「愛をめぐる決闘」の代表格は、マダム・ド・ネレスとポリニャック夫人の決闘。

彼女らは、どちらがリシュリュー公爵の愛人にふさわしいかの口論の末に、お互いに決闘で決着をつけることに同意しました。

武器はお互いに拳銃。離れたところからジワジワと近づいて行って、数メートルの距離にまで近づいたところで、マダム・ド・ネレスがまずは銃を放った。しかし弾は外れた。次にポリニャック夫人が銃を放った。弾はマダム・ド・ネレスの肩に命中。マダムは倒れて医者に担ぎ込まれ、戦いはポリニャック夫人の勝利に終わりました。

死闘を制した夫人ですが、別にリシュリュー公爵は勝ったほうを愛するなど同意をしていなかったため、勝ったポリニャック夫人は見向きもされなかったそうです。

 

 

6. ミス・シャルヴィ vs マダム・アスティエ・ド・ヴァルシール

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 フランスとアメリカのフェミニスト同士の決闘

この決闘が起こったのは19世紀。

アメリカのフェミニスト、ミス・シャルヴィと、フランスのフェミニスト、マダム・アスティエ・ド・ヴァルシールが、「どちらの国の女性医師がより優れているか」の議論で熱くなり、とうとう決着がつかず結論を「決闘」でつけることになりました。

お互いにトレーニングを積んで15日後、2人のフェミニストはかつて一大決戦が行われたワーテルローの地に集合。さっそく剣を抜き戦ったのですが、ミス・シャルヴィはほぼ素人だったので、すぐにマダム・アスティエ・ド・ヴァルシールによって肩を切られて負傷し戦意喪失してしまったそうです。

しかし、どちらの国のフェミニストが優れているかの結論が、なんで決闘なんでしょうね。

 

 

7. マルタ・ドゥラン vs フゥアナ・ルナ(メキシコ)

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 1900年に行われた男をめぐる決闘

この戦いはついぞ120年ほど前の1900年にメキシコで行われた女性同士の決闘です。

ラファエル・リケルメ主催の舞踏会に、当時最も彼の愛人候補に近かったマルタ・デュランという女性が出席していました。ところが女好きでもあったリケルメは、会に出席していたフアナ・ルナという名の女性の美貌に目を奪われた。この時の舞踏会は、リケルメはフアナに夢中でマルタは眼中になかった。

メンツとプライドをつぶされ嫉妬に狂ったマルタは、舞踏会終了後にすぐにフアナに決闘を申し入れ、翌朝には二人とも剣を手にして戦っていました。はやい!

舞踏会での二人の対立と決闘はすぐにゴシップ好きの人々の噂となっていたので、多くの人がこの戦いを観戦しにやってきてカネを賭けたそうです。
戦いは数ラウンド行われ、第2ラウンドでマルタは重傷を負ってしまい、第3ラウンドでは多量失血により動けなくなってしまう。フアナはマルタの剣を持った腕を傷つけることで勝利を確実なものにしました。

しかし双方とも重傷であったため、すぐに病院での治療が必要でした。しかし当時メキシコ政府は既に決闘を法律で禁止しており、違法な行為を行った二人を治療することは違法行為でした。

違法行為で重傷を負った二人は、当然リケルメからも見放されてしまったのでした。

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まとめ

これだけで一概に結論を出すのは早計ですが、女性が命を賭けて戦う事柄とは「愛」と「プライド」なのかなあという気がします。

しかしながら、嫉妬に燃え上って戦っても、別に関心を買うことはできないし、ロクなことがありませんね。

 

 

参考サイト

"Top 10 Female Duels And Duelists" LISTVERSE

 

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